【試し読み】陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。第一巻《ワタシノユメ》第十二章 -【ガンプラ体験会です!】-【期間限定公開】

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おはこんばんにちわ神宮寺Re⑦です。とにもかくにも変わらず気楽にビルドダイバーズRe RISE 二次小説を投げている人です。

というわけであれからの続きです

***

「陰キャアイドルはGBN〈世界〉を救いたい。」

あらすじ

自分は救世主になれない──そう思っていたのに。

第一次有志連合戦の裏で行われた不定期開催イベント〈ゲリラレイドボスミッション〉、その中でエリカは義姉であるアカネが巻き込まれたことで復讐を誓った。その巻き込んだそのダイバーを見つけるためにエリカは根暗で陰キャの性格とは真反対の明るくて眩しいアイドル活動をはじめることに。いまだにアカネとの距離がありながらも謎の転校生ハルナが現れ、そしてGPD全日本大会決勝で負けたかつての宿敵〈蒼穹のプリンス〉にも再会を果たす。互いの想いが交錯する世界でエリカは自分の本当の夢を見つける。

これは自分と世界とその裏側に向かい合う物語──。

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第一巻《ワタシノユメ》第十二章 -【ガンプラ体験会です!】-

***

いつもと同じように学校に通っていくあたしは、電車に揺られていた。

そこでカグヤ生徒会長と出くわす。

「アカネくんか、おはよう今日ははやいね」

「……そ、そうですかね?おはようございます生徒会長」

ぎこちない会話をするあたし。

というかあまりにも接点がなさすぎて話題の出し方がまったくわからないんだけど!

……どうしたらいいんだこの空気!ってか人多すぎだよ!満員電車なんて滅んでしまえばいいのに!人がゴミのようにわんさかいるよ!

「そういえばアカネくんに知らせておきたいことがあってね?」

「……え?知らせたいこと?ですか?」

いやいやいや!この状況で話されても困るんですけど!

「ガンプラ体験会を開催しようと思うんだが──」

カグヤ生徒会長がそう話し出すも、人混みと電車のアナウンスでかき消されてしまう。

「な、なんですか……?」

「ガ──た──け──し──ぅ」

「なんて?」

まったく聞き取れないよ!東京の人混みってなんでこんなに多すぎるの!集中しすぎだよ!

なんとか学校の最寄駅に到着したあたしとカグヤ生徒会長。

「……こんなに混んでるとまともに会話できないね、困ったもんだよ」

「はははは……そうですね」

全然笑えないわ!こんなの!毎日こんなのやってられないよ!体押しつぶされそうになったよ!

「ところでガンプラ体験会のことなんだけど」

「ガンプラ体験会……?あぁやっと日程が決まったんですね?」

「先生たちとの協議がなかなか進まなくてね、やっと決まったんだ」

「それでいつになったんですか?」

「今日……の放課後なんだ」

「……冗談ですよね!?」

ほんとに冗談だよね!?まだ部室の清掃もやっと終わったところなんだよ!?ってかどこでやるつもりなの!?

「本気で言ってますそれ?」

「唐突すぎて申し訳ないとは思っている、けど空いてる時間と割ける人員のことを考えると今日しかないんだよ」

「……は、はぁ」

思わずため息をついてしまったあたし。

準備もしなきゃいけないってことですよね!?ってか時間どこにあるの!?昼休みにやれってこと?それかホームルーム丸ごと使わないと無理じゃない!?

「学校に着いてから追って知らせるとして──」

「どうかしましたか?生徒会長」

「エリカくんはどうしたんだい?いつも一緒じゃないのかい?」

そう、あたしとエリカは一緒に電車に乗って通学している。

が──こんなときに限ってエリカは朝起こしに行ってもまったく反応しないから一人でここまできた。

「……起きてこないんで先にきたんですよ」

「一緒に暮らしてるのか君たちは?」

「えぇ、まぁ……いろいろあって」

「それはまたご苦労なことだね」

「ほんとそうですよ!なに考えてるかわからないし!」

「仲良くて羨ましいよ、おれには兄弟がいないからね」

「生徒会長ってひとりっ子なんですね」

「……その分大変でね、学校での仕事はもとより家でもうるさくてね」

「そりゃまたお疲れ様です」

「ありがとうアカネくん」

「おはようアカネ!おはようございます生徒会長!」

と、二人で歩いている後ろからハルナが合流してくる。

「おはようハルナ」

「今日も相変わらず元気だねハルナくん」

「私の呼び方はハルナで良いって言ったじゃないですか生徒会長!」

……ん?どうなってるんだこれ?いつのまに仲良くなってんの?ハルナと生徒会長になにが?

