機動水星武闘伝 G GUND-ARM

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 雪もちらつき始める中、皆さんいかがお過ごしでしょうか?…さて、今回おこなわれるアスティカシア高等専門学園の名物とも言える「決闘」。その舞台に立つのは、時期はずれに学園に転入して来た、謎の転校生「克州 土門(かしゅう どもん)」。そんな彼に対するのは、転校初日の彼に早々とちょっかいを出してきた、学園きっての不良グループ。その数、なんと15名!…グループに囲まれた彼は、三白眼で不良グループのリーダーを睨みつけ言い放ちます。

「いいだろうっ!決闘だか何だか知らないが、その勝負。受けてやるっ!…お前ら全員、まとめてかかって来い!」

 こうして、学園の決闘史上類を見ない、1対15という決闘が今、始まろうとしています。…はたして、この決闘。どのような結末になるのでしょうか?

 それでは皆さん!お待たせしました!…アスティカシア決闘…改め、GUND-ARM fight(ガンドアームファイト)!…レディィ…ゴォー!!

チャチャララ〜チャララ〜(タイトルコール)

 「戦え!土門!アスティカシアがリングだ!」

 旋風が吹き荒ぶ荒涼とした大地に、場違いなコンテナがズラリと並ぶ。それもひとつひとつが20メートルを超える巨大な物だ。それが十五基、その向かい側に一基、計十六基のコンテナが荒野の真ん中にある。異様な光景だ。それもその筈、ここはアスティカシア学園内にある、シミュレーションフィールド。そう、今ここで、「決闘」が行われようとしているのだ。 ズラリと並んだ十五基のコンテナが「口」を開け、次々とMSを吐き出していく。ディランザ、ハインドリー、ザウォート、デミトレーナーの姿もある。それらの機体は、皆、一様に派手な頭飾りを始め、機体各部に必要以上にトゲトゲが付いていたり、チェーンが巻き付けられている。そんな、何処か世紀末を感じさせるMS「達」は、自分達の向かいにポツンとあるコンテナを取り囲む。その中の一機、一際目を引く派手なピンクのモヒカンの様な頭飾りの、黒いディランザが言う。外部スピーカーだ。「オイオイ、どーしたよ。まさかビビっちまったんじゃねーだろうな?」 不良グループのリーダーだ。彼の周りの機体から笑い声が起きる。…まじか。コクピットの中で指をポキポキと鳴らしながら呟く。…本当にビビったのか?確かに15対1などという決闘なんてそうそうあるはずも無い。だが、これは向こうが言い出したことだ。こちらには何の責も無い。…もしかしたら、機体トラブルか?そんな事を考えていると、隣のサブリーダー機(巨大な一つ目の意匠の狙撃戦に特化したザウォートだ)から通信が入る。「…アレを見てみろよ」 そう言って、サブリーダー機の指がさす先、コンテナの上部、天面の上を見る。…そこには小さな人影が。…オイオイ、マジかよ。…気でも触れてんのかよ。そんな仲間達の声が聞こえる中、彼は、リーダーは何かに気付く。「おい、みんな黙れ」 コクピットのモニターに映る、「コンテナの天面に、生身のまま仁王立ちしている、克州土門の姿」をアップにしていく、そこには、彼が何かを言っている、…いや、叫んでいる姿がモニターに大写しになる。…何を言っている?外部スピーカーの音量を上げた彼らの耳に飛び込んできたもの、それは…。「一つ!勝敗は、MSの性能のみで決まらずッ!」「二つッ!操縦者の技量のみで決まらずッ!!…だだ、結果のみが真実ッ!」「三つゥ!頭部を破壊されたMSは、失格ッ!…となるッ!!」 …なんという大音声。彼はアスティカシア決闘の口上を叫んでいるのだ。…いや、ちょっとまて、最後の三つ目は知らない。いや、違う!…アイツ、ビビってたんじゃない。…アイツはやる気だ。 モニターの中で、コンテナの上に立ち、長い鉢巻とボロボロのマントをなびかせ、右手を高々と上げた土門が叫ぶ。「出ろォォォ!シャァイニングッ!ガァンドォアァームッッ!!」 高々と上げた右手の指をパチリと鳴らすと同時に、土門の足下のコンテナが初めてその「口」を開き、その中のMSを白日の元に晒す。そこには、白い機体の所々にシェルユニットの光が輝き、その頭部に二対の目を持つ人を模した…、ガンダムの姿があった。

 旋風が吹き荒ぶ荒涼とした大地に、場違いなコンテナがズラリと並ぶ。それもひとつひとつが20メートルを超える巨大な物だ。それが十五基、その向かい側に一基、計十六基のコンテナが荒野の真ん中にある。異様な光景だ。それもその筈、ここはアスティカシア学園内にある、シミュレーションフィールド。そう、今ここで、「決闘」が行われようとしているのだ。

 ズラリと並んだ十五基のコンテナが「口」を開け、次々とMSを吐き出していく。ディランザ、ハインドリー、ザウォート、デミトレーナーの姿もある。それらの機体は、皆、一様に派手な頭飾りを始め、機体各部に必要以上にトゲトゲが付いていたり、チェーンが巻き付けられている。そんな、何処か世紀末を感じさせるMS「達」は、自分達の向かいにポツンとあるコンテナを取り囲む。その中の一機、一際目を引く派手なピンクのモヒカンの様な頭飾りの、黒いディランザが言う。外部スピーカーだ。

「オイオイ、どーしたよ。まさかビビっちまったんじゃねーだろうな?」

 不良グループのリーダーだ。彼の周りの機体から笑い声が起きる。…まじか。コクピットの中で指をポキポキと鳴らしながら呟く。…本当にビビったのか?確かに15対1などという決闘なんてそうそうあるはずも無い。だが、これは向こうが言い出したことだ。こちらには何の責も無い。…もしかしたら、機体トラブルか?そんな事を考えていると、隣のサブリーダー機(巨大な一つ目の意匠の狙撃戦に特化したザウォートだ)から通信が入る。

「…アレを見てみろよ」

 そう言って、サブリーダー機の指がさす先、コンテナの上部、天面の上を見る。…そこには小さな人影が。…オイオイ、マジかよ。…気でも触れてんのかよ。そんな仲間達の声が聞こえる中、彼は、リーダーは何かに気付く。

「おい、みんな黙れ」

 コクピットのモニターに映る、「コンテナの天面に、生身のまま仁王立ちしている、克州土門の姿」をアップにしていく、そこには、彼が何かを言っている、…いや、叫んでいる姿がモニターに大写しになる。…何を言っている?外部スピーカーの音量を上げた彼らの耳に飛び込んできたもの、それは…。

「一つ!勝敗は、MSの性能のみで決まらずッ!」

「二つッ!操縦者の技量のみで決まらずッ!!…だだ、結果のみが真実ッ!」

「三つゥ!頭部を破壊されたMSは、失格ッ!…となるッ!!」

 …なんという大音声。彼はアスティカシア決闘の口上を叫んでいるのだ。…いや、ちょっとまて、最後の三つ目は知らない。いや、違う!…アイツ、ビビってたんじゃない。…アイツはやる気だ。

 モニターの中で、コンテナの上に立ち、長い鉢巻とボロボロのマントをなびかせ、右手を高々と上げた土門が叫ぶ。

「出ろォォォ!シャァイニングッ!ガァンドォアァームッッ!!」

 高々と上げた右手の指をパチリと鳴らすと同時に、土門の足下のコンテナが初めてその「口」を開き、その中のMSを白日の元に晒す。そこには、白い機体の所々にシェルユニットの光が輝き、その頭部に二対の目を持つ人を模した…、ガンダムの姿があった。

 …ガンダム?…ッガンダムだと!思わずリーダーは叫んでしまう。見れば、他の仲間達も同じように動揺しているようだ。 この動揺は、今、土門と対峙している不良グループだけのものでは無かった。この決闘を観ている生徒、教員達にも同じように拡がっている。しかし、そんな周りの動揺をよそに、土門の乗った「シャイニングガンダム」は、まるで人間のように、いや、人間そのものの動きで滑らかにその手足を動かし、KARATEを彷彿させる様に拳を、蹴りを繰り出し、「型」を極める。 その様子に、不良グループ、生徒や教員誰もが見惚れていた。しかし、次に彼らが目にしたものに再び驚嘆する。シャイニングガンダムのコクピットに立つ土門の姿がスクリーンに大写しになったのだ。コクピットの中で、シェルユニットの輝きを放つ全身タイツを着た土門がビシリ、ビシリと拳を、蹴りを繰り出すと、それと全く同じ動きをシャイニングガンダムがするのだ。…誰もが、その様子に呆気に取られている。 …さて、ここで少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?(唐突に赤いスーツに眼帯の男が現れる)…私の名前はMr.ストーカー。彼の闘いを追う者です。(男はスツールに腰掛けると足を組み話し始める)「もし、皆様方がよろしければ、現在、この世界のGUND技術がどの様になっているのか、少しご説明させて頂きましょう。…そもそも数十年前です。このアスティカシア学園でとある会社が設立されました。「株式会社ガンダム」。…当時、世界に、人々に忌み嫌われていたGUND技術を医療技術へと転換させる事を目的とした会社です。…軍事から医療へと転換されたGUND技術は、とりあえずの成功を納めました。そして今となっては、疾患を持つ人、体に不自由を持つ人々に受け入れられ、彼らにとってなくてはならないものになっていったのです。…そう、GUND医療は、世界に、人々に認められたのです。……しかし、しかしです。そんな中、奴等、そう、軍がやりやがったのです。軍事から医療へと転化したGUND技術を、再び軍事へと転換したのです。それも医療技術のままで。人からGUNDへ、たとえるならば、義肢をパーメットリンクし動かす様に、人間の動きをそのままMSに伝える新たな操縦システムをつくったのです。…「パーメットトレースシステム」。パイロットは、全身を包むシェルユニットが織り込まれたパーメットスーツを着用することにより、MSとリンク、しかも、基盤となっているのは医療としてのGUND技術の為、パーメットリンク時の副作用、負担は、ある一定の状況を除いてほとんどありません。…なんと素晴らしい操縦システムを作り出したことか。…ですが、問題がひとつあったのです。パイロットの動きがそのままMSの動きになる。ということはパイロット自身が「強く」なくてはならなかったのです。軍はそれに気付きませんでした。シートに座り、レバーやペダルでMSを操縦するエースパイロットが、生身、自身の肉体で闘っても強いとはかぎらなかったのです。…今この時代、武術の達人などそうそう居るわけがないのですから」 男はやれやれとかぶりを振ると、スツールから立ち上がる。…だが顔をあげ、着ていたジャケットをバサリと脱ぎ捨て、眼帯をむしり取る(両目はきちんと有る)と両の拳を高々と上げ言う。「ですが、…ですが!居たのです。彼こそが、流派東方無敗の継承者。最強の証、キングオブハートの称号を継ぐ者!…その名は、克州土門!彼が一体どんなファイトの嵐を吹き荒らすのか!…さあ、皆さん。お待たせしました!ガンドアームファイト!…レディィ…ゴォォッ!!」

 …ガンダム?…ッガンダムだと!思わずリーダーは叫んでしまう。見れば、他の仲間達も同じように動揺しているようだ。

 この動揺は、今、土門と対峙している不良グループだけのものでは無かった。この決闘を観ている生徒、教員達にも同じように拡がっている。しかし、そんな周りの動揺をよそに、土門の乗った「シャイニングガンダム」は、まるで人間のように、いや、人間そのものの動きで滑らかにその手足を動かし、KARATEを彷彿させる様に拳を、蹴りを繰り出し、「型」を極める。

 その様子に、不良グループ、生徒や教員誰もが見惚れていた。しかし、次に彼らが目にしたものに再び驚嘆する。シャイニングガンダムのコクピットに立つ土門の姿がスクリーンに大写しになったのだ。コクピットの中で、シェルユニットの輝きを放つ全身タイツを着た土門がビシリ、ビシリと拳を、蹴りを繰り出すと、それと全く同じ動きをシャイニングガンダムがするのだ。…誰もが、その様子に呆気に取られている。

 …さて、ここで少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?(唐突に赤いスーツに眼帯の男が現れる)…私の名前はMr.ストーカー。彼の闘いを追う者です。(男はスツールに腰掛けると足を組み話し始める)

