HGUC？地球連邦軍 対空兵器90ｍｍビームガトリング砲・対艦ミサイル

「第12エリア対空火器リフトアップ完了、自動迎撃システム異常なし！」

ルナツー基地内部からエレベーターでせり上がった対空火器はその姿を現す。

「1番2番3番はASM(Anti-Ship Missile 対艦ミサイル)発射用意！」

ルナツーの防空兵器は普段基地内部に格納されており戦闘態勢に入った時のみ外へ出される。常時出していると小さなデブリや隕石でも当たると破損や劣化に繋がる為、メンテナンスのしやすさも含め通常時は内部に格納している。

「敵機、第5エリア対空火器射程圏内に侵入！迎撃開始しますっ！」

ビームガトリングガンのモーターが唸ると銃身が徐々に回転を始めた。そして一気に加速しだすと銃口から凄まじい勢いでメガ粒子砲が連続して放たれる。

「敵は新型なんだな?」

ルナツー基地司令官のワッケインは中央指令部でモニターを観ながらオペレーターの肩に手を乗せ尋ねる。

「はい、D−SIから送られた映像です」

オペレーターはモニターに戦闘の様子を映す。

「宇宙では見た事ないな。ジオンのプロパガンダであった例のEMS−10とも違うようだが」

「データ照合から恐らく先に地球で運用されている新型重MSかと思われます」

「詳細は分からないのか?」

「地球で数例の戦闘があった記録はありますが、まだ詳細な報告は上がっていません」

「新型と言えど、あの程度の数でルナツーを落とすつもりではあるまいな」

「いくらなんでもあり得ませんよ司令。新型のテストも兼ねて威力偵察の類いでしょう」

副官が割って入る。

「…だがタイミングが気になるな」

「どういう事です？」

「………」

ワッケインは何か引っかかるものを感じていた。何者かがルナツーの艦隊が出撃しているとジオン軍にリークしたとして、何故今攻撃してきたのだろう。艦隊の位置はまだルナツーに近い所にある。引き返そうと思えばそう時間はかからないで戻って来れる筈だ。

(恐らく敵はオデッサ作戦の内容を知っている。地球上空に我々がいるとよほど何か問題があるのか…?)

「こちらチャーリー・リーダー・ビッグベア。これより宇宙艦ドッグへ攻撃を開始する!」

隊列を組んだチャーリー小隊のリック・ドムは激しくなる対空砲火の隙間を縫う様にルナツーに接近する。そして目の前にある宇宙艦ドッグに狙いを定めると射撃態勢を取った。敵の攻撃範囲が限られるように縦一列に並びリック・ドムは突き進む。

「このジャイアントバズーカの弾は特注品だ。ムダ弾を使うなよ!」

「了解っ！」

殿のリック・ドムが急降下するようにルナツーへダイブすると、それに習い後続機も急降下した。

一列に並んだリック・ドム3機は先頭から順に1発づつジャイアントバズーカを撃つと弾は宇宙艦ドッグへ吸い込まれていく。

「ストライクだな！」

「いやいや、少々狙いが甘いんじゃ?俺は管制室に直撃ですわ」

狙われた宇宙艦ドッグにジャイアントバズーカの弾が被弾すると夕焼けの様にドッグ内を赤く照らす。それも凄まじく爆発しドッグは地獄の業火に焼かれたような画になる。

「各員消火急げっ!」

「こんな燃えては消せないだろっ、隔壁閉鎖だ！」

「総員退避っ、退避ー！」

視界を遮る濃煙にドッグ内部の兵士達は混乱に陥る。

「始まったな…」

キリュウはブラボー、チャーリー各小隊が宇宙艦ドッグへ攻撃を始めるのを確認すると、自身も対空砲火の嵐へ飛び込んでいく。

「露払いは任せてもらおう！」

ビームガトリング砲からの攻撃をものともせず回避すると迎撃に来たジムを複数見つける。

(思ったより連邦軍はMSの量産体制が整っているようだな…)

確認したのは4機のジムで、他にも無人哨戒艇のD−SIがいる。ジムはキリュウのザクを見つけると一斉に射撃を開始する。しかし経験と練度の差から弾は掠りもしない。

「連邦軍は戦い方を知らんようだなっ！」

キリュウは群れるジム達の懐に敢えて飛び込む。ザクの動きに、ジムは一瞬躊躇いがでた。キリュウはジム部隊の中心でヒートサーベルで斬りかかると、距離のある敵機には90ｍｍマシンガンで応戦する。

