妄想戦線
龍姫は元々連邦軍の旗艦となるべく建造された戦艦である。
旗艦となるからには当然相応以上の戦闘力はもちろん、見た目的にも象徴となるものであることが求められる。
そのため予算度外視で当時の技術を詰め込まれたのが龍姫である。
名前の由来はその待機状態が龍に見えたことと、船に女性の名前を付けると縁起が良いといった風習からのものである。
ただこの龍姫の経緯は必ずしも恵まれたものではなかった。
一つはその建造費にある。
本来なら龍姫型戦艦は4隻建造される予定であったが龍姫の建造に予算度外視で挑んだものの、予想をはるかに超える建造費がかかってしまい、二番艦の予算が下りなかった。
そのため龍姫には姉妹艦が存在しない。
二つは建造された時期に恵まれなかったことである。
シャアの反乱後、長期間にわたって表面上は平和な時代が続いたため、その戦闘力を発揮する機会に恵まれなかった。
象徴的なものも期待されていたので式典などに連邦の旗艦として参加してはいた。
・・・なので、誰もが龍姫の真価を勘違いしていたのは仕方ないといえる。
その日、いつものように式典に参加していた龍姫だが、いきなりの緊急事態のアラートが発報した。
龍姫が訪れたコロニーにテロリストが宣戦布告したのだ。
目的は連邦軍の象徴である龍姫を沈めることで連邦の威信に泥を塗ること、ただそれだけのために十数隻の艦を用意して侵攻してきた。
なぶり殺しにするつもりだろう。
ここに来て連邦の予算緊縮政策があだとなった。
本来ならばついているはずの龍姫の護衛艦が今回は参加していなかった。
戦える艦は龍姫だけ、それらの状況の全てを把握した連邦は龍姫の火器管制の安全装置解除を許可した。
龍姫は生まれて初めてすべての枷を解き放たれたのだ。
そして誰もが知る、たとえ枷があろうと龍は龍でありその本質は変わらないということを…。
宇宙に出た龍姫はその高性能なセンサーで相手の船より早く敵を認識、その首を前に伸ばすように手法の発射口を伸ばす。
次の瞬間、宇宙の黒が一閃の意味を持って切り裂かれる。
テロリストの戦艦の一隻が一瞬の沈黙をもって爆散した。
彼らは認識する前に死んでいただろう。
龍姫の大口径レールガンから放たれたガンダリュウム合金製の弾丸が船首から船尾までを貫いたことなど、ほかのテロリストの船でさえ認識できなかったはずだ。
ただ一つ、自分たちが何かとんでもないものに刈られる側にいるということだけは理解した。
立て続けに三隻が目視不可能な攻撃で沈められたことでようやく龍姫の存在に気付いたテロリストたちが最大船速で距離を詰めようとしてくる。
龍姫は射程外から狙撃してきているのだから、まずこの距離をどうにかしなければならない。
その間にさらに二隻が沈んだ物の、なんとか射程内まで接近できた瞬間、テロリストたちは全部のミサイルを打ち放つ、遠慮も余裕も後のことも考えていない。
そんなものはここまでに沈められた僚艦と共に消え去っている。
数が減ったとはいえ、それでも数で勝る艦の全力のミサイル攻撃に対し、龍姫は静かに両舷のメガ粒子砲を起動、拡散モードで照射すると自艦に向かってきていたミサイルを一掃し、テロリストたちに絶望を叩き込む。
圧倒的戦力、それを見たテロリストは撤退となおも交戦する二種類にわかれた。
この時点で統率は完全に失われている。
その後は一方的な蹂躙が始まった。
近くよるものはIフィールドで主砲を無効化され、返す刀で龍姫の手法を食らって爆発四散、逃げを打った連中はレールガンの射程の外に逃げるより早く、背後から撃たれて宇宙のごみとなった。
降伏勧告をしなかったのは彼我の数的戦力差を考慮した正しい判断だとは思うが、あまりに圧倒しすぎて戦時協定に引っかからないか危ぶまれたというのが後日談として残っている。
そして連邦軍の最強戦艦は今日もまた平和の式典に呼び出されておとなしくお座りしている。
最後まで見ていただいてありがとうございます。
ぼくのかんがえたさいきょうのせんかん
コメント
コメントをして応援しよう
コメントにはログインが必要です
しがないプラモ好きですが、頑張って作ったのでよかったら見て行ってください。
ブルーディスティニー正式採用予定機
妄想戦線 EXAMシステム搭載機の名称であるいわゆる「ブルー…
戦国アストレイ4刀流モード
妄想戦線 ガンプラ大会以後、ニルス・ニールセンは悩んでいた。…
ガンダムエリゴス・アラクネ
妄想戦線 序列15位、60の魔神軍団を統べる偉大なる侯爵、ラ…
ガンダムアストレイ・シルバーフレーム
妄想戦線 フレームの色違いのバリエーションがあるアストレイで…