「もし、皆様方がよろしければ、現在、この世界のGUND技術がどの様になっているのか、少しご説明させて頂きましょう。…そもそも数十年前です。このアスティカシア学園でとある会社が設立されました。「株式会社ガンダム」。…当時、世界に、人々に忌み嫌われていたGUND技術を医療技術へと転換させる事を目的とした会社です。…軍事から医療へと転換されたGUND技術は、とりあえずの成功を納めました。そして今となっては、疾患を持つ人、体に不自由を持つ人々に受け入れられ、彼らにとってなくてはならないものになっていったのです。…そう、GUND医療は、世界に、人々に認められたのです。……しかし、しかしです。そんな中、奴等、そう、軍がやりやがったのです。軍事から医療へと転化したGUND技術を、再び軍事へと転換したのです。それも医療技術のままで。人からGUNDへ、たとえるならば、義肢をパーメットリンクし動かす様に、人間の動きをそのままMSに伝える新たな操縦システムをつくったのです。…「パーメットトレースシステム」。パイロットは、全身を包むシェルユニットが織り込まれたパーメットスーツを着用することにより、MSとリンク、しかも、基盤となっているのは医療としてのGUND技術の為、パーメットリンク時の副作用、負担は、ある一定の状況を除いてほとんどありません。…なんと素晴らしい操縦システムを作り出したことか。…ですが、問題がひとつあったのです。パイロットの動きがそのままMSの動きになる。ということはパイロット自身が「強く」なくてはならなかったのです。軍はそれに気付きませんでした。シートに座り、レバーやペダルでMSを操縦するエースパイロットが、生身、自身の肉体で闘っても強いとはかぎらなかったのです。…今この時代、武術の達人などそうそう居るわけがないのですから」

 男はやれやれとかぶりを振ると、スツールから立ち上がる。…だが顔をあげ、着ていたジャケットをバサリと脱ぎ捨て、眼帯をむしり取る(両目はきちんと有る)と両の拳を高々と上げ言う。

「ですが、…ですが!居たのです。彼こそが、流派東方無敗の継承者。最強の証、キングオブハートの称号を継ぐ者!…その名は、克州土門!彼が一体どんなファイトの嵐を吹き荒らすのか!…さあ、皆さん。お待たせしました!ガンドアームファイト!…レディィ…ゴォォッ!!」

「どうした!…其方から来ないのならば、こっちからいくぞ!」 ガンドアームファイト!レディ、ゴォー!そう叫んで土門は突撃する。見る見るうちにモニターの中のシャイニングガンダムが大きくなって来る。はっと我に返ったリーダーは、冷静に、そして的確に仲間の機体に指示を出していく。「フォーメーションB!…全機距離を取れッ!」 アイツは火器らしい火器を持っちゃいねぇ!そう叫ぶと同時に、不良グループの機体がシャイニングガンダムを中心に周りを囲む様に展開する。一瞬でフォーメーションを完成させると、それぞれの得意とする射撃武装による波状攻撃を行う。「うわぁぁっ!」 全方位からの射撃攻撃を受け、動きを止めてしまったシャイニングガンダムに降りしきるビームの雨。そのコクピットの中で、土門は全身を貫かれる様な痛みに悲鳴を上げていた。…パーメットトレースシステム唯一の弊害である。従来のパーメットリンク時の呼吸困難を始めとする副作用が無い代わりに、機体が受けたダメージがそのままパイロットに返ってくるのだ。「グゥゥ…、だが、こうなる事は、予測していたッ!」 俺にだって射撃武器はあるッ!そう言って土門は右手を突き出すと、「…シャァイニングッ!ショォットォッ!」 腕部内に内蔵されたリボルバー型のビームガンが火を噴く。さらに、反対側から来た別の一機にグルリと頭を向けると、「ヴァァルカァンッ!」 頭部ビームバルカンを放ち牽制、体勢を立て直すと安全位置まで後退する、だが、不良グループもそう簡単に土門を逃がさない。…何度か同じやり取りを繰り返す内に、痺れを切らしたリーダーが叫ぶ。「クソッ!フォーメーションFだ!…練習の成果!見せてやれッ!」 リーダーの指示と同時に、三機一組、五組に分かれた不良グループの機体が再び土門を取り囲む。一組になった三機が射撃と接近戦の波状攻撃を仕掛けると、その三機の隙を補う様に別の一組が攻撃を仕掛けるのだ。「どうだッ!タービュランスストリームアタックだッ!!」 まるで竜巻の様に隙間無く、途切れる事なく繰り出される攻撃。リーダーは叫ぶ。なんという連携、なんという技量。もはや軍隊顔負けのコンビネーション。不良グループの見事なフォーメーションに土門はただただ耐える事しか出来ない。 確かに、彼らはこの学園内において、「不良グループ」という括りの中に置かれている。とはいえ、彼らもまた、世間ではエリート校として認知されているアスティカシア学園の生徒である。その見てくれ、奇抜な髪型、髪色、あちこちに鋲やチェーンを付けた改造制服を着ていたとしても、彼らはあくまでもこの「名門校」で学業に勤しむ生徒なのだ。サブリーダーに至っては、常に学園TOP10に名を連ねる程の秀才でもあるのだ。 接近戦を仕掛けてくる機体に対し、パンチやキックで応戦する土門だったが、近接戦闘に気を取られると横から、後ろから射撃による攻撃が土門を襲ってくる「くっ、多勢に無勢…、しかし、これもまた自分が招いた失敗か…。ッならばッ!」 一気に片付けるのみだ!そう言ってコクピットの中の土門は奇妙な構えをを取る。…両腕を拡げると片足で立ち、頭を中心に回転し始めるのだ。当然、パーメットトレースシステムにより土門の動きはそっくりそのまま、シャイニングガンダムも頭部を中心に凄まじい勢いで回転を始める。そしてその姿は、機体各部のシェルユニットから漏れ出た光を纏い、渦を巻く巨大な光球になっていく…。「いくぞ!…流派!東方無敗が奥義!…超級!…覇王!!」 顔だけをのこし、渦巻く光の球になった土門が、シャイニングガンダムが叫ぶッ!

「どうした!…其方から来ないのならば、こっちからいくぞ!」

 ガンドアームファイト!レディ、ゴォー!そう叫んで土門は突撃する。見る見るうちにモニターの中のシャイニングガンダムが大きくなって来る。はっと我に返ったリーダーは、冷静に、そして的確に仲間の機体に指示を出していく。

「フォーメーションB!…全機距離を取れッ!」

 アイツは火器らしい火器を持っちゃいねぇ!そう叫ぶと同時に、不良グループの機体がシャイニングガンダムを中心に周りを囲む様に展開する。一瞬でフォーメーションを完成させると、それぞれの得意とする射撃武装による波状攻撃を行う。

「うわぁぁっ!」

 全方位からの射撃攻撃を受け、動きを止めてしまったシャイニングガンダムに降りしきるビームの雨。そのコクピットの中で、土門は全身を貫かれる様な痛みに悲鳴を上げていた。…パーメットトレースシステム唯一の弊害である。従来のパーメットリンク時の呼吸困難を始めとする副作用が無い代わりに、機体が受けたダメージがそのままパイロットに返ってくるのだ。

「グゥゥ…、だが、こうなる事は、予測していたッ!」

 俺にだって射撃武器はあるッ!そう言って土門は右手を突き出すと、

「…シャァイニングッ!ショォットォッ!」

 腕部内に内蔵されたリボルバー型のビームガンが火を噴く。さらに、反対側から来た別の一機にグルリと頭を向けると、

「ヴァァルカァンッ!」

 頭部ビームバルカンを放ち牽制、体勢を立て直すと安全位置まで後退する、だが、不良グループもそう簡単に土門を逃がさない。…何度か同じやり取りを繰り返す内に、痺れを切らしたリーダーが叫ぶ。

「クソッ!フォーメーションFだ!…練習の成果!見せてやれッ!」

 リーダーの指示と同時に、三機一組、五組に分かれた不良グループの機体が再び土門を取り囲む。一組になった三機が射撃と接近戦の波状攻撃を仕掛けると、その三機の隙を補う様に別の一組が攻撃を仕掛けるのだ。

「どうだッ!タービュランスストリームアタックだッ!!」

 まるで竜巻の様に隙間無く、途切れる事なく繰り出される攻撃。リーダーは叫ぶ。なんという連携、なんという技量。もはや軍隊顔負けのコンビネーション。不良グループの見事なフォーメーションに土門はただただ耐える事しか出来ない。

 確かに、彼らはこの学園内において、「不良グループ」という括りの中に置かれている。とはいえ、彼らもまた、世間ではエリート校として認知されているアスティカシア学園の生徒である。その見てくれ、奇抜な髪型、髪色、あちこちに鋲やチェーンを付けた改造制服を着ていたとしても、彼らはあくまでもこの「名門校」で学業に勤しむ生徒なのだ。サブリーダーに至っては、常に学園TOP10に名を連ねる程の秀才でもあるのだ。

 接近戦を仕掛けてくる機体に対し、パンチやキックで応戦する土門だったが、近接戦闘に気を取られると横から、後ろから射撃による攻撃が土門を襲ってくる

「くっ、多勢に無勢…、しかし、これもまた自分が招いた失敗か…。ッならばッ!」

 一気に片付けるのみだ!そう言ってコクピットの中の土門は奇妙な構えをを取る。…両腕を拡げると片足で立ち、頭を中心に回転し始めるのだ。当然、パーメットトレースシステムにより土門の動きはそっくりそのまま、シャイニングガンダムも頭部を中心に凄まじい勢いで回転を始める。そしてその姿は、機体各部のシェルユニットから漏れ出た光を纏い、渦を巻く巨大な光球になっていく…。

「いくぞ!…流派!東方無敗が奥義!…超級!…覇王!!」

 顔だけをのこし、渦巻く光の球になった土門が、シャイニングガンダムが叫ぶッ!

「電!」「影!!」「弾ァン!!!」 頭部を中心に渦巻く光球となったシャイニングガンダムがフィールド内を縦横無尽に飛び回り、不良グループの機体を薙ぎ払っていく。流星となったシャイニングガンダムは、距離、高度を問わず、不良グループの機体に体当たりしていくのだ。そして、そのままの勢いで地面に激突する。その衝撃で地面は抉れ細かい岩塊が、粉塵が巻き起こる。…一瞬の静寂。粉塵が収まると、そこにはビシリと着地のポーズ(一般にいう、ヒーロー着地というものだ)を決めたシャイニングガンダムの姿が現れる。「爆発ッッ!!」 着地のポーズのまま、閉じていた目をクワッと見開き土門が叫ぶ!それと同時に、かろうじて直撃を免れたリーダーとサブリーダーの機体を残し、全ての機体が次々と爆発(当然、ルールにのっとり頭部がだ!)する。…なんという光景だろうか。もはや、この決闘を観戦している生徒、教員達は何が起きているのかわからない。それもそのはず、既存のMS戦闘と全くかけ離れたものを見せられているのだから…。それは、残ったリーダーとサブリーダーも同じ、二人はただただ困惑することしか出来ない。「覚悟しろ!残りはお前達だけだ!」 困惑する二人(二機)にビシリと指を差し土門は言うと、ゆっくりと腰を落とし(当然、シャイニングガンダムが)、腰部に装着されたビームサーベルを抜き放つ。そして、各部のスラスターが火を噴くと、凄まじい勢いでビームサーベルを構え突進する。「ウォォォッ!いくぞッ!」 コクピットの中で土門は吠える。

「電!」

「影!!」

「弾ァン!!!」

 頭部を中心に渦巻く光球となったシャイニングガンダムがフィールド内を縦横無尽に飛び回り、不良グループの機体を薙ぎ払っていく。流星となったシャイニングガンダムは、距離、高度を問わず、不良グループの機体に体当たりしていくのだ。そして、そのままの勢いで地面に激突する。その衝撃で地面は抉れ細かい岩塊が、粉塵が巻き起こる。…一瞬の静寂。粉塵が収まると、そこにはビシリと着地のポーズ(一般にいう、ヒーロー着地というものだ)を決めたシャイニングガンダムの姿が現れる。

「爆発ッッ!!」

 着地のポーズのまま、閉じていた目をクワッと見開き土門が叫ぶ!それと同時に、かろうじて直撃を免れたリーダーとサブリーダーの機体を残し、全ての機体が次々と爆発(当然、ルールにのっとり頭部がだ!)する。…なんという光景だろうか。もはや、この決闘を観戦している生徒、教員達は何が起きているのかわからない。それもそのはず、既存のMS戦闘と全くかけ離れたものを見せられているのだから…。それは、残ったリーダーとサブリーダーも同じ、二人はただただ困惑することしか出来ない。

