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ASW-G-63 ガンダムアンドラス
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ASW-G-63 ガンダムアンドラス

厄祭戦末期に建造された72機のガンダム・フレーム型モビルスーツの一機。
ガンダム・フレームの中でも後期にロールアウトしたこの機体の戦闘記録は、たったの一度のみというものであった。
激戦区となっていた月面において、最大規模の戦闘が行われたという「親愛なる堕天使作戦」。
どれほど多くのMAを破壊しても、無限とも思えるプルーマを率いて侵攻してくる、天使の御名を持つ鋼の怪物達。
その怪物達を製造、量産するプラントの一つが、厄祭戦勃発時に廃棄された月の大規模都市にて発見された。
意志無き怪物達を根絶やしにする為、最大の、そして”保身無き突撃”によってプラント及び、全てのMAを破壊する為の作戦が立案され、投入されたMSの内の一機が本機である。

そして、アンドラスには作戦遂行にあたって一つの調整が成されていた。

”保身無き突撃”において、パイロット及び機体の帰還は不要。故に、”阿頼耶識システムのリミッター”もまた、不要であると。

「親愛なる堕天使作戦」において、人類側は勝利した。

アンドラスをはじめ、作戦に参加した各MS、パイロットは皆、帰還することは無かった。

鉄血のオルフェンズ外伝 ~蒼銀の流星~

マクギリス・ファリド事件後に締結された「ヒューマンデブリ廃止条約」により、不当な扱いを受けていたヒューマンデブリ達を解放すべく、宇宙海賊や不正なPMC等がギャラルホルン(以下GH)によって摘発、解散が進んでいた。
通常の市民IDを手に入れた彼等は、GHや火星連合等によって生活や就職支援を受け、晴れてヒューマンデブリから普通の人間らしい生き方に戻ることが出来た。
しかし、幼少時より過酷な環境で生き抜いてきた者には”普通の生き方”に馴染む事が出来ず、犯罪行為や海賊じみた集団を形成するという事も少なからず見られ、新たな問題も起き始めていた。
そんな中、ヒューマンデブリという立場から解放されたヌアザ・タカムラ、フリッツ・カールの両名もまた、一度は職を得て”普通の生き方”を実践していたが、過酷なヒューマンデブリ時代の経験が災いし、馴染む事が出来なかった。
とはいえ犯罪行為に走る事も馬鹿らしいと感じた彼等は、一般的な仕事とは言い難い”スカベンジャー”という職を選んだ。
スカベンジャーとは、厄祭戦で発生した各地の古戦場をめぐり、残骸などからリサイクル可能な廃品を回収、金銭に替える者たちの総称であり、宇宙空間に漂うデブリ帯に侵入する事もあって非常に危険な職と認識されている。

ある時、彼等は月にある廃棄都市に侵入し、そこで打ち捨てられていた珍しいフレームのMSを発見。
これは高く売れると喜びながらMSを調べていた矢先、GHの哨戒部隊に発見され、瞬く間に拘束されてしまう。
GHや各組織が管轄する地域でのスカベンジングは違法ではあるが、この廃棄都市は現在の月の生存圏からも離れていることもあって、どこからも見捨てられている土地であった筈であり、この行為は違法ではないと主張する二人。
しかし、哨戒部隊を指揮していた月面管理支部の長、フランク・トーマスは通信画面の向こうでこう言い放つ。

フランク「この廃棄都市は今から俺の管轄だ。よって、貴様等のスカベンジングは違法であり、月面での裁量権は俺にある」

二人はフランクの視線に覚えがあった。まるで汚物を見るかのような、人を人と思わぬ視線。
画面の向こうで、フランクは手を上げた。それに呼応し、哨戒部隊のMS(グレイズ)が手にしていたライフルの銃口を二人に向ける。

「───待って下さい!!」

突然の制止の声。
その声は、哨戒部隊のMWから体を乗り出したGHの女性兵士の声だった。
女性兵士はフランクに対して異議を申し立て、フランクはヌアザ達と同じ視線を女性兵士に向ける。

フランク「貴様の意見は聞いていないぞクライン二士。同じ境遇の者に、くだらん同情でもしたか?」
女性兵士「いくらなんでもいきなり射殺するのは早計過ぎます!違法であると言うのなら、このまま支部に移送して然るべき処置を取るべきではないのですか!?」
フランク「言った筈だ、裁量権は俺にあると。二度は言わんぞ」

にべもなくあしらうフランクに対し、クラインと呼ばれた女性兵士が尚も言い募ろうとしたその時、微かな大地の揺れと地響きが発生し始める。
言い争いも止み、その場にいた誰もが体勢を整えようとしたその時───

