プロローグ 二千円のバーボンと四部屋のアパート
「いやぁ、今日も一日お疲れさま!」
「鈴鬼、ちょっと飲みすぎじゃない?」
「大丈夫、大丈夫! まだ全然いけるって!」
大衆居酒屋でいい感じに酔っ払った鈴鬼は、妻のトミーと二人で、普段なら入らないような大人の雰囲気のショットバーに足を踏み入れた。
そして目に留まった、一杯二千円のバーボン。
「たまにはいい酒でも飲むか! ダブルのロックで!」
「えっ、ダブル?」
トミーの制止もむなしく、鈴鬼は琥珀色の液体を口に運んだ。
「……うん、うまい!」
数分後。
「……あれ? トミー、なんか……」
「ちょっと、鈴鬼!?」
そこで、鈴鬼の記憶は途切れた。
そして――世界がひっくり返った。
*
目が覚めると、鈴鬼は自宅のベッドにいた。
見慣れた天井。見慣れたカーテン。隣ではトミーが寝ている。
別の部屋からは、ユウの声がした。
「……なんだ、夢か」
そう呟きながら窓を開けようとした鈴鬼は、動きを止めた。
窓の外に、いつもの街並みがなかった。
そこに広がっていたのは、見渡す限りの熱帯の森。そして、その向こうに見える巨大な軍事施設だった。
遠くを歩いているのは、紛れもなくモビルスーツ。
「…………は?」
慌ててトミーを起こし、ユウを呼ぶ。
三人で窓の外を確認した結果、誰もが同じ結論に至った。
「……ガンダムの世界、だよな?」
鈴鬼の呟きに、トミーが頭を抱えた。
「ちょっと待って。私たち、家ごと転移したの?」
「そうらしい……」
幸い、電気も水道も使えた。冷蔵庫も動く。家具も家電も、積み上がったガンプラも、転移前のままだった。
しかし、スマートフォンは圏外。インターネットもつながらない。
そして、窓の外には宇宙世紀の世界が広がっていた。
壁のカレンダーには、宇宙世紀0079年と表示されていた。
「……一年戦争の真っただ中かよ」
鈴鬼は深く息を吐いた。
「まあ、落ち着こう。家族三人一緒なんだ。まずは食料と生活基盤、それから収入源を確保しよう」
「うん。そうだね」
トミーは不安そうな顔をしながらも、頷いた。
そのとき、鈴鬼はふと思い出した。
部屋の隅に積まれた、山のようなガンプラ。
「……そういえば」
彼は完成済みの青いジム寒冷地仕様を手に取った。
大型ガトリング、大型シールド、実体剣ロングソード。
自分専用に改修した愛機だった。
「これが動けば、何とかなるかもしれないな」
半ば冗談でガンプラを握った、その瞬間。
青白い光が部屋を満たした。
轟音とともに、アパートの外に巨大な影が出現する。
全高18メートル。
青い装甲に大型ガトリング。
大型シールドと、腰に装備された長大なロングソード。
「…………」
鈴鬼は窓の外を見つめたまま、固まった。
「うおおおおおおおおっ!? 本物になったぞ!!」
こうして鈴鬼は、ガンプラを実機として召喚できる能力に目覚めた。
この能力があれば、この世界で生きていけるかもしれない。
家族を守れるかもしれない。
そして、いつか元の世界に帰る方法を見つけられるかもしれない。
だが、このとき彼はまだ知らなかった。
自分たちと一緒に転移してきた三人の隣人が、それぞれ別の方法で、この世界への適応を始めていたことを。
第一話 隣人たちの異世界生活
転移から三日目。
鈴鬼は、アパートの住人たちの様子を確認することにした。
この建物には四つの部屋がある。
101号室、102号室、201号室、202号室。
102号室が鈴鬼一家の部屋だ。
そして、残る三部屋にも、転移前から住人がいた。
101号室のエル。
201号室のルーク。
202号室のKK。
彼らもまた、アパートごと宇宙世紀へ転移していた。
ただし、転移直後から全員が仲良く協力し合ったわけではない。
101号室 エル
エルは、部屋から出てこなかった。
食料の買い出しにも出ず、玄関の扉は閉じたまま。
鈴鬼が声をかけても、返事は短い。
「エル、食料はあるか?」
「……あります」
「困ってることはないか?」
「……今のところ」