「覚悟しろ!残りはお前達だけだ!」

 困惑する二人(二機)にビシリと指を差し土門は言うと、ゆっくりと腰を落とし(当然、シャイニングガンダムが)、腰部に装着されたビームサーベルを抜き放つ。そして、各部のスラスターが火を噴くと、凄まじい勢いでビームサーベルを構え突進する。

「ウォォォッ!いくぞッ!」

 コクピットの中で土門は吠える。

「シャァァイニングゥ!スラァッシュゥッ!!」 ビームサーベルを大上段に構えたシャイニングガンダムが残った二機に凄まじい勢いで突進する。コクピットの中で腕を上げ、叫び声を上げる土門。モニターの中のディランザとザウォートの姿が見る見る内に大きくなってくる。スラスターを全開にし、リーダー機のディランザに最後の一撃をと、踏み込み、ビームサーベルを握った腕を振り下ろさんとしたその時、…土門は信じられない光景を目にする。 リーダー機のディランザが隣にいたサブリーダー機、ザウォートを盾にしたのだ!「うおおォ!」 ディランザのコクピットの中で、リーダーが吠える。それは、恐怖によるもの。…いま、この時代「ガンダム」の名を持つMSが世に出なくなって久しい。かつてガンダムの名は、世界の悪として広まっていた名だ。それが数十年前、このアスティカシア学園で設立された会社により、全く逆のイメージを持って広まった。医療技術として広がったそれは、世界に、多くの人々に必要とされ、今はなくてはならない技術だ。そして、リーダー、彼の家族、両親はその技術の恩恵にあやかっている者なのだ。…それゆえに。彼は恐怖した。 彼の両親は、共にこのアスティカシアの卒業生だ。そして、「株式会社ガンダム」の社員でもあった。彼は幼い頃からGUND技術の様々な面を、ガンダムにまつわる話を聞かされてきた。良いことも、悪いこともだ。そして、その話をする両親は、どこか誇らしげで、幸せそうだった。彼がロースクールの時、父親が事故に遭う。しかしリハビリを終え、GUND技術の義肢を彼に見せながら、どうだと言わんばかりに笑う父の笑顔。それは彼がこの学園に入学したいと思わせるに十分な理由だった。…それゆえ、GUND技術に畏怖の念を持っていた彼は、この決闘が始まってすぐ、相手がガンダムであると知ると恐怖した。「驚いた」、ではなく、「恐怖」した。このグループのリーダーとして仲間達をまとめている以上、恐れている事を表に出すわけにはいかない。リーダーとしてのプライドがある。…だが、それももう限界だった。モニターいっぱいに映る、今まさにビームサーベルを振り下ろさんとする「ガンダム」の姿は、彼の決闘に勝ちたい、負けたくない、という心と、プライドを砕くには充分だった。 恐怖という負の感情に咄嗟に取った行動。情けない声を出し、気がつくと隣にいたザウォートを、サブリーダーを盾にしてしまっていた。自機の頭部を狙っていたビームサーベルの切先は、無理矢理引き寄せられたザウォートの頭部を刺し貫いている。モニターに映る、何か言いたげな、困惑したサブリーダーの顔を見ることが出来ない。「…お前!一体何をした!」 目の前の、かつて世界の悪としてあった「モノ」が、ヒトの顔を模したソレが。ガンダムが話しかけてくる。…怒りを孕んだ声で。

「シャァァイニングゥ!スラァッシュゥッ!!」

 ビームサーベルを大上段に構えたシャイニングガンダムが残った二機に凄まじい勢いで突進する。コクピットの中で腕を上げ、叫び声を上げる土門。モニターの中のディランザとザウォートの姿が見る見る内に大きくなってくる。スラスターを全開にし、リーダー機のディランザに最後の一撃をと、踏み込み、ビームサーベルを握った腕を振り下ろさんとしたその時、…土門は信じられない光景を目にする。

 リーダー機のディランザが隣にいたサブリーダー機、ザウォートを盾にしたのだ!

「うおおォ!」

 ディランザのコクピットの中で、リーダーが吠える。それは、恐怖によるもの。…いま、この時代「ガンダム」の名を持つMSが世に出なくなって久しい。かつてガンダムの名は、世界の悪として広まっていた名だ。それが数十年前、このアスティカシア学園で設立された会社により、全く逆のイメージを持って広まった。医療技術として広がったそれは、世界に、多くの人々に必要とされ、今はなくてはならない技術だ。そして、リーダー、彼の家族、両親はその技術の恩恵にあやかっている者なのだ。…それゆえに。彼は恐怖した。

 彼の両親は、共にこのアスティカシアの卒業生だ。そして、「株式会社ガンダム」の社員でもあった。彼は幼い頃からGUND技術の様々な面を、ガンダムにまつわる話を聞かされてきた。良いことも、悪いこともだ。そして、その話をする両親は、どこか誇らしげで、幸せそうだった。彼がロースクールの時、父親が事故に遭う。しかしリハビリを終え、GUND技術の義肢を彼に見せながら、どうだと言わんばかりに笑う父の笑顔。それは彼がこの学園に入学したいと思わせるに十分な理由だった。…それゆえ、GUND技術に畏怖の念を持っていた彼は、この決闘が始まってすぐ、相手がガンダムであると知ると恐怖した。「驚いた」、ではなく、「恐怖」した。このグループのリーダーとして仲間達をまとめている以上、恐れている事を表に出すわけにはいかない。リーダーとしてのプライドがある。…だが、それももう限界だった。モニターいっぱいに映る、今まさにビームサーベルを振り下ろさんとする「ガンダム」の姿は、彼の決闘に勝ちたい、負けたくない、という心と、プライドを砕くには充分だった。

 恐怖という負の感情に咄嗟に取った行動。情けない声を出し、気がつくと隣にいたザウォートを、サブリーダーを盾にしてしまっていた。自機の頭部を狙っていたビームサーベルの切先は、無理矢理引き寄せられたザウォートの頭部を刺し貫いている。モニターに映る、何か言いたげな、困惑したサブリーダーの顔を見ることが出来ない。

「…お前!一体何をした!」

 目の前の、かつて世界の悪としてあった「モノ」が、ヒトの顔を模したソレが。ガンダムが話しかけてくる。…怒りを孕んだ声で。

「お前!お前は一体何をした!仲間を、…仲間を盾にしたのか!!」 土門は怒っていた。激昂していた。彼は、彼らは、仲間では無いのか、土門は認めていたのだ。彼らのコンビネーションを、いかに学園の不良グループと呼ばれていようとも、彼らの連携は素晴らしいものだった。本物だった。それは、彼らが仲間として機能した結果であり。そこには、彼らの信頼と友情があった結果なのだ。それを、闘いを通じて感じ取った土門は、敬意を払い流派の奥義を使いもした。しかし、今目の前で見せられたものは、なんと卑劣なことなのだろうか…。 「お前は仲間を盾にした。…そこにいるのは「友」じゃあないのか!」 土門は吠える。自分でも気付かない内に叫んでいた。やがて、土門の感情がどんどんとドス黒い感情に覆われていく、しかし土門はそれに気付いていない。「…友を蔑ろにするとは、許せんッ!」 土門は、羨ましかったのだ。…友が欲しかった。幼い頃から師に引き取られ、修行に明け暮れていた土門は、友達が欲しかったのだ。…それなのに、目の前の男は、友を盾にした。 …許せん! 土門の膨れ上がる負の感情は、シャイニングガンダムにも変化をもたらす。機体各部のシェルユニットが、強く紫色に輝いていくと、機体の一部が展開する。特に、頭部の面当てが展開すると、真っ赤な顔が現れ、それはまるで土門の怒りが形になったかの様だ。…さらに、シャイニングガンダムの拳にも変化が現れる。なんと拳がシェルユニットの輝きを帯び始めたのだ。そう、この機体は拳がパーメットニウム。シェルユニットで構成されているのだ。前に突き出した拳から、シェルユニットから紫色の炎が立ちのぼる。それは、この機体の、シェルユニットの拳から放たれる、必殺技の予兆。 誰もが予期していなかった展開に、決闘を観戦していた生徒や教員らは皆、口を紡ぎ、ことの成り行きを見守っていることしか出来ない。…静寂。しかし、その静寂を打ち破るかの様に、一人の男が叫ぶ。「…いかん!…いかんぞ!土門ッ!…あれは、怒りのスーパーモード!負の感情に飲み込まれるなッ!!」 その男は、生徒ではない。ましてや教員でもない。トレンチコートを着て、その背に日本刀を背負っている。男の顔は何やら派手な目出し帽で覆われている為、その表情を窺うことは出来ないが、唯一見えるその目からは、思慮深さを感じさせる輝きを放っている。学園の食堂、そこに隣接するテラス。大型のスクリーンが設置され多くの生徒、教員らがいるすぐ上。食堂の屋根の上にその男はいるのだ。腕組みをし、直立不動で屋根の上で叫ぶ、怪しい風貌のあきらかに部外者としか思えない男。そんな彼が誰にも気付かれず屋根の上で叫ぶことが出来るのは何故なのか、それは彼が地球のある地方に古くから伝わるNINJYUTUの使い手であり、彼は自身の気配を完全に消し去っているからに他ならない。…決して、「もう気付かれているのだけれど、怪しさのあまりガン無視されている」訳では、無い。…その怪しい男、いや、Black brotherと自らを名乗る男は、再びスクリーンの中の土門に言う。「どうした!土門ッ!私の教えた明鏡止水の心境…。曇りの無い鏡の如く。静かにたたえた水の如き心。…お前は、それを何処にやったッ!…土門ッ!!」 男の言葉は、土門に届く様子もなく、スクリーンの中の土門は怒りのエネルギーを募らせていく。 土門のどす黒い激情が熱く膨れ上がる。そこには、得体の知れない負の、破壊のエネルギー。「俺のこの手が燃え上がる!お前を倒せと轟き叫ぶ!…くゥらァえェッ!!」 暗い紫色のオーラとして放たれる土門の怒号。

「お前!お前は一体何をした!仲間を、…仲間を盾にしたのか!!」

 土門は怒っていた。激昂していた。彼は、彼らは、仲間では無いのか、土門は認めていたのだ。彼らのコンビネーションを、いかに学園の不良グループと呼ばれていようとも、彼らの連携は素晴らしいものだった。本物だった。それは、彼らが仲間として機能した結果であり。そこには、彼らの信頼と友情があった結果なのだ。それを、闘いを通じて感じ取った土門は、敬意を払い流派の奥義を使いもした。しかし、今目の前で見せられたものは、なんと卑劣なことなのだろうか…。

 「お前は仲間を盾にした。…そこにいるのは「友」じゃあないのか!」

 土門は吠える。自分でも気付かない内に叫んでいた。やがて、土門の感情がどんどんとドス黒い感情に覆われていく、しかし土門はそれに気付いていない。

「…友を蔑ろにするとは、許せんッ!」

 土門は、羨ましかったのだ。…友が欲しかった。幼い頃から師に引き取られ、修行に明け暮れていた土門は、友達が欲しかったのだ。…それなのに、目の前の男は、友を盾にした。

 …許せん!

