妄想戦線
ここではない場所、ここではない時の話・・・彼はいきなりその世界に現れた。
「俺は…誰だ?ここは…どこだ?」
自分の名前も何をしていたのかも…記憶の全てをなくし…
「これは…何だ?」
一体の巨人と共に…。
なぜここにいるのかもわからない男はしかし、記憶ではなく体に染みついたのか、共にあった巨人を操る方法だけは忘れていなかった。
「…シャイオーン?」
覚えているのは巨人の名前だけ、自分の名前も思い出せないのに巨人の名前だけは思い出せるのはなぜか…そんな思いに混乱と当惑がないまぜになった感情で動けずにいると…
「逃げて!!」
いきなり大声で飛び出してきたのは数人の男女、妙にファンタジーな格好をしているな、コスプレか?と妙な感想を抱いてしまったのも一瞬。
「GOAaaaaa!!」
次いで飛び出してきた熊のような生き物に思考が明後日の方向に吹っ飛んだ。
なぜようななのかといえば、腕と目が四つづつあるような生き物は熊に似ているだけの別の生き物だというくらいは誰にでもわかるからだ。
しかも体長が軽く5メートルは超えている。
どう見てもやばい状況だと理解した男はとっさに巨人に乗り込み、背部の腕のような武器を起動させて熊みたいな生き物を16くらいに分割した。
生身で対応するのは困難な生き物だろうが巨人の相手ではなかったようだ。
その後、男は助けた男女…のちに冒険者という職業の人間と知った…に保護?され、この世界が剣と魔法の世界であることを知る。
男の中の何らかの”常識”が抵抗したが、時間とともに受け入れることに成功した。
男は冒険者たちの勧めで同じく冒険者になる。
他に出来ることもなかったということもあるが…最初は巨人に事で奇異の目で見られることもあったが、人間には相対できない大型の魔物という生き物を数匹狩ると態度が一変、ほめたたえられるほど名声が高まり、稼いだ金でジャイオーンも魔法技術を取り入れることで形を変えていった。
彼の名声は広がり、とうとう魔王討伐の勇者に選ばれることとなる。
まあ当然で妥当だろうと誰もが思った。
むしろ男と巨人でどうにもならなかったらこの世界は終わるとさえ思えた。
男も似たようなことを思っていたし、この世界で目覚めてから多くの人に助けられてきたのだ。
その恩とせっかくできたい場所をなくすわけにはいかないと許諾する。
そして始まる魔王軍との激闘は文字に起こせば安定して直立するレベルの分厚い本が十冊は書けるだろうというレベルの激戦を経て、とうとう魔王との一騎打ちに突入する。
ここに至るまでさすがのジャイオーンもドラゴンやらオークやらとの戦いで少なくない損傷を受けていたが、それでもなお男とジャイオーンは猛る。
満身創痍になる両者だが、最後に限界を迎えたのは魔王だった。
「死なばもろとも!!」
魔王はジャイオーンにしがみつき、いきなりその体から光を放ち始めた。
知識があろうとなかろうとわかる。
これは自爆だと…その光を最もまじかで見た男はハッとする。
「そうだ。…俺は、俺は…キア・ム□□キ…」
直後、仲間たちが見守る先で魔王がジャイオーンとともに大爆発を起こす。
後日談ではあるが、彼の安全を確認しようと近づいた仲間たちは、そのあまりの何もなさに呆然とする。
いくら大きな爆発とはいえ、巨人のかけら一つ残っていなかったのだ。
文字通りの意味で消えてしまったというか思えない。
仲間たちはそれでも根気よく探したものの、彼の生存も巨人の姿も見つけることが出来なかったため、気休めではあるが、彼が自分のいるべき場所に帰ったのだろうと自分を納得させた。
そんな彼の偉業を忘れないため、ジャイオーンと男を象った像があちことにたてられ、長く語り継がれることとなり、像の下には「金髪ムキムキマッチョさんの偉業をたたえて」とある…どうも本人が最後の瞬間まで自分の名前を思い出せなかったのに加え、最後の彼の言葉を断片的に聞き取った結果、容姿プラス最後の言葉の悪魔合体でとんでもないことになっている。
しかもこれが数十体あっちこっちに建てられているのだ。
勇者、金髪ムキムキマッチョさんの像として物語と共に…。
彼が本当に故郷に帰れたかどうかは神のみぞ知るが、もし本当に生きていたら全力で訂正しに帰ってきそうな気がするのは気のせいだろうか?
最後まで見ていただいてありがとうございます。
中二病が再発した時期に作ったかもしれない。
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しがないプラモ好きですが、頑張って作ったのでよかったら見て行ってください。
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