HGグリムゲルデ:劇中再現を超えた空間表現(変わりたいのではなく戻りたかった。双子の執着をほどく)
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超人のようなマクギリスも、伝統に飼い慣らされたガエリオも、本質は同じ「生身の人間」だった。ガエリオは外側の伝統という檻に、マクギリスは内側のインチャという檻に飼い慣らされていた。だからこそ、この2人は憎むべき「敵」ではなく、全く同じ痛みを抱えて異なる生存戦略を選んだ「鏡写しの双子」だったのではないか。前作「キマリス編」で提示した魂の結び目をさらに深く見つめ直し、今回の「グリムゲルデ編」へとそのバトンを繋ぎます。
機体はHGグリムゲルデ、装甲裏はパテで埋め、フレームは手首も含めてシルバーで塗装、その手首も表情のついたものと置き換えています。サムネイルは、グリムゲルデがキマリストルーパーの大型ランス(デストロイヤー・ランス)を投擲する瞬間です。その閃光のような投擲をキマリストルーパーは避けきれず左腕を半壊させます。グリムゲルデにおいても関節が千切れるほどの投擲だったが、その負荷が、フレームの野生を駆動させる。グリムゲルデは限界を超えた加速により肉薄、表情の宿った左手が放つブレードが、その胸部(コア)を正確に捉え、貫こうとしていた。
■デジラマストーリー:変わりたいのではなかった、ただあの頃に戻りたいだけだった
■前編:【無知なる純粋と、濁らぬ覚悟】
私は無知からくる「汚れを知らない純粋さ」に惹かれない。本当に美しいのは、裏切りも、孤独も、諦めも、人生の泥をすべて知ったうえで、それでも「純粋でいる」と決めた人間に宿るものだ。汚れを知らない透明さではなく、汚れを知ってもなお濁らない透明さ。それは「無知」ではなく「覚悟」だ。不条理な戦場でボロボロになりながらも、なお他人に優しくあろうとする。そんな魂に、私は心奪われるし、私が目指している姿だ。
■後編:【鏡写しの境界線(あるいは、双子の生存戦略】
一瞬で唯一の友を葬ったマクギリス。その瞳に感情は無い。ただただ代わりにインチャが激しく泣き崩れていた。愛されることは幸せか?傷つけあうのが愛情か?家族がいないことは幸せか? ののしりあう群れが家族か? 喧嘩して仲直りをして、笑いあうことは犯罪か? 裏切りあうのが友情か? 無知は無神経と同じか。愛は真実と偽物だ。何も分からない人生は、死んでいることと同じか? 足りないものを助け合って、補いあうのは犯罪か?息をすることは犯罪か? 結局誰もわからない。答えてくれる人はいない。それでも答えを探していた。必死になって探していた。探し疲れて、気づいたら世界を嫌になっていた。好きなものもなくなった。嫌いな人もなくなった。「助けて」と言えなくなった。
マクギリスは、常に冷徹で、すべてを盤面通りに動かす全能の怪物(システムハッカー)のように振る舞っていたが、その厚い「怒りと全能感の装甲」の裏側に隠されていたのは、「何が正解なのか誰も答えてくれない世界」で、必死に息をすることすら犯罪のように怯え、泣いていた一人の子供でした。
彼が大人(MASS)の欺瞞やギャラルホルンの伝統をあれほどまでに激しく憎み、解体しようとしたのは、彼が直面した「家族(ファリド家での虐待)」や「友情・愛情」のすべてが、グロテスクに歪んだ偽物だったからに他なりません。すべてを飲み込んで愛想笑いを浮かべることもできず、かといって世界中の不条理すべてに反論して言い負かすこともできない圧倒的な無力感、その中で、彼のインチャは生き延びるために「だったら、力(バエル)で、すべてのシステムを叩き潰して、自分が神(正解)になるしかない」という、悲しいほどに巨大な『怒りの防具』を選択せざるを得なかったのです。
消えない涙は犯罪か? こんな考えが頭の中をめぐりめぐって泣いているんだ。子供だから、わからないか。大人になればわかることなのか、、。それでも必死になって、世界に抗って、涙流して、まだ死ねないと、何度でも立ち上がる。そういう人間こそが幸せになるべきではないのか。マクギリスにとっても、ガエリオにとっても、そして「古い鎧」に縛られて生きながら死んでいる現代の大人たちにとっても、「どれだけ絶望的な泥の中でも、主権を他人に渡さず、生身の身体で『まだ死ねない』と立ち上がる瞬間にしか、本当の生の駆動(幸福)は存在しない」。
■結び:【その生い立ちすら自作であり、誰に愛されなくても、あなたは生きていける】
人間は、傷つき、無力さを知ったとき、「何者かにならなければ愛されない(生きていけない)」という呪縛(バグ)に囚われ、外側に重い鎧(伝統、システム、数の論理、あるいは怒りや全能感)を必死に「増やし、埋めようと」してしまいます。しかし、その駆動の本当の目的は、どこか遠くの知らない高みへ行くことではなく、「意味に名付けられる前の、あの純度の高かった自分(生身)に戻りたかっただけ」なのだ。変わりたいというより戻りたい。増やしているようで手放している、進んでいるようで戻っている。いつかあの時、純粋に世界を愛していた時のように、あらゆる愛を、あらゆる形で受け取っていた自分を思い出したいのだ。
