【試し読み】陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。第二巻《ユメノトビラ》第十三章 -【なにもできなかったあの日から】-【期間限定公開】

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お久しぶりです神宮寺Re⑦です。

なにも変わる事なく気楽にビルドダイバーズ(Re RISE)二次小説を気楽に投げているアカウントです〜

ってなわけであれからのつづきです。

***

陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。

第二巻《ユメノトビラ》

『生まれた意味はいったいなんなんだろう──。』

あらすじ

義姉であるアカネが生徒会長になり、エリカは一度彼女との距離が縮まったものの束の間、より一層の寂しさが募るばかりだった。そんな中で模型部の活動に顧問の先生となるミノウ・セナが現れる。セナは模型部部員となったカグヤと対戦することに。ハルナとの交際が進むも上手くいかないカグヤ。そんな中GBNではAIダイバーによる脅威がじわじわと蝕みはじめていた。

これは星を追うものと星に打ちひしがれた者を紡ぐ物語──。

***

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***

第二巻《ユメノトビラ》第十三章 -【なにもできなかったあの日から】-

***

──遡ること八年前。

GP・デュエル世界大会予選当日。

この日おれは、自身の作り上げたガンプラである「ガンダムエピオン」とともに高鳴る胸の鼓動を抑えるので精一杯の中で大会に臨んでいた。

『本日より開催いたしますGP・デュエル世界大会!そしてその予選会となる今回は〜!』

場内に響き渡る女性のアナウンスによって、これからおれは己の実力を試すために戦いに挑もうとしている。

『バトルロワイアルを行います!このイベントは世界大会全参加者総勢一〇〇人で行われ、タイムリミットの三〇分で生き残ったデューラーの皆さんが次のトーナメント戦へと出場の権利を得ます!……説明はここまで!メインステージは宇宙空間です!なお!大気圏突入をして地球で戦うこともできます!ビルダーたちの健闘を祈って!ガンプラバトル──レディ……ゴォオォォオオオオオオオオオ!』

◇◇◇

「ガンダムエピオン!カグヤ!出撃をする……!」

広大な宇宙に飛び立った彼はこの戦いに生き残るために、額に汗を滲ませながら視線を左右に気を配らせて敵が現れるのを今かいまかと待ち望んでいた。

カグヤの操るガンダムエピオンはRGシリーズのモデルを組み立てて、ディテールに筋彫りと細部を延長工作で鋭利に尖らせて完成させたもの。

カラーリングは原典そのままに、メイン武装である〈ビームソード〉を二対に増加させてこのバトルロワイアルに参加している。

「敵は……!?どこにいるんだ……!?」

初めて参加した世界大会ということもあり、カグヤは極度の緊張感が拭えないまま両手の震えが止まらない状況の中で焦り出していた。

「はやく……!早くこいよっ!」

ちょうど月が見える位置と地球の間に留まっていたカグヤ。

地球に降りてそこで戦うことも考えてはいたものの、冷静な判断がつかないままただこの宇宙に漂い続けていた。

◇◇◇

『あそこに怯えてる小僧がいますぜ兄さん?どうします?』

『……別にあとからでも倒せるだろうよ弟よ』

『そんなこといっても先に撃破数稼いでおかないと、有利になりませんぜ……?』

『数ばかりこだわったところで、その先は実力者揃いなんだぞ?すこしは落ち着けよ』

『へいへい……』

カグヤのエピオンを視界に捉えつつも、三回目の出場を果たした弟であるドラクのガズRと兄であるルチスのガズLがいつ戦いを仕掛けるかの相談をしていた。

AMX-117R/L ガズR・L

機動戦士ガンダムZZに登場。

NT専用機でありハマーンの乗機である「キュベレイ」の親衛隊のロイヤルガードとして運用される予定だったが、紆余曲折の果てに強化人間であるキャラ・スーン操る「ゲーマルク」の護衛機となり、数々の戦線を駆けていく。