「そうか。何かあったら言ってくれよ」
「……はい」
それで会話は終わりだった。
鈴鬼は無理に踏み込まなかった。
この状況で他人と関わりたくない気持ちも分からなくはない。
「まあ、落ち着いたら出てくるだろ」
そう考え、玄関前に食料を少し置いておいた。
翌朝、空になった袋が戻されていた。
その上には、小さなメモが添えられていた。
『ありがとうございます』
鈴鬼は、それを見て少しだけ笑った。
「……よし。とりあえず、生存確認はできたな」
201号室 ルーク
ルークは、まったく違う行動を取っていた。
転移直後から周辺を歩き回り、地形、道路、軍事施設、商店の位置を調べていたのだ。
彼は現地の人間から情報を集め、物資の流通状況や、ジャブロー周辺の治安についても確認していた。
ある日の夕方、鈴鬼が帰宅すると、ルークが地図を広げていた。
「鈴鬼さん。少し、いいですか?」
「おう、どうした?」
「この周辺ですが、連邦軍の施設が多い一方、民間人が利用できる商店もあります。ただし、物流が不安定です。今後、食料品や日用品の価格が上がる可能性があります」
「……なるほど」
「それから、身分証明と収入源の問題があります。この世界で生活するなら、何らかの形で現地社会に関わる必要があるでしょう」
鈴鬼は感心した。
「ずいぶん調べたな」
「何もしないで待っていても、状況は改善しませんから」
「確かに。助かるよ」
ルークは小さく笑った。
「いえ。私も、この世界で生きていかなければなりませんから」
202号室 KK
KKは、もっと変わっていた。
転移から二日目、鈴鬼がアパートの外を歩いていると、密林の奥から奇妙な掛け声が聞こえてきた。
「ハッ! セイッ! ……ニンジャ、シュギョウ!」
「…………」
鈴鬼は、そっと茂みを覗いた。
そこには、黒っぽい服装のKKがいた。
木の枝に飛び移り、茂みをすり抜け、木陰から木陰へと移動している。
時折、意味の分からないポーズを決めていた。
「……何やってんだ、あいつ」
「オッ!?」
KKが振り返った。
「スズキサン! コレ、ニンジャ修行デス!」
「いや、それは分かったけど……何で?」
「ココ、ジャングル。ニンジャ、ジャングル、ツヨイ。ダカラ、ワタシ、ニンジャ、ナリマス!」
「……そうか」
鈴鬼は、それ以上追及しなかった。
「まあ、ケガだけはするなよ」
「ハイ! アリガトウゴザイマス!」
その日から、鈴鬼は密林で忍者修行をするKKを、時々見かけるようになった。
ただし、KKが日本語を話すたび、独特のイントネーションが妙に耳に残るのだった。
こうして、四部屋のアパートでは、住人たちがそれぞれの方法で異世界生活を始めていた。
まだ、誰も仲間ではない。
ただ同じ場所に転移してしまった、六人の人間だった。
第二話 家族三人の会社
鈴鬼一家が最初に取り組んだのは、生活費の確保だった。
鈴鬼は、自分のガンプラを実機化できる能力を使い、民間軍事会社を立ち上げることを決めた。
輸送、護衛、物資回収、救助。
連邦軍の手が回らない仕事を請け負う。
会社の名前は、Beluga Defensive Force。
略してBDF。
最初の戦力は、家族三人と四機の機体だった。
鈴鬼専用ジム寒冷地仕様
青を基調とした専用機。
大型ガトリングで敵を制圧し、大型シールドで攻撃を防ぎ、実体剣ロングソードで接近戦にも対応する。
鈴鬼が前衛に立ち、敵の注意を引きつけるための機体だった。
トミー専用ジム寒冷地仕様
ピンクと白のカラーリング。
ガンランスと強化シールドを装備し、防御と攻撃を両立する。
鈴鬼の機体と同じジム寒冷地仕様をベースとしているため、整備や部品管理でも利点がある。
ユウ専用ガンダム
青を基調としたガンダム型支援機。
ロングライフルを装備し、鈴鬼の操作によるリモートコントロールに対応している。
ただし、ユウ自身は機体に乗り込まない。
彼は基地から遠隔操縦を行い、戦場の後方から鈴鬼たちを支援する。
これは鈴鬼が、息子を危険にさらしたくないと考えたためだった。
