新たなる象徴と礎〜鉄血風ジム〜

これは、いつかの時代…。

GH軍の世間からの信頼は地に堕ちようとしていた。内部での多くの反乱、上層部の腐敗、市民への圧制等によるものだ。

そこで、この現状を打開しようと1人の男が立ち上がった。

GH軍火星支部特殊広報課 室長 グロウ・マッケンジー。

元テストパイロットだった彼は今のGH軍が窮地に立たされていることを感じ、軍のイメージ回復の為新型MSの開発計画に取り掛かった。現軍の象徴とも言えるMSを、「もっと親しみと安心感が持てる外見にする事で市民の軍に対する不信感を和らげる」為である。

計画に取り掛かると、特殊広報課の部下達以外に彼の強い想いに共感した者やGH軍の現状に不満のある者達が協力を申し出てくれた。その甲斐あってMS開発計画は驚くべきスピードで進められた。
機体イメージは清廉潔白。その為基本カラーは白。また今までのMSとは違うという点を強調したかったので、インナーフレームはガンダムフレームを模している。頭部センサーを始め各パーツも新規造設。テスト段階という事でまず3体製造された。

武装はロングソード2本。これはまだ機体の預かりが広報課にあり、機体コンセプトも「安心感を与える」である為、最低限のものにしている。

正式では無いが、 機体名はフォルセティと名付けられた。3機のフォルセティは試験運用という形で様々な場所にて機体のPR活動や広報活動をしていた。

そんなある日、上層部から戦場での性能テストが言い渡された。基本はグレイズ等の現MS達と変わらない性能なので戦闘できなくも無いが…。
グロウ達は悩んだ。この機体は戦う事を目的としていない。……だがここで命令を蹴ればフォルセティの正式採用は見送られるかもしれない。

グロウは信頼のおける部下2名と共にフォルセティ3機で某戦場に来ていた。このエリアのゲリラ鎮圧というものだ。
敵のMSが旧世代ということもあってか、グロウ達の駆るフォルセティは見事な連携で戦果を挙げていた。各所のブースターと長剣を使っての一撃離脱戦法が非常にマッチしていたのだ。だが当人達は本当はこれを望んでいない。このフォルセティは人殺しのための機体では無いのに…！
そう考えていた矢先にレーダーに反応。と同時に爆心音が聞こえた。そこには……
残骸としか言えない自軍MSと緑色の何かが…。
その緑色の何かはグロウ達に気付き接近してくる。「逃げられるか？だが奴の方が速い！このままでは全滅だ…なら！」
グロウは部下2名を逃し、単騎で奴に挑む。「あいつらが逃げ切ればフォルセティは終わらない。であれば！こいつを行かすわけにはいかない！お前は俺が止めてやる！！」
剣戟の音が鳴り始めた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あの戦場でも多くの戦死者が出た。奴が…緑の悪魔が出た戦場ではいつもこうだった。そして、広報課室長グロウ・マッケンジーも帰らぬ人となっていた。あの時彼は1人残り、奴と戦った。その戦いを見届けた者はいない。…だが、壮絶な戦いだったのだろう。
彼の乗っていた機体と緑色の悪魔は同士討ちしていたのだ。
結果、緑の悪魔を撃墜したとしてフォルセティはこの直後正式採用されることになった。彼の望んだ形では無いかもしれないが、彼の意思を継ぎしこの機体と共にGH軍は変わっていけるだろう。
また彼を慕っていた多くの人達は彼に尊敬と感謝の意を込めて、フォルセティのことを彼の頭文字をとってこう呼んでいた。

G.M.と。

長〜い設定最後まで読んでいただきありがとうございます(´∇｀)