 土門の膨れ上がる負の感情は、シャイニングガンダムにも変化をもたらす。機体各部のシェルユニットが、強く紫色に輝いていくと、機体の一部が展開する。特に、頭部の面当てが展開すると、真っ赤な顔が現れ、それはまるで土門の怒りが形になったかの様だ。…さらに、シャイニングガンダムの拳にも変化が現れる。なんと拳がシェルユニットの輝きを帯び始めたのだ。そう、この機体は拳がパーメットニウム。シェルユニットで構成されているのだ。前に突き出した拳から、シェルユニットから紫色の炎が立ちのぼる。それは、この機体の、シェルユニットの拳から放たれる、必殺技の予兆。

 誰もが予期していなかった展開に、決闘を観戦していた生徒や教員らは皆、口を紡ぎ、ことの成り行きを見守っていることしか出来ない。…静寂。しかし、その静寂を打ち破るかの様に、一人の男が叫ぶ。

「…いかん!…いかんぞ!土門ッ!…あれは、怒りのスーパーモード!負の感情に飲み込まれるなッ!!」

 その男は、生徒ではない。ましてや教員でもない。トレンチコートを着て、その背に日本刀を背負っている。男の顔は何やら派手な目出し帽で覆われている為、その表情を窺うことは出来ないが、唯一見えるその目からは、思慮深さを感じさせる輝きを放っている。学園の食堂、そこに隣接するテラス。大型のスクリーンが設置され多くの生徒、教員らがいるすぐ上。食堂の屋根の上にその男はいるのだ。腕組みをし、直立不動で屋根の上で叫ぶ、怪しい風貌のあきらかに部外者としか思えない男。そんな彼が誰にも気付かれず屋根の上で叫ぶことが出来るのは何故なのか、それは彼が地球のある地方に古くから伝わるNINJYUTUの使い手であり、彼は自身の気配を完全に消し去っているからに他ならない。…決して、「もう気付かれているのだけれど、怪しさのあまりガン無視されている」訳では、無い。…その怪しい男、いや、Black brotherと自らを名乗る男は、再びスクリーンの中の土門に言う。

「どうした!土門ッ!私の教えた明鏡止水の心境…。曇りの無い鏡の如く。静かにたたえた水の如き心。…お前は、それを何処にやったッ!…土門ッ!!」

 男の言葉は、土門に届く様子もなく、スクリーンの中の土門は怒りのエネルギーを募らせていく。

 土門のどす黒い激情が熱く膨れ上がる。そこには、得体の知れない負の、破壊のエネルギー。

「俺のこの手が燃え上がる!お前を倒せと轟き叫ぶ!…くゥらァえェッ!!」

 暗い紫色のオーラとして放たれる土門の怒号。

「気ぃ炮ッ暗黒通ッ!!!」 土門の放った拳は、ガバリと指をひらくと、リーダー機のディランザの頭部をモヒカン状の派手な頭飾りもろとも握り潰す。紫色の禍々しい光を宿す指は、ミシミシと不気味な音を立てながらディランザの頭部装甲をひしゃげさせ、メリメリとその指を埋没させていく。「ウォォォッ!」 コクピットの中で土門が吠える。ディランザの頭部を握り潰している腕が、指が焼ける様に痛い。しかし、負の感情に支配された土門は、それでもディランザの頭部を握った手を緩めない。どんどんと握り締めていくうち、いつしかコクピットの中には、土門の声とは別に、リーダーの声が混ざってくる。リーダーの悲鳴だ。彼の乗るディランザは当然のことながら通常のMSだ。機体のダメージがパイロットに伝わる事はない。彼の悲鳴は純粋な恐怖から来るものなのだ。そんな自身の雄叫びと、リーダーの悲鳴が混じり合うコクピットの中で、土門は渾身の力でもって、自らの拳を閉じた。 …決闘は終わった。 1対15という圧倒的とも言える戦力差を覆した土門だったが、誰も彼に賛辞を贈るものはいなかった。…克州土門の初めての決闘は、謳われざる勝利を手にしたのだった。 …そんな土門の勝利を、静かに見守る者がいた。学園の時計塔。その屋根、尖塔の先に男が立っているのだ。長い白髪の総髪をキリリと後ろで束ね、薄紫色の胴着に身を包んだ男だ。ヒゲをたくわえ、鋭い眼光の中に慈愛の光を湛えた男は、誰に言うまでもなく一人静かに言う。「フフフ…。腕を上げた様だな、土門。…だが、あの程度の相手に苦戦している様ではな」 と、言葉の割に何処か満足そうに小さく笑みを浮かべると、キリリと中を見据え、「…良し、次はワシが自ら相手をしてやろう」 そう言った瞬間、尖塔の先にその男の姿は無く、まるで初めから誰もいなかったかの様に、風だけが吹いていた。

「気ぃ炮ッ暗黒通ッ!!!」

 土門の放った拳は、ガバリと指をひらくと、リーダー機のディランザの頭部をモヒカン状の派手な頭飾りもろとも握り潰す。紫色の禍々しい光を宿す指は、ミシミシと不気味な音を立てながらディランザの頭部装甲をひしゃげさせ、メリメリとその指を埋没させていく。

「ウォォォッ!」

 コクピットの中で土門が吠える。ディランザの頭部を握り潰している腕が、指が焼ける様に痛い。しかし、負の感情に支配された土門は、それでもディランザの頭部を握った手を緩めない。どんどんと握り締めていくうち、いつしかコクピットの中には、土門の声とは別に、リーダーの声が混ざってくる。リーダーの悲鳴だ。彼の乗るディランザは当然のことながら通常のMSだ。機体のダメージがパイロットに伝わる事はない。彼の悲鳴は純粋な恐怖から来るものなのだ。そんな自身の雄叫びと、リーダーの悲鳴が混じり合うコクピットの中で、土門は渾身の力でもって、自らの拳を閉じた。

 …決闘は終わった。

 1対15という圧倒的とも言える戦力差を覆した土門だったが、誰も彼に賛辞を贈るものはいなかった。…克州土門の初めての決闘は、謳われざる勝利を手にしたのだった。

 …そんな土門の勝利を、静かに見守る者がいた。学園の時計塔。その屋根、尖塔の先に男が立っているのだ。長い白髪の総髪をキリリと後ろで束ね、薄紫色の胴着に身を包んだ男だ。ヒゲをたくわえ、鋭い眼光の中に慈愛の光を湛えた男は、誰に言うまでもなく一人静かに言う。

「フフフ…。腕を上げた様だな、土門。…だが、あの程度の相手に苦戦している様ではな」

 と、言葉の割に何処か満足そうに小さく笑みを浮かべると、キリリと中を見据え、

「…良し、次はワシが自ら相手をしてやろう」

 そう言った瞬間、尖塔の先にその男の姿は無く、まるで初めから誰もいなかったかの様に、風だけが吹いていた。

SHINING GUND-ARM アスティカシア高等専門学園に転入して来た転校生、克州土門(かしゅうどもん)が持ち込んだ機体。シャイニングガンダムという名前は土門が付けたものであり、本来の名前は不明である。当然、スペックなども不明な部分が多く、ただ一つ確実に判るのは、この機体に軍の最新技術であるパーメットトレースシステムが搭載されていること。これだけである。しかし、この謎の多い機体も少しずつ隠された機能が明かされていくのだろう。型式番号を始め、細かなスペックなど一切不明であるが、修理などの際、使用されるパーツのほとんどがジェターク社のものである事から、なんらかの関係があると思われる。鮮烈なデビュー戦となった不良グループとの闘いでは、この機体の隠された姿であるスーパーモードを発動。シェルユニットで構成された腕、拳から放たれる、流派東方無敗の奥義の一つ、気炮暗黒通(きほうあんこくつう)を放っている。土門は、この機体でアスティカシアの決闘を闘って、闘って、闘い抜き、仲間を友を、そして愛する人を得ていくのだ。 学園の決闘の中で拳をぶつけ合う土門は、多くの仲間、友を得る。…華美な装飾の施されたミカエリスを操る貴族の少年。…機体各部に龍を想わせる意匠のザウォートを駆り、土門をアニキと慕う少年。…アメフトのヘルメットの様なデザインにローラスケート型脚部、バット状の武器を振り回すデミバーディングの、常に周りに女生徒を侍らせている少年。…そして不良グループのリーダー。ちなみにサブリーダーはクール眼鏡美人だったりする…。彼らは、後にシャッフル同盟という名で呼ばれる事となるのだ。…彼の機体、シャイニングガンダムのメカニックを担当する女生徒、美花村玲院(みかむられいん)とは、運命的な出会いをし。…そのなんというか、ラブラブな…、いや、別にここで言う事ではないだろう。 こうして始まったこの物語は、アスティカシア学園でGUND-ARM  Fighter(ガンダムファイター)として、人として、大きく成長していく克州土門、魂の物語なのだ。 ↓ ↓ ↓ 以降、ダイジェスト↓ ↓ ↓ 

SHINING GUND-ARM

 アスティカシア高等専門学園に転入して来た転校生、克州土門(かしゅうどもん)が持ち込んだ機体。シャイニングガンダムという名前は土門が付けたものであり、本来の名前は不明である。当然、スペックなども不明な部分が多く、ただ一つ確実に判るのは、この機体に軍の最新技術であるパーメットトレースシステムが搭載されていること。これだけである。しかし、この謎の多い機体も少しずつ隠された機能が明かされていくのだろう。型式番号を始め、細かなスペックなど一切不明であるが、修理などの際、使用されるパーツのほとんどがジェターク社のものである事から、なんらかの関係があると思われる。鮮烈なデビュー戦となった不良グループとの闘いでは、この機体の隠された姿であるスーパーモードを発動。シェルユニットで構成された腕、拳から放たれる、流派東方無敗の奥義の一つ、気炮暗黒通(きほうあんこくつう)を放っている。土門は、この機体でアスティカシアの決闘を闘って、闘って、闘い抜き、仲間を友を、そして愛する人を得ていくのだ。

 学園の決闘の中で拳をぶつけ合う土門は、多くの仲間、友を得る。…華美な装飾の施されたミカエリスを操る貴族の少年。…機体各部に龍を想わせる意匠のザウォートを駆り、土門をアニキと慕う少年。…アメフトのヘルメットの様なデザインにローラスケート型脚部、バット状の武器を振り回すデミバーディングの、常に周りに女生徒を侍らせている少年。…そして不良グループのリーダー。ちなみにサブリーダーはクール眼鏡美人だったりする…。彼らは、後にシャッフル同盟という名で呼ばれる事となるのだ。…彼の機体、シャイニングガンダムのメカニックを担当する女生徒、美花村玲院(みかむられいん)とは、運命的な出会いをし。…そのなんというか、ラブラブな…、いや、別にここで言う事ではないだろう。

 こうして始まったこの物語は、アスティカシア学園でGUND-ARM  Fighter(ガンダムファイター)として、人として、大きく成長していく克州土門、魂の物語なのだ。

 

↓ ↓ ↓ 以降、ダイジェスト↓ ↓ ↓

 

「フフフ…。腕を上げたな。土門」「…ッ!…その声は、師匠ッ!」 学園の長期の休みを利用し、土門は一人、地球に修行にきていたのだ。その頃、地球ではある事件が発生していた。AIによって稼動する様々な機械がウイルスによって暴走する事件が多発しているのだ。それは、近年の人口減少も相成りAIで運用される様になったMSも例外では無い。土門は、修行と称し、暴走し破壊するしか無くなってしまったMSを倒してまわっていたのだ。土門の周りには、倒したデスヴォルヴァが山と積み上がっている。 …さて、ここで再び出しゃばる事をお許しいただけるでしょうか。(やはり現れる、眼帯に赤いスーツの男)「もし…、よろしければ、この時地球で何が起きているのか、そして、土門の足元に山と積み上がっている機体について、ご説明させていただいてもよろしいでしょうか。…まずは、土門の足元のMSから、…とはいえ、コレをMSといってもよろしいのでしょうか?と、いうのも、土門が学園に転入し、決闘に勝利したのと時を同じくして、地球ではある事件が急増しました。それは、AIで制御されたあらゆる機械という機械がウイルスによって暴走し、人を、人が造った物を破壊し始めたのです。…何と痛ましい事でしょう。AI制御の機械、それは人口減少に伴いパイロットの少なくなったMSも例外ではありません。…特に、ウイルスはパーメットニウム。シェルユニットを始めとするGUND技術に対し、多く作用しました。…多くの人々がGUND技術の恩恵にあやかっているこの時にです。ウイルスによって暴走した機械は、そのウイルスの特徴、自己進化、自己再生、自己増殖。この三つの恐ろしい能力によって人々に害を成し始めました。こうして、新たな人類の敵となったウイルスに、政府と軍はこう名付けました。『DP細胞(デビルパーメットさいぼう)』と…。シェルユニットを好むそのウイルスは、過去の事件で運用され、軍によって厳重に管理、保管されていたMS、『ガンヴォルヴァ』に目をつけました。…こうして、ガンヴォルヴァはDP細胞によって自ら進化し、自己修復、増殖機能を持った恐ろしいMS。『デスヴォルヴァ』として、地球上あらゆる場所に現れると、まるで人を人とも思わない破壊の限りを尽くし始めたのです。ですが、土門は、それを放っておく事など、いや、見て見ぬ振りなど出来ませんでした。…自らを高める為、DP細胞に襲われた人々を助ける為。土門は闘い続けるのです。…そして、そんな土門の前に思いがけない人物が現れたのです。…はたして、この邂逅は土門にとってどの様な結果を招くのでしょうか?…それでは皆さん!お待たせしました。ガンドアームファイトッ!レディィ…ゴォォー!」「フフフ、久しいな、土門よ」 懐かしい声に土門は顔を上げる。そこには陽の光を浴びて、鈍く輝く漆黒の機体。声はその機体から聞こえてくる。師匠、お会いしとうございました。そう言う土門の元に黒い機体は滑る様に近付いて来ると、土門の、シャイニングガンダムの横に肩を並べる様に立ち、構えると言う。「積もる話はあるだろうが…、先ずは、こ奴らを片付けてからだ。土門」 そう言う師の声に土門は、グルリと周りを見回す。そこには、先ほど倒した以上のデスヴォルヴァがカメラアイを不気味に光らせズラリと土門たちを囲んでいるのだ。 並び立つ、師の黒い機体に土門は問う、「師匠、その機体は…」「…そうか、お前にはまだ見せていなかったな。Master GUND-ARM。『マスターガンダム』…。これがワシのガンダムよ!」 そう言って、全方位から(地中からもだ!)襲い来るデスヴォルヴァをあしらう様に倒すマスターガンダム。「…数が多いな。…ならば、久々にアレをやるか土門よ!」「…ハイッ!師匠!」 二機のガンダムはピタリと動きを揃え構えると踊るようにデスヴォルヴァを薙ぎ倒していく。「流派!」「東方無敗はッ!」「「王者の風よッ!!」」「全新」「系裂」「「天破俠乱!!」」「「見よ!東方は赤く燃えているッ!!」」 

