ガンスタユーザーの皆様、特に私をフォローしてくださっている皆様、いつも大変お世話になっております。
昨年10月から外国へ旅に出ていましたが、現在諸事情により一時帰国中です。
フィンランドからヨーロッパを南下し、スペインからフェリーでモロッコへ移動していたのですが、そのモロッコでとんでもないことが起きました。
現地民にスマートフォンを奪われてしまったのです。
その日はカサブランカという街からマラケシュという街へ移動するためのバスに乗るべく、カサブランカのバスターミナルへ移動していました。 カサブランカ滞在最後の日ということで、街の風景をスマホで撮影していたところ、黒人の男性が「何を撮っている? 見せろ!」と言って近づいてきました。 どうやら、自分が撮られたと思ったようです。
当然抵抗したのですが、近くにいた仲間数人を呼び、黒人3、4人に囲まれ為す術もなく、スマホを強奪されてしまいました。
もちろんその後警察に言ったのですが、スマホが返ってくることはありませんでした。
旅を続けていく上で、スマートフォンは必需品です。 宿の予約もバスのチケットもスマホのメールやアプリの中に入っていますし、グーグルマップが無ければ宿に到着することさえままなりません。
それまでも小さなトラブルはありましたが、今回ばかりはこのまま旅を続けるのは不可能だと判断し、一時帰国することを決めました。
幸い日本に帰国してスマホを買い直したら、写真などのデータや電話番号、メールアドレスはすべて元通りになりました。
日本に帰ってきた直後は、ここで旅を打ち切ろうかとも思いましたが、やはり世界をグルッと一周するという目標は諦めきれません。 1ヶ月ほど休憩と準備を行い、再び旅に出発するつもりです。
「逃げたら1つ、進めば2つ」
「水星の魔女」後半では呪いのような言葉になってしまいましたが、私はこの言葉を胸に進み続けたいと思います。
旅から逃げたら、日本での平穏で安全な暮らしが手に入ります。 しかし進めば、今まで見たこともない絶景や想像もできなかった体験、ステキな人たちとの出会いが手に入るハズです。
フィンランドでは雪も凍り付くマイナス6度の中、真夜中に道を間違えて氷を踏み抜き水たまりに足を踏み入れ、ズボンの裾がカチカチに凍り付きながらも、念願だったオーロラをこの目で見ることができました。
ドイツでは財布をスられ(幸い財布はすぐに取り返しましたが、350ユーロ=およそ5万円が消えていました)「もう誰も信じられない・・・」と思っていた自分に食べ物を分けてくれたり、親身に接してくれる人たち、ビアガーデンで見知らぬ東洋人の私にビールをおごってくれたおばあさんとの出会いがありました。
こちらも是非訪れたかったスペインのクエンカという街で、帰りのバス代が無く、ダメ元で手持ちのタバコ数本を買ってくれないか、と持ちかけた老夫婦は、自分たちが英語が分からないにも関わらず、近くにいた若者グループを呼んでまで通訳をしてくれ、タバコは受け取らずバス代を恵んでくれました。
バルト三国はリトアニアでは、スマホが動かなくなって困り果てていたとき、相談に訪れたケータイショップの店員さんが、親切丁寧に修理屋を紹介してくれました。
ポーランドでは軍事博物館を訪れることができ、生まれて初めて本物のT-34/76戦車や数々の銃器を見ることもできました。
フィンランドのヘルシンキでは、模型屋の70歳くらいの店主と模型について楽しく語り合うこともできました。 曰く「日本のタミヤの模型はパーツの精度が素晴らしいが、最近は値段が上がってしまってなかなか売れない」とのことでした。
逃げずに進めば、きっとまた素晴らしいことが待ち受けている、と思えます。
ちなみに、上の写真はドイツのオモチャ屋で見つけたHGUCのズゴック(値段は28,99ユーロ、およそ5000円です・・・)です。 海外にもガンプラを楽しんでいる方がいるというのは、やはり嬉しいモノですね。
またしばらくガンスタにはアクセスできなくなるかもしれませんが、私は進むことを選びたいと思います。
最後になりますが、3ヶ月前に連載(?)が止まっていた「第04MS小隊シリーズ ア・バオア・クー編」完結編を投稿しましたので、ご興味のある方は是非ご覧になってください。
