【試し読み】陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。第一巻《ワタシノユメ》第四章 -【蒼穹のプリンス】-【期間限定公開】

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さてさて、気長にビルドダイバーズRe RISE二次小説を投げている神宮寺Re⑦です。

とりわけ、続きです。

***

「陰キャアイドルはGBN〈世界〉を救いたい。」

あらすじ

自分は救世主になれない──そう思っていたのに。

第一次有志連合戦の裏で行われた不定期開催イベント〈ゲリラレイドボスミッション〉、その中でエリカは義姉であるアカネが巻き込まれたことで復讐を誓った。その巻き込んだそのダイバーを見つけるためにエリカは根暗で陰キャの性格とは真反対の明るくて眩しいアイドル活動をはじめることに。いまだにアカネとの距離がありながらも謎の転校生ハルナが現れ、そしてGPD全日本大会決勝で負けたかつての宿敵〈蒼穹のプリンス〉にも再会を果たす。互いの想いが交錯する世界でエリカは自分の本当の夢を見つける。

これは自分と世界とその裏側に向かい合う物語──。

***

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***

《ワタシノユメ》第四章 -【蒼穹のプリンス】-

***

「──かくれんぼなんて!」

そうアカネが言葉を発したとき───。

「まったく……君たちは部屋の片付けを頼んだというのに、備品を許可もなく勝手に使用するとは──聞き捨てならないな」

「「カグヤ生徒会長!?」」

現れたのは廊下で出逢った橘輝夜、そのひとだった。

(えっ……!?ちょっ……!?このタイミングで!?)

突如として因縁の相手であるカグヤがガンプラバトルに乱入してきたことによって、エリカは戸惑っていた。

「……やりあおうっての!?生徒会長!?」

アカネがカグヤにむけて挑発するような発言をした。

「──君たち如き、このおれの相手にならないということを教えてあげようか?」

(……いや!あの!ちょっと!勝手に話進めないでよ!アカネ!……アカっ)

疲労感が限界値に達しつつあるエリカは、この事態をなんとかすべく隠れていたビル影から飛び立つ。

「……っ!?」

カグヤの操るガンプラが目前と迫るエリカ。

見覚えるのある龍を思わせるシルエット──。

「ガンダムエピオングレイシャー──。カグヤ、処理を開始する」

***

ガンダムエピオングレイシャー。

カグヤの使用するガンプラ。

原典機では一振りだけだった〈ビーム・ソード〉を二振りに増加させ、両腕に強化用追加エネルギーパックを装備。

最大出力時の〈ビーム・ソード〉は原典機の三倍、いやそれ以上の威力と長さを誇る、すべてを切り裂く彼の剣である。

カラーリングはシルバーを起点として空色を組み合わせている。

OZ-13MS ガンダムエピオン

機動戦士ガンダムW終盤に登場。

数多くの戦場を駆け抜けたゼクス・マークスが操る決戦使用機。

ウイングガンダムゼロと同等のインターフェイス〈ゼロシステム〉を搭載している。

リーブラ攻防戦にてヒイロ・ユイが操るウイングガンダムゼロとの対決では、最後の一振りで勝とうとするが敗北してしまう。

「……ちょっと!カグヤ生徒会長!はなしを聞いてください!」

(こうなったら……わたしがやるしかない……!あと一歩まで追い詰めたことがあるわたしが──!)

そう、エリカはカグヤに制止するよう試みるが……

「無断で稼働させたのにも関わらず、やめるそぶりも見せないとは──どういう了見だね君たちは……!」

頼みごとをしたのにもかかわらず、それを無視されたカグヤはキレていた。

(……あぁもう!やるしかないのこれ!やるし──)

