チュチュ専用デミトレーナー　森林用迷彩服装備

　何だこりゃ〜！、早朝、トマトの水遣りを終え、地球寮のハンガーへ入った私に聞こえてくる声、と言うか叫び声。チュアチュリー･パンランチ、独特の髪型が特徴的な一年生だ。その声の主、彼女の前には専用の、地球寮唯一の(まあ、今はもう一機あるのだけれど)MS、デミトレーナーが屹立している。どうやらそのMSに何か問題でも起きたのだろう。

　おはよう、そう声をかけながら視線を上、MSの方へと上げた私の目に入ってきたのは。･･･パジャマ？を、着た(着た？)デミトレーナー。横で喚き声をあげる彼女の様子に、他の地球寮の生徒も集まってくる。に、ニカ姐っ、ニカ姐はどこだ〜。叫ぶ彼女。そんな彼女に対しデミトレーナーの足元から声が上がる。うるさい、ねかせろ〜。そう言って足の陰から、目の下に隈を拵えたニカ･ナナウラが、その手に巨大なハンドミシンを持ち、まるで映画に出てくるゾンビのようなあしどりで･･･。あっ･･･、この間会議で決まったMS用の装備品の試作を頼んでいたっけ･･･。

　地球寮の生徒らによって開発されたパジャマ。いや、MS用迷彩服。デミトレーナー専用の装備品として複数着が学園に寄付されている。訓練時の使用も可能である。

　非常に高い防塵性能を持つ。始めは全身を覆う構造上、機体の可動域の低下と言う問題があったが、採寸の際、サイズを大きくすることにより着用時の可動域に余裕を持たせている。その為、着用時のシルエットはややずんぐりとしたものになっているが、一部の生徒からは好評のようだ。

　また、機体のほぼ全面を覆う構造上、放熱に対する問題もあったが、より通気性の高い生地を使用することで解決している。

　あくまで、「布」であることから、様々な「柄」を用意することができる。

　なお、付属する武装類は、森林用迷彩に合わせてニカ姐さんが、ジャンクパーツから新たに作り上げている。

　ビームマシンガン、肩の6連装ロケットランチャーと近、中距離用の装備構成となっている。

　従来のチュチュ専用デミトレーナーでは、大型ビームライフルの為、大型のバックパックを装備していたが、装備構成の変更に伴ない小型の物が装備されている。最大出力こそ低下しているものの、機体自体の軽量化により、高い機動性能はそのままとなっている。

「先輩、これなんかどうですか？」

「･･･トマト柄って、んな恥ずかしいもん着れるかっ」

「えぇ〜⤵️」

　こちらは都市迷彩使用、初めこれらの装備品に対し多くの生徒が懐疑的であったが、MSのシルエットを曖昧にすると言う意味での迷彩効果が高いと言うことが、目視での訓練(センサーやレーダー類を使用しない、カメラからの映像だけ)などの際、明らかになったことで、決闘時に着用した生徒もいるようだ。

　現状、「布」であるが、会議の際、･･･ってか、あれじゃね、俺らの制服とかの生地で作ったらよくね。色とか変えられるし。･･･などと言った意見があったが、その場合の予算案は丸の数がなんかヤバいことになったとか、なんとか。

　地球で戦うことになったら、役に立つのかもしれない。

「えっ･･･」

「あっ、･･･っ、な、なに見てんだ。コラ」

「じ、ジロジロ見てんじゃねぇ･･･」

「えへへ･･･」

「似合ってますよ、先輩」

「･･･っ」

　(足元には必死で笑いを堪えるニカ姐さんが･･･)

　･･･パンランチ先輩、何かが吹っ切れたのだろうか。薔薇柄である。

　こちらは、会社のCM用に仕立て上げた物だ。持っているライフルは、学園の行事などで空砲を撃つ際に使用される。木製ストック(ウォールナット材)である。･･･マジか？

　しかし、気づいたんだが、これ「着た」状態でコクピットの乗り降り出来ないんじゃ。

「オイ、バカ！やめろっ、そいつはまずい」

「･･･ってか、何だ、優男って」

　MSの服だの、MSサイズの木製ストックだの、アホみたいなネタに付き合っていただき感謝。チュチュ専用デミトレーナーのキットで水星コンに参加したいと思い、多くの方の投稿作品を見たり、ネットで画像を見ても、星の数ほどの「むせかえるような」カラーリングや、頭部に球体状のユニットが装着されていたり。なにか人と違うことをしたいと思っていたある日。某ロボットアニメのキットを画像検索していた所、目に飛び込んで来た物。

「そうだ。パジャマを着せよう」

　はたして、この元ネタがわかる人は何人いるのだろう。

　そして、本編がどんどん不穏な展開になっていく中、こんなノリで投稿する、勇気ッ！