「ーーくそっ、参ったな」
思わず俺は毒付いた。
例え、俺と今の俺の乗機であるヘーゼルの主戦場が宇宙であったとしても油断が過ぎる。
素早くコンソールに目を見やると左肘にビームライフルによる被弾との表示。
これでシールドを持った左腕は使い物にならない、つまりは戦闘能力の半減を意味するーーこれが模擬戦で無かったらと考えるとゾッとする。
命中箇所から察するに相当の格上であることは容易に想像できるからだ。
「……ヤツは……!」
まだ、近くにいるはず、光った地点だ。
俺は流れるようにMTフジ演習場の原生林を見渡す。
ヒットアンドウェイは戦場の基本だが、早すぎる、そこに相手機はすでにいない。
まるでニンジャを相手にしているようだ。
視界の端が光る。
咄嗟に体を捻るようにレバーを操作する。
それが上手くいったのか、コンピュータグラフィックス上のビームの光は左肩を捕えただけだ。
見つけた!ーー視界の更に端、光った場所から少し離れた樹木の合間を縫うように駆け抜けるオリーブドラブのガンダム、最早意地となってビーム光で狙い撃つ。
しかし、その光は虚空を裂くと同時にヘーゼルが地に伏せる。
空気屈折率の計算をミスした?
いや、そうじゃない、もっと単純だ。
単純に機動力で避けられただけ、だが機体性能とは信じたくは無かった。
相対するのはガンダムであるものの、第一世代相応のMSだ。
対してこちらは最新鋭のガンダム、ヘーゼルだ、それも第二世代……性能で負けるはずもない。
ーーだが、現実はどうだ?
左腕は完全に使用不可、相対する敵はノーダメージときた。
実戦であったならば必要に応じて後方に下がる、ただの演習であれば諦めていたかもしれない。
そう、これはただの演習ではない、威信を掛けた、いや、俺のプライドを賭けた戦いだ。
俺がレバーを引き込むと、それに連動してヘーゼルが立ち上がる。
「ーーやれるな、“ハニーバニー”」
俺は愛機に声を掛ける……答えるわけでもないのにと自笑しながらも。
ステータスチェック、左腕以外ダメージ無し、ライフルの残弾数は多少心許ないものの問題無し。
一呼吸、俺がフットペダルを踏み込むとヘーゼルがウサギのように宙に飛翔した。
相手のガンダムからすれば、予想外の行動であったろうに思えた。
射線が何処からでも通る空中に飛び出るなど自殺行為に近いからだ。
事実、相手の動きはワンテンポ遅れ、俺は余裕を持ってその対処が出来る。
このアドバンテージを大いに活かす。
見つけた!ーー模擬ライフルでの連続斉射。
機動をしながらの射撃である為、照準がブレる。
相手も応戦の為に撃つが、宙戦仕込みの機動を捉えるには至らない。
互いに有効打を与える事が出来ずに、それでも相手機の頭部を狙ったこちらのビーム光は、ヤツのライフルを捉えた。
勝機……だが、俺は舌打ちしながらも弾切れになったライフルを捨て、バックパックにマウントされたビームサーベルに手を伸ばす。
急加速、敵ガンダムは今使い物にならなくなったライフルを捨てた所だ。
構造上、ヤツはビームサーベルを手にする時間は無い。
ヘーゼルのビームサーベル光がコンピュータグラフィックスで構成されていく。
「貰った!」
俺は確信から言の葉を発していた。
ーーだが、次の瞬間驚きと変ずる。
敵ガンダムの背中が爆発的な光を発したかと思うと、まるで巨大化したかのように錯覚してしまう程に接近された。
蹴落とされるものかと、振り下ろしたヘーゼルの右腕をガンダムは制するように掴む。
その次の瞬間、青い空だけが画面に映っていた。
ズズン、と鈍く重い音が響くと共に、コックピットが激しく揺れる。
勢いそのままに投げ飛ばされ地面に叩き付けられた事に気が付くのに長い時間は掛からなかった。
状況をようやく飲み込むと目の前の画面は、敵ガンダムがビームサーベルの発振機をこちらのコックピットに突きつけているところを描写していた。
「ーーイズナドロップ……、ヤツはニンジャかよ……」
その軽口は虚勢だったのは言うまでもない。
圧倒的な敗北、つくづくこれが演習で良かったと感じた。
余談であるが、この演習を終えてコックピットを降りた俺に、例の若い整備士がすぐさま駆け寄ってきて言った。
「惜しかったですね」
と嬉し気に言っていた。
あぁ、そうかこいつの出身は……。
それはそれとして妙に腹が立ったので、その整備士の頭を軽く小突いた。
今回は陸ガンの改造機っすよ。
一応新しい方のバージョンの陸ガンです。
何処となくスタイリッシュな感じなのでそれを活かせるような改造を心掛けていきます。
にしてもプラモを作る度にフレーバーストーリーが長くなっていく……。
まぁ、誰も読んでなくとも自己満の世界だから……。
故に公式の設定と違うのでよくあるパラレルワールドなお話なのです。
まぁ、読み込む人がいないと言う前提でストーリー構築しているので設定はガバいのです。
それどころか関連作品間の設定でさえマチマチだったり……まぁ、関連作品は互いにあったかもあるかもしれないって関係性で考えているんで仕方ないネ!
