ODR(オーブ外務省外郭団体国際協力機構管轄組織国際災害救助隊)が運用する、その任務の中核として位置付けられる可変モビルスーツ。ユニウス条約締結後、主権を取り戻したオーブが、中立国家としての立場を維持しつつ、国外の国籍保有者の生命財産を守る目的で運用される。
最大の特徴としてMA形態への可変機構を有し、MA形態での最高速度は音速を超える。同年代の機体でこれに匹敵する速度に到達する機体は如何なる勢力にも存在しておらず、エクリプスはこの超高速飛行を以って現地へ向かい、任務を遂行する。また、ミラージュコロイドステルスを用いた高度なステルス能力を持ち、「眼の前にいても視覚認識できない」ほどの高度な隠密性を有する。
可変機としては、後発のムラサメシリーズに比して圧倒的な可変時の高速度・高高度飛行を実現。また、オーブが戦後秘匿したフリーダムのフレーム構造を徹底的に検証し、再現した事でMA形態、MS形態のどちらにおいても高い耐久力を誇り、可変MSにおける欠点である近接戦闘時の脆弱性を克服した強靭さを実現。また、その洗練された構造は同年代でも最高クラスの動きを可能とした。
高速飛行を実現させる変形機構を追求した結果、飛行時の安定性を損なうデッドウェイトとなる過剰装備は排除され、武装は基本的なもののみとなっている。しかし、それはMS形態時の適応力を失う事を意味しており、これを補う為に開発陣はストライカーパックシステムに着目。オプション装備方式を採用する事によって回答とした。また、従来兵装に加えて新規開発を行う事で更なる多様性を得る事も想定している。
この機体が開発された経緯として、オーブは中立の島国として領空を限られた軍事リソースで守り切る必要性があり、「敵先制攻撃の本土到達前の迎撃」の為の航空戦力の増強がコズミック・イラ60年代から検討が続けられて来た事が挙げられる[1]。それと同時に、「敵国が攻撃姿勢を整えた段階で攻撃を開始する、超長距離、超高速度、超高高度からの敵基地攻撃能力」が強調され、その運用方針には「敵国への核攻撃」の可能性すらも含まれていた。それは、オーブの中立国としての理念を根底から揺るがす思考であったが、「いかなる国とも結ばない」を国是とした方針を守る為に研究開発が進められた。機体名称であり、開発計画名でもある「エクリプス」は「日蝕」を意味し、オーブの国家シンボルである太陽が陰る事から、「もし表沙汰になればオーブを闇に落とす者」というニュアンスが込められている。
従来は、MSではなく戦略爆撃機として計画されたものであり、その存在が明らかになれば、オーブの基本理念すら失墜するとして最高機密の一つに指定された。それでも、長らく仮想戦略の領域で研究が進められていたが、C.E.70年以降の動乱とオーブ解放作戦により主権を奪われ、実質的に占領下に置かれるという国家的屈辱を味わった事で、本格的な開発が行われる。開発時のオーブは連合による支配下にあった為、表沙汰には「救助隊の特殊機体」の名目かつ、五氏族のキオウ家の管理下で、軍部ではなく外務省の管轄で行うという念の入ようで秘匿されていた。
特殊機能
フェイズシフト装甲一定の電圧を持つ電流を装甲材に流す事で相転移させ、物理的な衝撃を無効化する特殊装甲。
実体弾兵器をほぼ完全に無力化するが、高出力ビーム兵器の前には無力となる。ミラージュコロイドステルス可視光線を歪め、レーダー波を吸収するガス状物質。これによって「眼の前にいても視覚認識できない」ほどの高度な隠密性を発揮する。
ストライカーパックシステム
背部コネクタを介し、各種ストライカーパックを装着する換装システム。可変による音速飛行を主とする為に余剰装備を備えられなかった事に対して、それをオプション化する事で様々な作戦に対応可能となった。
エクリプスには専用ストライカーパックとして「マニューバストライカー」が開発されている。
変形
MS形態及びMA形態への変形が可能。ストライカーパックシステムを搭載する関係上、背部を塞がない可変機構を採用。
また、フレーム構造はフリーダムの物を解析、再現しており、洗練された機体構造によって可変機の宿命である「構造の複雑化によるMS形態での脆弱性」を克服している。
武装・必殺攻撃
72E4式ビームライフル「ジンライ」
左右サイドスカートに二挺マウントされたエクリプス専用のビームライフル。MA形態では安定翼としての役割を果たす。使用時にはグリップを回転させ、マニピュレータに把持させる。
72式ビームサーベル
ジンライのグリップを分離する事で抜刀状態となる、エクリプス専用のビームサーベル。
PS-02ビームシールド
両腕部に搭載されたビームを展開する防御兵装。第1次連合・プラント大戦では見られなかった装備。篭手のビーム発信機をポップアップさせ、楔状のビームを展開する。シールドだけでなく、アームソードとしても使用可能。
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