MSの背後の残骸からMWに似た巨大な何か(プルーマ)が轟音の共に飛び出し、その音がフランクの舌打ちをかき消した。
プルーマは真っ直ぐにMSに襲い掛かり、瞬く間にコクピットを粉砕する。
混乱する哨戒部隊に対し尚も襲い掛かるその様子を尻目に、ヌアザとフリッツは互いに目配せをし、行動を開始した。

応戦を始めた哨戒部隊であったが、更に別の残骸から飛び出してきた二体のプルーマに対し、防戦を余儀なくされていた。
MWはそのサイズ差から有効打を与えられず、次々とプルーマに潰されていく。
自前のMWを奪還し、飛び交う銃弾や瓦礫を何とか躱しながら、ヌアザ達は先刻発見したボロボロのMSの元へ急いでいた。あれを何とか起動出来ればあるいは、と。
その最中、プルーマに潰される寸前にMWから辛くも脱出し、瓦礫の影に身を潜めていた先程の女性兵士を発見。二人は一計を考案する。

ヌアザ「そこの女兵士!死にたくなかったら手を貸せ!」
女性兵士「無事だったか!だが、何をする気だ!?」
ヌアザ「足掻くんだよ。分の悪すぎる賭けだがな」
フリッツ「どの道このまんまじゃ全滅だ。どうすんだい?女兵士さんよ?」
女性兵士「───乗った。お前達にベットしよう」
フリッツ「話が早いのは良いこった。そんじゃ説明するぜ」

賭けの内容は至極単純である。
二人の乗っているMWの片方を女性兵士に分け与え、囮になってもらうという方法だった。

女性兵士「・・・私の負担が大き過ぎないか?」
フリッツ「俺のMWはちょいと特別製でね。まぁ手動操作だとかなーりピーキーなカスタムだが、それでもあんた等が使ってるMWよりかは芽があるぜ?」
女性兵士「そんなものどこで・・・いや、この際細かいことは良い。何分稼げばいい?」
フリッツ「5分。欲を言えば10分以上あると良い」
女性兵士「無茶を言ってくれる。出来る限り急いでくれ」
フリッツ「あいよー」

存外に素直に応じる女性兵士に、ヌアザは疑問を持った。
この作戦は二人がMSを起動出来るかどうかにかかっている。もちろんそれが成功するかどうかは賭けだが、女性兵士を囮にしたまま逃げてしまう可能性も考えられるのだ。

ヌアザ「提案しといて何だが、そんな簡単に信用していいのか?」
女性兵士「・・・その背中、阿頼耶識だろ?」

ヌアザの背には、MWと接続された阿頼耶識システムのコネクタ。ヌアザのMWに移動するフリッツの背には、”ピアス”と呼ばれる阿頼耶識システムと接続する為の端子が見えていた。
女性兵士は自分の背を差し、こう言った。

女性兵士「私もあるんだ、それ」
ヌアザ「お前、それじゃあ・・・」

ヘルメットのバイザーから覗く女性兵士の外見はヌアザ達とそう変わらず、若い。その若さで阿頼耶識手術を受けている者の境遇など、容易く想像出来た。

女性兵士「支援政策で上手くGHに就職出来たんだが、私も元はアンタ達とご同輩って訳さ」
フリッツ「なるほど、納得した。それじゃあ、俺特製MWに阿頼耶識で繋がる気があるならアドバイスだ。───吐くなよ?」
女性兵士「ハッ、了解だ!」

フリッツがヌアザのMWの上部ハッチに捕まり、女性兵士がフリッツのMWに乗り込もうとした時だ。女性兵士が二人に声をかける。

女性兵士「お前達、名前は?」
ヌアザ「ヌアザ・タカムラ」
フリッツ「俺はフリッツ・カール」
セラ「私はセレスティ・クラインだ。セラでいい。ヌアザ、フリッツ、後でな」

──────

MSの元にたどり着いた二人は、すぐさま機動準備に入る。
最初に調べた時点でエイハブリアクターがまだ生きている事は確認出来ていた。ヌアザは開け放たれていたコックピットに乗り込み、シート背部に阿頼耶識システムの接続コネクタを発見した。
これなら、と思うヌアザであったが、コネクタに伸ばした手がはた、と止まる。
ヒューマンデブリであった頃、ロディ・フレーム等のMSに阿頼耶識システムで接続した経験が無意識にヌアザの手を止めた。
阿頼耶識システムで繋がったMSからもたらされる情報量はMWの比では無く、脳への負荷に身体が慣れるまで時間を要する場合が多い。
その行為を、300年も放置されていたMSと行うのだ。脳への負荷は一体どれほどのものか。

ヌアザ「───今更、賭けが一つ増えた所でやる事は変わらないよな」

溜め息と共に小さく呟き、彼は何時もの様に、足掻く為に手を伸ばした。

セラ「あぁもう!!ま、だ、か!あんの二人はあぁぁ!!!」

フリッツ特製MWを死に物狂いで操るセラは思わず悪態を吐いた。
GHの哨戒部隊はどうなったかなど確認する余裕は既に無く、MWを狙うプルーマ2機の突撃を曲芸のような動きで辛うじて避けていく。

