地球連合軍が開発した後期GAT-Xシリーズの1機。名称の「フォビドゥン」は英語で「禁断・禁忌」を意味する。その名の通り敵の攻撃を封じる術に長けるが、命名は「ヨハネの黙示録」(禁忌を犯した罪人への裁き)にも由来する。
フォビドゥンはX200系のフレームを採用した機体で、ブリッツのコンセプトを一歩押し進めた特殊戦用の機体として開発されている。後期GAT-Xシリーズに共通するトランスフェイズ装甲の他、ミラージュコロイドの技術を応用したエネルギー偏向装甲「ゲシュマイディッヒ・パンツァー」が採用されており、この2大防御装置によりほとんどの敵の攻撃を無効化することが可能となっている。ブリッツに採用されていたステルス機能は優れた隠密性と急襲能力を獲得していたが、電力消費が激しく展開中はフェイズシフト装甲が使えないなどの問題点が確認されていた。そのため本機ではミラージュコロイド技術を戦闘力・運用力に利用する方向で開発されており、機体本体と兵器群の分離というコンセプトに行き着いている。
大容量エネルギーパック、大出力スラスター、大型火器群は全て背部のバックパックユニットにまとめられている。これにより本体はシンプルかつスタイリッシュなフォルムとなり、重武装でありながら高い運動性能を実現している。このバックパックユニットを頭部を覆うように展開することで、急速接近に長けた高速強襲形態となる。この形態ではユニットに備えられたレールガンや誘導プラズマ砲が使用可能となり、エネルギー偏向装甲が前面に展開される。これらの装備による高い戦闘力に、大出力スラスターによる高速飛行能力が合わさることで、敵拠点や攻撃目標への容易な到達が可能となっている。アプローチこそブリッツと異なるものの、電撃侵攻・強襲突撃の戦術コンセプトは同様であり、より威力偵察や強襲に効果のある武装が施されている。
ブリッツと同様の電撃侵攻能力を持ちながら戦闘力のベースアップが図られ、耐圧機能にも優れていたことから水中での機動力にも長けるなど、より多彩な軍事行動に対応可能な機体となっている。完成した試作機にはブーステッドマン専用OSが搭載され、その性能を遺憾無く発揮した。
特殊機能
トランスフェイズ装甲
フェイズシフト装甲の改良型。バイタルパート周辺部の通常装甲の内側にフェイズシフト装甲を備え、着弾時にのみ相転移するようになっている。これによってエネルギー消費を大幅に抑える事に成功している。表面は通常装甲のためフェイズシフトダウンが敵に露呈することも防いでいる。
75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」
頭部に左右一対2門内蔵されている近接防御機関砲。ストライク等と同様の武装。
115mm機関砲「アルムフォイヤー」
両腕部に2門内蔵されている重機関砲。固定火器のため他の武装を携行しつつ使用可能。近接戦用制圧兵器で、PS装甲を持たない機体であれば充分撃破可能な威力を持つ。「アルム」と「フォイヤー」はそれぞれドイツ語で「腕」と「火」を意味する。
エネルギー偏向装甲
「ゲシュマイディッヒ・パンツァー」
ブリッツが搭載していたステルスシステム「ミラージュコロイド」の原理を応用した対ビーム防御システム。背部ユニットに装備されており、磁場を発生させてビームの軌道を偏向し、自機への直撃を避けるというもの。ランチャーストライクのアグニやフリーダムのバラエーナといった高出力ビームすら容易に偏向可能。しかし至近距離からのビームは曲げられず、ビームサーベルのような接近戦用武装への効果は限定される。さらに実弾兵器にも効果を発揮しないが、TP装甲を持つ本機では問題にならない。使用時に大量の電力を消費するが、新型の大容量ジェネレーターやTP装甲の採用による省電力化により、実用的な稼働時間が確保されている。
重刎首鎌じゅうふんしゅれん 「ニーズヘグ」
格闘戦用の巨大実体鎌。先端にはスピアも備える。鎌の刀身にはグレイブヤードからもたらされた特殊精錬技術が用いられているとされる。実体刃故PS装甲には通用しないが、通常装甲には高い切れ味を発揮し、戦艦の艦橋をも容易に切断する威力を持つ。「ニーズヘグ」の名は「北欧神話」に登場する蛇に由来する。
誘導プラズマ砲「フレスベルグ」
バックパック先端中央部に内蔵されている高出力ビーム砲。強襲形態で使用される武装で、エクツァーンの砲身の内側に備えられた誘導装置の磁場干渉によりビームの軌道を偏向することが可能。これにより敵機の回避運動の見切りを誤らせ、意表を突くこと形で攻撃する。「フレスベルグ」の名は「北欧神話」に登場する鷲の姿をした巨人に由来する。
88mmレールガン「エクツァーン」
バックパック両脇に2門装備されているレールガン。同じく強襲形態で使用される武装で、長砲身で弾頭の初速を高めることで口径の割に高い威力を持たせている。砲身の内側にはゲシュマイディッヒ・パンツァーの技術を応用した誘導装置が備わっている。「エクツァーン」はドイツ語で「犬歯」の意味を持つ。
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