モルゲンレーテ社が、オーブ近海でのイージスとの戦闘で中破し回収されたストライクから取得したデータと[68]、それを修復した際に製作した予備パーツを組み上げて完成させた機体[69][70][注 14]。基本構造は元のストライクのデッドコピーであるが[68][43]、一部のパーツは高性能品に置き換えられるとともに、調整や改良がなされている[71][注 15]。新開発の大容量バッテリーパック「パワーエクステンダー」を搭載したことで、活動時間は延長されている[67]。その際のエネルギー変換効率の向上に伴ってPS装甲への供給電力も増加し、装甲起動色も赤主体に変化したことで[67]装甲強度も向上した[43][注 16]。
また、OSはナチュラル用のものを導入し[71]、操縦に不慣れなカガリをサポートするため、制御系にはオーブが独自開発した操縦支援AIシステムを搭載している[68]。建造はオーブ本国において個々のパーツが完成していたが、地球連合軍のオーブ侵攻作戦によってオノゴロ島が崩壊したことでクサナギで宇宙に運び出され、クサナギ艦内で約1ヶ月をかけて最終組み立てと調整が行われることとなった[67]。そして、パイロットには指揮官であるカガリが務める運びとなった[73]。当初の装着ストライカーは「強そうだから」というカガリの希望によりI.W.S.P.が選ばれた。技術陣としてはカガリの力量ではI.W.S.P.が扱い切れない事は解りきっていたが、当初、カガリが搭乗したストライクルージュはあくまでも戦場での士気高揚のために運用し、最前線での戦闘を想定していなかった事から了承した。運用テストにおいて装備増加に伴う操縦性の複雑さからカガリは同パックを扱い切れず、帰還後にパックの変更を要求[43]。カガリが実戦参加の意思を表した事から、エールストライカー装備での投入が決定した。エールストライカーや機体の各種調整に時間がかかり、最終的な完成は第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の直前となった[43][注 17]。しかし、ルーキーであるカガリとともにこの機体は善戦した結果、いくつかのMSや核ミサイルを撃破してジェネシスからアスラン・ザラの救出に成功する[74]。終戦後の和平期間においては、実戦で使われることのなかったI.W.S.P.を装着し、オーブの旗印として式典などで使用された[43][注 18]。C.E.73年からの大戦(『SEED DESTINY』)においては大気圏を飛行可能に改良されたエールストライカー[76][注 19]を装備し、オーブ軍への撤退勧告を行うカガリの旗印として使用された他[77]、地球連合によるベルリン侵攻の際には民衆を守るための盾として身を挺して活躍した[78]。ザフト軍によるエターナル追撃の折には、キラが搭乗したこともあった[79]。
機体構造(ルージュ)
操縦支援AIC.E.の世界においてはAI技術が普及しており、行政職務などにも支援AIが用いられている[80]。また、オーブのモルゲンレーテ社においては量子コンピュータに人格を持たせたAIを導入し、MS設計やシミュレートも行われている[81][注 20]。ストライクルージュに搭載された操縦支援AIは、ジャンク屋組合が所有する疑似人格コンピュータのデータをベースに作られたもの[73]で、操縦に不慣れなパイロットのために導入された。このAIはパイロットの操縦と状況を判断し、操縦ミスのカバーなどを行うとともに、自機に対する回避行動が自動で可能となっている[43]。その後、本機の支援AIはさらなる発展を遂げたものがアストレイ グリーンフレームに搭載された[82][注 21]。こうした支援AIによってパイロットの行動をサポートするシステムは、C.E.73年からの大戦期にはナチュラルでは広く普及されたものの、コーディネイターを擁するザフトでは人員をカバーするための無人機研究に利用されている[84]。
OS
キラ・ヤマトによって改良が加えられたナチュラル用OSを採用した[71][注 22][注 23]ほか、ヘリオポリスにて開発が進められていたナチュラル用OSの技術が試験的に追加導入されている[83]。ヘリオポリスで開発されていたこのナチュラル用OS技術は、後にさらなる発展を遂げたものがアストレイ グリーンフレームに搭載されている[83]。
パワーエクステンダー
本機の電源系統に追加された大容量パワーパック。元々はPMP社が開発を進めていたものであるが、それが暗礁に乗り上げた後にモルゲンレーテ社がデータを入手し、独自の技術を取り入れて完成にこぎつけた[90]。同機に搭載された「パワーエクステンダー」は後に一般化し[64][63]、ストライクEや[91]セカンドステージシリーズなどに搭載された[90]。