「フフフ…。腕を上げたな。土門」

「…ッ!…その声は、師匠ッ!」

 学園の長期の休みを利用し、土門は一人、地球に修行にきていたのだ。その頃、地球ではある事件が発生していた。AIによって稼動する様々な機械がウイルスによって暴走する事件が多発しているのだ。それは、近年の人口減少も相成りAIで運用される様になったMSも例外では無い。土門は、修行と称し、暴走し破壊するしか無くなってしまったMSを倒してまわっていたのだ。土門の周りには、倒したデスヴォルヴァが山と積み上がっている。

 …さて、ここで再び出しゃばる事をお許しいただけるでしょうか。(やはり現れる、眼帯に赤いスーツの男)

「もし…、よろしければ、この時地球で何が起きているのか、そして、土門の足元に山と積み上がっている機体について、ご説明させていただいてもよろしいでしょうか。…まずは、土門の足元のMSから、…とはいえ、コレをMSといってもよろしいのでしょうか?と、いうのも、土門が学園に転入し、決闘に勝利したのと時を同じくして、地球ではある事件が急増しました。それは、AIで制御されたあらゆる機械という機械がウイルスによって暴走し、人を、人が造った物を破壊し始めたのです。…何と痛ましい事でしょう。AI制御の機械、それは人口減少に伴いパイロットの少なくなったMSも例外ではありません。…特に、ウイルスはパーメットニウム。シェルユニットを始めとするGUND技術に対し、多く作用しました。…多くの人々がGUND技術の恩恵にあやかっているこの時にです。ウイルスによって暴走した機械は、そのウイルスの特徴、自己進化、自己再生、自己増殖。この三つの恐ろしい能力によって人々に害を成し始めました。こうして、新たな人類の敵となったウイルスに、政府と軍はこう名付けました。『DP細胞(デビルパーメットさいぼう)』と…。シェルユニットを好むそのウイルスは、過去の事件で運用され、軍によって厳重に管理、保管されていたMS、『ガンヴォルヴァ』に目をつけました。…こうして、ガンヴォルヴァはDP細胞によって自ら進化し、自己修復、増殖機能を持った恐ろしいMS。『デスヴォルヴァ』として、地球上あらゆる場所に現れると、まるで人を人とも思わない破壊の限りを尽くし始めたのです。ですが、土門は、それを放っておく事など、いや、見て見ぬ振りなど出来ませんでした。…自らを高める為、DP細胞に襲われた人々を助ける為。土門は闘い続けるのです。…そして、そんな土門の前に思いがけない人物が現れたのです。…はたして、この邂逅は土門にとってどの様な結果を招くのでしょうか?…それでは皆さん!お待たせしました。ガンドアームファイトッ!レディィ…ゴォォー!」

「フフフ、久しいな、土門よ」

 懐かしい声に土門は顔を上げる。そこには陽の光を浴びて、鈍く輝く漆黒の機体。声はその機体から聞こえてくる。師匠、お会いしとうございました。そう言う土門の元に黒い機体は滑る様に近付いて来ると、土門の、シャイニングガンダムの横に肩を並べる様に立ち、構えると言う。

「積もる話はあるだろうが…、先ずは、こ奴らを片付けてからだ。土門」

 そう言う師の声に土門は、グルリと周りを見回す。そこには、先ほど倒した以上のデスヴォルヴァがカメラアイを不気味に光らせズラリと土門たちを囲んでいるのだ。

 並び立つ、師の黒い機体に土門は問う、

「師匠、その機体は…」

「…そうか、お前にはまだ見せていなかったな。Master GUND-ARM。『マスターガンダム』…。これがワシのガンダムよ!」

 そう言って、全方位から(地中からもだ!)襲い来るデスヴォルヴァをあしらう様に倒すマスターガンダム。

「…数が多いな。…ならば、久々にアレをやるか土門よ!」

「…ハイッ!師匠!」

 二機のガンダムはピタリと動きを揃え構えると踊るようにデスヴォルヴァを薙ぎ倒していく。

「流派!」

「東方無敗はッ!」

「「王者の風よッ!!」」

「全新」

「系裂」

「「天破俠乱!!」」

「「見よ!東方は赤く燃えているッ!!」」

 

「なぜです!師匠!一体どうしてッ!」 土門の悲痛な叫びがこだまする。土門は今、無数のデスヴォルヴァに囲まれている。そして、目の前には、デスヴォルヴァを引き連れる様に師、東方無敗が、マスターガンダムが立ちはだかっているのだ。「フフフ…。驚くのも無理はなかろう。…信じられぬのも無理はなかろう。だが、これは事実だ。…悲しいか?土門。恐ろしいか?土門」 全てワシがやったことよ。そう言って東方無敗は笑う。土門は歯を食いしばりマスターガンダムを見上げる事しか出来ない。土門は、最近各地で頻発する地揺れを追ってここに来た。この頻発する地揺れが今、地球に起きている危機に関係するとの情報を得た土門は、全く思いもしなかった人物に会ったのだ。…土門の師。東方無敗。「なぜだ師匠!…各地の破壊活動、全て師匠の仕業だったのですか!?」 叫ぶ土門に、ゆっくりと腕を広げ、東方無敗は語る。「土門よ…。この地球を見てどう思った?…この地球を一人、修行の旅をしてみてどう思った?…荒れ果てた大地。争う事しか知らぬ人々。…お前は、何を見て、何を考え旅をして来た…」 ワシはな、悲しいのだ。土門よ。…そう言って、東方無敗は、土門に手を伸ばす。「…ワシはな、思ったのだ。こんな地球なら、こんな世界なら、いっその事滅んでしまえばいいと、…そして再び再生させ、また、あの緑あふれる豊かな地球に戻せば良いと…」 コクピットの土門は、モニターに映る東方無敗の姿を見る。その顔は、優しかった師の顔、穏やかな師の姿。その師の顔が続ける。「なあ、土門よ。ワシと共にこの地球を、美しかった地球を取り戻さんか…、ワシとお前、二人のキングオブハートがいれば…」「断るッ!…師匠、いや、東方無敗!」 土門は叫ぶ。…違う、違うぞ!俺が旅をして来たこの地球は、この大地は、もっとあたたかくて大きなものだ。…確かに荒れ果ててはいる。しかし、地に目を向ければ、そこにはしっかりと草木は芽を出し、新たな命を芽吹かせている!…人々だって、誰もが争いを望んでいる訳ではない。穏やかに、この大地と共に手を取り合って生きている!…俺だって何度そんな人たちに助けられて来たか…。「東方無敗!アンタは間違っているッ!…確かに、人が、人類がこの惨状を引き起こしたのかも知れない、それでも、人間もまた、天然自然の一部!それを一括りにし、滅ぼそうとは…、まさに笑止千万!!」「ぬぅ、黙れ!バカ弟子めがっ!」 お前は知らんのだ。握り拳をつくり東方無敗は言う。「…過去、御三家と呼ばれた奴等が、自らの故郷ともいえるこの地球に、どれほどの狼藉をはたらいて来たか…。お前にそれがわかるのか!土門!」「全ッ然!わからん!…人類を滅ぼす?人が行なった過ちは、人がどうにかするべきだ!」 土門の言葉に、マスターガンダムの動きが止まる。しかし、すぐに腰を落とし構えを取ると。「フフフ…、どうやら、話はどこまで言っても平行線の様だな…、ならば!土門よ!後は拳で語るのみよ!!」「…東方無敗ッ!アンタはッ!」「さあっ!土門!お前の修行の成果!…ワシに見せてみろっ!!」 先ほどから続く地揺れが大きくなっていく。揺れる大地の上で、二人は拳を交える。

「なぜです!師匠!一体どうしてッ!」

 土門の悲痛な叫びがこだまする。土門は今、無数のデスヴォルヴァに囲まれている。そして、目の前には、デスヴォルヴァを引き連れる様に師、東方無敗が、マスターガンダムが立ちはだかっているのだ。

「フフフ…。驚くのも無理はなかろう。…信じられぬのも無理はなかろう。だが、これは事実だ。…悲しいか?土門。恐ろしいか?土門」

 全てワシがやったことよ。そう言って東方無敗は笑う。土門は歯を食いしばりマスターガンダムを見上げる事しか出来ない。土門は、最近各地で頻発する地揺れを追ってここに来た。この頻発する地揺れが今、地球に起きている危機に関係するとの情報を得た土門は、全く思いもしなかった人物に会ったのだ。…土門の師。東方無敗。

「なぜだ師匠!…各地の破壊活動、全て師匠の仕業だったのですか!?」

 叫ぶ土門に、ゆっくりと腕を広げ、東方無敗は語る。

「土門よ…。この地球を見てどう思った?…この地球を一人、修行の旅をしてみてどう思った?…荒れ果てた大地。争う事しか知らぬ人々。…お前は、何を見て、何を考え旅をして来た…」

 ワシはな、悲しいのだ。土門よ。…そう言って、東方無敗は、土門に手を伸ばす。

「…ワシはな、思ったのだ。こんな地球なら、こんな世界なら、いっその事滅んでしまえばいいと、…そして再び再生させ、また、あの緑あふれる豊かな地球に戻せば良いと…」

 コクピットの土門は、モニターに映る東方無敗の姿を見る。その顔は、優しかった師の顔、穏やかな師の姿。その師の顔が続ける。

「なあ、土門よ。ワシと共にこの地球を、美しかった地球を取り戻さんか…、ワシとお前、二人のキングオブハートがいれば…」

「断るッ!…師匠、いや、東方無敗!」

 土門は叫ぶ。…違う、違うぞ!俺が旅をして来たこの地球は、この大地は、もっとあたたかくて大きなものだ。…確かに荒れ果ててはいる。しかし、地に目を向ければ、そこにはしっかりと草木は芽を出し、新たな命を芽吹かせている!…人々だって、誰もが争いを望んでいる訳ではない。穏やかに、この大地と共に手を取り合って生きている!…俺だって何度そんな人たちに助けられて来たか…。

「東方無敗!アンタは間違っているッ!…確かに、人が、人類がこの惨状を引き起こしたのかも知れない、それでも、人間もまた、天然自然の一部!それを一括りにし、滅ぼそうとは…、まさに笑止千万!!」