特殊部隊との死闘(後編)
ピーターの興奮したような声がインカムから聞こえたのは、青いキャノン付を撃破したのとほぼ同時だった。
「これでビーム砲をぶち込めばおしまいだ!」
「・・・なるほど。 そこがビームの発射口なんですね」
その直後、聞き覚えのない女の声が小さく聞こえた。
次の瞬間、けたたましい轟音が聞こえたと思ったら、インカムからザーッという耳障りなノイズが流れた。
「・・・ピーター? おい、ピーター! 応答しろ!!」
ピーターの声は聞こえず、インカムからは相変わらずノイズだけが響いている。 そんな・・・ピーターまで・・・。
目の前にいたオレンジのやせっぽちが、ふいに俺の前からどこかへ向かっていった。 操縦桿を握る手に力が入らず、呆然とその様子を見ていると、ソイツのコクピットが開くのが見えた。 中からノーマルスーツを着たパイロットが現れ、先ほどピーターがスナイパーを追いかけていった方からゆっくりと近づいてきた人影を中に引っ張り込んだ。 おそらく、さっきのスナイパーのパイロットを回収したのだろう。
・・・そうか、あのスナイパーのパイロットは生きているのか。 ローレンの、ピーターの命を奪った、あのスナイパーが・・・!
「・・・俺は、お前だけは絶対に許せない!」
戦う理由が、見つかった気がした。
「イエヴァ、ケガはないか?」
クロサワ中尉は自機のコクピットに、乗機のジム・スナイパーカスタムを失ったハルコネン少尉を引っ張り込みながら声を掛けた。
「・・・はい。 すみません。 モビルスーツは敵機の爆発に巻き込まれて失いました」
彼女にしては珍しく、素直に謝罪を口にする。
「お前が無事なら、とりあえずはそれでいい」
クロサワ中尉も、いつになく優しい言葉を彼女にかける。
「それよりも、あそこにジョバンニを殺した敵がいる。 仇を取るぞ!」
「・・・はい!」
あのやせっぽちの中に、ローレンとピーターの仇がいる。 絶対にここで倒す・・・!
俺は決意を込めて操縦桿を握りしめ、ゲルググの右手にグレネードランチャー付ビームライフルを、左手に背部から抜いたビームナギナタを構えさせた。 格闘戦が得意なパイロット、たとえばハウプトマン隊長なら、ナギナタの両側からビームの刃を出して使うのだろうが、俺は片刃のほうが使いやすい。
スコープを覗き込み、相手と距離を詰めすぎないようにしながらビームライフルを連射する。 やせっぽちはかなり機動性が高いようで、次々と放たれるビームをかわしながら反撃してくる。
あの機動性、射撃戦では埒が明かないかもしれない・・・。 グレネードなんてとっくに撃ち尽くしたし、ビームライフルのエネルギーも、もう持たない。 格闘戦を仕掛けようかとも思ったが、さっきシールドに食らった一撃を見るに、相手は相当近接戦に自信があるようだ。 「俺では」勝ち目はないだろう。 何としてもあの2人の仇を自分で取りたいという気持ちを必死に抑え、俺はインカムの無線周波数をいじった。
「さっきも感じたが、さすが新型だ。 良い機動性をしている。 パイロットの腕も悪くないな。 俺たちが近づけないよう、的確に狙って撃ってきている。 おまけに、こちらの射撃も一切当たらないときた」
ジム・コマンドライトアーマーのコクピットで、クロサワ中尉は敵モビルスーツの性能とパイロットの技量に感心していた。
「・・・そんな適当な狙いで、当たるわけがないじゃないですか。 相手の技量だけが原因ではありませんよ」
助かった安心感からか、ハルコネン少尉はいつも通りの毒舌を、隊長であるクロサワ中尉に向ける。
「・・・私が乗っているからといって、遠慮する必要はありませんよ。 いつも通りの動きで、さっさと相手に近づいて仕留めて下さい」
「・・・舌を噛んでも知らんぞ・・・!」
そう言うが早いか、クロサワ中尉は操縦桿を前に押し込み、ペダルを一気に踏み込んだ。 その動きが伝わったジム・コマンドライトアーマーは、一気に新型に向かっていった。
やせっぽちが急に速度を上げたので、俺は思わず息を呑んだ。 アイツ、さっきまでとはまるで動きが違う。 もう容赦なしってわけか・・・。
サーベルを横一文字に構え、加速を利用して一気に俺のゲルググを切り裂くつもりだ。 クソッ、ここまでか・・・!
