【試し読み】陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。【期間限定公開】
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お久しぶりです、神宮寺玲那です。
ビルドダイバーズRe RISE 二次小説
「陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。」
こちらは先行試し読みです。
◇◇◇
あらすじ
自分は救世主になれない──そう思っていたのに。
第一次有志連合戦の裏で行われた不定期開催イベント〈ゲリラレイドボスミッション〉、その中でエリカは義姉であるアカネが巻き込まれたことで復讐を誓った。その巻き込んだそのダイバーを見つけるためにエリカは根暗で陰キャの性格とは真反対の明るくて眩しいアイドル活動をはじめることに。いまだにアカネとの距離がありながらも謎の転校生ハルナが現れ、そしてGPD全日本大会決勝で負けたかつての宿敵〈蒼穹のプリンス〉にも再会を果たす。互いの想いが交錯する世界でエリカは自分の本当の夢を見つける。
これは自分と世界とその裏側に向かい合う物語──。
◇◇◇
陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。
第一巻《ワタシノユメ》
第一章 -【漆黒のアイドル】-
***
秋の夜長も過ぎたった冬のクリスマス。
街の喧騒も騒がしく道の両端に輝くイルミネーションの眩い明るさを浴びて、わたしはいま彼と念願のクリスマスデートの待ち合わせをしていた。
「ごめん、待ったかエリカ?」
「……ううん、さっき来たところだから。さ?行こ?」
そう、わたしが答えると彼であるアキトは真っ赤な手を出して繋ごうとする。
もちろん嘘です。
待ち合わせの三時間前から来てましたけど。
デートなんだから当たり前じゃん!?遅刻してくるやつなんていないよね!?いるわけないよね!?
彼とのデートはこれで三回目。
わたしと彼との出逢いは高校一年生の春に告白されたことから始まった。
そのときのわたしは高校入学前の黒髪から一変して金色に髪を染め、心機一転してからのことだった。
まさしく高校デビューそのものだよ!やめてよ!恥ずかしい!
アキト曰く、一目惚れだったらしいんだけど。
……なにこの急展開!?そんなことある!?あっていいんですか!?高一の春に彼氏が出来ちゃうとかこれでもうわたしの高校生活勝ったも同然なんじゃない?
「……そういえばエリカに話したいことがあるんだ」
「えっ?……急にどうしたの?デートはじまったばっかなのに」
ルンルンで初彼氏とのデートだったから気合いを入れてバッチリメイクもやって、最高に可愛いわたしで……なのになんだか気が途端にずしりと重くなる。
「……って!?どいつよ!そこの泥棒猫は!あたしのアキトから手を離しなよ!」
は……?なに?……ってか誰この人!?
……ごめんちょっとなにがどうなってんの?ねえちょっとアキト!?
「……あ〜、えぇ〜と、ごめんマキナ」
相手の女はマキナというらしい。
マキナという名前にはまったく見覚えはなく、ましてやクラスメイトですらない。
なんなんだコイツ。
たいして可愛くもないくせに。
「あの人だれアキト!?わたしとのデートだったよね!?」
「それはだなぁ……」
「あたしのアキトに触れないでくれる!?そこの根暗オタク金髪女!」
(物言いがさすがに失礼すぎない?初対面でそれ言う?)
誰が根暗オタク金髪女だよ!……間違ってはないかもしれないけど!いやそうじゃないってば!これってもしかして……もしかしなくてもそうだよね?
「浮気……したの?アキト?」
「は?俺が浮気?思いあがんなよ、もともとエリカとは遊びのつもりだったんだけど」
「あ”ぁ”ん!?」
……いやいやいやいや!?彼女じゃないって言ってる!?前のデートでキスもしたしホテルにも行ったよね!?わたしたち!?
「エリカはセフレ、そう単なる所詮セフレだろうがよ調子のんなよ」
(はぁぁぁぁぁ!?調子のってんのはおまえだろうがよ!)
「……あっそ、じゃあねアキト」
繋いでいた手を振り解き、早足でこの場を去っていくわたし。
っていうかもう無理、はやくここからいなくなりたい。
高校生活一年目、初めての彼氏にことごとくフラれました。
返せよ!わたしのさっきまでの楽しい気持ちをよぉ!
……っざけんじゃねえぞこのクソ短小ゴミカス浮気野郎がぁぁぁ!
わたしの春は交際すらちゃんとスタートせずに三ヶ月で終了しました。
っていうかスタートすらしてなかった気がするんだけどいいやもう。
……グッバイ!我が世の春!じゃねえよ!死ねよ!こんなんだから男は大嫌いなんだよ!くたばりやがれってんだよ!