視界がぼんやりし始めるエリカ。

意識がいつ無くなってもおかしくない状態でエリカは攻撃をしようとしていた……

だが──その攻撃をしようとした瞬間……。

「──GP・デュエルの時代はァ!すでに終わりを告げている!いつまでもいつまでも!思い出に引っ張られているのか!」

長大な粒子の二振りの剣を形成させたカグヤ。

その剣をエリカのガンプラへと一気に振り下ろす。

「……話を聞いてくださ──」

健闘もむなしく両腕を削ぎ落とされていくエリカのガンプラ。

行動不能状態に近くなっていたエリカのガンプラを目にしたアカネは……

「あたしのエリカに──!それ以上!手を……出すなぁァァァァァァァァァァァァァァ!」

両腕に搭載されている実弾を放ち、距離を詰めていくアカネ。

「君は所詮!一回戦で負けた!哀れで!未熟な!デューラーだろう!……誰に喧嘩を売っているか!知りたまえ!」

「……生意気ほざけよぉおぉ!!」

激突する二機のガンプラ。

ビルに叩きつけられるアカネのシュヴァルゼッテ。

(……くそがぁぁぁ!こんなの!こんなのであたしは──!また負けるのか……またあのときみたいに……)

***

「…………下ばっか向いてないで!前に!出なよ!アカネ!」

アカネの操縦する手のコンソールを重ねてハルナが鼓舞させる。

「……ハルナ!?」

「ここは──!私がやる!」

「ぽっと出の初心者風情が!世迷言を!」

操縦の入れ替わったアカネのガンプラ。

その中でハルナはスロットのなかに”○○”のアイコンがあることに気づく。

「…………これを使えば!」

「往生際がぁぁぁ!悪いな──!アカネくんもエリカくんも!全日本大会の厳しさを知らない!半端者どもの癖して!」

「…………いま、なんて言った?」

「おれに口答えする気か──オイ!?」

ハルナのなにかがこのときはじけた。

「……いまなんて言ったっていってんだよ!もう一度言ってみなよ!」

「半端者ども!と言っただろう──!」

「……よかった、これであんたを倒す理由が──できたから!」

スロットにある”鎌”のアイコンをクリックしたハルナ。

そして──。

「こ……こいつ!?狙撃機じゃなかったのか!」

上から見下ろすように〈スナイパーライフル〉を銃身を逆手に持ったハルナ。

ハルナの意思に呼応したかのように煌めき出す赤いツインアイ。

「しねええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

体を大きく捻らせたそのガンプラは二連に連なる鎌の形状の剣先をカグヤのガンプラの胴体めがけて切り裂いていく。

「私の友達を!侮辱するやつは!ぜっっっったい!許さない……!」

「こいつは──悪魔……いいや!死神かよ!」

「──〈BATTE ENDED〉!」

***

(あは……はははははは……なにこれ……なにこれ……わたしが勝てなかった相手をついさっきはじめたばかりの初心者のハルナが倒しちゃうとか……はは……ははは…………はははははは……)

(わたしの存在価値なんて……もう、ないじゃん……)

(……わたしなんてもう、もう……いる意味ないじゃん)

(あっ……なんだろこれ……視界が突然暗くなっ──)

涙模様を浮かべるエリカはその場に倒れ込んでしまう。

「……ちょっとエリカ!?エリカァァァァ!」

***

あれから数分後、わたしは保健室のベッドにいた。

ふかふかのベッドで寝るのはいつぶりだろう。

「……ちょっと!疲れてるならそう言ってよ!心配かけさせないでよ!」

アカネがわたしのことを思ってかそう言葉をかける。

「だ、だいじょうぶ……だから──わたしのことはいいから」

「よくないよ!なんでなにも言ってくれないのエリカ!」

ハルナも続けてわたしに話しかける。

そ、そう……は言ったって──。

(もう……いいよ、もうどうでもいいよ……こんな世界なんて……わたしは必要とされてないんだから……)

「少しは私たちのこと頼ってよ!なんでいつも自分で全部背負おうとすんの!」

(そんなこと言われても……言える状態なんかじゃなかったじゃん……どうすればよかったの……)

「そういえばあんたが前に行ったクリスマスデートのときあたしどこに居たとおもう?」

と、アカネが話す。

「……家?」

「あんたがリア充してたときあたしはケーキ屋のバイトしてたんだよ!……だから!この埋め合わせしてもらうからね!?わかったね!?いやとは言わせないよ?エリカ」

「……ぇぇぇぇ」

(いや、なんでここでいうの?……い、い、いいけどさぁ)

