【試し読み】陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。第一巻《ワタシノユメ》第十三章 -【反抗の凱歌】-【期間限定公開】

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どこからともかなく前触れなく湧いてくる神宮寺Re⑦です。なにも変わることなくビルドダイバーズRe RISE 二次小説を気楽に投げてます。

というわけであれからの続きです

***

「陰キャアイドルはGBN〈世界〉を救いたい。」

あらすじ

自分は救世主になれない──そう思っていたのに。

第一次有志連合戦の裏で行われた不定期開催イベント〈ゲリラレイドボスミッション〉、その中でエリカは義姉であるアカネが巻き込まれたことで復讐を誓った。その巻き込んだそのダイバーを見つけるためにエリカは根暗で陰キャの性格とは真反対の明るくて眩しいアイドル活動をはじめることに。いまだにアカネとの距離がありながらも謎の転校生ハルナが現れ、そしてGPD全日本大会決勝で負けたかつての宿敵〈蒼穹のプリンス〉にも再会を果たす。互いの想いが交錯する世界でエリカは自分の本当の夢を見つける。

これは自分と世界とその裏側に向かい合う物語──。

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第一巻《ワタシノユメ》第十三章 -【反抗の凱歌】-

***

──遡ること一週間前。

〈Gunpla Battle・Nexus online〉。

ガンプラをスキャンして戦うこのオンラインゲームは、ユーザー人口数が急激に伸び続けていた。

だが、そんな中でも運営のあり方に不満をもつダイバーたちが決起する行動が目立ちはじめている。

運営側としては、対策に終われているためユーザーとの溝が深まるばかりだ。

結集したダイバーたちがGBN運営にデモ活動をはじめていた。

「GBNは!ユーザーに公表されていない情報をひた隠しにしている!」

リーダーを務めるダイバーが宣誓とともに、見渡す同士たちに向けて反抗を示すために抗議運動をしていた。

「そうだ!そうだ!」

「運営を信用してはいけない!」

「こんなことが許されていいわけがない!」

「俺たちダイバーを馬鹿にしている!」

「GBNに!反旗を!」

「GBNに!断罪を!」

「GBNのやり方に!一揆を!」

◇◇◇

GBN運営管理室。

デュランダルたちが働くこの場所では、日々ダイバーたちの行動を監視しつつ、不正を行ったユーザーに対しては厳格に処理していた。

「……今月に入ってから何回目だメイリンこれは?」

「およそ七九回目になりますね」

「どうにかならんのか……?わたしたちだって嫌でこの仕事をしているわけではないのだぞ?」

「そう……言われましても」

デュランダルの補佐を務めるメイリンでさえ、毎回のように行われるデモ活動に嫌気がさしていた。

「ところで以前から続いていたGBNに介入してきている未確認のものについてはどうなっている?」

デュランダルはデモ活動とは別に重大機密であるGBNのメインサーバーに直接介入してきた者について、メイリンに状況を尋ねた。

「……いまだに原因不明のようです、ですが──」

「どうした?」

「ひとつだけ不可解なことがありまして」

「不可解なことだと?なにがあったのだね?」

机に両手を重ねながらデュランダルはメイリンの報告を受けて、頭を悩ませていた。

「……介入してきたものについてですが、世界各地にあるサーバーそのものからの受信ではないようでして、見間違えるはずありえないと思い再度検証しても同様になにもヒットしないんです」

「いったいどうなっているというのだ……」

そう、メイリンが報告書とともに内容を読み上げるとGBNに直接介入するほどの脅威にも関わらずこの地球からのものではないというのが調査隊の結果であった。

「引き続き調査は続行ということでよろしいですかデュランダル?」

「当たり前だろうメイリン?その報告書でわたしが納得できると思うのか?」

「かしこまりました、では失礼します」

そうして、いまだに解決の糸口を掴めないでいるデュランダルは髪を掻きむしってグシャグシャにしながらも仕事を続けていた。

***

数日後──。

変わらずGBN運営管理室。

「……お疲れ様ですデュランダル」

「挨拶は別にいい、どうしたメイリン?あれからどうなった?」

「以前として変わらないようですが、この運営管理室に直接メールが届きましてご覧になられますか?」

「構わん、知らせろ」

そうして渡されたメールの内容にデュランダルは……

『このGBNと呼ばれる世界に我々は侵攻を開始する。よって代表者およびそのほかについても、一切の躊躇はないと思ってくれて構わない。なお、これは反抗声明である。断じていたずらなどではないことをここに宣言する。こちらからの侵攻に対して、そちらからの攻撃またはそれに準ずる行為が発見された場合──このGBNそのものを我々は占領する行動を執り行う。繰り返す。我々はGBNを占領する。これはいたずらなどではない。その一歩としてサーバーサイド3を世界標準時一七時八分にハッキングを大々的に執り行う。』