「ユウ。お前は基地から操縦するんだ」
「でも、父さん。僕だって戦えるよ」
「分かってる。だからこそ、お前にしかできない仕事をしてほしい」
鈴鬼は息子の肩に手を置いた。
「戦場に出ることだけが戦いじゃない。後ろから仲間を支えるのも、立派な仕事だ」
ユウはしばらく考え、やがて頷いた。
「……分かった。僕は基地から、みんなを支えるよ」
コアブースター・ベルーガ
前進翼を採用したBDF独自のコアブースター。
高速輸送、偵察、緊急展開を担う。
そして、この機体には特別な役割が与えられていた。
AI「チャトラン」である。
チャトランはベルーガの自律行動を担当し、戦術サポート、通信中継、射撃照準の補正、回避行動の支援などを行う。
ユウの遠隔操縦を中継するのも、チャトランの重要な役割だった。
「チャトラン、起動確認!」
『了解ニャ! システム、オールグリーンニャ!』
「よし。ベルーガの自律航行テストを始めよう」
『了解ニャ! でも隊長、テストの前に安全確認は大事ニャ!』
「分かってるって!」
こうして、BDFは小さな民間軍事会社として動き始めた。
最初は家族三人だけ。
それでも、鈴鬼には確かな手応えがあった。
第三話 ベルーガ、初出動
最初の仕事は、ジャブロー近郊の補給拠点から、離れた連邦軍施設まで物資を運ぶ護衛任務だった。
鈴鬼は青いジム寒冷地仕様に乗り込み、トミーはピンクのジムで護衛につく。
ユウは基地の管制席に座り、遠隔操縦システムを起動した。
モニターには、ベルーガから送られてくる映像が映し出されている。
『ベルーガ、発進準備完了ニャ!』
「チャトラン、経路確認」
『了解ニャ! 予定経路、障害なし。周辺の熱源も確認するニャ!』
「ユウ、聞こえるか?」
『聞こえるよ、父さん。ガンダムの制御系も正常』
「よし。無理はするなよ」
『分かってるって』
鈴鬼は、少しだけ笑った。
息子を戦場に出さずに済む。
それでも、ユウは仲間として戦いに参加している。
それが、鈴鬼にとって理想の形だった。
ベルーガが前進翼を広げ、滑走を開始する。
『ベルーガ、離陸するニャ!』
機体は地面を離れ、密林の上空へと飛び立った。
チャトランの自律制御によって、ベルーガは予定経路を進む。
その間に、ユウは基地からガンダムの遠隔操縦を行い、鈴鬼たちの位置に合わせて機体を移動させた。
ただし、すべてをAI任せにするわけではない。
チャトランが射撃照準や回避の補助を行い、最終的な判断と操縦はユウや鈴鬼が担う。
人間が考え、AIが支える。
それがBDFの基本方針だった。
ところが、目的地まであと少しというところで、ベルーガから警告が入った。
『前方にザク三機を確認ニャ! 輸送経路と交差する位置にいるニャ!』
鈴鬼は操縦桿を握り直した。
「……初仕事から歓迎されてるな」
トミーの声が通信に入る。
『どうするの? 迂回する?』
「いや、輸送車両を遠回りさせるには時間がかかる。俺が前に出る。トミーは車列を守ってくれ。ユウ、ガンダムで後方から援護を頼む」
『了解!』
基地の管制席で、ユウはガンダムの遠隔操縦を開始した。
チャトランが通信を中継し、機体の姿勢制御を補助する。
『ユウ、敵機の射撃照準を予測するニャ! 右へ回避するニャ!』
『分かった!』
ガンダムが敵の射線を外れ、ロングライフルを構えた。
一方、鈴鬼の青いジムは大型ガトリングを構え、ザクの動きを牽制する。
トミーのピンクのジムは、輸送車両との間に立ち、強化シールドを構えた。
「させるかよ!」
鈴鬼がガトリングを撃つ。
敵の一機が回避した瞬間、ユウのガンダムがロングライフルを放った。
ザクは射線から逃れようと大きく動き、その隙にトミーが前進する。
『鈴鬼、こっちは任せて!』
「頼んだ!」
短い交戦の末、ザク三機は撤退した。
輸送車両は無事。
負傷者も出なかった。
『任務完了ニャ! みんな、無事でよかったニャ!』
鈴鬼はコックピットで息を吐いた。
「よし。これで初仕事は成功だな」
