AMX-008 ガ・ゾウム(キリアン・ソール専用機)

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【STORY】
──宇宙世紀0097年、ラプラス争乱の翌年。
ネオ・ジオン残党勢力「袖付き」の組織構造は、指導者層の喪失をきっかけに崩壊した。元より背景の異なるジオン残党の寄り合い所帯に過ぎなかった者たちである。彼らが道を違えることは必然だった。
ある者は「サイド共栄圏」構想に固執し、ある者はザビ家の復讐に憑りつかれ、ある者はただ生存のため、宙賊へとその身をやつした。

ザンジバル級重巡洋艦──《スタヴロス》。
この艦もまた、孤独に宇宙を放浪する「袖付き」の分派であった。かつてはネオ・ジオンの誇り高き一翼を担っていたこの艦も、いまや孤立無援の逃亡者。彼らはもはや、故国の再興など望みはしない。
来る宇宙世紀0100年には、ジオン共和国はついに自治権を失効する。その瞬間を「最後のネオ・ジオン」として見届けるためだけに、《スタヴロス》はあてのない逃避行を続けていたのだった……。

MOBILE SUIT】
《スタヴロス》のMS部隊「スタリオン」が運用する《ガ・ゾウム》は、コールサイン03── キリアン・ソール少尉に合わせて調整が施された専用のカスタム機である。
独自の改修点として、大口径ビームライフルである「ハイパー・ナックルバスター」の銃身下部にソードオフ・ショットガンが懸架されていることが特徴的といえる。
機体の装甲色はキリアンのパーソナルカラーであるダークグレーで塗装され、「袖付き」時代のエングレーブがそのまま残されている。

設定が長くなりました。
旧キットの「ガ・ゾウム」を、ミキシングでなるべくHGUC的なプロポーションに調整し、可動域を増やした作品となります。カラーリングはゲーム「機動戦士ガンダム バトルオペレーション2」でいつも愛用しているカラーリングをなるべく再現しました。
以下、デジラマストーリーを掲載し、最後に作業工程を掲載します。どうかお付き合いくださいまし。

「艦はやらせない……スタリオン03、出る!」

「艦はやらせない……スタリオン03、出る!」

【放浪のスタヴロス 第一話】星々が無限に広がる静寂の宇宙の中、《スタヴロス》から発進した二機のモビルスーツは、漂うデブリの間を縫うように進んでいた。20分前、狙撃で機関部を撃ち抜かれた母艦《スタヴロス》は動けなくなり、それを為した敵は依然として潜んだままだ。キリアン・ソール少尉は、緊張の面持ちで愛機の操縦グリップを握り直した。「少尉、何か居たか」低く落ち着いた声が、インカムから鳴る。先行する《ギラ・ズール》のソルヴィン・マレー大尉だ。「……デブリの影が濃い。何も見えませんよ」キリアンは短く答える。27歳という若さにもかかわらず、二度に渡るネオ・ジオン抗争、そしてラプラス争乱を経た彼の声は、戦場に似つかわしくないほどに、落ち着き払っていた。「やはり見当たらんか……このまま進むぞ」ソルヴィンが命じる。ここからでは母艦を狙撃した者の姿は見えない。二人は機体を推進させ、岩塊と崩れた廃墟の漂う暗黒の最奥へと突入した。◇初弾以来、敵方からのアプローチはない。優秀なスナイパーは待つことに長けるというが、長期戦になることを狙っているのだろうか。じっくりとその時を待ち、こちらの集中が途切れた一瞬を撃ち抜いてくるつもりなら厄介だ。どうにか先手を打つ必要がある。「大尉、遮蔽になりそうなデブリに片っ端から撃ち込んでみます」「やれるか?」「バックアップは任せます」

【放浪のスタヴロス 第一話】

星々が無限に広がる静寂の宇宙の中、《スタヴロス》から発進した二機のモビルスーツは、漂うデブリの間を縫うように進んでいた。
20分前、狙撃で機関部を撃ち抜かれた母艦《スタヴロス》は動けなくなり、それを為した敵は依然として潜んだままだ。キリアン・ソール少尉は、緊張の面持ちで愛機の操縦グリップを握り直した。

「少尉、何か居たか」
低く落ち着いた声が、インカムから鳴る。
先行する《ギラ・ズール》のソルヴィン・マレー大尉だ。

「……デブリの影が濃い。何も見えませんよ」
キリアンは短く答える。27歳という若さにもかかわらず、二度に渡るネオ・ジオン抗争、そしてラプラス争乱を経た彼の声は、戦場に似つかわしくないほどに、落ち着き払っていた。

