妄想戦線
一年戦争で登場したMSはムーバルフレームをはじめとした爆発的な進化を遂げる。
様々なMSが革新期ともいうべき時期に突入し、所謂支援機にもそれは当てはまる。
一年戦争時に活躍したガンタンクの後継機として設計されたのがアームズ・デストロイヤーである。
ガンタンクよりも大火力、走破性を求められた結果、近接戦をほぼ排除したことにより様々な火器を備えたこの機体が設計された。
ただし、操作性があまりにも複雑化し、タンデム仕様にしても運用が難しいものとなってしまったため、人間のパイロットではなくAIを使った無人機にする方向で建造が開始された。
最終的に試作機5機が建造され、ロールアウトする。
そして悲劇の幕が上がった。
アームズ・デストロイヤーの起動試験当日、5機用意された試験機は問題なくテストをクリアしていった。
最後に実弾試験のために実弾が装填され、いざ最終試験の開始となったところで悲劇は始まる。
5機のアームズが同時に暴走をはじめ、デストロイヤーの名の通り周囲の基地施設を破壊し始めた、
その火力は設計者の想定通りすさまじく、手が付けられないほどであり、AIの無慈悲で合理的な射撃は正確な災厄を振りまいた。
最終的に鎮静化したのは、アームズのエネルギーと弾薬切れを待ってから一気呵成に仕掛けることで全機破壊、無力化に成功したからだ。
アームズ達には自分たちで補給する能力がなかった事が勝敗を分けたといえる。
だが問題はここで終わらなかった。
状況が終了した以上、次はその原因の究明が行われるからだ。
調査の結果、外部からのハッキングの痕跡はなかった・・・となると、内部AIに最初から問題があったことになる。
調査官が警備部と共にAIプログラマーの部屋に踏み込んだところ、彼らが見たのは首を吊った男の死体だった。
男の死は自殺と断定された。
第三者の介入や口封じの痕跡が見つけられなければ、しかも近くに遺書のようなメモまで見つかれそれも仕方がない。
ただし調査官としてはそれで終わりとはならない。
最低でもアームズの暴走理由は解明しなければならないが、これがさらなる地獄の蓋を開ける事になる。
男の遺書には「エリカ、ずっとそばに・・・」の文字、これは彼の娘の名前と確認が取れている・・・戦争に巻き込まれ、しかしその時父親である彼はそばにいられず・・・この時代では珍しくもない悲劇だ。
問題はそこからだった。
部屋から発見されたのは大量の愛娘の生前の記録とAIのプログラムレポート・・・記録はただ子煩悩と見れるが、レポートの方は狂気というしかない代物だった。
曰く、もしAIに誰かの行動を完璧に学ばせたならば、そのAIはその人物のコピーになるのではないか?
その一文を見た全員が戦慄の寒気を覚え、まだ現場検証の途中で宙吊り状態のままだった男の死体を見る。
『こいつはくるっている』
死者を貶める醜悪さを理解しながらもそう思ってしまうのは仕方がない。
それでも真実は明らかにしなければならない。
調査官達は再びレポートを読み解き始めた。
内容的には愛娘のデータをAIに読み込ませ、偽人格を形成する為には高性能の電脳システムが必須であり、所詮ただの男には無理な話であったため、この計画は頓挫するはずであった。
しかし神か悪魔かは知れないが、運命はプログラマーとしての能力には恵まれていた彼に戦闘用AIのプログラムの依頼が舞い込んで気きた。
彼は嬉々として受け、アームズの電脳を使って偽人格AIを作成し始めた。
結果として、アームズの暴走はこの偽人格AIのせいと判断された。
本来戦闘用に調整されたAIを搭載されるべき所にこんな得体のしれないAIを搭載したなら何が起こってもおかしくはない。
無き娘を取り戻したい父親の愛と言えば聞こえはいいが、その結果は基地が一つ完全破壊、死傷者多数という結果の前では同情の念もわかないし、同情するわけにもいかない。
調査官はため息をつきながら報告書をまとめ、転送キーに指を賭けた瞬間・・・「あれ?」・・・調査官の部下が上げた疑問符に指が止まる。
「どうした?」
「これ、何かおかしくないですか?」
部下が見ていたのは破壊されたアームズの残骸資料、何がおかしいのか問いただしてみれば、パーツが足りないように思うと返された。
彼の趣味はパズルで、その感覚で残骸のパーツをまとめると・・・”4機”の残骸になった・・・試作機は5機・・・一機足りない。
その瞬間、調査官はアームズの構造を思い出した。
アームズはガンタンクの発展型であり、ガンタンクは胴と頭にコックピットがありアームズも上半身と下半身にAI用の電脳が搭載されていた・・・つまり、アームズには”2つのAI”を搭載できる余地がある。
そうして思い出されるのは男の遺書にあった”ずっとそばに・・・”の一文・・・仮に、過去のデータから偽人格AIが生成できるなら・・・今現在”生きている人間の偽人格”を作るのはもっと簡単ではないだろうか?
「だとしたら・・・」
前提が変わってくる。
暴走したのは娘のAIではなく父親の偽人格AI?
もし娘の偽人格AIの存在がばれれば間違いなく消去されるだろう・・・そうなれば、男は二度も娘を失うことになる。
だから・・・周囲を吹き飛ばしてでも・・・逃げた?
偽りの娘を守るために・・・自分も人間ですらない偽物になってまで?
調査官は寒気と緊張で金縛りにあった。
結局、調査官は部下に気のせいだろう?と言って送信前だった報告書のデータを上層部に転送した。
退官後に彼は娘に語っている「人と違う何かを持った者をニュータイプと呼ぶのなら、人と同じ思考と感情を持ちながら電子の存在であるものもまたニュータイプと呼べるんじゃないか?」・・・その内心は残念ながら娘だけではなく誰にも理解できないものだったが、彼の娘を見る目はどこまでも優しかった。
最後まで見ていただいてありがとうございます。










男の好きを詰め込んだらこんなん出来ました
コメント
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作品の凶暴な盛り具合に完成度、設定の奥深さも見どころある作品ですね😌
AIによる「簡素化」を求めながらもそこに存在する人間味や狂気、ニュータイプよりも「安全で有用」なものに潜む危険…
考えさせられますねぇ😌
アームズデストロイヤー名前の響きがサイコーにカッコイイです✨
ガンタンクの後継機‼️設定も男ゴコロをくすぐられますねー✨️
破壊力半端ない機体✨️
サイコーです✨
しがないプラモ好きですが、頑張って作ったのでよかったら見て行ってください。
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