今日の昼過ぎにカネバンに顔を出すと、こんなスラム街のジャンク屋には似合わない子供が仏頂面のカネバンのボス、アンキーの前でお茶を飲んでいた。私とそう変わらない歳だと思うけど髪は白髪でボサボサ。そばかすと気怠そうな目。なんか異様に思えた。
[キミがジークアクスのパイロットだね。うちのエグザべ君が世話になったみたいで]
いきなりド直球で私がジークアクスのパイロットだと言い当てた。それもエグザべってこの間アンキーが言っていたジークアクスを探している国連軍の軍人の事だ。という事は…。
[その通り。ボクはドゥー・ブル。国連軍ロンド・ベルMS隊の大尉さんだよ〜]
[ロンド・ベル!?この子が!?]
思わず口に出てしまった。
[そうだ。このイズマの沖にいるペガサスとかいうロンド・ベルの強襲揚陸艦専属のMSパイロットだ]
[アンキーこの子の事知ってるの?]
[昔少しな。それよりも…何しに来たドゥー?]
その時のアンキーの目は明らかに警戒している時の目だった。それこそ初めてジークアクスに乗ったあの日に軍警を見ていた時と同じ目。するとドゥーとかいう子は紅茶のカップを置くと私に歩み寄ってきてグイッと顔を近づけてきた。
[な、何か?]
[やっぱりキミは”キラキラ”が見えてる]
[え?]
[久しぶりに会えて楽しかったよアンキー。じゃあ”マチュ”もまた今度ね〜]
[…あれ?私名前教えたっけ?]
そんな不思議な子との遭遇から数時間後、私はクラバに出ていた。今日もマヴはシュウジのガンダム。クラバはあっという間に私たちの勝利で終わった。あとはいつも通りトンズラするだけ。そう思った時だった。
[マチュ!]
シュウジの声と同時に閃光が走った。それに爆発音も。
[何なのこれ!?]
爆発と閃光が止むと
[マチュ!ヤバイノガクルゾ!!]
ハロが叫んでいた。そしてようやく慣れてきた目に飛び込んできたのは1機のモビルスーツ。でも、クラバや軍警の機体とは違う感じ。何か強烈なプレッシャーを感じる。
[今のはボクなりの挨拶だよジークアクスのパイロット、それにX00のパイロット]
[この声…さっきの子!?]
シュウジが動いたのとドゥーが動いたのは同時だった。ドゥーの機体からは巨大なミサイルがシュウジの機体めがけて飛んでいく。シュウジのガンダムはそれを避けていくが、その背後では巨大な爆発が次々と起きていた。
[シュウジは殺らせない!!]
ドゥーの狙いは恐らくシュウジとガンダム。ロンド・ベルって言ってたからシュウジを捕まえに…。
[ボクが用があるのはキミの方なんだけどな〜アマテ・ユズリハ]
突然頭にあの子の声がした。それと同時にドゥーは手にしていたバズーカを手放すと肩のミサイルポッドをパージした。それがまるで意思を持つようにシュウジの機体に飛んでいった。虚を突かれたシュウジは体勢を崩す。その隙にとんでもない速さでドゥーの機体がビームサーベルを手に私に突っ込んでくる。ビームサーベルが来ると思ってヒートホークを構えたけど、来たのは振り上げたヒートホークより遥かに早く来た強烈なタックルだった。
殺られる!!
[殺らないから安心して。ボクはクアックスが今どんな顔をしているのか見に来ただけだから。それにしても、キミも"キラキラ"が見えるみたいだけど、直感に頼りすぎ。その程度じゃまだ"ガンダムの彼"に追いつけないよ]
[強い!…あなたは誰!?]
[ボクはただの通りすがりの強化人間だよ。ところでキミは"ガンダムの彼"が何者で何をしようとしているのか知ってるのかな?]
強化人間?
[じゃあまたねマチュ。今度は味方だとボクは嬉しいな〜]
そしてドゥーは閃光のような速さでどこかへと去って行った。それにしても…。
[なんか頭の中覗かれたみたいで気持ち悪いぃ〜!!]
[コックピットで吐かない方がいい…とガンダムが言っている]
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ナカムラ工廠です。ガンプラは今年始めたばかりでキットが手に入りづらいので部分塗装でやってます。あと、ミリプラと合わせたデジラマで独自世界の一年戦争モノをやってますのでよろしくお願いします🙇
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