「やはり見当たらんか……このまま進むぞ」
ソルヴィンが命じる。ここからでは母艦を狙撃した者の姿は見えない。二人は機体を推進させ、岩塊と崩れた廃墟の漂う暗黒の最奥へと突入した。



初弾以来、敵方からのアプローチはない。優秀なスナイパーは待つことに長けるというが、長期戦になることを狙っているのだろうか。
じっくりとその時を待ち、こちらの集中が途切れた一瞬を撃ち抜いてくるつもりなら厄介だ。どうにか先手を打つ必要がある。

「大尉、遮蔽になりそうなデブリに片っ端から撃ち込んでみます」
「やれるか?」
「バックアップは任せます」

キリアンはミサイルポッドを展開し、フィルタリングした大型のデブリにマルチ・ロックオンをかける。ビルの残骸、コロニーのミラー破片、砕けた小惑星……当たりはどれだ? 彼は静かにトリガーを引いた。「出て来い……!」無数のミサイルが一斉に発射され、デブリの影に向かって一斉に飛び込んでいった。連鎖する爆発が宇宙の静寂を引き裂く。

キリアンはミサイルポッドを展開し、フィルタリングした大型のデブリにマルチ・ロックオンをかける。ビルの残骸、コロニーのミラー破片、砕けた小惑星……当たりはどれだ? 彼は静かにトリガーを引いた。

「出て来い……!」
無数のミサイルが一斉に発射され、デブリの影に向かって一斉に飛び込んでいった。連鎖する爆発が宇宙の静寂を引き裂く。

「見つけた!南天方向、距離500!」キリアンの叫びが、通信チャンネルを駆け巡る。夥しい爆発の閃光の中に、微かな機影。ビルの瓦礫の裏に、赤いMSの姿があった。「キリアン!俺が牽制する、そのままヤツを追え!」ソルヴィンの声にはじかれるように、キリアンは《ガ・ゾウム》を加速させる。機体はまるで漆黒の矢のように宇宙を駆け抜けた。ソルヴィンが放ったビーム・マシンガンの乱射が、敵の行く手をふさぐ。

「見つけた!南天方向、距離500!」
キリアンの叫びが、通信チャンネルを駆け巡る。夥しい爆発の閃光の中に、微かな機影。ビルの瓦礫の裏に、赤いMSの姿があった。

「キリアン!俺が牽制する、そのままヤツを追え!」
ソルヴィンの声にはじかれるように、キリアンは《ガ・ゾウム》を加速させる。機体はまるで漆黒の矢のように宇宙を駆け抜けた。ソルヴィンが放ったビーム・マシンガンの乱射が、敵の行く手をふさぐ。

「その色、“赤い彗星”気取りか……!」キリアンはビームサーベルを引き抜き、一直線にスナイパーへと斬りかかった。敵のモビルスーツはライフルを捨て、同様にサーベルを発振させて受け止める。そして激しいプラズマが生じ、両機の目の前でスパークした──。

「その色、“赤い彗星”気取りか……!」
キリアンはビームサーベルを引き抜き、一直線にスナイパーへと斬りかかった。敵のモビルスーツはライフルを捨て、同様にサーベルを発振させて受け止める。そして激しいプラズマが生じ、両機の目の前でスパークした──。

第一話 終

ここからが制作工程となります。最初から加工を始めたので素組みの画像ムはありません。

ここからが制作工程となります。最初から加工を始めたので素組みの画像ムはありません。

まずは上半身。頭部はプラバンとジャンクパーツのスラスターを半分に切ったパーツで丸みをつけ、よりガ・ゾウムらしい形状に変更(①)。肩のはくり抜き、HGアトラスガンダムのスラスターを移植(②)。胸部はプラ板でボリュームアップし、胸のダクトにジャイアントガトリングの蓋パーツをはめ込み。サイズ感がちょうどよかったです(③)。また、首と動体を繋ぐチューブのパーツはビルダーズパーツのMSパイプに変更しています。

まずは上半身。頭部はプラバンとジャンクパーツのスラスターを半分に切ったパーツで丸みをつけ、よりガ・ゾウムらしい形状に変更(①)。
肩のはくり抜き、HGアトラスガンダムのスラスターを移植(②)。
胸部はプラ板でボリュームアップし、胸のダクトにジャイアントガトリングの蓋パーツをはめ込み。サイズ感がちょうどよかったです(③)。
また、首と動体を繋ぐチューブのパーツはビルダーズパーツのMSパイプに変更しています。