セラ「何が吐くなよ!もう無理!ふざけたチューンしちゃって!んああぁぁ!!」

もはやセラ自身、自分が何を言っているかも把握出来ていないが、セラの駆るMWの動きはGHの哨戒部隊のMWの動きとは一線を画していた。
阿頼耶識施術を受けているセラにとって手動操縦よりも阿頼耶識システムを介した操縦の方が慣れているという事もあるが、フリッツ特製MWの性能もまた、今までセラが操縦したことのあるどのMWよりも抜きん出たパフォーマンスを発揮していた。
その二つの要因が重なり合うことで、何とかかんとか生き延びているのである。

必死にMWを操作していたその時、命懸けで待ち続けていた通信がようやく入った。

フリッツ『―――よーうセラ、調子はどうよ?』
セラ「最ッ高ッ過ぎて!!頭の血管が切れそうよ!!そっちの状況は!?」
フリッツ『何とか手札が揃いそうなところさ。だがコールには早ぇ、こっからレイズすんぞ』
セラ「全部終わったら!!アンタ達を全力でぶん殴る事をリレイズするわよ!!」
フリッツ『威勢が良いねぇ!それじゃあ、今から指定するポイントに来な。あ、速度はそのままを維持でな』
セラ「簡単に言うな馬鹿ァ!!」

フリッツからの通信が途切れ、代わりに指定の座標を示すポイントが記された周囲の簡易マップが送られる。
瞬時に現在地、進行方向、追ってくるプルーマとの位置関係を思い浮かべ、MWの進路を変更。
曲芸じみた逃避行と誰にも届かない悪態はまだ続く。

──────

どれほどの時間が経過したのか、セラに考える余裕は無かった。
死に物狂いでMWを操作し、追ってくるプルーマからの追撃を致命傷だけは辛うじて避けてはいたが、すでに機体は死に体も同然。スピードを維持しているのが信じられないぐらいだった。

セラ「後、少しッ!」

まもなくフリッツが指定したポイントだ。緊張の連続でもはや握力の感覚が薄れつつあるが、疲労困憊の体に喝を入れ、操縦桿を握り直す。

その時だ。セラの右手にある壁から激しい金属音、それも何かを撃ち付けるような音が聞こえてきた。
指定ポイントが近くなるにつれ、その音は徐々に大きくっていく。

セラ「な、なによこの音・・・?」

それが一瞬の油断に繋がったのだろう。
無意識にスピードを落としていたか、あるいはプルーマの速度が上がっていたのかは定かではないが、結果的にセラはプルーマの射程圏内に捉えらていたのだ。

セラ「ヤッバイ!!」

コックピットに向けて振り下ろされた前足を紙一重で避ける。だが、その一撃はMWの足を完全に破壊してしまった。
プルーマのサイズはMS並だ。MWの何倍もの大きさ、重量を持つ一撃は、その衝撃だけで容易くMWを弾き飛ばす。
瓦礫に叩きつけられ、セラの視界が暗転しだす。

セラ(ああ・・・死んだかなぁこれ・・・)

諦めと共に意識を失う寸前、MWの内部スピーカーからノイズ混じりの声が響いた。

ヌアザ「───セラ、よく頑張った。後は任せろ」

視界が闇に覆われる寸前、音がしていた壁を破壊しながら、右のカメラアイが赤く光る見た事のないMSが映った気がした。


以下、武装説明となります。

ヘヴィマチェットソー『ノコギリ形態』。
アンドラスが発見当初から左手に握っていた近接武装。
不揃いなその刃はナノラミネートアーマーに容易く傷を付けて装甲強度を低下させ、破壊することが可能。
取り回しがしやすいが、その分リーチが短い。その欠点は変形機構により解消される。

ヘヴィマチェットソー『鉈形態』。
変形機構により、ノコギリ部分の裏にある鉈がメインとなる。
単純にリーチが倍増しただけでなく、刃の部分がトップヘヴィーとなっている為、遠心力を乗せた一撃は非常に強力である。
モチーフは某狩人様ゲームより。

ジャンクブレード。
アンドラスの失われた右腕に、近くに廃棄されていたブレードを応急処置で無理矢理接続している。単純な武装としての意味合いもあるが、欠損した右腕が原因による重量バランスの悪さを軽減させる為のカウンターウェイトの役割も果たしている。

プルーマの襲撃を生き延びたヌアザ達。だが、ヌアザとフリッツは違法スカベンジング及びGH哨戒部隊を壊滅させた疑いにより指名手配、セラはKIA(戦死)とされていた。
途方に暮れる三人の前に、ある通信が入る。
通信先の男は、自らを「モンターク商会」と名乗る、ちょび髭を生やした初老の男だった。

to be continued

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