しかしそのビームの刃は、すんでのところで何かに防がれた。 俺とやせっぽちの間にどこからか割って入ってきた、黄土色の機体がビームの刃を差し込んできたのである。
「無事か、サム!?」
「隊長! 助かりました。 ・・・それと、申し訳ありません。 ピーターと、ローレンが・・・」
思わず声が掠れてしまう。 先ほど無線で簡単に状況を説明すると、隊長は部下を死なせた俺を責めるでもなく「すぐに行く。 絶対に死ぬな!」と言ってくれたのだ。
「今それは言いっこなしだ。 とにかくブラックが来るまで、コイツを抑えるぞ」
「了解!」
先ほど隊長が簡単に説明してくれたが、第1分隊はア・バオア・クーに侵攻してくる大規模な敵部隊と鉢合わせ、かなりの乱戦になっていたようだ。 その中でイヴァンのリックドムが両脚をやられて戦闘不能になり、ブラックさんに援護されながら「トラツグミ」に後退することになったらしい。 幸いにもイヴァンは無事なようだが、ブラックさんはリックドムを母艦まで引っ張っていかねばならず、とりあえず隊長が単機で援護に来てくれたということだった。
「・・・隊長。 皮肉な話なんですけど、俺、あの二人を失って、初めて自分の戦う理由ができた気がします」
こんなときに何を言っているんだと自分でも呆れながら、つい隊長にこぼしてしまう。
「・・・そうか。 だけど今は、とにかく生き残るために戦わないとね。 アンタたちが生き残ってくれることが、私の戦う理由なんだから」
「・・・はい!」
「もう武器が全部弾切れなんだって? じゃあ、とりあえず死なないように自衛だけしながら、そこでよく見ておきなよ」
顔なんて見えるはずもないのに、隊長の得意顔が見えるような、そんな、自信に満ちた声だった。
「この武器は、こうやって使うんだよ・・・!」
そう言うと隊長のゲルググは、それまで相手のビームサーベルを抑えていた「上の刃」で相手のサーベルをいなしながらビームナギナタを半回転させ、「下の刃」で銃を持った右腕を切り落とした。
・・・やっぱり、俺に両刃のナギナタを使いこなすのは無理そうだな・・・。
だが、そんな呑気なことを考えている場合ではなかった。
なんとやせっぽちは、左脚で隊長のビームナギナタの柄を蹴り飛ばしたのだ。 その勢いのまま半回転して右脚で隊長のゲルググの頭を蹴り、さらにもう半回転して勢いをつけたビームサーベルの一太刀でコクピットの真下、ゲルググの腰のあたりをバッサリと切り裂いた。
ビームサーベルを食らったのはちょうど腰のスラスターに推進剤を送るタンクの辺りだったらしく、隊長が乗るゲルググの上半身は、その爆発でどこかに吹き飛んで行ってしまった。
「隊長・・・」絶望的な気持ちになった瞬間、後方から二本のビームとバズーカの砲弾が飛んできた。
「サム、無事か!?」
「先輩、生きてますか?」
無線に声が届く。 ブラックさんとイヴァンだ。 二人が援軍として駆けつけてくれたのを見ると、やせっぽちは俺のゲルググに向かって何か黒っぽいものを投げつけてきた。 それがハンド・グレネードだと分かったのは、ゲルググの頭部が吹き飛ばされ、メインカメラがブラックアウトしたあとだった。 やせっぽちは、そのまま後退していった。
「・・・隊長・・・」
「さすがに3機相手は分が悪すぎる。 しかも、そのうち2機は新型だぞ。 残念だが、ここは後退しかない」
ジム・コマンドライトアーマーのコクピットで不満そうなハルコネン少尉に、クロサワ中尉は苦虫を噛み潰したような顔で答えた。
「ブラックさん! イヴァン! ていうかイヴァン、お前リックドムやられたんじゃ・・・?」
「『トラツグミ』のすぐ近くにシャロン姐さんの補給艦がちょうど来てて、新品に乗り換えてきたっす。 てか、中隊長は?」
状況がよくわかっていないらしく、イヴァンは隊長のゲルググを探している。 俺は泣きじゃくりながらも、なんとか二人に状況を説明した。