フェイズシフト装甲
元々、オーブはフェイズシフト装甲の技術を有していない国家であったが、ストライクの回収によってその取得に成功した[92]。ストライクルージュに搭載されたフェイズシフト装甲は、ストライク修復時にアメノミハシラで製造されたPS装甲材を用いている[43][注 24]。尚、ストライクルージュのフェイズシフト装甲は、原型機となったストライクとは異なり、赤色を主体としている。この起動色の変化は、パワーエクステンダー搭載によってエネルギー効率が向上したこと[67]と、搭載したAIがパイロットの生存能力を優先してエクステンダーの制御系に介入した結果による[43]。そのため、機体の設定値を変更すれば、ストライクと同様の機体カラーに変更することも可能である[85]。この技術も後に流出し、ザフトが開発するインパルスを筆頭とした「セカンドステージシリーズ」のVPS装甲は、ストライクルージュのPS装甲を雛型として開発されている[94]。
マーキング
ストライクルージュの左肩部には、「オーブの獅子」と呼ばれたカガリの父ウズミ・ナラ・アスハにちなんだ右向きの獅子にカガリが好むユリの花のパーソナルマーキングが施されている[68]。尚、このパーソナルマークのデザインは『機動戦士ガンダムSEED』アニメーションシリーズでカガリ・ユラ・アスハ役を務めた進藤尚美のアイデアを取り入れ、チーフメカ作画監督である重田智が行っている[95]また、宇宙戦闘艦クサナギの艦載機として左肩と左足首に機体識別番号「210」も記載されている[42]。
劇中での活躍(ルージュ)
『SEED』では、オーブが地球連合軍の侵攻を受けた時期にはまだパーツ自体が完成したばかりの状態であり、オーブ降伏の折にクサナギによりパーツを宇宙へ運び出され、約1か月の組立作業を経て完成した。そのため、アニメ本編での初陣はヤキン・ドゥーエ攻防戦の最終決戦時となる。同決戦においてストライクルージュはアサギ、マユラ、ジュリの死によってカガリがSEEDを発現させた結果、機体スペックを上回る活躍を見せた[96]。さらにキクチやカノウが駆るM1アストレイ、アスランのジャスティスとともにヤキン・ドゥーエへと突入、最終的にはアスランとともに生還し、プロヴィデンスとの決戦でフリーダムを大破させたキラの元へ向かっている。
一方で、書籍媒体では実戦投入に先行し、オーブ軍のキクチやカノウが乗るM1アストレイを伴いIWSP装着状態でのテストを行っている。同パックはカガリには扱いこなせるものではなかったため[97][98]、テスト終了後に装備変更を要求している[43][注 25]。また、小説版においてはアスランやアサギとともにエールストライカー装備状態での模擬戦の様子が描かれた。こちらでは危なげにデブリ帯を飛行した後、アサギのM1アストレイにレーダーロックしてみせたが、直後に姿勢制御ミスを起こし制動不能に陥ったため、ジャスティスに救出されている[70]。
『SEED DESTINY』でも、引き続きカガリの愛機として登場。第1クールのオープニングではI.W.S.P.を装備した姿で登場しているが、本編中では一貫してエールストライカーを装備していた。
ザフト軍艦隊に捕捉されて窮地に陥ったエターナルの援護のため、インパルスとの戦いでフリーダムを破壊されたキラがカガリから借り受けて使用した際、機体OSはキラの手によってかつて彼が搭乗したオリジナルのストライクと同設定に調整され、PS装甲色は同じくトリコロールに変化している[注 26]。大気圏離脱時には専用ブースターユニット「ストライクブースター」を装着し、打ち上げられた。
宇宙ではアンドリュー・バルトフェルドのガイアと合流し、ザクウォーリアやグフイグナイテッド数機を戦闘不能とするが、数と性能で上回る敵の猛攻に劣勢を強いられ、シールドごと左腕を破壊された末、四肢を欠損した状態と化してエターナルに強制着艦させられる。キラが艦内に搭載されていた新型機ストライクフリーダムに乗り換えたことで役割を終え、以降は登場しない。
ニンテンドーDSソフト『スーパーロボット大戦K』では、カガリが乗ると通常のピンクのカラーリングだが、他の『ガンダムSEED』系パイロットが乗った時は機体色がX105同様のトリコロールに変わる(シールドやツインアイなどもX105仕様になる)。
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