ドラクとルチスの両機のカラーリングはジオン公国軍カラーである緑を基本にしたザクと同等の彩色が施されている。

『……ところで兄さん?』

『なんだ弟よ、こちとら神経ピリピリしてんだよ!?気安く話しかけんな』

『すんません……!んでトーナメント戦には今年もサユリとアキナが出てくると思うんでい……三度も負けるのは勘弁してほしいぜ』

『戦ってもねえのにそんな気概でやれると思うなよ、いつ敵に見つかってもおかしくねえんだからよぉ?やる気ねえならいますぐヤツにやられてこいよ』

『アニキィ〜!お慈悲を〜!お慈悲を〜!』

ドラクに見捨てられるわけにはいかないルチスは懇願するように宥めてもらおうと、必死に訴えかける。

『小僧が動き出しましたぜ!?やっちゃいやしょう!』

『頭を冷やせよドラク、まだいい』

『しかし……!このままここにいる訳にもいかねえでしょう!?』

『タイミングってもんがあんだよ、あいつがどう動こうが勝ち筋はとっくに見えてんだ……オレサマに従ってろ』

『アニキがそう言うなら仕方ねえっすね』

ドラクの行き当たりばったりな発言にルチスは彼を飼い犬のしつけのように、大人しくさせる。

カグヤを狙う二人はこの世界大会で生き残るために、隕石の影から身を潜めて様子を窺っていた。

◇◇◇

いまだに膠着状態がつづく宇宙空間。

カグヤの目線には細かく散らばった小隕石が、視界を遮るようにガンプラへと打ち付けはじめる。

「なんだよ……こっちはイライラしてんのに……!」

いっそのことこのまま地球に降下して、そこでやり抜く方法しても構わないとさえ思うカグヤ。

そのやり方に変えるか迷いが生じていた。

このままやり過ごすのか……飛び出して戦禍の中に赴くか。

「なにが正解なんだよ……!?教えてくれよ……ガンダム……!」

──すると、遠くから彼に向かってくる二機のガンプラが猛攻を仕掛けてきた。

「……はじめましてだなガンダム!その首!いただいていくぜっ!」

「はっはははははは!ロワイヤルってのはなぁ!最初に負けん気起こしたヤツがやられるって決まってんだよなぁ!」

ドラクとルチスの双方がカグヤに向かって〈ビームライフル〉による射撃を何度も何度も繰り出す。

「アニキ!ジェットストリームアタックをやるっス!」

「おうさ!こんな小僧ごとき簡単に倒せるってんだよ!」

(……おれを馬鹿にして!)

(ふざけんなよっ!……ジジイどもがっ!)

二機のガンプラが連携攻撃のために、ドラクの背後につくルチス。

振り返るカグヤは双刀の〈ビームソード〉を構えて、対処行動に移る。

それをわかったようにドラクがカグヤに向かい〈ヒートランス〉を赤熱化させ、一心不乱に力みつつ勢いよくエピオンの左腕に狙いを定めて突き刺した。

「……これくらい!」

「オラオラどうした!武器が使えなくなっちまうぞ!」

貫通したランスがエピオンの左腕を削ぐように両手に掴みこんで引き摺り出す。

「てめえぇぇぇぇえ!?」

「ルチス!トドメをさせ!この瞬間を逃すんじゃねえ!」

「わかってるぜアニキ!」

即座に左に目線を向けたカグヤ。

そこにはドラクの背後にいたはずルチスがこちらに向かって同様に槍を赤く染め上げ、エピオンになりふり構わず突進してきている。

「……そうは!させるわけにはいかねえんだよ!」

(こんなもの……!)

左腕が操作不能のなかでカグヤは右手の〈ビームソード〉で自身の左腕を切り落とす。

「こいつ!?誘い込んでたのはわざとだったのかよ!?」

「アニキ!いま助けるッス!逃げてください!」

「……やめろ!ここにくるな!やつは普通じゃない!離れろ!」

邪魔になった槍を放り投げ、ライフルを捨て去りバックパックから〈大型ビームサーベル〉を取り出したドラク。

「まだ終わってねえんだよ!小僧が!」

「──それはおれも同じだ!」

「うおおおおおおおりやぁぁぁぁあああああ!」

特攻するようにドラクはカグヤのエピオンに体当たりを試みる。

押し付けられたカグヤは小規模の隕石に衝突し、その大きな振動でめまいが生じていた。

(……吐き気がする……気持ち悪い、なんだよこれ)