母艦であるザンジバル級「ヌエ」に着艦した俺たちに艦長は、つい先ほど、ギレン総帥とキシリア少将が立て続けに戦死した、と告げた。 それは事実上、俺たちジオン公国軍の敗北を意味していた。 だが俺にとっては、そんなことはもうどうでもよかった。
ローレン・リー曹長・・・・・・戦死
ピーター・マシアス曹長・・・・戦死
リリー・ハウプトマン大尉・・・MIA(戦闘中行方不明)
UC.0080、俺たちの戦争はこの日、ようやく終わりを迎えた。
2年後、UC.0082
「では確認しますね。 お届けする品は武器弾薬類と食料、それとゲルググ・マリーネが1機。 お届け先はシベリアに潜伏中の『同志』の元。 以上でお間違いないですね?」
宇宙でいまだに活動を続けているジオン残党の母艦であるムサイ級の指揮官に、荷物と送り先の最終確認を行う。 問題なさそうなので、俺たちが仕事で使っているコムサイの操縦手に連絡を送った。
戦後、一年戦争と呼ばれることになったあの戦争から2年が経過していた。
ブラックさんは軍を除隊し、今はサイド3で奥さんや子供と暮らしながら、民間の建設会社で働いているらしい。 イヴァンは意外なことに、今はジオン共和国軍となった軍に残って、モビルスーツパイロットを育成する教官になっているそうだ。
そして俺は、とある「運送会社」で働いていた。 もちろん一般的な荷物を運ぶ仕事がほとんどだが、今回のように、戦後も秘かに活動を続けている旧ジオン公国軍残党からの、非合法な仕事を請け負うこともある。 というか、そちらの方が単価が高くていい儲けになるのだ。
「サム、今回の運送だが、ルナツー艦隊の哨戒ルートを横切ることになる。 万が一に備えておいてくれ」
「了解」
コムサイの操縦手の言葉に、俺は格納庫内に積まれた運送会社の作業用、という名目の、実質的には自衛用モビルスーツ「リックドムⅡ」のコクピット内から返事をする。 作業用モビルスーツという名目なので胸部の拡散ビーム砲は封印してあるが、先ほど荷物の送り主から、万が一の時には品物のMMP-80 90mmマシンガンとシュツルムファウストを使えるよう許可をもらっておいた。 それと、格納庫内にはヒートサーベルも隠してある。 これらを使う機会がないと良いんだが・・・。
「そろそろ大気圏に突入する。 各員、周囲の警戒も怠るなよ」
操縦手の言葉に、深呼吸をして改めてリックドムⅡの操縦桿を握り直す。
2年前のあの日、確かに一年戦争は終わった。 しかし、ピーターとローレン、そして隊長の仇を取ることを、俺は諦めたわけではなかった。
俺の戦いは、まだこれからだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・fin
ピーターの興奮したような声がインカムから聞こえたのは、青いキャノン付を撃破したのとほぼ同時だった。
「これでビーム砲をぶち込めばおしまいだ!」
「・・・なるほど。 そこがビームの発射口なんですね」
その直後、聞き覚えのない女の声が小さく聞こえた。
次の瞬間、けたたましい轟音が聞こえたと思ったら、インカムからザーッという耳障りなノイズが流れた。
「・・・ピーター? おい、ピーター! 応答しろ!!」
ピーターの声は聞こえず、インカムからは相変わらずノイズだけが響いている。 そんな・・・ピーターまで・・・。
目の前にいたオレンジのやせっぽちが、ふいに俺の前からどこかへ向かっていった。 操縦桿を握る手に力が入らず、呆然とその様子を見ていると、ソイツのコクピットが開くのが見えた。 中からノーマルスーツを着たパイロットが現れ、先ほどピーターがスナイパーを追いかけていった方からゆっくりと近づいてきた人影を中に引っ張り込んだ。 おそらく、さっきのスナイパーのパイロットを回収したのだろう。
・・・そうか、あのスナイパーのパイロットは生きているのか。 ローレンの、ピーターの命を奪った、あのスナイパーが・・・!