「あぁごめんごめんハルナ、つい慣れなくてね」

「ま、良いですけど」

そうこうしているうちに学校へと到着したあたしたち。

「それじゃあまた!」

「あぁ、また会おう〜」

靴箱に靴をしまって校内用のものへと履き替え、教室へと向かうあたしとハルナ。

「というかエリカはどうしたの?」

「エリカ?寝坊でもしたんじゃない?」

「……大丈夫なの?」

「さぁ……?」

「さぁ……って」

二人で話している内に教室へと辿り着いた。

すると……駆け足で呼吸を乱しながら走ってくる足音が聞こえてくる。

「…………ちょっ、ちょっと!さきに行ってるなんて聞いてないんだけど!」

「遅いよエリカ?それよりあん──」

振り返るとそこにいるエリカの髪色が見慣れていた金髪から蒼髪へと変わっていた。

「うぇぇぇぇえええええ!?」

「……どうしたのアカネ?」

「どうしたのじゃあないよ!いつ染めたの髪!?」

「え?コレ?昨日の夜だけど……?」

……き、きのうの夜!?あんた徹夜してたんじゃなかったっけ!?まさか寝れないからついでに髪色変えたってこと!?

「ごめん……だれ?」

「だれ?じゃないよハルナ!わたしだよ!エリカだよ!2Pカラーのわたしだよ!……ってなに言ってるんだわたし」

「別の世界の人かと思ったよ」

「ベール付けてるハルナには言われたくないよ!」

と、まぁいつもこんな感じで変わらない日常を過ごしてます。

***

今日から始まった学年末テストを無事終えて放課後となった。

そこでわたしたち三人は元模型部の部室に訪れている。

倉庫に保管してある体験会用のガンプラを持ち出して、空き教室で行われる準備のために奔走していた。

「……とりあえず今日の分は二箱で良いんだっけ?」

アカネがわたしに確認するように話しかける。

「今日使うのは二箱だけど、この模型部の部室もなんとかしなきゃね」

そう、一応部室として使えるようにあれから掃除したとはいえ部活としてやるにはまだまだ時間がかかっていた。

「……ところでその紙はなに?」

「あぁこれ?一応同好会として活動させようと思って」

わたしが持ってきたのは部の申請書だ。

模型部の再興もなにも、わたしたち三人しかまだいないんだから、書面だけでもやっとおかないといけないし。

「というかエリカの近くにあるそのがんぷらってなに?」

ハルナがわたしの近くに置いたガンプラに興味を示す。

あぁ……?これ?徹夜でやっと完成させたんだよ!

「これ?わたしの作ったザクのこと?」

「そうそうそれ!」

ザク・ブロッサム。

わたしが新たに製作したザクの改造機。

ザクⅡ改に両脚を高機動型の06Rタイプのものに換装し、バックパックをGP-01フルバーニアンに変え右肩のシールドをマラサイのものに付け替えたもの。

ライフルにはガーベラ・テトラが使用しているものを転用している。

カラーリングは名が示すとおり桃色と茶色に彩られている。

MS-06FZ ザクⅡ改。

OVA機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争に登場。

統合整備計画によって生産され、バーニィが操縦する。

戦端の中で出逢ったアルとこの機体を修理し、クリスマス作戦でのガンダムNT-1アレックスを撃破するためこれに搭乗、対峙したバーニィとクリスにアルが「戦わなくていい!」と叫ぶもその言葉は届かずバーニィはコックピットにサーベルが貫通し、撃墜されることとなった。

「前のもそうだけど桃色なんだね」

「……え?あぁまぁね」

「まさかずっとやってたの!?」

「寝れなくてぇ……」

「ほんとにぶっ倒れるよあんた……」

「わかってるけどさぁ……」

寝れないんだから仕方ないじゃん!目の前にあったこれを完成させることを優先したんだからいいじゃん!……あっやばいなんかまた頭クラクラしてきた……テストもやったせいでまともに脳に血液送られてない……気がする。

