劇場作品『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』公開時に、OVAでカトキハジメによってリファインされたEW版ウイングゼロから逆算して、テレビ版ウイングガンダムをリファインした機体。大河原デザインのテレビ版に対し、初期はカトキ本人のイニシャルを取って「Ver.Ka.」、もしくは「アーリータイプ」とも呼ばれていたが、漫画『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光I(敗栄)』で当デザインの機体が登場することなどをきっかけとして、EW版と呼称されるようになった。
コクピット
オペレーション・メテオによって使用された5機のガンダムのコクピットは各機共通のものを用いながらも、シートやグリップの位置は各機それぞれに個体差が存在する[注 1]。また、コクピットシートは少年の体格に合わせて作られており、大人が座席に搭乗することはできない[注 1]。
コクピット部分は球状のカプセルとなっており、機体頭部の動きに連動して同じ向きに稼働する方式をとっている[6]。コクピットカプセル周囲はリニアフレームで覆われる[7]。ガンダムのコクピット部はOZ製のものとは異なり、衝撃を緩和する機能を備えたフローティングコクピットとなっている
バード形態
ウイングガンダムの高速飛行形態。ACの世界では航空兵力として戦闘機が現役であり、MSを飛行戦用とした場合、エアリーズのように攻撃力が低下する機体も見られた[3]。ウイングガンダムでは、バード形態の変形機構によって戦闘機とMS双方の機体特性を獲得することに成功している[3]。変形は全自動で行われ、スラスター位置や空力特性が変化する。これによってバード形態では、各スラスターのベクトルが後方へ集中する[3]。
バード形態は移動から空中戦闘で使用され、バスターライフルの使用も可能[4]。同形態時の性能は従来型の戦闘機をしのぎ、大気圏突入も可能となる[7]。
EW版では腰は旋回せず、膝の折り畳み方向もテレビ版と逆になっている
武装
バスターライフル
ウイングゼロのツインバスターライフルをもとに開発されたビーム砲[1]。オリジナルのツインバスターライフルは機体本体からエネルギーを供給する方式を採用しているが[9]、本兵装の場合は、エネルギーを物質化寸前まで縮退化させて詰め込んだ専用カートリッジを銃身に3基装着しており[3]弾数は3発となる。
戦艦の主砲クラスと同等の威力を発揮する[7]。出力もツインバスターライフルの半分以下に抑えられている[11]が、最大出力射撃時のエネルギーは中規模都市の1日の消費量にも相当し、射軸を中心とした周辺の大気を一瞬にして電離(イオン化)させ、半径150メートルにおよぶ激烈なプラズマ過流と数十キロメートルにおよぶ灼熱の奔流を巻き起こすほどの威力をもつ[3]。また、このビーム自体が複合的な層をもち、高速で貫通力の高いビーム帯を中心に、低速で破壊力の強い粒子束がさらに貫通する[3]。
バード形態を併用した本機の機動性と合わせれば、戦略兵器としての運用も不可能ではない[3]。エネルギー経路がカートリッジで完結しているため、規格の異なる別の機体でも使用可能な利点を持ち、作中でもカトルが(「敗者たちの栄光」ではヒイロが)発砲している。プラモデル「マスターグレード ウイングガンダム」では下腕部のランディングクローを使い、バスターライフルの保持を補佐する新解釈が取られている。
EW版では機体の全高並みに長大化され、銃尻にはバード形態時に頭部を覆うフェアリングパーツが追加されている。同時に、片腕に3発、左右合わせて6発分の予備カートリッジを収めた専用ラックを懸架する。撃ちきると軍用の補給施設でないと再充填が行えないこともあり、「敗者たちの栄光」の劇中ではヒイロが残弾数を常に意識していた。
ビームサーベル
シールドに1基格納された接近戦用武装。耐久性に優れたガンダニュウム合金製部材を採用することで、水中でもいっさい減衰しないほどの高出力を発生させる[12]。抜刀時はシールドが中折れしグリップが露出する。EW版ではシールドの中折れギミックが省略され、裏面に格納される。
バルカン
頭部に2基内蔵された機関砲。斉射した際はマシンキャノンとともに、1分も経たずに弾切れとなる[13]。主な用途は牽制や接近戦での使用となる[14]。EW版には装備されていない。
マシンキャノン
両肩に2基内蔵された機関砲。中・近距離用の兵装で、内部はドラム構造であるため連射ができる
シールド
バード形態時の機首を兼ねるガンダニュウム合金製シールド[1]。バード形態時は先端にバスターライフルを接続する。先端部は鋭利で、そのまま打突武器としても使用される[1]。テレビ版では先端部にセンサーが設けられているが、EW版では省略されている。
本体形状はEW版ウイングガンダムゼロとほぼ同一のもの。背部ウイングはより大型かつ複雑なパーツ構成をもち、カラーリングは鮮やかな原色系のトリコロールになり、武装も大幅なデザイン変更がなされている。可変機構もテレビ版と一部異なる。
リファインされた機体は上記の様に、プラモデルマスターグレードシリーズで「ウイングガンダム(Ver.Ka)」、また完成品フィギュアとしてガンダムフィックスフィギュレーションシリーズで「ウイングガンダム・アーリータイプ」という商品名で発売されている(一部媒体ではウイングガンダムカスタムという呼称も用いられた)。本来ウイングガンダムとウイングゼロは別の機体であるため、同商品以後はアーリータイプと呼称されたことはない。
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