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 水星の魔女コンテストということですが、いまだにキットを一つも見かけませんね。土日は人が多いし家から出たくないな~なんて言って発売日にお店に行くことも無いので今時しかたがないんですけど……。売れ残り品が9割引きでワゴンセールなんてのに慣れていたので、プラモを買うために努力するという習慣が全く身についていないなと思う。

 アニメのほうは木曜の無料配信待ちながらも一応見てる。というわけで以下はアニメの話です。ただの長い独り言で読んでどうというものではないですよ。
 まずはやっぱりガンダム初の女性主人公というわけで放送前から色々予想をしたものです(ガンダム以外では今どき珍しくも無いけどね)。これまで男性だけが担ってきた主人公という役割をついに女性も!ということなわけだけど、そもそも主人公の役割とは何かというところから考えてしまった。自分で何も考えなくても他人が面白いアニメや漫画を作って提供してくれる世の中なので、主人公ってのがなんなのかすら考えることがない。
 やっぱり、なんかこう自分の貫く正義みたいのを持っていて、自分が正しいと思う未来に向かって進もうとするんだけど、でも現状の世界にさまざまな壁があって、それらとぶつかることになる。今日より良い明日を作ろうとしていると言っても、現状の間違った世界だからこそ既得権益を持っているという大人にとっては世界を改善されちゃうと困るので、若者の邪魔をする。そんな中で主人公は、色んな場所に行ったり、いろんな人に出会ったり別れたりと、様々な経験を積むことで学び成長していく。仲間の大切さや愛や勇気の大事さを知り、自分の前にある壁がなぜあるのかという歴史を知り、最後には壁を乗り越えて新しい未来をつかむ。一番単純な形では、正しい勇者が仲間を集めて間違った魔王を倒し平和な世界を実現する、というものか。
 主人公には正しい目的があり、その目的を邪魔するものがあり、困難を乗り越える姿を描くことで物語を紡ぐ。
 これまでは男性主人公が経験するさまざま事柄をうちのひとつとして、女性キャラが恋愛を担当していた。主人公の人生を描くことで話を描く以上は、主人公以外のキャラというのはどうしても「主人公の人生にとってどういう意味がある人物か」という形になる。これまで男性主人公にとっての女性キャラとして描かれてきたものが、ようやく女性のほうを主役に描けるというのは、大切なことですね。恋愛担当というような役割を押し付けられるのではなく、自立した一人の人間としての女性をメインにし、彼女にとって周りがどういう役割かという話を描ける。
 女性が自分の信じる未来をつかむために、男性に何ができるのか、といったようなことが、スレッタが自分の信じる未来のために努力する姿を通して今後描かれていくんでしょうね。

 「あくまでも世界の主役は男性で、女性はそれを補佐する立場にあるべきで、女性なんていう劣った存在に未来を切り開くなんて無理だ、女は恋愛だけしていればいい」というような現代だったら炎上間違いなしの考えが当たり前だった時代もあるけれど、さすがに今は21世紀、これまで男性がやってきたことを、女性が主人公になったとたんにやめるということはあり得ないでしょうから、水星の魔女も今後の展開に期待ですね。

 また、主人公というのはやっぱり視聴者の子どもたちが自分を投影できる存在だと良いだろうなとも思う。自分たちと大して変わらない主人公が、こんなにも大変な壁にぶつかり、でもこんなに頑張って解決している、というカッコいい姿を見て「よーし、自分も!」と将来に対する希望を持つ。最近は「この主人公は君たちと違ってすごい特別な過去を持っている特別なキャラクターで、これからその秘密の過去設定をちょっとずつ紹介していくよ。皆もこんな特別なキャラの設定は知りたいでしょ?世の中を変えられるのは生まれた時から特別な人間だけなんだからね」という作品も見かけるけれど、それを子どもに見せてどうするのかなと不思議に思ったりする。ワイドショーで芸能人の結婚や何かに一喜一憂する人がいるように、自分とは違う特別な他人の情報を眺めるという遊びが好きな人は好きなんだろうけれど、個人的には興味が持てねぇッス。キャラクターが未来に向かってどんな行動をするかを楽しみたいのであって、こういう過去だという設定をほじくっているだけではなんも楽しめない。

 あとは、今回の作品では「親ガチャ」というようなものが描かれていることにも注目ですね。誰の子どもに生まれたかで人生が大きく左右される。中でもヒロインのミオリネが顕著で、学校も友達も結婚相手さえ親が決めるというDVを受けている。現実的に考えると、毒親とはまず何より距離をとることが大事。ミオリネが地球に行こうとしていたのもそういう意味ですよね。毒親というのは認知症やアルコール中毒なんかと同じ脳の病気であって、話し合いや説得で解決できるものではないから、そもそも関わること自体が無意味で害しかない。スレッタも責任を取って地球に逃げる手伝いをする展開かと思ったら、逃げずに進む道を提案するという意外な展開に驚きました。現実にDVに苦しんでいる子どもたちに対し、逃げずに進めと言うのはとても残酷なことだろう。立ち向かったところで状況が悪くなるのは目に見えている。そのうえでアニメが「逃げるより進むほうが良い」と提案する以上は、逃げるより合理的で効果的な立ち向かい方を提示する準備があるということ。いったいどんな話を描くのかワクワクですね。アニメ的な主人公補正でなぜかうまくいっちゃうという話を描くことは許されない。そのアニメを信じて毒親に立ち向かっても主人公補正のない子どもがさらに追いつめられる結果になるわけで、見た人を地獄に追い込むだけのアニメになってしまう。また、立ち向かったけどやっぱり駄目でしたという話にするわけにもいかない。そうしたらDVに苦しむ子どもを見て楽しむだけというアニメになってしまう。たまに「つらい目にあうキャラを見て可哀想だと思える私って優しい人間」という快感を与えるためにひたすらキャラを酷い目に遭わせているんだろうなって作品も見かけるけれど、さすがにそういうのって悪趣味すぎると思うんだよね。アニメや漫画はフィクションであって、現実とは違うものではあるけれど、現実で真剣に苦しんでいる子どもがいるネタを茶化すことは許されない。
ガンダムの制作陣が一体どんな答えを用意しているのか、水星の魔女は今後も目が離せないですね!

コメント

  1. なんにせよ、スレッタというキャラクターこそが、ガンダム制作陣の考える「これからの若い子に見せるべき女性主人公とはどんなキャラクターであるべきか」というものの答えなわけで、水星の魔女を見ることで、ガンダム制作陣がこれから社会に対して何を提供していくべきと考えているのかが分かりますね。

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