基地では、ユウが安堵の息をついていた。
自分は安全な場所にいた。
それでも、自分の操縦が父と母を支えたのだ。
「……僕も、ちゃんと役に立てたんだ」
その声を、チャトランが拾った。
『もちろんニャ! ユウも立派なBDFの一員ニャ!』
ユウは笑った。
「ありがとう、チャトラン」
『どういたしましてニャ!』
こうして、BDFは最初の任務を成功させた。
第四話 少しずつ、家族になる
仕事が軌道に乗り始めた頃、鈴鬼は隣人たちとの関係を少しずつ深めていった。
101号室のエルは、相変わらず引きこもり気味だった。
ただし、玄関前に置かれた食料を受け取るだけだった頃と比べれば、少しずつ変化が見えていた。
ある日、鈴鬼がガンプラの箱を抱えて廊下を歩いていると、エルの部屋の扉が少しだけ開いた。
「……それ、ガンダムですか?」
「おう。作りかけだけどな」
「……見せてもらってもいいですか?」
鈴鬼は驚いた。
「もちろん!」
その日、エルは初めて鈴鬼の部屋に入った。
彼女はガンプラを手に取り、細かな改修箇所をじっと見つめた。
「……すごいですね。これ、全部自分で作ったんですか?」
「まあな。趣味だから」
エルは少しだけ笑った。
「……私も、こういうの好きです」
それは、彼女が転移後に初めて見せた、自然な笑顔だった。
201号室のルークは、鈴鬼一家の家計や仕事の相談に乗るようになっていた。
「輸送任務だけでは、今後の収入が不安定になる可能性があります。救助や物資回収も請け負ってはどうでしょう?」
「なるほどな。確かに、仕事の幅を広げた方がいいか」
「必要なら、私も手伝います」
鈴鬼は笑った。
「助かるよ、ルーク」
202号室のKKは、相変わらず密林で忍者修行を続けていた。
ただし、鈴鬼が仕事から帰ってくると、時々玄関前で待っているようになった。
「スズキサン! キョウ、ワタシ、スゴイ発見、シマシタ!」
「おっ、何だ?」
「ジャングル、ヘビ、イマス!」
「……そりゃ、いるだろ」
「デモ、ワタシ、ヘビ、ニガテデス!」
「忍者修行はどうした!?」
そんなやり取りを繰り返すうちに、KKも鈴鬼一家と打ち解けていった。
そして、ある晩。
鈴鬼が夕食を作っていると、エル、ルーク、KKがそれぞれ顔を出した。
「……あの、鈴鬼さん。夕食、まだありますか?」
エルが尋ねる。
「あるぞ。カレーだけど、食べていくか?」
「……はい」
ルークも頷いた。
「私もご一緒してよろしいですか?」
「もちろんだ」
KKは嬉しそうに手を挙げた。
「ワタシ、カレー、ダイスキデス!」
トミーが笑った。
「じゃあ、みんなで食べようか」
その夜、102号室の食卓には、六人分のカレーが並んだ。
誰も、まだBDFの正式な隊員ではなかった。
けれど、食卓を囲む彼らの間には、確かなつながりが生まれ始めていた。
第五話 BDF、始動
それから数週間。
鈴鬼一家の会社は、少しずつ仕事を増やしていった。
輸送、護衛、救助、物資回収。
エルは射撃と索敵、ルークは救助と医療、KKは偵察と情報収集で、それぞれの能力を発揮するようになった。
やがて三人は、正式にBDFへ加入することを決めた。
エルは、最初こそ鈴鬼を「鈴鬼さん」と呼んでいた。
ルークも、最初は対等な協力者として接していた。
KKに至っては、しばらくの間、鈴鬼を「スズキサン」と呼び続けていた。
しかし、何度も任務を共にし、鈴鬼が仲間を守るために前に立つ姿を見ていくうちに、少しずつ呼び方が変わっていった。
「隊長、次の任務の経路ですが……」
エルが自然にそう呼んだとき、鈴鬼は少し照れくさそうに笑った。
「おう。よろしく頼む」
KKも、敬礼らしき動作をした。
「タイチョウ! ワタシ、ニンジャ修行、ヤリマシタ! キョウモ、ガンバリマス!」
「いや、任務前にちゃんと装備確認しろよ!」
「ハイ! 装備確認、ダイジデス!」
ルークは苦笑した。
「……賑やかになりましたね」
トミーは、六人を見渡して微笑んだ。
「最初はどうなることかと思ったけどね」