「・・・俺は、お前だけは絶対に許せない!」
戦う理由が、見つかった気がした。
「イエヴァ、ケガはないか?」
クロサワ中尉は自機のコクピットに、乗機のジム・スナイパーカスタムを失ったハルコネン少尉を引っ張り込みながら声を掛けた。
「・・・はい。 すみません。 モビルスーツは敵機の爆発に巻き込まれて失いました」
彼女にしては珍しく、素直に謝罪を口にする。
「お前が無事なら、とりあえずはそれでいい」
クロサワ中尉も、いつになく優しい言葉を彼女にかける。
「それよりも、あそこにジョバンニを殺した敵がいる。 仇を取るぞ!」
「・・・はい!」
あのやせっぽちの中に、ローレンとピーターの仇がいる。 絶対にここで倒す・・・!
俺は決意を込めて操縦桿を握りしめ、ゲルググの右手にグレネードランチャー付ビームライフルを、左手に背部から抜いたビームナギナタを構えさせた。 格闘戦が得意なパイロット、たとえばハウプトマン隊長なら、ナギナタの両側からビームの刃を出して使うのだろうが、俺は片刃のほうが使いやすい。
スコープを覗き込み、相手と距離を詰めすぎないようにしながらビームライフルを連射する。 やせっぽちはかなり機動性が高いようで、次々と放たれるビームをかわしながら反撃してくる。
あの機動性、射撃戦では埒が明かないかもしれない・・・。 グレネードなんてとっくに撃ち尽くしたし、ビームライフルのエネルギーも、もう持たない。 格闘戦を仕掛けようかとも思ったが、さっきシールドに食らった一撃を見るに、相手は相当近接戦に自信があるようだ。 「俺では」勝ち目はないだろう。 何としてもあの2人の仇を自分で取りたいという気持ちを必死に抑え、俺はインカムの無線周波数をいじった。
「さっきも感じたが、さすが新型だ。 良い機動性をしている。 パイロットの腕も悪くないな。 俺たちが近づけないよう、的確に狙って撃ってきている。 おまけに、こちらの射撃も一切当たらないときた」
ジム・コマンドライトアーマーのコクピットで、クロサワ中尉は敵モビルスーツの性能とパイロットの技量に感心していた。
「・・・そんな適当な狙いで、当たるわけがないじゃないですか。 相手の技量だけが原因ではありませんよ」
助かった安心感からか、ハルコネン少尉はいつも通りの毒舌を、隊長であるクロサワ中尉に向ける。
「・・・私が乗っているからといって、遠慮する必要はありませんよ。 いつも通りの動きで、さっさと相手に近づいて仕留めて下さい」
「・・・舌を噛んでも知らんぞ・・・!」
そう言うが早いか、クロサワ中尉は操縦桿を前に押し込み、ペダルを一気に踏み込んだ。 その動きが伝わったジム・コマンドライトアーマーは、一気に新型に向かっていった。
やせっぽちが急に速度を上げたので、俺は思わず息を呑んだ。 アイツ、さっきまでとはまるで動きが違う。 もう容赦なしってわけか・・・。
サーベルを横一文字に構え、加速を利用して一気に俺のゲルググを切り裂くつもりだ。 クソッ、ここまでか・・・!