「ぬぅ、黙れ!バカ弟子めがっ!」

 お前は知らんのだ。握り拳をつくり東方無敗は言う。

「…過去、御三家と呼ばれた奴等が、自らの故郷ともいえるこの地球に、どれほどの狼藉をはたらいて来たか…。お前にそれがわかるのか!土門!」

「全ッ然!わからん!…人類を滅ぼす?人が行なった過ちは、人がどうにかするべきだ!」

 土門の言葉に、マスターガンダムの動きが止まる。しかし、すぐに腰を落とし構えを取ると。

「フフフ…、どうやら、話はどこまで言っても平行線の様だな…、ならば!土門よ!後は拳で語るのみよ!!」

「…東方無敗ッ!アンタはッ!」

「さあっ!土門!お前の修行の成果!…ワシに見せてみろっ!!」

 先ほどから続く地揺れが大きくなっていく。揺れる大地の上で、二人は拳を交える。

 ぶつかる拳と拳。蹴りを放てば、蹴りで返される。それは、互いに全ての攻撃を知っているが故か、知らぬ者が見れば、それはまるで舞踏を踊っているかの様に美しく見える。しかし、知っている者が見れば、拳の、蹴りの一撃一撃が凄まじいまでの殺意を持つ必殺の威力を秘めているのだ。「たりゃァァ!」「ぬぅぅぅっ!」 土門が放つ無数の拳は、同じく東方無敗の放つ無数の拳によって打ち消される。蹴りもまた同じ。…一進一退の攻防。まさに互角の闘い。…いや、違う。…彼らの様に武を極めんとする者が見ればわかるだろう。土門が少しずつ押され始めてきたのだ。若さ故か、いや、肉体としてならば、若い土門の方が上、…それは、精神。土門は今、怒りに身をまかせて闘っている。信じていた師に裏切られ、その師がはたらいてきた悪事を知り、土門は今、怒りのエネルギーをみなぎらせている。…それが土門の放つ拳を、蹴りを雑なものにしている。それが最終的に土門の体力をいたずらに奪い、技のキレを奪っていくのだ。…東方無敗、師は、それに気が付いている。「…そうだ土門!怒れ!もっと、もっと怒れ!!ワシが憎かろうっ!」 土門には、もう師の言葉など聞こえない。体の内から溢れる怒りの、負のパワーに土門はもう身を委ねてしまっている。「ウォォォッ!」 声にならない声を上げる土門。土門が怒りに身を任せるほど、シャイニングガンダムのシェルユニットから不気味な紫色の光が立ち昇ってくる。シェルユニットの拳もまた、紫色の炎を纏い始める。「くらえッ、師匠、いや、東方無敗ッ!!」 土門の怒りのパワーが頂点に達し、シャイニングガンダムは紫色に燃えさかる拳を振り上げる。「気炮ッ!暗黒通ッ!!」 しかし、土門渾身の気炮暗黒通は、東方無敗の元に届く前にマスターガンダムの赤黒く燃える手にガッシリと掴まれ、受け止められてしまう。「何ッ!」 狼狽する土門は見た。シャイニングガンダムの拳を受け止めたマスターガンダムの拳もまた、シェルユニットの輝きをしていることに。マスターガンダムの拳から燃え上がる赤黒い炎越しに東方無敗が言う。「…土門よ。ワシは言ったな。流派東方無敗には、二つの必殺技があると。陽と陰。…光の技と闇の技。ワシはな土門、お前には凛と清廉に、光の技シャイニングフィンガーを修得してほしいがためお前を鍛えた。…曇りのない鏡の如く、静かにたたえた水の如く。……だが、だがこれはなんだ。バカ弟子めがっ!これは光とは正反対の技…闇の技…」 …気炮暗黒通。失望の色を浮かべた東方無敗は言う。知っているのか…。困惑する土門。ギリギリと掴み上げたシャイニングガンダムの手を握り、捻り上げていくマスターガンダムの赤黒く燃えさかる手は、まるで万力の様に土門の手を絞め、捻り上げる。ミシミシと音を立て土門の指があらぬ方向へと曲がっていく。「うぐわあぁぁッ!」 凄まじいまでの激痛に土門は悲鳴を上げる事しか出来ない。ギシギシとシャイニングガンダムの、土門の手を握り潰しながら東方無敗は言う。「…ワシは、こうも言った。陰の技を打ち倒すには、陽の技をもって…。その逆もまた然り。と」 ワシは教えたはずだぞ土門!そう言って東方無敗は吠える。異様な方向に曲がる指、あまりの激痛に土門は意識を失う寸前だ。一方、東方無敗は容赦がない。赤黒く燃えるマスターガンダムの手は、メキリと嫌な音を響かせ、シャイニングガンダムの手を完全に握り潰す。…響く土門の絶叫に東方無敗の咆哮が重なる。「ぐわあぁぁァァッ!」「気炮暗黒通!…ワシが放つことで、ダークネスフィンガーとなるっッ!!」 ガクリと力の抜けたシャイニングガンダムの破壊された拳を掴み、吊し上げると東方無敗は言う。「なんと情けない。…本来ならば均衡するはずの技のぶつかり合いでこれとはな、バカ弟子めがっ!お前は一体、何を修行してきたっ!」 もはや朦朧とする意識の土門を無理やり立たせ、その頭を、シャイニングガンダムの頭部を掴み、背後の山の方へ向けると指をさす。その先には、闘っている最中から強くなってきていた地揺れの原因が姿を現そうとしていた。…盛り上がる地面の間から、何か巨大な『モノ』が現れようとしている。凄まじい地響きの中、それは醜悪な甲虫を想わせる巨躯を、複数の太くゴツゴツした肢脚を器用に使い、地面の上に這い出ようとしている。醜く分厚い装甲表面には、火山の噴火口を想わせる突起が幾つも付いており、そこからは先端がガンダムの頭になった触手が出たり入ったりしている。その巨躯を半分以上地上に出し、やっと出てきた巨大な頭部もまた、ガンダムのものだ。…その醜く醜怪な、そして巨大な『顔』を指差し東方無敗は言う。「見ろ!土門。あれがDP細胞の母。地球再生の為の機体。最高、最強のMS。『ALL Permet GUND-ARM』(オールパーメットガンドアーム)…略して、アルパメットガンダムよっ!」「ア、アルパメットガンダム…」 もはや意識を失う寸前の土門は、ガクリと膝をつき力無く言う。圧倒的な技量の差で、自らの必殺技を破られ、凄まじいまでの巨躯のアルパメットガンダムを見せられた土門の心境。それは、絶望…。ただそれだけだった。

 ぶつかる拳と拳。蹴りを放てば、蹴りで返される。それは、互いに全ての攻撃を知っているが故か、知らぬ者が見れば、それはまるで舞踏を踊っているかの様に美しく見える。しかし、知っている者が見れば、拳の、蹴りの一撃一撃が凄まじいまでの殺意を持つ必殺の威力を秘めているのだ。

「たりゃァァ!」

「ぬぅぅぅっ!」

 土門が放つ無数の拳は、同じく東方無敗の放つ無数の拳によって打ち消される。蹴りもまた同じ。…一進一退の攻防。まさに互角の闘い。

…いや、違う。…彼らの様に武を極めんとする者が見ればわかるだろう。土門が少しずつ押され始めてきたのだ。若さ故か、いや、肉体としてならば、若い土門の方が上、…それは、精神。土門は今、怒りに身をまかせて闘っている。信じていた師に裏切られ、その師がはたらいてきた悪事を知り、土門は今、怒りのエネルギーをみなぎらせている。…それが土門の放つ拳を、蹴りを雑なものにしている。それが最終的に土門の体力をいたずらに奪い、技のキレを奪っていくのだ。

…東方無敗、師は、それに気が付いている。

「…そうだ土門!怒れ!もっと、もっと怒れ!!ワシが憎かろうっ!」

 土門には、もう師の言葉など聞こえない。体の内から溢れる怒りの、負のパワーに土門はもう身を委ねてしまっている。

「ウォォォッ!」

 声にならない声を上げる土門。土門が怒りに身を任せるほど、シャイニングガンダムのシェルユニットから不気味な紫色の光が立ち昇ってくる。シェルユニットの拳もまた、紫色の炎を纏い始める。

「くらえッ、師匠、いや、東方無敗ッ!!」

 土門の怒りのパワーが頂点に達し、シャイニングガンダムは紫色に燃えさかる拳を振り上げる。

「気炮ッ!暗黒通ッ!!」

 しかし、土門渾身の気炮暗黒通は、東方無敗の元に届く前にマスターガンダムの赤黒く燃える手にガッシリと掴まれ、受け止められてしまう。

「何ッ!」

 狼狽する土門は見た。シャイニングガンダムの拳を受け止めたマスターガンダムの拳もまた、シェルユニットの輝きをしていることに。マスターガンダムの拳から燃え上がる赤黒い炎越しに東方無敗が言う。

「…土門よ。ワシは言ったな。流派東方無敗には、二つの必殺技があると。陽と陰。…光の技と闇の技。ワシはな土門、お前には凛と清廉に、光の技シャイニングフィンガーを修得してほしいがためお前を鍛えた。…曇りのない鏡の如く、静かにたたえた水の如く。……だが、だがこれはなんだ。バカ弟子めがっ!これは光とは正反対の技…闇の技…」

 …気炮暗黒通。失望の色を浮かべた東方無敗は言う。知っているのか…。困惑する土門。ギリギリと掴み上げたシャイニングガンダムの手を握り、捻り上げていくマスターガンダムの赤黒く燃えさかる手は、まるで万力の様に土門の手を絞め、捻り上げる。ミシミシと音を立て土門の指があらぬ方向へと曲がっていく。

「うぐわあぁぁッ!」

 凄まじいまでの激痛に土門は悲鳴を上げる事しか出来ない。ギシギシとシャイニングガンダムの、土門の手を握り潰しながら東方無敗は言う。

「…ワシは、こうも言った。陰の技を打ち倒すには、陽の技をもって…。その逆もまた然り。と」

 ワシは教えたはずだぞ土門!そう言って東方無敗は吠える。異様な方向に曲がる指、あまりの激痛に土門は意識を失う寸前だ。一方、東方無敗は容赦がない。赤黒く燃えるマスターガンダムの手は、メキリと嫌な音を響かせ、シャイニングガンダムの手を完全に握り潰す。…響く土門の絶叫に東方無敗の咆哮が重なる。

「ぐわあぁぁァァッ!」

「気炮暗黒通!…ワシが放つことで、ダークネスフィンガーとなるっッ!!」

 ガクリと力の抜けたシャイニングガンダムの破壊された拳を掴み、吊し上げると東方無敗は言う。

「なんと情けない。…本来ならば均衡するはずの技のぶつかり合いでこれとはな、バカ弟子めがっ!お前は一体、何を修行してきたっ!」

 もはや朦朧とする意識の土門を無理やり立たせ、その頭を、シャイニングガンダムの頭部を掴み、背後の山の方へ向けると指をさす。その先には、闘っている最中から強くなってきていた地揺れの原因が姿を現そうとしていた。…盛り上がる地面の間から、何か巨大な『モノ』が現れようとしている。凄まじい地響きの中、それは醜悪な甲虫を想わせる巨躯を、複数の太くゴツゴツした肢脚を器用に使い、地面の上に這い出ようとしている。醜く分厚い装甲表面には、火山の噴火口を想わせる突起が幾つも付いており、そこからは先端がガンダムの頭になった触手が出たり入ったりしている。その巨躯を半分以上地上に出し、やっと出てきた巨大な頭部もまた、ガンダムのものだ。…その醜く醜怪な、そして巨大な『顔』を指差し東方無敗は言う。

「見ろ!土門。あれがDP細胞の母。地球再生の為の機体。最高、最強のMS。『ALL Permet GUND-ARM』(オールパーメットガンドアーム)…略して、アルパメットガンダムよっ!」

「ア、アルパメットガンダム…」

 もはや意識を失う寸前の土門は、ガクリと膝をつき力無く言う。圧倒的な技量の差で、自らの必殺技を破られ、凄まじいまでの巨躯のアルパメットガンダムを見せられた土門の心境。それは、絶望…。ただそれだけだった。

 …では、皆さん。(三度現れる眼帯に赤いスーツの男)ここで今までのおさらいをしてもよろしいでしょうか。…地上で修行に明け暮れる土門の前に現れたのはかつての師、東方無敗そのひとでした…。かつての師に心をゆるす土門でしたが、地球を、人類を揺るがす一連の騒動が師の手によるものだと知った土門は怒り狂います。…しかし、怒りに身を任せた土門の必殺技気炮暗黒通は、東方無敗の放つ、同じ気炮暗黒通。いえ、ダークネスフィンガーに完全に敗北します。…そして、土門の前に遂に姿を現した地球再生の為のMS、最恐の機体ALL Permet  GUND-ARM、アルパメットガンダム。機体を構成する全てがシェルユニットで出来たこの機体は、なんと、バネの一つ。ネジの一本までもがシェルユニットだったのです。…これはつまり、シェルユニットに作用するDP細胞の自己進化、自己再生、自己増殖。この三つの能力によって絶対に倒すことの出来ない恐怖のMSだったのです。…師の正体、敗北、そして絶対に勝つことの出来ない現実に、土門は膝をつきます。…しかし、そんな土門を励まし、再び立ち上がれるよう手を差し伸べてくれる者がいました。…仲間たちです。そう、決闘を通じ、拳をぶつけ合った者たち。彼らの友情が。そして、パートナーとして、美花村玲院(みかむられいん)の存在が、土門を再び立ち上がらせました。…皆の協力のもと、自らの真の必殺技、シャイニングフィンガーを。明鏡止水の心境を体得した土門。…なんと美しい友情なのでしょうか。 仲間たちとアルパメットガンダムを追い、デスヴォルヴァを倒して回る土門たち。…ですが、そんな彼らの前に東方無敗は再び姿を現します。激昂する土門を前に、東方無敗は語ります。…一連の事件には、自分ではない本当の黒幕がいる。と、東方無敗の口からでた衝撃の事実に彼らはショックをうけます。…真の黒幕。それは、医療としてのGUND技術を良しとしない某国の首相だったのです。さらに東方無敗は続けます。…アルパメットガンダムの真の目的。それは、自身のコアユニットとなるべき人間を、健全な肉体を探すことだったのです。「…土門、本来ならばお前を味方に引き入れ、あやつのコアユニットにするつもりだった」 …東方無敗の言葉に、恐ろしい現実の前に、土門たちは言葉を失います。そんな彼らに、「…だが、コアユニットとなるべき肉体は見つかった」 そう言うと、東方無敗は、彼の地で待つ。決着をつけよう。と土門に言い残し、姿を消したのです。師からの挑戦に血気を滾らす土門でしたが、その時、彼らはまだ気が付いていませんでした。 …パートナーである、玲院が行方不明になっていたことに。 …さあ、何やら大変なコトになってまいりました。土門と東方無敗の最終対決。流派東方無敗の師弟対決の結末やいかに! 次回!…『さらば!東方無敗!暁の空に永遠に!』 …それでは皆さん!ガンドアームファイトォ!レディィィッ…ゴォォォッ!!

