HGオリジン ガンキャノンV.C

「ミサイル1〜3番準備よし、目標有効射程エリアまで30秒‥」

レイドは岩塊に機体を隠すと火器管制システムの確認をし、その時を伺う。ガンキャノンV.Cはテム・レイ大尉によるV作戦で培われた技術を用い再改修した機体でありコアブロックシステムこそ持たないが、火器管制や機動プログラムといったOSはRXシリーズと同等のものが採用されている。

レイドもテストパイロット出身であり実戦は初めてだ。MSのシュミレーションカリキュラムは一通りこなしたが、敵を撃つという事に躊躇いがないと言えば嘘になる。

ネイマンは指定座標まで向かう最中レイドに通信する。
「レイド、さっきはありがとう」
「急にどうしたんです?」
「俺は初めて敵に撃たれて焦っていた。お前の声がなければ正しい判断が出来ていなかったよ。」
「その台詞は互いに生きて帰ったらにしましょう」
「ああ、ここが正念場だ。座標侵入まであと12秒！」
レイドの声が僅かだが震えている。ザク2機がメインカメラで捉えられる距離まで来るとスコープを合わせた。

敵目標地点侵入。ロックオン。

「ミサイル1〜3番発射！」

バッグパック右翼にあるミサイルポッドから順に白煙をあげミサイルが翔び立つ。

「隊長！ニジの方向から3つ飛翔体確認！」

「何だと?!まだ伏兵がいたのか、ミサイルなら撃ち落とすぞ！」

シュタイナーはミサイルの来る方向へ機体を向けた。

「ミサイル3‥、いや多数！」

レーダーに映っていた3つの点が散るようにバラけた。目視で数えるには時間が掛かり過ぎる数だ。

「多弾頭ミサイルか!!」

シュタイナー達がミサイルを確認した途端、3発のミサイルの弾頭が割れ一斉に小型ミサイルが再加速し襲いかかる。いくら熟練パイロットといえどこれを全て撃ち落とすのは不可能だ。回避しながら可能な限り迎撃するが、ミーシャは手持ち武装に直撃する。小型になり一発の威力は減少したが、武装を使用不能にするには充分な威力であった。

「くそっ、やりやがったなっ！」

続けてバックパックにも被弾しコントロールが一時的に不能になる。

「うわーっ！」

レイドは岩塊の影から飛び出しありとあらゆる火器を出し惜しみなく撃つ。もはやロックオンなどせず無我夢中であった。

「連邦は何機いるんだっ⁉」

シュタイナーはランダムに来る攻撃が読めず避けるしか術がなかった。

「隊長!引いてください!」

「どうした?」

通信の相手はアンディだ。アンディはシュタイナーに近づくと攻撃してくる方向へ牽制のマシンガンを連射する。

「我々の輸送艦に連邦の艦隊が接近しています。ガルシアは回収しましたが戦闘継続は難しいです」

「ぬかったか。コイツらが囮とはな」

新型MSを餌に母艦が手薄になるとはシュタイナーらしからぬ采配ミスだ。

「連邦の新型MSの戦闘データはとれた。ミーシャ動けるか?この宙域から離脱するぞ」

「何とか行けます！」

ザク3機は各自方向を変え、その場を離れた。

レイドがふと我に返ったのは全ての弾を打ち尽くしてからだ。カチカチとスイッチの音のみがし、弾は一切発射されていないのに気づくと全身が水に浸かったようにびっしょりであった。ミサイル発射後の記憶はほぼない。レーダーを見ると敵のザクがこの場から離れているのを確認する。それからネイマンと合流すべく移動を始めた。

「無事ですか?」

レイドはネイマン機に機体を寄せる。

「ああっ、何とか。敵が引いたな…」

「いったいどうしたんでしょう?」

「微弱だが電波を捉えた。ワッケイン司令のテコ入れだろう。サラミス3隻がこっちに来ているようだ」

「ああ、それで」

二人は安堵すると機体の残弾をチェックする。

「こっちはもう弾切れです。無闇にロックオンもせず撃ってたみたいで訓練なら0点です」

「こっちもだ。あれだけやって不意打ちの一発だけとは腕立て100回モンだ」

「報告書どうしましょう?」

「こう書け。ほとんど記憶にございませんってな…」

この戦闘の後、各地でMS同士の戦闘が頻発し戦局は大きく変わろうと歯車が回りだす。

彼らもここから遊撃隊としての任務が始まり新たな戦場へ赴くのだった。

to be continue

オリジナルMSV、サイド7編を見ていただきありがとうございました🙇

彼らの物語はまた別の機会で。

今回ラストを飾るのはガンキャノンV.Cです！

V.CはVmission、customの頭を取ったもので、作ったのはだいぶ前です。

改造は主にハンドパーツ変更や付け足しでカラーリングはRX-77に寄せてます。

ビームライフル、シールドは前に買ったRX-78のジャンクを使いガンキャノンではあまり見ない組み合わせなので、あえて採用してみました。

初期型はどうしても月面スミス海での大敗のイメージが強いので払拭するのに武装追加！

3連ミサイルポッドと射撃、索敵能力アップにレドームを新たに装備。クリアパーツはレーザー測量機器という設定です。ミサイルは今回多弾頭式でしたが状況に応じて対艦やミノフスキー撹乱幕弾頭と変更します。

元のスペックの低さはビームライフル、実弾キャノン砲、バルカン、ミサイルポッド、重火器バリエーションでカバーです。

後ろもバーニアを追加。丁度よいスペースがありました。

今回でデジラマショートストーリーは一区切りですが、次作に向けて誠意制作中です！

次は地球に降りちゃいます!

そして私の好きな作品でもあるミリタリーテイスト強いあのアニメを舞台に繰り広げる予定です。

また見てくれたら嬉しいです😄

では～