***
悪夢のようなデートから数時間後、わたしは都内の中心地にあるゲームセンター〈STAR LIGHT〉へとやってきた。
ここにはサービスが開始されておよそ五年が経過したオンラインゲームである〈ガンプラバトル・ネクサスオンライン〉、略称GBNの筐体が設置されている場所だ。
そこでわたしは、必ず専用のポーチの中に持ち寄っていたガンプラを取り出してゲームを開始しようとしていた。
「ぁあああああ!……もう!むしゃくしゃする!」
フラれたことの腹いせと裏切りで、イライラが最高潮にまで限界に達していたわたし。
そのストレス解消のためにプレイングをするには最適だった。
「いくよ……ルヴァンシュ!」
わたしのガンプラ、デスティニーガンダム・ルヴァンシュはかつてGBNのサービス開始前まで一斉を風靡していた、リアル対戦型アーケードゲーム「GP・デュエル」で破損したものを修復と改造を施し、左右非対称となったものだ。
黒と桃色をメインするそのカラーリングとともにGBNの空へと降り立つ。
***
第一次有志連合戦。
シバ・ツカサを発端とするブレイクデカール事件が解決に向かったあの日から、三ヶ月の時が過ぎ去った。
ブレイクデカールを保有するダイバーはいまだに後をたたず、GBNでは運営傘下による厳戒体制が敷かれているのが現状である。
その中でエリカはブレイクデカールを所持しているダイバーのひとりだ。
クルジス共和国。
機動戦士ガンダム00 ファーストシーズンに登場、主人公である刹那・F・セイエイがゲリラの少年兵としてテロ組織のMSに銃で反撃し、訪れるであろう死を彷徨っていた場所。
その中でエリカは黒と白をメインとするゴスロリ衣装を身に纏い、誰も見ていない、ましてやここが”ライブを行うステージ”と言うには程遠いほど荒れて朽ち果てた砂埃が舞う広場を背に、マイクをぎゅっと強く握りしめる。
「……わたしは!エリカ!ついさっき彼氏だと思ってたやつにフラれましたけどね!」
誰も聞いていない(と思っている)のをいいことに、そんな愚痴を大声で喋る。
ガンプラの手のひらに搭乗し、宣誓とともにエリカは歌声を響かせていく。
「──♪」
アイドル活動をするのはエリカの目的があった。
第一次有志連合戦の裏側で不定期開催イベントである〈ゲリラレイドボスミッション〉で友人であるアカネと参加したときに、とあるダイバーに巻き添えを喰らったことが発端だった。
自身が目立つ振る舞いをすれば、目にとまり、復讐するその相手を容易に見つけやすくなるためだ。
忘れるはずがないあずき色の機体色、特徴的なフレームを基本としたガンダムスローネシリーズ三機の中で索敵能力に特化したサポート機体であり、なおかつ紅く血のような粒子をバックパックから周囲に大きく拡散するそのガンプラの姿を。
(おまえさえいなければ──!わたしは!)
多くの絵の具の色が混ざった黒色のようにエリカはそのダイバーを見つけることに執着していた。
そんな中、遠方からガンプラが三機迫ってくるのを目視で確認していた。
「……ってかこんなときに誰なんだよ!?少しくらいストレス解消させてくれてもいいんじゃないのかなぁ!?ねぇ!?」
迫りくる三機のガンプラはエリカに反抗の意思を伝えている。
だが、ひとつだけ大きな違和感があった。
彼女がフリーバトルとなる操作をしていないのに勝手に始められていることにある。
(なにこれ……?バグ……?なの?)
「オレたちの居場所を荒らす!不信仰者どもに鉄槌を下してやる!」
(いきなりなに!?相手間違えてんじゃないの……?)
現れたのはフォース〈DRY FLOWER〉。
男性ダイバーのカエデ、そして二人の女性ダイバーであるサクラとソウビで構成され、三機は茶褐色のデザートカラーを彩っている。
全機マシンガンを持ったグスタフ・カールは三角の編隊を組み、エリカのガンプラへと肉薄していた。
中央にBランクのダイバー、カエデ。
右側にCランクのダイバー、サクラ。
左側のDランクのダイバー、ソウビ。
「フリーバトルにしたの……あんたら?」
そうエリカは問いかけたが……
そうさせたのはお前だろ!」
と、カエデから返答されエリカは困惑してしまう。
(どうなってんの……)
FD-03 グスタフ・カール。
機動戦士ガンダムUCおよびナラティブ、そして閃光のハサウェイに登場する地球連邦軍が開発した主力モビルスーツ。
地球連邦軍がこれまでに運用していたジェガンやジムⅢなどに変わり、ふと太い形状が際立つスタイルの量産機。
連邦軍の傲慢さを象徴としたとも言える図体の大きいその体格とは裏腹に、機動力を存分に活かして「閃光のハサウェイ」でのマフティー動乱では、クスィーガンダムの空中受領を阻止するためにこれを迎え撃った。
ガンダムUCでは先行配備として地上でのコロニーレーザー〈グリプス〉の管制室があるシャイアン基地においてゼータプラスと共に警備に運用され、そのあとのナラティブではジェガン護衛隊仕様とそれが装備する同様のマシンガンを携行し、アンクシャと一緒にマーサ・ビスト・カーバインの移送護衛任務などに使用された実績を持っている。
(っていうか……女に囲われている男がいるフォースに喧嘩を売られるのとか、ふざけるのも大概にしてほしいんだけど)
「──っるさいなぁ」
……彼だと思っていたアキトに振られた恨みが重なり、エリカの怒りはすでに限界へと達していた。
「そこをどきなさい!お邪魔虫が!」
DRY FLOWERのダイバーであるサクラがそう言葉を発し、右手に持つマシンガンをエリカのガンプラに照準を合わせた。
「────っるさぃ!」
エリカの溜め込んだ怒りの感情とともにルヴァンシュの瞳が紅く光線を放ち、三機の編隊への攻撃意志を示す。
「いますぐここから出ていけよ!雑魚!」
と、カエデが挑発する。
「はやくここからいなくなりなよ!」
続けざまにソウビが発言していく。
「──ぅるっせんだよ!どいつもこいつも!人をバカにしやがりやがって!」
(自分のほうが上だと思ってんのかァ!?あ”ぁ”ん!?)
