ザクⅠ・スナイパータイプ　ショートストーリー「こちら猟兵、異常なし」

「おい、犬っこ。飼い主はどうした？」

ワンッ❗️

嬉しそうに吠えてくる…

警戒してるというより、久しぶりに人と会えて嬉しいみたいだ

よく見れば、首輪をしてない……、なのに野良らしくもない

おそらく家主はこの戦火で疎開したが、犬を連れては行けなかったのだろう…

念の為に家を調べてみたが、誰もいない代わりにドッグフードの蓄えだけが大量にあった

「見捨てられた………ってところか」

ニール曹長は、この犬に妙な親近感を覚えたのだった

「狡兎死して走狗烹らる……か」

ニール曹長には故郷が無い

正確には、あったがコロニー落としに使われて無くなった…だ

もっとも、故郷にろくな思い出の無かった彼にとって、その事自体はどうでも良かった

ただ…、一緒に戦ってきた仲間が望郷の念にかられているのを見ていると、少し羨ましくなったのだ

だから、味方を逃がす為の殿に志願した

「誰かがやらなくちゃならないんだ……。帰る所の無い俺がやるしかないだろ？」

ワンッ❗️

敵を倒し尽くした訳でも、味方に恐れられた訳でもないが、共に捨てられた猟犬同士に妙な友情が生まれたようだった…

「さて…、そろそろ俺は敵を迎え撃たなくちゃならん」

ワンッ❗️

「ここは絶好の狙撃ポイントだ…」

ここで戦えば、この家も犬も只では済まないだろう…

「だから…、俺が戻って来るまで、ここの守りは任せたぜ」

ワンッ❗️

「必ず帰ってくるからよ…」

ザクⅠ・スナイパータイプは、この場を後にした

連邦軍の地上部隊が迫る

ピカッ❗️

ドーーーーーン❗️❗️

「狙撃された❗️❓️」

「何処からだ❗️」

「あんな所からっ❗️❓️」

「真正面じゃないか❗️❗️」

「野郎、ふざけやがって❗️❗️」

「………さあ来な、ひよっこ共。帰る所が出来た男の強さを見せてやるぜ❗️❗️」

そして時は流れ……

宇宙世紀0080年1月1日、地球連邦政府とジオン共和国の間に終戦協定が結ばれた

その一週間後

「……ただいま」

ワンッ❗️

「こちら猟兵、異常なし」　FIN

ショートストーリーに使ったキット

HGUC ザクⅠ・スナイパータイプ

HG ジム(オリジン版)✕２

HG ガンタンク(市街地戦仕様)

 トミーテック 1/150　民家　通行人セット

ちなみにニール・ソーク曹長の名前は、作中にあった「狡兎死して走狗烹らる」の”走狗烹らる“から来てます

本当はニール・ランディ(走る犬“D”)にしようかと思いましたが、ほぼロックオンになるので止めましたw

ってか、ロックオンの本名の元ネタは、まさかこれだったりする❓️