「ルチス!オレサマごとその槍で貫け!」

「なにを!?なにを言ってんですアニキ!?一緒に世界を戦うって言ったじゃないっスか!聞きたくないっすよ!そんなこと!」

「……こいつをやらなきゃ!漢が下がるってもんだ!おめえはもっと世界を見てこいルチス!」

「うざいんだよジジイども!離しやがれよ!おれを!」

「そうはいかねえなぁ!?ともに散ろうぜ!?小僧!?」

「ざせんな……!まだ終わってもないだろうに!」

身動きがままならないカグヤ。

エピオンの翼がクレーターに飲み込まれ、まともに反撃すらできない。

「……アニキ!アニキのことは忘れねえッスよ!」

重なり合う二機のガンプラにルチスは覚悟を決めて、スラスターノズルを爆走させる。

「……沈めぇぇえええええええええ!」

機体制御を全無視してルチスは突貫していく。

(……なにもできずにおれは終わるのかよ!?)

(こんなんでいいのかよエピオン!応えろよ!ゼロシステム!応えてくれよ!なぁ!?)

(おれには相応しくないって言うのかよ!?)

「あばよ──小僧!いいバトルだったぜ……」

「まだ!終わってなんか……!」

最後の力を振り絞り、カグヤは右手の〈ビームソード〉を使ってルチスを墜とそうと前方へと向きを変える。

「せめて!この一撃だけはっ……!こいつらだけは!」

その攻撃によって半身を抉り取られていくルチス。

だが、迷うことなく尖った槍が二人の心臓めがけて貫通する。

「……負けてなんか!負けてなんかねえ!」

カグヤのその一言が届くことはなく、この一撃によってGPD世界大会初戦のこのバトルロワイアルで予選敗退の烙印とともに儚き夢は終わりを告げた。

***

三週間前、ここ惑星〈ローレル〉では自転周期に接近してくる小惑星を迎撃するため軍備を増強していた。

『──目標!以前として予想進路上を航行しています!』

「落下予測ポイントは……中枢都市〈ラビアン〉!」

『このままでは甚大な被害が免れません!』

『これに際し、我々は提供された兵器データによって開発されたモビルスーツを使用する迎撃作戦を敢行します!』

『……〈ローレル〉軌道艦隊!出撃準備!出撃準備せよ!』

惑星〈ローレル〉から成層圏の軌道上にある、軌道エレベーターに建造されたMSを保有する軍事施設に救急要請のアナウンスをするオペレーターの声が〈グワジン〉の艦内に響き渡る。

この星ではたまたま繋がった他の惑星から取得した設計情報によってもたらされ、作りあげた巨人で危機に瀕している〈ローレル〉を守るために多くの機動兵器を作り上げていた。