しかしそのビームの刃は、すんでのところで何かに防がれた。 俺とやせっぽちの間にどこからか割って入ってきた、黄土色の機体がビームの刃を差し込んできたのである。
「無事か、サム!?」
「隊長! 助かりました。 ・・・それと、申し訳ありません。 ピーターと、ローレンが・・・」
思わず声が掠れてしまう。 先ほど無線で簡単に状況を説明すると、隊長は部下を死なせた俺を責めるでもなく「すぐに行く。 絶対に死ぬな!」と言ってくれたのだ。
「今それは言いっこなしだ。 とにかくブラックが来るまで、コイツを抑えるぞ」
「了解!」
先ほど隊長が簡単に説明してくれたが、第1分隊はア・バオア・クーに侵攻してくる大規模な敵部隊と鉢合わせ、かなりの乱戦になっていたようだ。 その中でイヴァンのリックドムが両脚をやられて戦闘不能になり、ブラックさんに援護されながら「トラツグミ」に後退することになったらしい。 幸いにもイヴァンは無事なようだが、ブラックさんはリックドムを母艦まで引っ張っていかねばならず、とりあえず隊長が単機で援護に来てくれたということだった。
「・・・隊長。 皮肉な話なんですけど、俺、あの二人を失って、初めて自分の戦う理由ができた気がします」
こんなときに何を言っているんだと自分でも呆れながら、つい隊長にこぼしてしまう。
「・・・そうか。 だけど今は、とにかく生き残るために戦わないとね。 アンタたちが生き残ってくれることが、私の戦う理由なんだから」
「・・・はい!」
「もう武器が全部弾切れなんだって? じゃあ、とりあえず死なないように自衛だけしながら、そこでよく見ておきなよ」
顔なんて見えるはずもないのに、隊長の得意顔が見えるような、そんな、自信に満ちた声だった。
「この武器は、こうやって使うんだよ・・・!」
そう言うと隊長のゲルググは、それまで相手のビームサーベルを抑えていた「上の刃」で相手のサーベルをいなしながらビームナギナタを半回転させ、「下の刃」で銃を持った右腕を切り落とした。
・・・やっぱり、俺に両刃のナギナタを使いこなすのは無理そうだな・・・。
だが、そんな呑気なことを考えている場合ではなかった。
なんとやせっぽちは、左脚で隊長のビームナギナタの柄を蹴り飛ばしたのだ。 その勢いのまま半回転して右脚で隊長のゲルググの頭を蹴り、さらにもう半回転して勢いをつけたビームサーベルの一太刀でコクピットの真下、ゲルググの腰のあたりをバッサリと切り裂いた。
ビームサーベルを食らったのはちょうど腰のスラスターに推進剤を送るタンクの辺りだったらしく、隊長が乗るゲルググの上半身は、その爆発でどこかに吹き飛んで行ってしまった。
「隊長・・・」絶望的な気持ちになった瞬間、後方から二本のビームとバズーカの砲弾が飛んできた。
「サム、無事か!?」
「先輩、生きてますか?」
無線に声が届く。 ブラックさんとイヴァンだ。 二人が援軍として駆けつけてくれたのを見ると、やせっぽちは俺のゲルググに向かって何か黒っぽいものを投げつけてきた。 それがハンド・グレネードだと分かったのは、ゲルググの頭部が吹き飛ばされ、メインカメラがブラックアウトしたあとだった。 やせっぽちは、そのまま後退していった。
「・・・隊長・・・」
「さすがに3機相手は分が悪すぎる。 しかも、そのうち2機は新型だぞ。 残念だが、ここは後退しかない」
ジム・コマンドライトアーマーのコクピットで不満そうなハルコネン少尉に、クロサワ中尉は苦虫を噛み潰したような顔で答えた。
「ブラックさん! イヴァン! ていうかイヴァン、お前リックドムやられたんじゃ・・・?」
「『トラツグミ』のすぐ近くにシャロン姐さんの補給艦がちょうど来てて、新品に乗り換えてきたっす。 てか、中隊長は?」
状況がよくわかっていないらしく、イヴァンは隊長のゲルググを探している。 俺は泣きじゃくりながらも、なんとか二人に状況を説明した。
母艦であるザンジバル級「ヌエ」に着艦した俺たちに艦長は、つい先ほど、ギレン総帥とキシリア少将が立て続けに戦死した、と告げた。 それは事実上、俺たちジオン公国軍の敗北を意味していた。 だが俺にとっては、そんなことはもうどうでもよかった。
ローレン・リー曹長・・・・・・戦死
ピーター・マシアス曹長・・・・戦死
リリー・ハウプトマン大尉・・・MIA(戦闘中行方不明)
UC.0080、俺たちの戦争はこの日、ようやく終わりを迎えた。
2年後、UC.0082
「では確認しますね。 お届けする品は武器弾薬類と食料、それとゲルググ・マリーネが1機。 お届け先はシベリアに潜伏中の『同志』の元。 以上でお間違いないですね?」