「互いの射線を気にかけろっ！」

キリュウは敵部隊の真ん中に陣取る事で、ジム達が互いに射撃をし同士討ちになるのを狙ったのだ。そこをジム達が一瞬行動を躊躇ったので隙が生まれた。この一対多数の戦術でザクは大立ち回りを見せると連邦軍の訓練生パイロット達は震えがった。ジムは次々と薙ぎ倒されD−SIも鉄屑と化す。

するとロック・オンアラームがコクピット内に響いた。キリュウは瞬間的に直感が働くと、真下を警戒し回避運動を取るとメガ粒子砲が自分を目掛けて飛んできた。

「狙いは良いっ！」

メガ粒子砲を避けると、これまでとは違う何かを感じた。

「隊長!ご無事で?!」

「ああ、少々夢中になり過ぎたようだ」

アルファ小隊も付近にいたようでキリュウのザクの動きをフォローしていた。戦闘も激しさを増し周囲には敵機の残骸や基地の外壁等が多く漂い始めている。　

「何か来るっ！」

「ここの偉いさんは訓練生ばかり集めてなんて戦い方をしているんだっ!!」

ネイマン・オルトラン中尉はそう叫ぶとルナツー基地から発進した。そして混戦状態にあるジム部隊を見つけると、すかさずビーム・ライフルを構え援護射撃を行う。

「当たらなくてもいいっ、兎に角引き剥がすんだっ!」

射撃後、先行指揮官用ジムを駆るネイマンは戦闘中の友軍の元へ、フルスロットルで向かう。見事な機動でデブリを避け戦場を駆けた。

「教官でありますかっ?!」

ネイマンの進路近くにいた1機のジムが通信をする。

「俺は教官じゃない!一回だけ仮想敵をしただけだっ!!」

「教官殿、指揮をお願いします！」

「他の連中はどうしたっ⁉」

「はぐれてしまって…」

「何だとっ、戦況はどうなっているんだっ⁉」

「分かりません、指令部からの通信もほとんどなく…」

「ない訳ないだろっ！っ何だ新型かっ！」

ネイマンは前方のリック・ドムとザクⅡ改を視界に入れるとビーム・ライフルを連続で撃つ。

「教官殿、自分はどうすれば?」

「死にたくなければ引いてろっ！」

「いえ、そんな訳にもっ！」

「えぇい、五月蝿い！だったらルナツーの外壁を背にして戦えっ!それなら前面だけ気にすればいいだろっ！」

「りょ、了解でありますっ！」

「まったく、整備中で手間取ったがあんなのまで投入して何考えてるんだ!」

「…こちら地球連邦宇宙軍ホワイトユニサス所属、ホワイト・ウィング2、ルナツー基地への着陸許可を求む」

「……艦…をた……に戻………ッサ作…」

ノイズが多く聞き取れない。

「戦闘中?…こちら…」

「地球………ナツー……落ち…至急……」

ルナツーの裏側であるこちらからはよくは見えないが、時折爆発の様な輝きが地球側の方に見える。

「…まさかな」

〜to be continued〜

ご覧いただきありがとうございました_(_^_)_

対空火器の描写が少なかったなと少し反省しつつ、前回から戦闘シーンはかなり力を入れてます∠(｀・ω・´)

あと少し懐かしい機体とパイロットが再登場しました。

今回紹介のガンプラはHGUC?地球連邦軍対空兵器90ｍｍビームガトリングガン・対艦ミサイルです！

前回登場したミサイルはコイツの物です。

前に08小隊スピンオフでトーチカが登場しましたが、その並びと同じ感覚です。ストーリーにするとどうしてもMS戦だけだと話しが作りづらいので、このようなものも作ります(^O^)

使用キットはコチラのビルドファイターズトライのパワードアームズパワーダーです。UCじゃないけど一応HGです。対空火器にちょうど良いのがあると思い雰囲気で作りました。

あとは前のモビルハロやディティールアップパーツを使ってます。こういうのは設計図がある訳でなく直感でこんな感じという風に作ってます。塗装や汚しはいつもと一緒ですが人型じゃないので少々見どころ少ないかも（；^ω^）

さて次回は第一幕の最終話となります。カウンターオデッサ作戦の真相が分かるのとトライバル隊のエースと久々登場MSが激突!

次回ご紹介は最後のコアファイター(旧キット)です。これは第二幕に続くヒントでございます

( ･`ω･´)

ではまた見てくれたら嬉しいです

(人∀・)ﾀﾉﾑ