 …では、皆さん。(三度現れる眼帯に赤いスーツの男)ここで今までのおさらいをしてもよろしいでしょうか。…地上で修行に明け暮れる土門の前に現れたのはかつての師、東方無敗そのひとでした…。かつての師に心をゆるす土門でしたが、地球を、人類を揺るがす一連の騒動が師の手によるものだと知った土門は怒り狂います。…しかし、怒りに身を任せた土門の必殺技気炮暗黒通は、東方無敗の放つ、同じ気炮暗黒通。いえ、ダークネスフィンガーに完全に敗北します。…そして、土門の前に遂に姿を現した地球再生の為のMS、最恐の機体ALL Permet  GUND-ARM、アルパメットガンダム。機体を構成する全てがシェルユニットで出来たこの機体は、なんと、バネの一つ。ネジの一本までもがシェルユニットだったのです。…これはつまり、シェルユニットに作用するDP細胞の自己進化、自己再生、自己増殖。この三つの能力によって絶対に倒すことの出来ない恐怖のMSだったのです。…師の正体、敗北、そして絶対に勝つことの出来ない現実に、土門は膝をつきます。…しかし、そんな土門を励まし、再び立ち上がれるよう手を差し伸べてくれる者がいました。…仲間たちです。そう、決闘を通じ、拳をぶつけ合った者たち。彼らの友情が。そして、パートナーとして、美花村玲院(みかむられいん)の存在が、土門を再び立ち上がらせました。…皆の協力のもと、自らの真の必殺技、シャイニングフィンガーを。明鏡止水の心境を体得した土門。…なんと美しい友情なのでしょうか。

 仲間たちとアルパメットガンダムを追い、デスヴォルヴァを倒して回る土門たち。…ですが、そんな彼らの前に東方無敗は再び姿を現します。激昂する土門を前に、東方無敗は語ります。…一連の事件には、自分ではない本当の黒幕がいる。と、東方無敗の口からでた衝撃の事実に彼らはショックをうけます。…真の黒幕。それは、医療としてのGUND技術を良しとしない某国の首相だったのです。さらに東方無敗は続けます。…アルパメットガンダムの真の目的。それは、自身のコアユニットとなるべき人間を、健全な肉体を探すことだったのです。

「…土門、本来ならばお前を味方に引き入れ、あやつのコアユニットにするつもりだった」

 …東方無敗の言葉に、恐ろしい現実の前に、土門たちは言葉を失います。そんな彼らに、

「…だが、コアユニットとなるべき肉体は見つかった」

 そう言うと、東方無敗は、彼の地で待つ。決着をつけよう。と土門に言い残し、姿を消したのです。師からの挑戦に血気を滾らす土門でしたが、その時、彼らはまだ気が付いていませんでした。

 …パートナーである、玲院が行方不明になっていたことに。

 …さあ、何やら大変なコトになってまいりました。土門と東方無敗の最終対決。流派東方無敗の師弟対決の結末やいかに!

 次回!…『さらば!東方無敗!暁の空に永遠に!』

 …それでは皆さん!ガンドアームファイトォ!レディィィッ…ゴォォォッ!!

「いくぞッ!東方無敗ッ!!」 土門が吠える!それに呼応するようにシャイニングガンダムも機体各部を展開させ、スーパーモードとなっていく。同時にシェルユニットの輝きが増していく。土門が込める気合いは、それ自体がエネルギーとなり、シャイニングガンダムの機体を通して噴出され、周りの岩塊を宙に浮かび上がらせる。「オォォッ!」「来いっ!土門!…今こそ決着の時ぞっ!」 土門の雄叫びに、東方無敗の叫びが重なる。向かい合う二機、シャイニングガンダムとマスターガンダムは、それぞれの機体から凄まじいまでのエネルギーを噴出させている。そのエネルギーは、二機を中心に混ざり合い巨大な竜巻となって拡がっていく。 凄まじい光、エネルギーの奔流の中、二機のガンダムにある異変が起きる。シェルユニットの光が黄金色の輝きをもってきたのだ。その輝きはシェルユニットの中だけではとどまらず、その眩い黄金色の光は、機体の表面、装甲、関節部までもが輝いていく。「おお!ついに、ついに到達したのだな!明鏡止水の心境に!」 黄金色の光を全身に纏うシャイニングガンダムを前に、東方無敗はこれから始まるのが殺し合いだという事も忘れ感嘆する。「良いぞ!土門!…見つけたのだな。お前自身の黄金のひとしずくを!」 …ワシは良い弟子を得た。東方無敗は師としての喜びをのせ叫ぶ。向かいに立つシャイニングガンダム同様、黄金色に染まった両の拳を突き出し叫ぶ。「ゆくぞぉ!土門っ!流派ぁ!東方無敗が最終奥義ぃっ!!」「応ッ!」 同じ様に両の拳を前に突き出した土門も吠える!…それは、流派東方無敗の最終奥義の構え。 …二人の声が重なる。「「石破ッ!」」「「天ッ驚拳ッ!!」」 …土門が吠える。東方無敗が吠える。二人の咆哮は大地を揺るがし、空気を揺るがす。ぶつかり合う光と光。二機のガンダムが放った石破天驚拳は、向かい合う二機の中心でぶつかると、暴力的な渦を発生させる。縦に横に拡がり回転する巨大な渦は、大地を、木々を、空気さえ巻き込んで土門を、東方無敗をその光の中に飲み込んでいく。「うぉぉッ!…か、身体がバラバラになりそうだ。…こ、これが師匠の本当の力なのか」 技と技、エネルギーとエネルギー、気と気のぶつかり合い。その凄まじいエネルギーの奔流に、土門の身体は早くも悲鳴をあげ始めていた。拳を通し放つ気のエネルギーは、仮に生身で放ったとしても並のMSなら破壊出来る程の威力を持つ。…流派東方無敗の奥義たる所以だ。その奥義を土門は今、真正面から受けている。…しかし、それは東方無敗も同じであり、もはや、我慢比べの様になっている。互いに渾身の力を込めた気を放ち、強大なエネルギーの塊となった暴力そのものといえる光を全身にくらい続ける二人。 その命を賭けた我慢比べもいよいよ終焉の時が訪れる。限界の来た土門の身体が揺らぎ始めたのだ。…意識を失いかけた土門が片膝をついてしまう。「…何をしている!土門!自ら膝をつくなど勝負を棄てる者のすることぞ!!」 東方無敗が吠える!「立て!土門っ!そんなことでは悪党のワシ一人斃すことなぞ出来んぞ!…このバカ弟子めがっ!立て、…立ってみせいっ!!」 東方無敗もまた、限界なのだ。ギリギリの身体を軋ませ東方無敗は、気を放つ。放たれた気は渦巻く光の玉となり、膝をついたシャイニングガンダムの、土門の腹を打ちつけると、土門を無理やり立たせる。「うぐわぁッ!」 その一撃が気付となった土門は、両の目を開き気合を入れ直すと、眼前のマスターガンダムを、東方無敗を見据え、再び自らが打ち出している光の奔流に力を込める。「そうだ!東方無敗ッ!俺は、…俺はアンタを超える!超えてみせるッ!」 叫ぶ。土門から溢れる光が、シャイニングガンダムから放たれる光が、黄金色の光が、一層の輝きを、強さを増し、二機のガンダムを包み込む。「ウォォォッ!ばぁくねつッ!!石ッ破ッ!天ッ驚ォォッ!シャァァイニングゥッ!フィンガァァァァッーー!!!!」 圧倒的な光。石破天驚拳に上乗せされたシャイニングフィンガーのパワーが、エネルギーが巨大な手となり、マスターガンダムを、東方無敗の身体をガッシリと掴む。「うおあぁぁぁっ!!」 東方無敗が吠える。この瞬間、土門は自身の最高の奥義を会得したのだ。 …完全に自分の力を凌駕した光に身を包まれながら、東方無敗は思い返す。…修行に明け暮れた若き日を。…土門を弟子として共に過ごした日々を。…目を瞑り思い返す。ワシは、良い弟子をもったと…。光に包まれた東方無敗は、目をカッと見開き拳を掲げると、静かに、そして力強く言う。その拳にはハートの紋を背に立つ王の姿が浮かび上がっている。「…良し。今こそ、お前は本物のキングオブハート」 土門は見た。自らの放った光の奔流の中にマスターガンダムの姿がきえていくのを。土門は聞いた。光の中に消える東方無敗が、穏やかな笑みを浮かべ、話すのを。「……ッ!」 師の想い。師から託されたものに気付く土門。師匠ッ!…しかし、時はすでに遅く、土門の放った技は完全に決まっているのだ。「うわぁぁぁッ!…シャァァイニングッ!…エェーンドォォッ!!」 …コクピットの中で、土門は叫ぶ。涙でもう何も見えない土門は、ただただ、叫び、涙し、自分の手を握り締めることしかできなかった…。

「いくぞッ!東方無敗ッ!!」

 土門が吠える!それに呼応するようにシャイニングガンダムも機体各部を展開させ、スーパーモードとなっていく。同時にシェルユニットの輝きが増していく。土門が込める気合いは、それ自体がエネルギーとなり、シャイニングガンダムの機体を通して噴出され、周りの岩塊を宙に浮かび上がらせる。

「オォォッ!」

「来いっ!土門!…今こそ決着の時ぞっ!」

 土門の雄叫びに、東方無敗の叫びが重なる。向かい合う二機、シャイニングガンダムとマスターガンダムは、それぞれの機体から凄まじいまでのエネルギーを噴出させている。そのエネルギーは、二機を中心に混ざり合い巨大な竜巻となって拡がっていく。

 凄まじい光、エネルギーの奔流の中、二機のガンダムにある異変が起きる。シェルユニットの光が黄金色の輝きをもってきたのだ。その輝きはシェルユニットの中だけではとどまらず、その眩い黄金色の光は、機体の表面、装甲、関節部までもが輝いていく。

「おお!ついに、ついに到達したのだな!明鏡止水の心境に!」

 黄金色の光を全身に纏うシャイニングガンダムを前に、東方無敗はこれから始まるのが殺し合いだという事も忘れ感嘆する。

「良いぞ!土門!…見つけたのだな。お前自身の黄金のひとしずくを!」

 …ワシは良い弟子を得た。東方無敗は師としての喜びをのせ叫ぶ。向かいに立つシャイニングガンダム同様、黄金色に染まった両の拳を突き出し叫ぶ。

「ゆくぞぉ!土門っ!流派ぁ!東方無敗が最終奥義ぃっ!!」

「応ッ!」

 同じ様に両の拳を前に突き出した土門も吠える!…それは、流派東方無敗の最終奥義の構え。

 …二人の声が重なる。

「「石破ッ!」」

「「天ッ驚拳ッ!!」」

 …土門が吠える。東方無敗が吠える。二人の咆哮は大地を揺るがし、空気を揺るがす。ぶつかり合う光と光。二機のガンダムが放った石破天驚拳は、向かい合う二機の中心でぶつかると、暴力的な渦を発生させる。縦に横に拡がり回転する巨大な渦は、大地を、木々を、空気さえ巻き込んで土門を、東方無敗をその光の中に飲み込んでいく。

「うぉぉッ!…か、身体がバラバラになりそうだ。…こ、これが師匠の本当の力なのか」

 技と技、エネルギーとエネルギー、気と気のぶつかり合い。その凄まじいエネルギーの奔流に、土門の身体は早くも悲鳴をあげ始めていた。拳を通し放つ気のエネルギーは、仮に生身で放ったとしても並のMSなら破壊出来る程の威力を持つ。…流派東方無敗の奥義たる所以だ。その奥義を土門は今、真正面から受けている。…しかし、それは東方無敗も同じであり、もはや、我慢比べの様になっている。互いに渾身の力を込めた気を放ち、強大なエネルギーの塊となった暴力そのものといえる光を全身にくらい続ける二人。

 その命を賭けた我慢比べもいよいよ終焉の時が訪れる。限界の来た土門の身体が揺らぎ始めたのだ。…意識を失いかけた土門が片膝をついてしまう。

「…何をしている!土門!自ら膝をつくなど勝負を棄てる者のすることぞ!!」

 東方無敗が吠える!