◇◇◇

「……まったく、こんなときにこちとら数少ない休暇の最中だってのにやめてもらいたいぜ」

「んなこといったってよ?仕事なんだからやるしかねえだろレウ?」

レウ・ハーバイン。

容姿は緑髪ショートの男性で痩せ型の長身であり、眼の色はシトリンのような明るい黄色で潤っていた。

「……彼女のいないおまえは気楽でいいよなスピカ〜」

「なんだよ嫌味かよ?」

「べっつに〜」

スピカ・ベルラ。

蒼髪ポニーテールの男性で大柄な筋肉質の体型、エメラルドのように眼の色は緑色に光っている。

「二人してあんまり喧嘩しないでよ?嫌なフラグ立っちゃうでしょ」

「彼氏とは上手くやってるのかリリベは?」

「……彼氏?あぁあいつなら地球に行ったよ?それがどうかしたの?」

リリベ・スタイン。

桃色ツインテールの髪型の女性で、モデル体型の容姿で眼の色はサファイアのように蒼く澄んでいた。

「ミハエル……あいつリリベをおいていったのかよ……最低だな……」

「仕方ないでしょ?姫様の監視役に任命されたんだからさ……いやだったけど」

「そう言えば良かったじゃねえかよ、素直じゃねえなお前」

「……あいつなら大丈夫だよ?だって死んだら許さないもん」

「うええぇ〜げきおも……」

「ありがと」

「褒めてねえんだわ……」

「こらこら!出撃時間とっくに過ぎてるぞ!」

「「へぇ〜い」」

無重力区画にいる彼らはレバーを引きながら、MSデッキへと急いでいた。

◇◇◇

「ヅダ!レウ!出るぞ!」

「同じく二号機!スピカ!やってやるぜっ!」

「三号機!……リリベ!いくよ!」

発進シークエンスによって宇宙の彼方へとやってきた三人。

迎え撃つ、いまにも成層圏を超えて惑星〈ローレル〉へと向かってくる割れた小惑星群。

これに反抗するために彼らは操縦桿を強く握りしめ、いつその命の振動を無くしてもおかしくない状況のなかで戦いに身を投じていた。

EMS-04 ヅダ。

OVA「機動戦士ガンダム MS IGLOO 一年戦争秘録第三話」に登場。

ジオン軍でのザクとのコンペのためにツィマッド社が開発した本機は性能試験においてザクを圧倒する真価を見せる。

だが、その試験中におきた空中分解事故によって爆散。

設計された強度がまともに確保されていないことが露呈することになる。

なお、新型「土星エンジン」に換装されたEMS-10として再び完成されたヅダだったが裏工作によって以前と同じものが使われプロパガンダに飲み込まれたことによって欠陥機として汚名が着せられる不運な機体。

◇◇◇

「くるよっ!」

リリベは突入圏内に入りつつある小惑星に〈ザクマシンガン〉で攻撃を仕掛ける。

撃ちだされた実弾の射撃が直撃するも狼狽えることなく〈ローレル〉の軌道に乗っていた。

「……まともに効かないじゃないこの武器!ふざけてんの!」

初めての実戦ということもありリリベは、星を死守する責任感とやらなければならない己の役割の渦中にいた。

「落ち着けよリリベ!援護する!」

対艦ライフルを所持するレウは、照準器を除きこみ弾頭を放つ。

「……俺が前に出る!サポート頼んだぜっ!」

スピカは機体のエンジンをフルスロットルで稼働させて、迫り来る小惑星に身を投じていく。

「おい!?おまえ……!?死ぬつもりかよ!?」

「俺にはやれることがいままで無かったんだ!少しくらいカッコつけさせてくれよレウ──!」

「ばかっ!いますぐにやめにしなよ!死んだらそこでおしまいなんだよあんたは!」

そんなことは知ってか知らずかレウはその静止を振り切り、アステロイドに機体をぶつける。

「……はははっ!冥土のみやげに!俺の人生ごと!捧げてやろってなぁ!」

いつ機体がもたなくなってもおかしくない中でレウは自身の力をヅダに身を任せる。

「……ならあたしもやるっ!」

「…………親友を置いていけるかってんだよ!」

「なんでおまえらまで!?……こんなことやる必要ないだろ!あんたらには待ってる人がいるだろうよ!離れろよ!馬鹿どもが!」

「そんなの知らないっ!たとえ死んだとしても!想いは残り続けるって!」

「来世で逢おうぜっ相棒……!」

「いいんだよ!そんなのは!……なんで、なんでなんだよ!」

機体のスクリーンには赤色に光る危険信号が何度も表示され、もうすでに手遅れだった。

「……ローゼス!ローレル!」

「ローゼス!ローレル!ローゼス……!ローレル!」

「ローレル!ローレライ!ローレル!ローゼス!ローレライ!」

三人による讃美歌とともに、惑星〈ローレル〉を人の住めない星にすることを阻止するために……

「「「ぅぁああああああああああああああ!」」」

守備隊の三人による赤く光る灯火の光が宇宙を強く輝かせる。

同時に爆散していく三機のヅダ。

レウ、スピカ、リリベによって阻止できたかと思われた隕石は軌道を変えることなく惑星〈ローレル〉に降り注いでいった。

◇◇◇

「ねぇねぇ?なにあれ?パパ?ママ?」

「なんだろうね?今日は星の天体ショーでもあったのかな?」

「……そんなことはいいでしょ?はやく帰るわよ」

大気圏に突入してくる隕石を名も知れない家族たちが夜空を見つめてそう呟いていた。

***

ビルドダイバーズ(Re RISE)二次小説

「陰キャアイドルはGBN〈惑星〉を救いたい。」

こちらのつぶやきによる【試し読み】またはpixiv先行にて更新中です〜

2025/11/11現在、第二巻第十八章まで更新中です〜はやめに続きを読みたい方はそちらの方まで〜

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