三機から連続して速射された無数の弾丸がエリカのガンプラへと降りそそぐ。
痺れを切らしたエリカはアームレイカーを動かして飛翔させ、ガンプラを一気に上空へと急上昇させる。
見上げるようにエリカに目線を向ける〈DRY FLOWER〉のダイバーたち。
「わたしに……!喧嘩を売ったらどうなるか!教えてやるよ!覚悟しやがれ──!」
(誰に刃を向けたか思い知らせてやる……!)
エリカは再びアームレイカーを操作し、真下に視線を向ける。
(こいつらなんか!わたしの敵にすらならないんだよ……!)
ライフルを投げ捨て、背中から聖剣〈アロンダイト〉を引き抜いて右手に力強く掴んだ。
「サクラ!ソウビ!挟み撃ちをかけろ!」
カエデがメンバー二人に指示を出すと……
「「任務了解!」」
呼応した二人は左右へと分かれてエリカに攻撃を仕掛けていく。
エリカを挟み込んだサクラとソウビは互いにビームサーベルを取り出して、近接戦へと持ち込む。
(二人でわたしを押さえ込もうってわけ……?)
右側から接近するサクラに対しエリカは〈アロンダイト〉を左手に持ち替え、肩部から〈ブーメラン〉を右手からサクラに向かって投げ入れた。
「その程度の攻撃っ!」
投げ出された〈ブーメラン〉をガンプラを左に即座に傾け、退くサクラ。
だが──。
エリカのガンプラの右腕に装備された〈ヒート・ロッド〉が射出され、サクラの機体に絡まりついた。
「……こっちが目的か──!だけどマシンガンは使える!」
傍若無人に乱暴に放たれる銃弾。
「……サクラ!」
カエデがそう叫ぶと、サクラのガンプラは大きく半円状に振り回されていく。
「あたしのことはいいから!はやくこいつを……!」
とカエデに伝えるも……
そう発したのも束の間。
「なにっ!?…………きゃああぁぁぁぁぁ!」
サクラのガンプラがソウビのガンプラへと強く叩きつけられる。
「サクラ!ソウビィィィィ!よくも二人を!」
怒ったカエデはエリカを追い詰めるべく、二振りの〈ビームサーベル〉を使って勝負に出る。
サクラとソウビのガンプラが絡みつき、振り解けないでいた。
「はやくどいてよ!ソウビ!」
「あんたこそ退きなさいよ!サクラ!」
(うるさいなぁ……!少し黙ってよ……!)
(爆ぜろ──!)
痺れをきらしたエリカが腰部に設置している〈ハイメガ・キャノン〉を二機に向かって放った。
「…………こいつ!あたし達より強い──!」
爆発が同時に起こり、消えゆく二人。
それを見たカエデが猛攻を振るう。
「貴様ごときがぁぁぁぁぁ!」
左手に持っていた〈アロンダイト〉を両手に握りしめ、向かってくるカエデのガンプラに振り下ろした。
「死ねェェェェェ!クソ野郎ォォォォォ!」
切り裂く一瞬の隙でカエデはエリカのダイバー情報をスクリーンで確認した。
(こいつ……!Sランクだったのか──!)
自身より上のダイバーだと認識したのもすでに遅かった。
「──〈BATTE ENDED〉!」
***
GBNのプレイを終えたわたしは家に向かう帰路に着いていた。
「はぁぁぁ……今日はさんざんだったなぁ……」
大きなため息をつきながら、ふらふらと歩いていた。
ふと、夜空を見上げると一際目立つ一筋の眩い光を目撃する。
「なんだろう……あれ?隕石とかじゃないよね?」
今日ってなんか流れ星とか見れたっけ?
最近のニュースでそんなことがたまにあるのは知ってはいたけど、この日はなにもない日だったはず。
突如として現れたその光は、わたしの退屈だった日常を一変させる灯火だった──。
***
以上です!
感想等あればありがたいです!
本編開始等の更新はハーメルンまたはpixiv先行を予定しています。
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