【試し読み】陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。第一巻《ワタシノユメ》第二章 -【転校生はシスター!?】-【期間限定公開】

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「陰キャアイドルはGBN〈世界〉を救いたい。」

あらすじ

自分は救世主になれない──そう思っていたのに。

第一次有志連合戦の裏で行われた不定期開催イベント〈ゲリラレイドボスミッション〉、その中でエリカは義姉であるアカネが巻き込まれたことで復讐を誓った。その巻き込んだそのダイバーを見つけるためにエリカは根暗で陰キャの性格とは真反対の明るくて眩しいアイドル活動をはじめることに。いまだにアカネとの距離がありながらも謎の転校生ハルナが現れ、そしてGPD全日本大会決勝で負けたかつての宿敵〈蒼穹のプリンス〉にも再会を果たす。互いの想いが交錯する世界でエリカは自分の本当の夢を見つける。

これは自分と世界とその裏側に向かい合う物語──。

***

第一巻《ワタシノユメ》第二章 -【転校生はシスター!?】-

先行試し読みです、前回の続きです。

前回→

***

都立星羅高等学校。

全日制であり都内有数の進学校で十年前までは女子校だった本校は、共学となってからかなりの月日が経過していた。

「……ぁぁぁぁぁぁああ!やっちゃったよぉ!調子乗ってんのはわたしだよぉ……!」

昨日のことを思い出したわたしは机に突っ伏していた。

(ううぅ……死にたい……いますぐに消えてなくなりたい……)

(Sランクになっちゃってたの知ってたのつい最近なんだよぉ……やりこんでたらなんか勝手に上がっててさぁ?さかなくんみたいにギョギョギョェェェェェ!?ってなったんだってぇ……うそじゃないもん……トトロいるもん!……トトロは関係ないな……どうして出てきたんだよ!頭の中から帰ってくれよ!へばりついて離れなくちゃうよ!)

「どしたの?エリカ」

と、クラスメイトであるアカネから声をかけられた。

アカネの髪型はわたしの金髪ロングと違って黒髪ツインテール。

まるでツンデレのテンプレみたいだけど、性格はわたしと反対の太陽寄りだし、突然ピキー!ってするような女の子ってほどでもない。

いまは、たぶん。……たぶんね?たぶんだからね?

「……え?あ、アカネ!?えっと別に……なんでも?ないよ?」

「なぜ疑問形?」

「なんとなく?」

「なんとなくなんで済ますことに見えないんだよねぇその顔……」

「で、トトロってどこにいるんだろアカネ?」

「いや、この流れでトトロ出てくるとかどうしてそうなる……」

暁音からみれば怪奇な顔ぶりでもしてたんだろうか……わたし……いや、でも昨日のことからすればそうなっててもおかしくはないのかな……?あととにかく早く帰って頭から!トトロさん?

蛭谷暁音。

わたしの義姉で、数年前にこっちに引っ越した間柄。

元々は東北地方に住んでいたわたしたちだったけど、父方の家に引き取られて都内に部屋を借りて一緒に住んでいる。

そういえば初めて知り合ったとき右眼に眼帯付けてたんだよねアカネ、なんか事故にあってから失明しちゃったって後見人のひとから聞いたけど。

「ところで誰と話してるのエリカ?」

「え……?声でちゃってた?……恥ずくてしにたいからもう帰っていい?」

「まだ一時間目の授業が終わったばっかでしょ!サボるな!って……いまの誰?」

「わたしのイマジナリーフレンド、エレちゃん……?」

某ソシャゲの偉人達を戦わせるほうのキャラとかじゃないです。

というかわたしがそんなのになれるわけないから……!

そういえば次のピックアップいつだろ……石貯金しなきゃ……

いま百個くらいしかないや……十連分間に合うかな……

「……エリカおかしくなった?」

「これが普通だけど、なんもおかしくないじゃんやだなぁ〜もう」

イ、イマジナリーフレンドは!みんな!?飼ってるよね!?いっぱいいるよね!?感情別にいつも喧嘩しあってるよね!?……え?そうはならない……?どうして……!

わたしちょっとうるさいですか?わかりました息止めますね?

「まてまてまて!しぬからやめろ!いますぐ!」

「スゥ…………はぁぁぁぁぁぁ!!(がはっ……!げほっ……う”っ”へぇ)」

一気に吐いたら逆に気持ち悪くなってきちゃった。

やばい気が緩んでなんか気管支に入っちゃったよ……!

(水をくれ!水をっ!ヘルプ!ミー!ウォーター!)

「なにやってんの?ほれ水だよおばあちゃん?飲んだのんだ〜」

(心の声がダダ漏れで助けられることってあるんだ……?んん?おばあちゃん?もう一回言ってみ?)

てかどこから出したのその水筒!?四次元ポケットもってる?

「なんて?」

あ、コンマ数秒ぶりの空気……美味しい……

タバコ吸うのってこんな感じなの?未成年は吸うなよなんてわかってますって!もう!