鈴鬼は頷いた。
「そうだな。でも、これで少しは安心できる」
彼は、アパートの窓から外を眺めた。
この小さな建物が、彼らの生活の中心になっていた。
戦場でどんなことが起きても、ここに帰ってくれば食事がある。
眠る場所がある。
そして、仲間がいる。
鈴鬼は、心の中で決めていた。
この場所だけは、絶対に守る。
家族を守る。
仲間を守る。
そして、彼らが帰ってくる場所を守る。
それが、BDFの原点だった。
第六話 蒼き盾のガンダム
BDFの仕事が増えるにつれ、鈴鬼の青いジム寒冷地仕様にも限界が見え始めた。
大型ガトリング、大型シールド、ロングソード。
実用性を重視した改修機ではあったが、激しい戦闘では装甲や出力に余裕が足りなかった。
ある護衛任務で、鈴鬼は複数のザクに囲まれた。
「隊長! 右から敵機接近!」
エルの声が通信に響く。
「了解! ユウ、後方から援護を頼む!」
『分かった、父さん!』
基地からユウが遠隔操縦するガンダムが、ロングライフルを構える。
『チャトラン、照準補正!』
『了解ニャ! 敵機の回避方向を予測するニャ!』
ユウの射撃が敵の動きを牽制する。
その間に、トミーのピンクのジムが鈴鬼を援護し、ルークは負傷者の搬送を指揮する。
KKは安全な撤退経路を確保し、エルは狙撃で敵の動きを抑えていた。
全員の連携によって、BDFは任務を完了した。
しかし、帰還した鈴鬼の機体は損傷していた。
整備用ハンガーで、鈴鬼は愛機を見上げた。
「……よく頑張ったな」
この機体が弱いわけではない。
だが、これから先、もっと危険な任務が増えるだろう。
鈴鬼は、自分の部屋に戻り、白い箱を取り出した。
RX-78-2 ガンダム。
「……そろそろ、俺も本気を出すか」
その夜、鈴鬼は新しい専用機の製作に取りかかった。
ベースはRX-78ガンダム。
主兵装は、長大なガンランス。
そして、機体の半身を覆う大型シールド。
白を基調に青を配したカラーリング。
必要な箇所には追加装甲を施し、武装の重量に耐えられるよう各部を補強する。
ただ強いだけではない。
仲間を守り、撤退路を確保し、救助対象を安全な場所まで送り届けるための機体。
「俺が前に立つ。なら、俺が一番頑丈じゃないと話にならん」
最後のパーツを取り付け、塗装を確認する。
そして――完成。
鈴鬼はガンプラを両手で持ち上げた。
「……よし」
「来い!」
青白い光が格納庫を満たした。
轟音とともに、巨大なガンダムが立ち上がる。
右手にはガンランス。
左腕には大型シールド。
頭部のツインアイが緑色に輝いた。
「……おお」
鈴鬼は、思わず笑った。
「やっぱり、ガンダムはいいなぁ……!」
トミーが駆けつけた。
「すごいじゃない!」
「だろ?」
「でも、これならもっと危ない仕事もできちゃうね」
鈴鬼は首を横に振った。
「いや。無茶をするために作ったんじゃない」
大型シールドに手を添える。
「今までなら守り切れなかった人たちを、守れるようにするためだ」
エルが静かに頷いた。
「……隊長らしいですね」
ルークも笑った。
「これなら救助任務の選択肢も増えそうです」
KKはガンダムを見上げた。
「スゴイデスネ……。デモ、タイチョウ。コレ、ドア、トオレマスカ?」
「通れるわけないだろ! 外に出てから召喚するんだよ!」
「ナルホド! ソレハ、ベンリデス!」
格納庫に笑い声が響いた。
こうして、鈴鬼専用ガンダムが誕生した。
エピローグ 帰る場所
翌朝。
BDFの格納庫に、連邦軍から通信が入った。
『こちらジャブロー補給基地。至急、輸送車両の護衛を依頼したい。目的地付近でジオン軍の活動が確認されている』
鈴鬼は通信機を取った。
「こちらBDF。依頼内容を確認する。輸送物資、車両数、目的地、予定経路を送ってくれ」
通信を切り、仲間たちを振り返る。
「聞いたな。出発準備だ!」
「了解!」
トミーはピンクのジムを起動する。
エルは狙撃装備を確認し、ルークは救助機材を点検する。
KKは偵察装備を整え、ベルーガはチャトランの自律制御で出動準備を始めた。