「本気なのか──?こんなものでわたしたちのことをどうにかできると思っているのか?何者なんだこれは……」

声明文を黙読したデュランダルは、事がなおのこと大きくなっていることに理解が追いつかずにいた。

メイリンもこの声明文を読んでから、まさか自分が事件に巻き込まれるなんて思っても見なかったのだから。

「……非常事態宣言を出しますか?」

「ダイバーたちのことを考えるとまだその決断は早計すぎる、だがこのままというわけにはいかない……混乱を防ぐために公表は控えろ、判断はわたしがやる」

「……もし、ダイバーたちが被害に遭ったらどうするおつもりですか?本当にイタズラではないのだとしたらこれは国家機密のサイバー対策室に要請しなければいけない事案に発展しますが」

「わかっている──!そんなことは重々承知の上だ!」

(こんなこと……!こんなことのためにわたしがいるのだから!全力で対処しなければならない!)

「探索中の“IRIS-9999”についてはどうされますか?こちらは引き続きフォース〈SLEEVE ENGEGE〉が対処をしていますがいまだに捕獲できずにいるようです」

「そちらは君に任せる、わたしはこの反抗声明に対しての対処を考える」

「了解いたしました、都度報告書が上がり次第またこちらに参ります」

「あぁ、わかっている」

「それでは失礼いたします……」

メイリンはそうして仕事量が増えたことに神経を減らしつつも、この場を立ち去っていった。

***

サイド3近傍。

世界標準時一七時八分。

フォース〈SLEEVE ENGEGE〉はIRIS-9999の探索および捕獲をGBN運営から要請されたことによって、いまだにこの宇宙を彷徨っていた。

「IRIS-9999の捕獲要請は継続のようです」

「相変わらずGBN運営は人使いが荒いな──こっちのみにもなってくれってもんだよ……」

フォースリーダーのカナデはGBN運営からの高額報酬として三〇〇万ビルドコインと引き換えにこの仕事を引き受けたことを後悔していた。

続けるようにタイモが……

「IRIS-9999……たしか以前のレイドボスにも似たようなコードネームのものが居ましたよね?アレはどうなったんでしょう?」

IRIS-9999のほかにもGBN運営は、ゲリラレイドボスミッションで使用する予定だった仮想敵であるAIダイバーを試験運用していた。

そのうちのひとりとしてIRIS-0001、またIRIS-0000も同様に非公表ではあるものの開発途中であったため、独自に開発参加者を集めていた。

「そいつらならレイドボスとして撃破されていたんじゃなかったのか?たしか──フォース〈REVIVAL〉とかいう連中に」

「彼らはなにも知らずに戦っていた、というわけですね」

「もともと遊びとしてのレイドボスが設定されていただけだろう?なにが気になるんだタイモ?」

「……いえ、なんでもありませんが」

「ねぇねぇ!?カナデ!タイモ!あれ見てよ!」

「どうしたのヒグロ?またなんか見つけたの?」

タイモと同様にBランクダイバーであるヒグロが、このサーバーの宇宙のグラフィックが崩れはじめていることに違和感を感じて視線を向ける。

「……なんだあれは?いつものバグじゃないのか?」

ヒグロの向けた手の先に視線を向けたカナデは、この宇宙が何者かによって侵食されはじめていることに大きく目と口を開けて立ち尽くしていた。

「…………バグじゃない、だと──!?いますぐ運営に報告しろ!これは只事なんかじゃない!GBNに危機が押し寄せるぞ!」

慌てたカナデはGBNにメールを打ち込もうとするが──。

「なんでだ!?なんで反応しない!」

ダイバーからの運営にメッセージを送ろうとタッチパネルを操作するも、カナデの画面には「ERROR」と表示されるだけで一歩も進まずにいた。

「こちらもです!なにかおかしいですよこれ!」

「ねぇ!?どうなってるのコレ!?」

「なんなんだよぉ!どうしろってんだよ!」

徐々に広がりはじめるその光景にフォース〈SLEEVE ENGEGE〉は焦燥感と恐怖に怯えながら助けてを乞うことも出来ずに飲み込まれていく。

「……こんな幕引きなんてふざけてんじゃねえよ──!」

未知数の敵によって強く脳内に蝕むキーンとした激しい耳鳴りが鳴り止まずにカナデを取り込んでいく。

「──ァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

なす術なくカナデたちのフォースは有無を言わさないその謎の侵略者によって宇宙に閉じ込められていった。

***

いつもの昼下がり、ここはわたしたちが通う都立星羅高等学校だ。

「なに?エキシビジョンマッチ?だれがそれ言ってたの?」

わたしはアカネからそんなことを聞き出した。

えっと、なんで?模型部が再興できないからその手始めとしてなにか結果を出せってこと?

