GN01-ADAM

超長距離から放たれた光条は師団中央に位置していたはずの旗艦の船橋を貫いた。それが、地球連邦軍が独自に開発した軍事ロボット・モビルスーツGN01ーADAMとの最初の接敵だった。

GN01-ADAM
軍事ネットワークの掌握を目的とした究極のシステム・グランニューロンシステム（GNS）。このシステムは地球連邦が極秘裏に開発し、連邦のみならず企業連あらゆる軍事ネットワークにアクセスすることができる。そして、GNSとリンクし、軍事インフラの先行的破壊を目的とした兵器、それがADAMである。

GNSとの疎通から軍事設備および兵器の位置情報を網羅するだけでなく、対峙する兵器の火器管制システムをも把握し、高精密な射線予測から完全な回避を可能としている。

腕部にはビームサーベル発生器を装備しているが、携行する高出力ビームライフルによる接敵前撃破が常だったため、使用した例は極めて稀だったという。

本機との戦闘データを元に企業連はMSを開発した経緯がある。戦争末期、アンチ・グラン・ニューロン・システム（AGNS）を搭載したMSとの戦闘の際に消息不明となり、最大の武器を失った地球連邦軍は壊滅することとなる。

GNSを押収した企業連だったが、アクセス権限を持つ本機の不在・資料及び全研究員の自己”紛失”のために戦後半世紀を経た現在でも解析を進められずにいる。

また、余談ではあるが、本機の操縦にはシステムとの直接的神経接続を必要とし、神経系を後発的に延長された強化人間が操縦士に選出されていた。膨大な情報を処理する中で神経系が焼き切れる操縦士も少なくなく、数回の使用の後、生体パーツとして使い捨てられていたという。