宇宙でいまだに活動を続けているジオン残党の母艦であるムサイ級の指揮官に、荷物と送り先の最終確認を行う。 問題なさそうなので、俺たちが仕事で使っているコムサイの操縦手に連絡を送った。
戦後、一年戦争と呼ばれることになったあの戦争から2年が経過していた。
ブラックさんは軍を除隊し、今はサイド3で奥さんや子供と暮らしながら、民間の建設会社で働いているらしい。 イヴァンは意外なことに、今はジオン共和国軍となった軍に残って、モビルスーツパイロットを育成する教官になっているそうだ。
そして俺は、とある「運送会社」で働いていた。 もちろん一般的な荷物を運ぶ仕事がほとんどだが、今回のように、戦後も秘かに活動を続けている旧ジオン公国軍残党からの、非合法な仕事を請け負うこともある。 というか、そちらの方が単価が高くていい儲けになるのだ。
「サム、今回の運送だが、ルナツー艦隊の哨戒ルートを横切ることになる。 万が一に備えておいてくれ」
「了解」
コムサイの操縦手の言葉に、俺は格納庫内に積まれた運送会社の作業用、という名目の、実質的には自衛用モビルスーツ「リックドムⅡ」のコクピット内から返事をする。 作業用モビルスーツという名目なので胸部の拡散ビーム砲は封印してあるが、先ほど荷物の送り主から、万が一の時には品物のMMP-80 90mmマシンガンとシュツルムファウストを使えるよう許可をもらっておいた。 それと、格納庫内にはヒートサーベルも隠してある。 これらを使う機会がないと良いんだが・・・。
「そろそろ大気圏に突入する。 各員、周囲の警戒も怠るなよ」
操縦手の言葉に、深呼吸をして改めてリックドムⅡの操縦桿を握り直す。
2年前のあの日、確かに一年戦争は終わった。 しかし、ピーターとローレン、そして隊長の仇を取ることを、俺は諦めたわけではなかった。
俺の戦いは、まだこれからだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・fin
ツーショット(?)
早くガンプラ作りたい!2月後半まで長いなぁぁぁ
しかもその時はSEEDのガンプラ達が…
ミキシング作ることが出来るのか?欲に負けてSEEDの機体作ってしまいそう
なんか、F-35みたいな雰囲気のずんぐりしたMA(戦闘機)が出来上がりました
そのうち小説に出します
投稿機能の不具合修正
いつもGUNSTAをご利用いただきありがとうございます。
作品投稿時の以下の2点を修正いたしました。
・タイトル未入力の場合の下書き保存
これまでは上記の方法で下書き保存しても記事が保存されない不具合がありましたが、「タイトル未入力」という名前で保存されるように修正しました。
・1日の投稿制限の解除時間
GUNSTAの1日に投稿できる作品数は2件までとなっています。
こちらの制限期間を翌日の0:00になったら解除されるようになりました。(今まで何時に解除されるか分かりずらかった)。
また、1日の投稿上限の制限が掛かった場合でも、翌日以降の予約投稿が可能となりました。
引き続き、GUNSTAをよろしくお願いいたします。
いつもGUNSTAをご利用いただきありがとうございます。
作品投稿時の以下の2点を修正いたしました。
・タイトル未入力の場合の下書き保存
これまでは上記の方法で下書き保存しても記事が保存されない不具合がありましたが、「タイトル未入力」という名前で保存されるように修正しました。
・1日の投稿制限の解除時間
GUNSTAの1日に投稿できる作品数は2件までとなっています。
こちらの制限期間を翌日の0:00になったら解除されるようになりました。(今まで何時に解除されるか分かりずらかった)。
また、1日の投稿上限の制限が掛かった場合でも、翌日以降の予約投稿が可能となりました。
引き続き、GUNSTAをよろしくお願いいたします。
2日前に投稿した陸戦型ガンダムの添付写真と内容を編集しました。
改めて再評価お願いします。
ミキシングで作成中
こんばんはgunpuraaaです。
お年玉で買ったストフリ、弟のZガンダムをミキシングして
オリジナル機体作成中です…
写真はないです。すいません
こんばんはgunpuraaaです。
お年玉で買ったストフリ、弟のZガンダムをミキシングして
オリジナル機体作成中です…
写真はないです。すいません
皆さんの記憶からいなくなってるオーチルですが、いなくなってませんよ(´・ω・`)