「……なんか先生たちからの話なんだけど、部として復活させるには最低限カグヤ生徒会長を倒すくらいじゃないとダメらしいんだって、そういやあの人全日本大会で優勝してたもんね?」

「言いたいことはわかるけどわたしたちまだガンプラ体験会を終えたばかりだよ?それでまた生徒会長と戦えって?なに考えてるの先生たちは」

ほんとなに考えてるの……?前にだって生徒会長とはGP・デュエルで対戦したよね?それにあの時は乱入してきたんだよ?わたしたちの扱いってひどすぎない?

「それに前のときは非公式戦だったからダメだってさ、やるなら公式戦基準の上で勝てってことじゃない?」

「……ってことは前のバトルは無かったことになってるってこと?」

そうハルナが相槌を打つように入ってくる。

「そういうことになるんじゃない?どのみち先生たちを納得させないと模型部の活動も進まないことになるよね……」

「せっかく一回目の体験会を成功させたのに、なんなのこの仕打ち……最悪なんだけど……」

ほんと、最悪なんだけど……また生徒会長と戦わないといけないの?だって前にハルナがいて勝ったじゃん!?

(そんなことよりアイドル活動はどうしたの!)

(おなかがいたいです)

(……あぁ〜GBNやりたいよぉ〜)

(家に帰ってイモータルジャスティス組みたいよぉ!)

(ザク!ザクまだGBNで使ってないよ!慣らし運転もなしに使えるわけないよ!)

(体験会!体験会のことは!?ねぇ!?体験会のキットまだたくさん残ってるよ!どうしろっていうの!)

わかった!わかったから!エリちゃんちょっと静かにして! 

「どしたのエリカ?」

「え?あぁ……ちょっと考えことをしてたただけで」

「それよりテストはどうだったの?」

「ん〜赤点にはなってないと思うけど……それより進路調査表がね……あるじゃん?アレがね……」

「あぁー!それ!それだよエリカ!どうするつもりなの?」

「なにも考えてないよ!考えられるわけないじゃん!やること多すぎなんだよ!」

と、愚痴をこぼしていたわたしにハルナは……

「私……その、生徒会にでも入ろうかな?」

え?いまなんて言ったの?

「One more time?」

「だから!生徒会にでも!入ろうかなって!」

「カグヤ生徒会長に絆されでもしたのハルナ?」

「アカネ!そんなこと言ってたら模型部再興どころじゃなくなるよ!」

そんなことはアカネもわかってるって……

「だってさぁ?ここ最近から生徒会長とハルナ、仲良いじゃん?なんかあったの?」

そうわたしが言葉を返す。

まじでなんかあったの?……え?ほんとになにかあったの?

「……えっと、ついこの前にデートに誘われた?みたいな?」

みたいな?じゃないよ!……どうすればそうなるんだよ!

「で、ハルナはどう返事したの?まさか行くの?」

「まぁ別に悪人じゃなさそうだし、いいかなぁって」

意外とあっさり了承しちゃうんだ!なんたる陽キャ力!眩しすぎてわたし干からびるよ!干物になっちゃうよ!

思わず食べていたアカネが作ってくれた弁当のごはんをむせるように飛び散らせてしまうわたし。

「大丈夫エリカ?」

「だ、だ……だいじゃうぶな……わけ、ないでしょ……けっほけっほ」

「ああもう!ペットボトルのお茶あるから!これ飲んで!」

アカネから渡されたお茶を飲んで落ち着くわたし。

「……まぁそんなわけだから私、生徒会長とデートするね」

oh……!ここでわたしにリア充宣言しますか!まぁわたし振られましたし!なんとも思いませんけどね!思いませんよ!思わない……よ……!あぁ!やめやめ!これ以上クソみたいなやつに引っ張られてどうするのエリカ!

ハルナは変わらずいい匂いするなぁ……できることなら冷凍保存しておきたいくらいなのに……!

トゥンク……!あっ!また心臓がバクバクし出した!やめて!変な気を起こさせないで!わたしのメンタルがもたなくなってしまうよ!

***

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