「大丈夫エリカ……?」

「だ、だいじょう……ぶ、だよ……」

「さすがに保健室に行ったほうがいいんじゃない?」

そう言われて、しぶしぶ保健室に向かうことになったわたし。

「んじゃあとのことはよろしくね二人とも……あとこのザク、展示用に持ってっていいから──」

「わかったから休んでなよ」

「は、はぁ〜い……」

ガンプラ体験会はハルナとアカネ、そしてカグヤ生徒会長に任せてわたしは休むことになった。

***

ガンプラ体験会。

エリカが発案してカグヤ生徒会長に掛け合って実現したこの体験会は、学校内の二階の空き教室で行われることとなった。

五〇程度の椅子と机にガンプラとニッパーを並べていくあたしとハルナ。

準備をしている最中、ひとりの人物がやってくる。

「準備までやらせてしまってすまないね」

「いいですよ、それに今日はテストもあったんだし気晴らしにはちょうどいいじゃないですか」

「それもまぁそうだね」

「ところでこのペンみたいなのなに?」

ハルナが準備を進める中でツールであるガンダムマーカーに視線を向ける。

「それはガンダムマーカーっていって手軽にガンプラを塗装できるやつなんだよ、あたしもよく使ってるし」

「へぇ〜……これどうやって使うの?」

「何回も振ってからペン先を押すと塗料が出てくるからそれで塗るんだよ〜」

「簡単にできるんだね」

「おれもよく使うんだが、ほんとに楽に塗装できるから便利でね初心者から上級者まで御用達なんだよ」

「なるほどです〜」

もとよりこれはガンプラを組み終わったあとに各自で好きな色で好きなように塗装してもらおうとしたもの。

なにかをはじめるときに、気楽にやって楽しんで貰わないと向き不向きなんてわからないからね!

◇◇◇

会場に入ってくる生徒たち。

今回ははじめてということもあり、テスト後のこの放課後は部活そのものがすべてお休みしていた。

体験会として開催できるのはテスト期間中だけ。

そのあいだにどのくらい興味を示してくれるかにかかっている。

「まずは道具の紹介をします〜!手元にある八の字のやつがニッパーと呼ばれるプラスチックを切る道具です!そしてその隣にあるのがパーツオープナーで……これは間違ってパーツを嵌めてしまったときに外すためのものです!説明するのもアレなので!お好きにはじめてください〜」

そうあたしが言うと、椅子に座る在校生たちがガンプラのランナーと取り扱い説明書とにらめっこしていた。

「おれがやることは無さそうだね」

「生徒会長には展示品のガンプラとか紹介しててください!」

「……これまた失礼」

「ところで私はなにをすればいいの?」

ハルナがあたしにやる仕事はないかと声をかけてきた。

「とりあえずハルナは見回りをしながらなにかあったら助けてあげて?」

「私ガンプラ組んだの一回だけだよ?アドバイスもなにもないよ?」

「初心者だからこそだよ!あたしと生徒会長それとエリカは経験者だからはじめたばかりの頃はわからないことだらけだったけど、ハルナはいまいる人たちと一緒じゃん?だからだよ」

「わかった!」

見回りをはじめるハルナがひとりの男子生徒に話しかけられる。

「……あの〜塗装とかってやっていいんですか?」

男子生徒が組み上げたガンプラを手にそう言う。

「え?塗装?やってみたいってこと?」

「このままでもいいんだけどやってみたくて」

「アカネ〜?塗装のことなんだけど〜」

「はいはい!いま行くから!」

ハルナに呼び出されたあたしは、男子生徒のもとに駆け寄る。

持ってきたのはさっき言ったガンダムマーカーのセットだ。

これで自由に塗ってもらうために。

「説明書にある通りに重ねて塗ってもいいんだけど、自分の好きなように色変えていいからね」

「……でも、説明書にはカラーガイドが──」

「カラーガイドなんてあくまで作品内の色だから!プラモデルなんだし好きに塗っていいんだよ!絵とかだってそうでしょ?」

「そ、そうですね!やってみます!」

男子生徒は赤と茶色、白色を手に取りガンプラに向かって真剣に作業をはじめていた。

(はじめたばっかりのこと思い出すなぁ……)

「アカネ……?」

「あぁちょっと思い出してただけ!」

そうこうしていくうちに男子生徒はガンプラの塗装を終える。

「できました!……おぉ!なんかいいですこれ!」

「完成おめでとう!どうだった?」

「なんかちょっと気分転換に楽しめました!ありがとうございました!」

「こちらこそ参加してくれてありがとうね!」

そうして第一回目のガンプラ体験会は無事成功に終わった。

***

ガンプラ設定

ザク・ブロッサム

形式番号:MS-06FZ/Be-02

武装:ビームマシンガン

   ビーム・サーベル×2

ビルドダイバーズRe RISE 二次設定

OVA機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争に登場するザクⅡ改をエリカが改造を施したガンプラ。

肩部シールドをマラサイのものに変え、バックパックをGP-01フルバーニアンに換装し脚部を06Rタイプの高機動型に差し替えたもの。

カラーリングは桃色と茶色をメインとするカラーリングに改められている。

エリカの妄想設定ではこの機体設計をベースに機動戦士ガンダムZZに登場した隠れハイザックことハイザック・カスタムの花形とされたものとして製作している。

***

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