一年戦争末期に開発されたガンタンク(RX-75)は、圧倒的な火力と引き換えに機動力の低さという致命的欠点を抱えていた。
戦後、連邦軍は局地戦・市街地戦における重火力支援機の再定義を進め、その試験機として開発されたのがガンタンクR45Xである。
本機は宇宙世紀0120年代、F91開発計画の影で進行していた「Rシリーズ再評価計画」に基づき、ジム・スパルタン系フレームを流用した新型ガンタンクとして再設計された機体である。
旧式のキャタピラ式下半身を廃し、脚部には高出力リニアアクチュエータと安定化スラスターを内蔵。
これにより「歩行可能なガンタンク」という、従来では考えられなかった運用を可能とした。
宇宙世紀0123年。
フロンティアⅣ周辺宙域で小規模な反連邦蜂起が発生した。
派遣された正規MS部隊の中に、ひときわ異質な機影があった。
――ガンタンクR45X。
そのパイロット、ハインツ・ローデンは、かつて一年戦争で旧型ガンタンクに搭乗していた老兵だった。
「またお前と組むとはな……」
コクピット内で呟く彼の前に映るのは、最新鋭MSが乱戦を繰り広げる戦場。
だが敵の狙いは拠点制圧ではなく、民間ブロックの占拠だった。
ハインツは即座に判断する。
「R45X、砲台モード。ここは俺が塞ぐ」
脚部スタビライザーが地面を噛み、巨体が揺るぎなく固定される。
次の瞬間、両肩の180mm砲が咆哮した。
爆煙の向こうで、敵MSが次々と沈黙していく。
敵部隊はR45Xを旧式と侮っていた。
だが、その砲撃精度と継戦能力は、最新鋭機すら凌駕していた。
戦闘終結後、司令部はハインツに撤退命令を出す。
しかし彼は応答しなかった。
「……まだだ。
まだ、守るべき場所がある」
最後に放たれた砲弾は、民間区画に迫る敵部隊を完全に沈黙させた。
数時間後、そこに残されていたのは、
大破しながらも立ち続けるガンタンクR45Xの姿だった。
その姿は後にこう記録される。
“動かぬ砲台。だが、最後まで戦場を離れなかった機体”――と。
ガンタンクR45Xは量産には至らなかった。
しかし、その運用データは後の重装支援MS開発に大きな影響を与えたとされている。
そして今も、一部の整備兵の間では語られる。
「もし前線で“動く砲台”を見たら、それはR45Xだ。
逃げるな。あいつは、味方を見捨てない」
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