「それ、私もいっていい?」

と、ハルナも同調する。

「いい?エリカ」

「まぁいいよ……とりあえず寝かせて……」

「よし!そんじゃ!どっか行こっか!三人で!」

そうしてわたしたちは三人でのデート?の約束をすることになった。

***

寒さも少しづつなくなり、暖かくなってきた二月。

週末に会うことになったわたしとアカネ、ハルナはショッピングモール〈アウドムラ〉にきていた。

ショッピングモール〈アウドムラ〉。

都内から少し北に離れた場所にある大型商業施設。

衣服類をはじめとする店から日用品、映画館などの娯楽もすべてここで賄えるほどの憩いの場所である。

「……小さい頃に三回くらい来たことあるけど、結構リニューアルされてるんだね〜かなり綺麗になってるし」

アカネが首を上を向けて建物を見ながらそう言っていた。

二十年前に建設されたこのショッピングモールは幾度かの改修を繰り返して、いまこの時も現存しているかなり長寿地元の人たちから数多くの思い出とともに愛されている建物だ。

「とりあえずお腹すいたしさ?ごはん食べようよごはん!」

ハルナがおもむろにパンフレットを手に取り、飲食店を探す。

「なに食べよっか?エリカ」

「え……?わたし……?べつになんでも──」

「なんでもは、いくないよ!?食べたいやつある?」

カグヤ生徒会長とのGP・デュエルの一件で倒れてしまったわたしのことを気にしてか、アカネはずっとこの調子だ。

「……じゃとりあえずハンバーグとかで」

「うしっ!じゃそれにしよう!レッツゴー!」

「お、……おー」

あんま気乗りしないけど……アカネがいつもと違うから。

***

わたしが提案したハンバーグが食べられるお店、ステーキ&ハンバーグ〈アレックス〉へとやってきた。

店内は明るく、多くのテーブル席が並んでいた。

お昼どきというのもあって店内は活気に満ち溢れていた。

「……三名さまでご来店のアカネ様〜」

店員さんが名簿からわたしたちを呼ぶ。

「「「はぁ〜い」」」

案内されたのは奥のテーブル席。

三人ということもあって余裕のある広さが確保されていた。

そそくさと椅子に座るハルナとソファー側に並んで座るわたしとアカネ。

「……さぁーて!食べるぞォ!」

「相変わらず元気だねアカネ」

「ちゃんと食べなきゃやっていけないからね!ところでハルナは大丈夫なの?」

「私はポテトとジュースだけでいいよ……?」

「ここはあたしが奢るから好きなの食べなよ!ほいさ!ほいさ!」

「…………んーじゃあこのランチワンプレートで、ドリンクつきのやつ、あとさっきの」

そうハルナが答えるとアカネはわたしに話しかける。

「エリカは?なんでもいいよ?食べなきゃしんじゃうよ?」

このショッピングモールにくるまで歩きで十五分かかっていたため、かなりお腹が空いていた。

バスはあったけどアカネが「歩いてこ?」なんていうもんだから……

「そうさせたのアカネじゃん……」

「あははっ!ばれチャッタかぁ〜!めんご!めんご!」

そうして注文のブザーを押して店員さんを呼ぶ。

「ランチのワンプレートと、あとワンポンドのハンバーグを二つにサイドに唐揚げとポテトお願いします」

アカネが店員さんにそう伝える。

店員さんの名札には「サユリ」と書かれていた。

「かしこまりました、では少々お待ちくださいませ」

注文を受けた店員さんは厨房のほうへと歩いていった。

そんなとき──。

「……やぁこんなところで会うなんて奇遇だね?デートかい?」

そう、橘輝夜生徒会長だった。

(……また会うのかよ、偶然かなんか知らないけどこう立て続けに出てくると怖さのほうが勝っちゃうよ……)

***

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