お次は腕部。ハロローダーの関節部品を肘に移植しました。当初、肩は百錬の股関節を使っていたのですが、少しマッチョすぎる印象になったため、のちに元のキットの肩パーツを加工して、ポリキャップを仕込みました。袖口周りの装飾には、ビームサーベルホルダーを四角のプラパイプで作り、反対側の装飾はヘイズル系のEパックの黄色いパーツを使いました。画像を取り忘れていましたが、プラ板で「袖付き」のエングレーブも再現しています。

お次は腕部。ハロローダーの関節部品を肘に移植しました。当初、肩は百錬の股関節を使っていたのですが、少しマッチョすぎる印象になったため、のちに元のキットの肩パーツを加工して、ポリキャップを仕込みました。袖口周りの装飾には、ビームサーベルホルダーを四角のプラパイプで作り、反対側の装飾はヘイズル系のEパックの黄色いパーツを使いました。

画像を取り忘れていましたが、プラ板で「袖付き」のエングレーブも再現しています。

脚部はどういうわけか、一番苦労した膝の加工を取り忘れていました。簡単に文章で説明すると、最終的にHGUCガンキャノンの膝関節を半分に切り、アームアームズのジョイントを使って二股に分岐させています。反面、踵の構造は一度思いついたらすんなりと作れました。HGシャルドールの肘部分を利用し、そこに軸受けとポリキャップを挟み込みます。かかとは「C」の字に切り欠き、3ミリ棒を指して後ハメ可能に。ボールデンの3ミリボールを使ってカカトの左右パーツはフレキシブルに動くようにしました。つま先側はキマリスの部品を流用。

脚部はどういうわけか、一番苦労した膝の加工を取り忘れていました。簡単に文章で説明すると、最終的にHGUCガンキャノンの膝関節を半分に切り、アームアームズのジョイントを使って二股に分岐させています。

反面、踵の構造は一度思いついたらすんなりと作れました。HGシャルドールの肘部分を利用し、そこに軸受けとポリキャップを挟み込みます。かかとは「C」の字に切り欠き、3ミリ棒を指して後ハメ可能に。
ボールデンの3ミリボールを使ってカカトの左右パーツはフレキシブルに動くようにしました。つま先側はキマリスの部品を流用。

ムービングスラスターはボールデンのジョイントパーツを加工してポリキャップ受けを作り、模様付きプラ板を挟み込んでスラスターを表現しました。

ムービングスラスターはボールデンのジョイントパーツを加工してポリキャップ受けを作り、模様付きプラ板を挟み込んでスラスターを表現しました。

ハイパーナックルバスターは旧キット(下)のもとを加工することを考えていましたが、手っ取り早くHGトーリスリッターに付属のもの(上)を流用しました。ちょうどいいサイズ感です。(ガ・ゾウムHGUC化しねーかな……)

ハイパーナックルバスターは旧キット(下)のもとを加工することを考えていましたが、手っ取り早くHGトーリスリッターに付属のもの(上)を流用しました。ちょうどいいサイズ感です。
(ガ・ゾウムHGUC化しねーかな……)

ハイパー・ナックルバスターにはオリジナルの改造を行い、ケンプファーのショットガンを銃身下に取り付けました。着脱可能です。また、塗装後にクリアパーツをレンズ部にはめ込みました。

ハイパー・ナックルバスターにはオリジナルの改造を行い、ケンプファーのショットガンを銃身下に取り付けました。着脱可能です。また、塗装後にクリアパーツをレンズ部にはめ込みました。

だいたい完成系の状態。言い忘れていましたが膝の装甲はHGガンダムエアリアルの太ももパーツを使い、股間の突起、腰回りもビルダーズパーツを使ってディテール変更しています。

だいたい完成系の状態。言い忘れていましたが膝の装甲はHGガンダムエアリアルの太ももパーツを使い、股間の突起、腰回りもビルダーズパーツを使ってディテール変更しています。

ギミックにこだわっているので変形もできます。……が、塗装剥げが怖くて完成後に変形させて遊んだことはありません。 (´;ω;`)

ギミックにこだわっているので変形もできます。……が、塗装剥げが怖くて完成後に変形させて遊んだことはありません。 (´;ω;`)

コメント

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  1. Kai 1週間前

    完成おめでとうございます!特に上半身のいかついスタイルが最高ですねぇ。ガ・ゾウム大好き人間なので旧キットを持っていらっしゃるのも羨ましいですw

    • コメントありがとうございます!

      ガ・ゾウムかっこいいですよね。Amazonで1000円で手に入ったのは幸運でした🤘