ナラティブガンダムν装備

以下仮想ストーリー

アクシズを押し返したあの瞬間、光の奔流はアムロの限界を超えて膨らみ、彼の肉体は静かに粒子の海へ溶けていった。しかし意識は消えなかった。無重力の闇に浮かびながら、彼はサイコフレームの共鳴が生み出す“想いの渦”の中で、ひとつの輪郭を保っていた。

——まだ、終わらせるわけにはいかない。

魂となったアムロは、時さえ曖昧な空間を漂った。そこに流れているのは、人々の祈り、怒り、恐れ、願い。戦争の記憶が幾重にも折り重なり、光として脈打っている場所だった。ララァの声の残響、仲間たちの叫び、幼い頃に見た地球の空の輝き……それらすべてが彼の意識に触れてくる。

アムロは悟った。争いは形を変えて続く。だが、人は何度でも“もう一度やり直そう”と願う。その願いがある限り、自分は消えるわけにはいかなかった。

漂流する意識がやがて近づいたのは、淡い光に包まれた“器”。未完成のモビルスーツ——ナラティブガンダム。その内部には、かつてのνガンダムに似たサイコフレームの響きがわずかに宿っていたが、光は弱く、揺らいでいた。

しかし、そのフレームの奥から微かな“想念”がアムロに触れた。

それは若いパイロット、ヨナ・バシュタの心だった。
喪失への痛み、許しを求める叫び、守れなかった者への後悔——しかしその奥底には、誰かを救いたいと願う純粋な意志があった。

「迷っているな。でも……まだ折れていない」

アムロはその心の震えに語りかけた。ヨナには聞こえない。だが魂と魂は確かにつながった。

アムロの内側で、眠っていた光が揺らめく。νガンダムのサイコフレームに刻まれた“人の可能性を信じる力”。彼が最後に見た光——アクシズを押し返した、無数の人々の願いの結晶。

「受け取れ。これは俺だけの力じゃない。人が未来へ進むための……道標だ」

アムロの魂から金色の粒子がほとばしり、宇宙に散ったνガンダムの残滓を呼び寄せる。無数の光点が集まり、まるで記憶が逆流するように彼の周囲に現れた。

それらの粒子はゆっくりとナラティブガンダムのフレームへと吸い込まれていく。未成熟なサイコフレームが共鳴し、青白い光が脈動し始めた。

ヨナの胸に、言葉にならない温かさが広がった。
失った少女の想い、仲間の願い、そして——見知らぬ誰かからの優しい力。

「さあ……立ち上がれ。君にはまだ、やれることがある」

アムロの声は風のようにヨナの魂に触れ、ナラティブは静かに輝きを増した。不完全だった器が、未来へ伸ばされた希望のように光を放つ。

アムロは満足げに意識をほどいていく。もう導く必要はない。青年は自分の足で進むだろう。

「未来は君たちのものだ……頼んだぞ」

最後の言葉は音にもならぬまま、光の河へと溶けていった。
そしてナラティブガンダムの胸奥には、νガンダムの魂と、アムロ・レイの静かな意志が確かに宿り続けた。

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