厄祭戦末期に建造されたガンダム・フレーム採用型モビルスーツの一機。
終戦後、ギャラルホルンに名を連ねるウォーレン家により行われた月面調査の最中、巨大クレーターの底部から発見され、以後三百年近く同家の手により管理・保管されてきた。
しかし、ウォーレン家は10年前に地球経済圏との癒着が発覚した事で取り潰しの憂き目に合い、アスタロトもまたアングラな市場を彷徨う事になった。
紆余曲折を経て、アスタロトは月のアバランチコロニーに拠点を置く複合企業「タントテンポ」の管理下に置かれるが、その間に装備や装甲は分解・売却されており、タントテンポの手に渡った時点でほぼフレームのみの状態となっていた。
タントテンポの頭目テッド・モルガトンの温情によってタントテンポに身を寄せていたウォーレン家の跡取ヴォルコ・ウォーレンは、家の象徴であったアスタロトを復元する為に奔走し、その際他のモビルスーツのパーツやタントテンポの工業部門が生産した部品を利用して修復を敢行。これによってアスタロトはオリジナルに似せた不完全な形ではあるがガンダム・フレーム機としての姿を取り戻すに至る。
しかし、機体を改修したヴォルコは脳に記憶チップを埋め込む手術を受けた結果、空間認識能力が著しく低下しており、機体はテッドの専用機として扱われた(この際、義手を持つテッドに合わせて義手を介した神経接続システムも組み込まれており、機体と義手を接続する事で右腕のみ阿頼耶識システムと同等の反応速度を得る事が出来る)。
その後、テッド暗殺の為に送り込まれた傭兵アルジ・ミラージが、同じくテッド暗殺の為に送り込まれた同業者を退けるべく、重傷を負ったテッドに代わりこれに搭乗。テッド亡き後はアルジをパイロットとしてアスタロト本来のパーツを奪還する為の、そしてアルジの復讐の為の戦いに投じられる。
アスタロトはガンダム・フレームにスピナ・ロディや百錬などの装甲を装着した結果、左右非対称なシルエットを持ち、左腕部に至っては入手が容易であったスピナ・ロディの腕部装甲がそのまま転用されている。また、脚部などはタントテンポがヴォルコの記憶チップに残された整備データを元に再現したもので、微かにオリジナルの面影を残している。
複数の機体の装甲をパッチワークしている性質上機体の重心バランスは劣悪であり、腰部に装備された推進装置「ブーストアーマー」によるアシストを得て姿勢制御が行われている。
フレームの基礎設計は他のガンダム・フレームと同様だが、右腕に特殊なエネルギー伝達機構が組み込まれていた。しかし、闇市場へ流出した際に伝達用のケーブルを搭載した右腕の外装や伝達機構と接続する本来の武装が失われた為、レストア後は使用されていない。
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