ガエリオは、ギャラルホルンという「意味(名誉・大義・伝統)」で塗り固められた世界で、そのパーツとして生きることを強いられていました。彼は変わりたかったのではない。マクギリスと、アインと、ただ純粋に笑い合い、信じ合っていた「あの頃の無垢な信頼(友情)」に戻りたかった。キマリストルーパーの最深部で「まだ死ねないと立ち上がった」彼は、伝統の檻を脱ぎ捨て、何も持たない生身の自分として、マクギリスという「生涯ただ一人の友人」の前に戻っていった。
マクギリスは、世界を掌握する全能の怪物(システムハッカー)になろうと、策謀やお札、そして「バエル」という最強の意味を必死に「増やし、埋めようと」した。なぜ、そこまでしたのか。彼もまた、変わりたかったのではない。幼少期にすべてを奪われ、息をすることすら犯罪のように怯えていた檻の中で、ただ、何も条件をつけずに撫でてほしかった、そばにいてほしかった、あの「意味になる前の、ただそこに存在するだけの愛」を、世界からもう一度受け取りたかった(戻りたかった)。彼にとっての「バエル(純粋な力)」とは、世界の王になるための道具ではなく、社会(MASS)の欺瞞や意味をすべてパージし、名付ける前の純粋な世界へ「戻る」ための、彼なりの悲壮な道具だったのかもしれません。しかしそれは、ガエリオがギャラルホルンという伝統(システム)に守られながらパーツとして利用されていたのと同様に、マクギリス自身もまた、インチャの復讐シナリオというシステムに、人生の主権を都合よく利用され、搾取されていた状態だったともいえます。
この世界を見渡せば、生い立ちのタイムラインがハードな人はいくらでもいる。人それぞれ事情は違えど、何一つ傷つかずに、無菌室のような環境で育った人間なんてほとんど存在しない。それなのに、自分だけが特別と思い込んで、その過酷な過去を、自分のアイデンティティ(身分証明書)にしてしまう。「私はこんなに酷い環境で育った」というのは、ただの過去の事実に過ぎない。しかし、それを「だから私はこうなった」「だから人生が上手くいかないのは仕方ない」「だから誰にも分かってもらえない」と脳内で演算し始めた瞬間、あなたの過去は現在を、そして未来の選択を完全に支配し始める。生い立ちがハードな人ほど、自らが作り出した「悲劇の物語」にグロテスクに酔いやすい。かわいそうな私。誰にも理解されなかった私。世界から恵まれなかった私。もちろん、あなたが実際に傷つき、血を流したのは紛れもない事実だ。その痛みを否定するつもりは1ミリもない。だが、その自作の物語を握りしめ、他人に誇示し続けている限り、あなたの人生は永久に前に進まない。なぜなら「過去の説明(言い訳)」が、あなたが今日これから行う「現在の選択」よりも、圧倒的に大きくなってしまっているからだ。そうすると、選択のためのリソースのすべてが言い訳に費やされ、動けなくなる。過去を免罪符にして、今日の打席から逃げるための現状維持システム(バグ)を、あなたの脳が心の底から望んで駆動させている。それが、あなたの隠された生存戦略の正体だ。
私たちは、意味や物語を通してしか世界を見られない不器用な生き物だ。だからこそ、すぐに「悲劇のヒロインの物語」を自作して、自分で自分を縛り付けてしまう。けれど、鏡をよく見てほしい。その自作の地獄の檻には、最初から鍵なんてかかっていない。あなたが自分の手で、内側からドアノブをガチャガチャと閉め続けているだけだ。「誰のせいでもなかった。私が、私を不幸にしていただけだったんだ」その中立な事実に気づき、静かに涙を流して古い鎧を脱ぎ捨てたとき、あなたのタイムラインからはすべてのノイズが完全消去される。
どこか遠い知らない場所へ変わる必要もない。かつての過去へ戻る必要もない。ただ、「誰に愛されなくても、私は私の世界の主権を持って、今日を軽やかに生きる」と腹をくくるだけだ。自分次第で、いくらでも不幸になれた。だったら、今日からは自分次第で、いくらでも幸せになれる。誰に愛されなくても、認められなくてもいい。「誰かに愛されなければ、私は存在してはいけない」という幼児性の依存を今すぐ損切りしろ。失ったもの、過ぎたことは切り捨てろ。戻ってくることを夢見ている暇ない。時間の無駄だ。あなたの人生のハンドルを他者から完全に奪い返せ。何者にも依存しない、圧倒的に自律した本物の大人の駆動を、今、この瞬間から開始する。古い鎧を脱ぎ捨て、生身のフレームで立ち尽くすグリムゲルデの視線は、もう終わった過去の檻を見てはいない。さあ、過去の説明をすべて終わらせ、あなた自身の新しい選択をはじめよう。
■ 制作の舞台裏と、タイムラインを駆動させる構造の話
Instagramにて、本作の高解像度デジラマをパージしています。また、今回作中で触れた「生い立ちの自作」および「脳内バグを中立にハッキングする構造(システム)」の具体的な中身については、Noteにて開示しています。過去のループを損切りし、自分の打席の主権を奪還したい方は、プロフィールのリンクからアクセスしてください。
超人のようなマクギリスも、伝統に飼い慣らされたガエリオも同じ生身の人間だった。内と外の檻。異なる生存戦略を選んだ「鏡写しの双子」の執着をデジラマとナラティブでほどく。過去の生い立ちという自作の地獄を損切りし、圧倒的に自律して生きるための物語。#GUNSTA #ガンプラ
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