「ところで転校生がくるって今日担任から聞いたけど」

さすがにシカトされたけど、なんかいつも通りにもどった。

「て、て、転校生だって!?眩しい陽キャオーラ満載だったらわたしの価値が星屑になっちゃう!助けてアカネもん!」

「だれが猫型ロボット呼べって言ったよ!あと人の話をちゃんと最後まで聞け!」

あ〜でもこう話してはいるアカネもあっち側の人間って感じなんだよねぇ……

さすがに面と向かって言えないけど。

「君って俺と一緒でパリィしそうじゃない?」って言わないよ?え?パリピは普通にそうしてる?……どこの世界線の話してるんですか?異世界すぎてちょっとフリーズするんですけど。

「……で?」

「で?じゃねえんだわ!転校生が来るって話だよ!二回目だよもうこれ!」

「ごめんごめん!ちょっと気を取り直そうしてたらつい変な方向にいっちゃって!」

「まぁいいけどさ」

すると教室の引き戸がずりずりと引かれて、次の授業の担任の先生が入ってきた。

「じゃ、またねエリカ」

「うんまたね」

そんなどこにでもある些細な日常が今日も続いていく。

こんな毎日も嫌いではないけど、面白いのかなこんなの。

わたしがそんなこと考えても意味ないか。

***

ホームルームの時間を迎えた午後の昼過ぎ。

そそくさと先生が準備をしながらわたしたちは転校生を待っていた。

「というわけでホームルームはじめるぞ〜、はやく席座れよ〜」

と、担任のミカミ先生がクラスメイトに声をかけていった。

転校生が男だったらちょっとやだなぁ……

もしそうだったらわたしが転校しようかな?

え?極端すぎ?わたしもそう思った。

「はいっていいぞ」

ミカミ先生の呼びかけとともにドアが開き、転校生が入室してきた。

入室と同時に転校生は黒板に名前を書いていく。

「転校生の……」

「タナダ・ハルナっていいます。よろしくお願いします〜」

七夕陽那さん、ね……

ん?え?ちょっと待って?なんで頭にベール付けてんの?これってどこかの宗教に信奉しているってことだよね?髪色はペールグリーンって感じでわたしと同じ長髪のようだった。

って、ちょっと待って!?なんでわたしと同じ月のピアス付けてんの!?亡くなった父さんが言ってたのはピアス送ったのはわたしだけって……

あ〜そんなことはまぁいいにしてもなんかいい匂いしそうだぁ……真空パックに詰め込みたい……

「せんせ〜!質問がありまぁーす!」

アカネがミカミ先生に聞きたいことがあるらしく、手を挙げた。

たぶんわたしが思っていることと一緒だとは思うけど。

「ハルナさんのそのベールはなにか理由があるんですか?」

「ハルナ、言っても大丈夫なやつか?」

「問題はないです」

「そうか」

「私がしているこのベールなんだけど、これにはちょっと宗教上の理由があってずっとつけてないといけなくて外せないやつなんだ」

あぁ、やっぱりそういう感じなんだ。

ここ最近そっちのやつで事件起きてたりするもんね……あんまり触れないでおこう。

や、でも?ここ学校だよね?校長先生が許したってことだよね?かなりシビアな問題だったりしちゃうやつ?

「ハルナの席は窓際の一番奥だ、となりのエリカと仲良くな?」

「はーい」

そうはハルナが答えるとわたしの隣の空いている席に向かって歩いてくる。

席につくと早々にハルナはわたしに話しかける。

「よろしくね?エリカさん」

「よ、よ、よよよよよよろしくお願いしますハルナさん!」

あっやばいつい癖でキョドってしまった。

……ててててて!ていうかハルナさんのなにこの凄まじい神々しいオーラは!……た!耐えられない!

「体調悪いの?エリカさん」

「ち、ちがいます!ちょっと空気に当てられただけです!」

い、言えない……!真正面から受け止められないくらいの純粋な人の煌びやかさを!

「ちょっと話しかけないでもらっていいですか?」なんて口が裂けても言える空気じゃない!

「そ、そう?」

心配そうな顔されてもわたしが困るんですって……

「ところでぶかつってなに?」

「え?部活ですか?生徒がグループで集まってやるみたいなやつですけど……」

「そういうやつなんだ、ミカミ先生から部活に入れって言われてんだけど私わかんなくてさ?そういうの」

「体験入部とかしてみればいいんじゃないですかね……」

「それもそうだけどエリカさんはなにかやってるの?」

え?わたし?このド陰キャが部活にはいれると思ってるの!?全速力でいますぐにでも帰宅したいよ?だってわたしにはネットの海という名のオアシスがあるんだからね!……あぁうん、この話は今することじゃなかったね。

「なにもやってないよ?」

「じゃあ好きなこととかは?」

そうきたかぁ……

「ガンプラ……?とか?あぁえっとガンプラっていうのはガンダムのプラモデルのことなんだけど、それでいまオンラインで対戦とかできたりだとか!えっと……かなり前だとGP・デュエルっていうアーケードゲームがあったりしたんだけどサポートは残っているみたいなんだけどサービス自体は終わっちゃってるんだよね……」

「なんだか急に元気になったねエリカさん」

やっちゃたぁぁぁぁぁ……!つい口が滑ってしまったぁぁぁぁ!

キモオタでごめんなさい!ついさっきよくない妄想してました!

(あぁやっぱりいい匂いするなぁ……スゥースゥー……ハァァァァァァァ……)

あっこれミント系のやつだ、爽やかで好きなんだよねミント。

チョコミント味のアイスを歯磨き粉、なんて言うやつなんて死んでも分かり合えないですけど!

「じゃ、また放課後でねエリカさん」

「……う、ぅん!」

そんな屈託のない微笑みでわたしを見ないで……!

トゥンク……!じゃない!ない!

ここで一目惚れしてどうするんだよ!エリカ!正気を保つのよ!ソロモンに誓ってでも!

***

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