「立て!土門っ!そんなことでは悪党のワシ一人斃すことなぞ出来んぞ!…このバカ弟子めがっ!立て、…立ってみせいっ!!」

 東方無敗もまた、限界なのだ。ギリギリの身体を軋ませ東方無敗は、気を放つ。放たれた気は渦巻く光の玉となり、膝をついたシャイニングガンダムの、土門の腹を打ちつけると、土門を無理やり立たせる。

「うぐわぁッ!」

 その一撃が気付となった土門は、両の目を開き気合を入れ直すと、眼前のマスターガンダムを、東方無敗を見据え、再び自らが打ち出している光の奔流に力を込める。

「そうだ!東方無敗ッ!俺は、…俺はアンタを超える!超えてみせるッ!」

 叫ぶ。土門から溢れる光が、シャイニングガンダムから放たれる光が、黄金色の光が、一層の輝きを、強さを増し、二機のガンダムを包み込む。

「ウォォォッ!ばぁくねつッ!!石ッ破ッ!天ッ驚ォォッ!シャァァイニングゥッ!フィンガァァァァッーー!!!!」

 圧倒的な光。石破天驚拳に上乗せされたシャイニングフィンガーのパワーが、エネルギーが巨大な手となり、マスターガンダムを、東方無敗の身体をガッシリと掴む。

「うおあぁぁぁっ!!」

 東方無敗が吠える。この瞬間、土門は自身の最高の奥義を会得したのだ。

 …完全に自分の力を凌駕した光に身を包まれながら、東方無敗は思い返す。…修行に明け暮れた若き日を。…土門を弟子として共に過ごした日々を。…目を瞑り思い返す。ワシは、良い弟子をもったと…。光に包まれた東方無敗は、目をカッと見開き拳を掲げると、静かに、そして力強く言う。その拳にはハートの紋を背に立つ王の姿が浮かび上がっている。

「…良し。今こそ、お前は本物のキングオブハート」

 土門は見た。自らの放った光の奔流の中にマスターガンダムの姿がきえていくのを。土門は聞いた。光の中に消える東方無敗が、穏やかな笑みを浮かべ、話すのを。

「……ッ!」

 師の想い。師から託されたものに気付く土門。師匠ッ!…しかし、時はすでに遅く、土門の放った技は完全に決まっているのだ。

「うわぁぁぁッ!…シャァァイニングッ!…エェーンドォォッ!!」

 …コクピットの中で、土門は叫ぶ。涙でもう何も見えない土門は、ただただ、叫び、涙し、自分の手を握り締めることしかできなかった…。

ザザーン ザザーン 波の音が聞こえる。力強さと、どこかもの悲しい音だ。海の色は暗い青、しかし、その色は徐々に赤みを帯び、深い紫色になっていく。…夜が明けるのだ。登ってくる太陽に照らされる浜に二つの影が長く伸びる。「…師匠」 土門は抱きかかえている人物に声をかける。「フフフ…、まだ、ワシを師匠と呼んでくれるか」 はい…、師匠。そう言う土門の目からは大粒の涙。それは、一つ、また一つと東方無敗の顔に落ちる。「…幼子のように泣くではないわ。…なあ、土門よ。もっと早くお前と出逢っていたなら、もっと早くお前と拳を交えていたなら。…お前がガンドアームファイターになってなどいなければ。…こんな事にならなんだろうか」「師匠…」「わかっていた。…わかっていたのだ。地球の為だとなんだと言っても、所詮はワシの独りよがりだと…」「そんな、そんな事はありません」「…いいのだ、土門。…お前は言ったな、ワシが滅ぼそうとしていた人類もまた、自然の一部だと。…わかっていたのだ。…だのに、ワシは、DP細胞などいったモノに頼ってしまった。…だがな、土門!」 そう言って、東方無敗は目を見開き、自らの胴着の胸元をガバリと開くと言う。「見ろ!土門。ワシの体は一片たりともDP細胞に侵されてなどおらん!」「わかっていた。…わかっていたのに!」 再び土門の目には、大粒の涙が溢れる。 …ああ、美しいな。師の声に土門は抱きかかえた東方無敗の顔を見る。…師は、両の目に涙を湛え、昇りくる朝日を見ている。胸元で拳を握る東方無敗。土門は、その師の拳に手を重ねると、二人は朝日に向かい叫ぶ。「ならば!」「はいッ、師匠!」「流派っ!」「東方無敗はッ!」「「王者の風よッ!!」」「全新っ!」「系裂ッ!」「「天破侠乱ッ!!」」「「見よっ!」」「「東方はッ!」」「「赤く!燃えているッ!!!」」「……ゔぁぁっ」 東方無敗の拳から力が抜ける。「…ッ!師匠!…師匠ォォッ!」 穏やかな師の顔に、土門の大粒の涙が落ちる。「…師匠ォォォォォォッ!!!」 朝日を浴びる浜に、土門の声だけが響き渡る。

ザザーン ザザーン

 波の音が聞こえる。力強さと、どこかもの悲しい音だ。海の色は暗い青、しかし、その色は徐々に赤みを帯び、深い紫色になっていく。…夜が明けるのだ。登ってくる太陽に照らされる浜に二つの影が長く伸びる。

「…師匠」

 土門は抱きかかえている人物に声をかける。

「フフフ…、まだ、ワシを師匠と呼んでくれるか」

 はい…、師匠。そう言う土門の目からは大粒の涙。それは、一つ、また一つと東方無敗の顔に落ちる。

「…幼子のように泣くではないわ。…なあ、土門よ。もっと早くお前と出逢っていたなら、もっと早くお前と拳を交えていたなら。…お前がガンドアームファイターになってなどいなければ。…こんな事にならなんだろうか」

「師匠…」

「わかっていた。…わかっていたのだ。地球の為だとなんだと言っても、所詮はワシの独りよがりだと…」

「そんな、そんな事はありません」

「…いいのだ、土門。…お前は言ったな、ワシが滅ぼそうとしていた人類もまた、自然の一部だと。…わかっていたのだ。…だのに、ワシは、DP細胞などいったモノに頼ってしまった。…だがな、土門!」

 そう言って、東方無敗は目を見開き、自らの胴着の胸元をガバリと開くと言う。

「見ろ!土門。ワシの体は一片たりともDP細胞に侵されてなどおらん!」

「わかっていた。…わかっていたのに!」

 再び土門の目には、大粒の涙が溢れる。

 …ああ、美しいな。師の声に土門は抱きかかえた東方無敗の顔を見る。…師は、両の目に涙を湛え、昇りくる朝日を見ている。胸元で拳を握る東方無敗。土門は、その師の拳に手を重ねると、二人は朝日に向かい叫ぶ。

「ならば!」

「はいッ、師匠!」

「流派っ!」

「東方無敗はッ!」

「「王者の風よッ!!」」

「全新っ!」

「系裂ッ!」

「「天破侠乱ッ!!」」

「「見よっ!」」

「「東方はッ!」」

「「赤く!燃えているッ!!!」」

「……ゔぁぁっ」

 東方無敗の拳から力が抜ける。

「…ッ!師匠!…師匠ォォッ!」

 穏やかな師の顔に、土門の大粒の涙が落ちる。

「…師匠ォォォォォォッ!!!」

 朝日を浴びる浜に、土門の声だけが響き渡る。

 …こうして、東方無敗と土門の、悲しい師弟対決に、一応の終止符が打たれました。ですが、物語はまだ終わりません。…そう、全宇宙を巻き込んだ更なるファイトが展開されるのです。 東方無敗が倒れたことで、制御ユニットの一つだったマスターガンダムを失ったアルパメットガンダムが、暴走を始めたのです。仲間たちの協力によってアルパメットガンダムの居場所を突き止めた土門は、仲間たちと行く手を阻むデスヴォルヴァを薙ぎ倒し、アルパメットガンダムの元に向かいます。途中、玲院を攫った某国首相の乗ったシャトルを、「…人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて地獄に堕ちろォッ!」 亡き東方無敗の愛馬であり、土門を新たな主と認めたMH(モビルホース)『雷雲再起』に乗った土門は撃破します。…そして、数々の苦難を乗り越え、アルパメットガンダムの元に辿り着いた土門の目に飛び込んできた光景。それは、自己進化の末、最終形態『デビルガンダム』となったアルパメットガンダムと、そのコアユニットとなった玲院の姿だったのです。 禍々しいデビルガンダムとなって土門に襲いかかる玲院。…果たして、土門はデビルガンダムを打ち倒すことが、最愛の人、玲院を救い出すことが出来るのでしょうか。 …さて、皆さん!いよいよ次でお別れです。次回!最終回!『轟けッ!勝利を掴むは、輝く拳!希望の学園生活へ、レディ、ゴーッ!!』 そう!これが最後のガンドアームファイトッ!…さぁ、それでは皆さん、ご一緒に!ガンドアァァームファイトォォォッ!!レディィィィッ!…ゴォォォォォォッ!!!  Flying in The Sky! 高くはばたけ 大空を何処までもShining Finger! 夢をつかもう 全ては思うままにI Get a Chance!

 …こうして、東方無敗と土門の、悲しい師弟対決に、一応の終止符が打たれました。ですが、物語はまだ終わりません。…そう、全宇宙を巻き込んだ更なるファイトが展開されるのです。

 東方無敗が倒れたことで、制御ユニットの一つだったマスターガンダムを失ったアルパメットガンダムが、暴走を始めたのです。仲間たちの協力によってアルパメットガンダムの居場所を突き止めた土門は、仲間たちと行く手を阻むデスヴォルヴァを薙ぎ倒し、アルパメットガンダムの元に向かいます。途中、玲院を攫った某国首相の乗ったシャトルを、

「…人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて地獄に堕ちろォッ!」

 亡き東方無敗の愛馬であり、土門を新たな主と認めたMH(モビルホース)『雷雲再起』に乗った土門は撃破します。…そして、数々の苦難を乗り越え、アルパメットガンダムの元に辿り着いた土門の目に飛び込んできた光景。それは、自己進化の末、最終形態『デビルガンダム』となったアルパメットガンダムと、そのコアユニットとなった玲院の姿だったのです。

 禍々しいデビルガンダムとなって土門に襲いかかる玲院。…果たして、土門はデビルガンダムを打ち倒すことが、最愛の人、玲院を救い出すことが出来るのでしょうか。

 …さて、皆さん!いよいよ次でお別れです。次回!最終回!

『轟けッ!勝利を掴むは、輝く拳!希望の学園生活へ、レディ、ゴーッ!!』

 そう!これが最後のガンドアームファイトッ!…さぁ、それでは皆さん、ご一緒に!ガンドアァァームファイトォォォッ!!レディィィィッ!…ゴォォォォォォッ!!!

  Flying in The Sky! 高くはばたけ 大空を何処までも

Shining Finger! 夢をつかもう 全ては思うままに

I Get a Chance!

…皆様お疲れ様でした。過去最大の文字数による「機動水星武闘伝 G GUND-ARM」でした。まあ、これ読んで多くの人が頭の上に?マークを浮かべたであろう土門の放つ、「気炮暗黒通」ですが、平成七年に角川スニーカー文庫様より発行された、機動武闘伝Gガンダムの小説内における必殺技の一つです。…これを見てくださっている人の中でこれを知っているのは、何人いるのだろうか?あと、みんなが気になっている(気になってくれ!)マスターガンダムは、後日投稿予定だ!それでは皆さん、良いお年を。

…皆様お疲れ様でした。過去最大の文字数による「機動水星武闘伝 G GUND-ARM」でした。まあ、これ読んで多くの人が頭の上に?マークを浮かべたであろう土門の放つ、「気炮暗黒通」ですが、平成七年に角川スニーカー文庫様より発行された、機動武闘伝Gガンダムの小説内における必殺技の一つです。…これを見てくださっている人の中でこれを知っているのは、何人いるのだろうか?あと、みんなが気になっている(気になってくれ!)マスターガンダムは、後日投稿予定だ!

それでは皆さん、良いお年を。

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