『今の戦争の主役はMSだ。それが時代の流れってのは分かるよな?』
「それはわかるが、今の現状はわからんのだが」この状況になった発端は、三日前。所属している開発基地は、コロニーの中でもドッキングベイに近い端に位置している。その日は空間機動のテストが予定されていて、まずは単機でコロニーから離脱するところからのスタートだった。そう、離脱するまでは順調だったのだ。
あらかじめ予定された航路に従ってポイントに向かうと、友軍それも自分が所属していると表示されているが、今までに見たこともない艦が停泊していた。
「戦艦? いや、こいつは…」照合データによれば、サラミスMS空母試験艦と表示されていた。
『やあ、予想よりも一時間ほど早い到着だね』
聞きなれた声がスピーカーから流れて、嫌な予感がした。
「お前、基地に居たんじゃないのか…」
『今回は、軌道と機動のテストなんだよ』
「いや? だから、何でお前がわざわざ艦に乗ってるのかって」
『MSを空間運用するんだよ? データだけじゃ何も見えやしないって』
「おまっ…」開発者のニュータイプか、と思ったが言わないでおいた。
『ザッ…それじゃ、軌道上での機動テスト、始めるよ〜』
「はっ?」ノイズ混じりの通信が終わらないうちに、目の前のサラミスは急加速して月の向こう側に消えた。サブモニターのアラームが鳴り、あらかじめ入力されていた課題が表示される。
月軌道上における機動テスト
残燃料、武装重量は、戦闘状況を一度経過した状態を再現してあるので、要注意。
現状況から、想定戦闘エリア内に待機している母艦に帰艦せよ。
「毎度いきなりだな、おいっ!?」
エリアマップには、帰艦不可能距離がレッドラインで表示された。同時に母艦の推定座標が表示されるが、時間と共に範囲が広がっていく。機体を発進させる。引力が弱いとはいえ、一つ間違えば月面着陸だ。月の引力と、機体の角度を計算して進む。
ビーッ! 警報と共に、姿勢制御用スラスターがいくつか作動しなくなった。
「マジの故障か、それとも…」あいつの仕込みの可能性が脳裏に浮かんだ。
もとから戦闘ダメージの想定をしていたので、パニックにはならずに冷静に対処をして、だいたい一時間で艦を発見した。
「これで終了か…」着艦して固定されると、自動で格納される。
『またまた予想よりも早いね。今はまだ、キミの実力によるところが大きいな』
「そうか? だけど、こいつのシステムはかなり優秀だと思うが」
『あぁ、学習型だからね。常にアップデートしてるから、そのうち新兵でもベテラン並みの操縦が可能になるかもね』
「AI様様だな。でも俺は、マニュアルな感じが好きなんだけどなぁ」
『マニュアルな感じか〜 そういえば…』こいつのいつものクセが始まった。はじめの頃は適当に聞き流していたが、今は退屈しのぎに丁度いいと思っている。思っていたのだが…
「なんだよっ!? この状況はぁぁぁ!!」気がつけば再び発艦させられ、目の前には青い地球が輝いていた。
『マニュアルと言えば、まだ地球圏での軌道上の機動がデータ不足なんだよね。さすがにデータが無さすぎて、マニュアルも組めないし』
「そっちのマニュアルかよぉぉぉ」
『あ、そうそう。月より引力があるから、高度には気をつけるんだよ?』
「知ってる」
『じゃあこれは? その機体は基本ガンダムと同じ構成って、前に言ったよね』
「あぁ言ってたな。それで制限かけたり、部品取っ払ってるんだろ」
『うん。だけど、面白い機能があったから、それはそのまま付いてるんだよね』
「おい、こら。なんだか知らんが、言うなよ」嫌な予感しかしない。
『なんと、大気圏突入ができるんだよねー』
「言いやがった。とんでもないことを言いやがったな!」大気圏突入だと? 元から付いてたって? 馬鹿なのか? こんな抵抗の塊みたいなMSが、大気圏突入?
『ロマンだよね』
「ドカンだよ!!!」
『大丈夫だよ。実はこのサラミスも、大気圏突入ができるからね』
「なぁぁにが…大丈夫なのかはわからんけど、やる気…なんだろなー」
この日のデータは後に大半が消失して、記録には残ってはいない。
俺の記憶には…大気圏突入した一機と一隻は、空中での着艦を成功させそのまま成層圏を航行したのち、大気圏を離脱した。勘弁してくれ…
メイキング? あと語り?
今回は、完全にモニター頼りなジオラマ?です。基本、カメラの編集機能だけは使わしてもらいました。一部画像にはスケッチ機能で、吊り線を消し加工してます。ただ、ほとんど吊り線が見えなくて大半は加工してません。
吊り線が見えている状態です。これでも大丈夫そうですが、一応加工しました。
この技法に早く気づいていれば、前作サラミス改もよりかっこよく撮れたかなー
あと、今回のサラミスはあくまでサラミスMS空母試験艦で、一年戦争中に多々開発されていたうちの一隻です(´▽`)
オマケ↓
ビッー!「ここで故障は、マジやめて〜」
m(_ _)m
コメント
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アムロがガンダムで大気圏突入をした木呂子が残っていれば、本当にこんな実験は行われていそうですね。
事前にテストパイロットに知らせなかったのは、ビビッてテストを拒否されるのを防ぐためなのか、それとも純粋に「こんなワクワクすること、本番までサプライズにしない手はない!」という技術者の(余計な)心遣いだったのか・・・?
単機で大気圏突入なんてのは、量産型の機能ではないですよねー しかもファースト当時に、耐熱フィルムとシールドと冷却機能でできるって… ハイスペックにもほどがある。ゼータ世代でバリュートパック装備の単機突入が可能になったのだから、どれほどのオーバースペックなのやら(-_-;)
気まぐれモデラーです。
素組から改造まで、未塗装から全塗装までと気分次第で幅広くやってます♪
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