基地では、ユウが遠隔操縦用の管制席に座っていた。
「チャトラン、システムチェック!」
『了解ニャ! 遠隔操縦回線、正常ニャ! 照準補正、回避支援、戦術サポート、すべて準備完了ニャ!』
「よし。みんな、気をつけてね!」
鈴鬼はガンダムのコックピットへ乗り込んだ。
計器類が起動する。
機体各部の状態が表示される。
すべて正常。
『RX-78改、システム起動』
鈴鬼は操縦桿を握り直した。
「よし。BDF、出撃するぞ!」
ガンダムが歩き出す。
その背中には、大型シールドがあった。
敵を倒すためだけではない。
仲間を守り、誰かを救い、明日へ帰るための盾。
そして、彼らが帰還した先には、四部屋の小さなアパートがある。
そこには、食卓がある。
それぞれの部屋がある。
家族と仲間がいる。
戦争を終わらせる英雄になるつもりはない。
歴史を変える救世主になるつもりもない。
ただ、仕事をして、報酬をもらって、仲間を守って、生きて帰る。
それが鈴鬼の流儀だった。
宇宙世紀0079年。
一年戦争の片隅で、ひとりのガンダムオタクと、その家族、そして集まってきた仲間たちが、新たな歴史を歩み始めた。
Beluga Defensive Force。
略して、BDF。
彼らの戦いは、まだ始まったばかりだった。
最後はAIに背景合成してもらいました。
脳内設定を文章化するのはプラモ作りと同じくらい楽しかったですね(笑)
スマホだけで投稿してるので上手く編集できないのが今後の課題です。
ずっと文章作っててリアルのトミーは不満そうでしたけどね(๑•﹏•)










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まずは、鈴鬼さんのガンダム!
巨大なガンランスとシールドが目を引きますが、本体にもいろいろと手が入っていて、魅力的な仕上がり!そして、ベルーガに乗った姿が、また、カッコいい!
鈴鬼さん、もしかしてネコちゃん飼ってます?現実の奥様と息子さんが登場して・・・では、チャトランは・・・?名前も、言葉遣いもネコですよね。
ストーリーパート、とても面白くて、一気に読みました。
「ガンダムの世界に迷い込んでしまう」それは、ガンダムファン、ガンプラファンにとって、共有、共感出来る夢のひとつですよね。
最前線に立って、ヒーローの如く縦横無尽に戦う・・・のではなく、仕事をして、報酬をもらって、仲間を守って、生きて帰る、という「流儀」!大人な脳内設定で素敵です!
これは、続きが楽しみになって参りました!フォローさせていただきます!
コメントありがとうございます!
ガンダムはバックパック差し替えでノーマルと推進力強化型に変更できます( ╹▽╹ )
強化型はMGガンダムの内部フレームを芯にしました〜!
猫ではなく元熱帯魚屋の関係でナマズ好きなので昔飼ってましたが、ナマズはキャットフィッシュなので似たようなものですね(違うw)
BDF機体を繋ぐ戦術AI「CHAT-LAN」でチャトランです(☆▽☆)
昔、飲み屋で偶然ムツゴロウさんと同席した事があるので子猫物語の影響もありますね(笑)
フォローありがとうございます!
よろしくお願いします(≧▽≦)
初の試みで文章ファイルの選択を間違えていました!
意味不明で申し訳ありませんでした(´;ω;`)
500円札でガンプラ買ってた心と技術は永遠の13歳。
Zガンダム以前の時系列のMSばかり買っては素組みして満足しているが、本当は狂四郎の影響でオリジナル機体にするのが好き。
コロンブス級改・強襲輸送艦BDF−1。
「転生したら宇宙世紀0079のジャブローだった」という妄想設…
GUNSTAよ!私は帰ってきた!!(笑)自作コアブースター「…
前回投稿から1年ぶりの投稿になります(-_-;) 子供が歩く…
HG ドラケンG
HGドラケンです!!(• ▽ …
密林のガンキャノン
自宅ごとジャブロー地下洞窟に転生しちゃった鈴鬼が、地上の防衛…