個人的にはストーリー中に互いのスタンスというか、腕前の差をサラっと書けたんじゃ無いかな、と自画自賛。
今回はある意味で思想を垂れ流す回なので、ある程度機体設定を盛りました。
コンセプトは「陸自仕様の陸ガン」です。
制作イメージとしては10式戦車なんだけど、機体の立ち位置的なイメージはF-2戦闘機や日本でライセンス生産した兵器群に近いのです。
……なに、分かり難い?
要はメイドインジャパン・イズ・サイコーなのです。
陸ガンの設定として、合格品から外れたパーツの寄せ集めて作られリミッターを掛けられて配備されている、みたいなのがあるので最初からより良い精度のパーツで生産してれば普通に強いんじゃね?って思ったのも動機です。
それが出来るの何処だ?→日本ぐらいしかねぇな!って感じです。
現実に兵器の精度はトップクラス!
一応モチーフにあげた10式戦車はどうも軽いようなので、軽快に動き回れそうってのを心掛けました。
富士火力演習の10式戦車のスラローム射撃の動画を見た事がない人は是非見てほしい……何アノキモイ動キハ(褒め言葉)って思うから……。
〜80式MS[ガンダム ]〜
宇宙世紀0079に始まった一年戦争、その被害は地球規模の損壊をもたらした。
それはここ日本でも例外では無い。
戦火の炎を再び起こしてはならない、その願いと共に導入されたのがこの80式MS、通称ハチマルである。
このハチマルは一年戦争時に猛威を振るったRX-78、その陸戦型のいわば日本仕様だ。
日本独自の技術を詰め込んだ同機は、大元の機体に劣らない性能どころか遥かに凌駕している。
その最たる例が軽快な挙動と高精度な射撃管制装置からもたらされるスラローム射撃であろう。
従来の陸戦型MSでは到達不可能な機動性、左右にスラロームしながらの正確無比な蛇行射撃……それらは本国の技術を持って初めて発揮できる。
また、ミノフスキー下に置いても遜色無く機体間のデータリンクを実現させる為の装備も充実しており、まさに守護神となりうる存在だろう。
なお、現場ではもっぱら「ハチマル」と呼ばれるが、一部パイロットからの非公式ネームとして「ガンダム」と呼ばれることも多々あるようだ。
〜MSファン 宇宙世紀0089年4月号より一部抜粋〜
ビームライフルは威力こそは抑えられているものの、それでもスチール合金性の装甲は貫くことができる。
また、このビームライフルの真骨頂は本体から得られた測量データだけで無く、他の機体からのデータリンクによって得られた値で補完することで非常に高い精度を発揮することができる。
本機の主装甲はチタニウム合金であるが、被弾率が低い場所を中心に炭素系複合材に置き換えられている。
これにより圧倒的な軽量化と運動性の向上を実現している。
一部フレームには後にムーバブルフレームに近しい構造のフレームが採用されており運動性向上に寄与している。
軽快な挙動をするという事は、コックピット内のパイロットに常に様々な方向からのGに耐えなければならない。
それを低減させるために、当時まだ連邦軍内でも採用数が少なかったリニアシートを採用。
また、全天周囲モニターも採用することによりパイロットのストレスも低減させている。
それらのコックピット装備を採用したことにより、コックピットブロックは大型なものに再設計されている。
標準装備のシールドは、対弾性と軽量化のバランスの観点から曲面タイプのシールドが採用された。
制作工程です。
今回はいるところと要らない所を分けているところは盛って、要らないところは最初から無かった事を念頭におきました。
頭部。
頭部は基本的にそのままですが、微妙にパワーアップしてる感を出す為に左側の円だけを大型化しました。
当初、EzSRマキシマのアンテナを移植を試みてましたが、あのゴツさじゃ妙に周りに浮き過ぎてダサく見えたので取りやめました。
胴体。
右側にデータリンク通信用のアンテナ、左側には高精度カメラをイメージしたものをプラ板とプラ棒で制作しました。
現実の10式戦車の性能を視覚化しましたよ!ってのを狙ってます。
あと、コックピット下の赤い部分は何処か飛んでいったみたいで紛失したのです。
急遽マウンテンサイクルから作りかけの旧HGの陸ガンの同パーツを移植。
パッケージ写真と比較した感じでは少し大型化?
まぁ、全天周囲モニターとかリニアシートを採用したから、としておこう……無理があるか?
腰部。
EzSR、マキシマの物をそのまま流用しました。
単に100ミリマシンガンを使うつもりが無かったので、マガジン付きのサイドアーマーの必要は無いのです。
腕部。
肩はシンプルに。
陸ガンのああ言う懸架用のアタッチメントは現地改修の際に付いたと考えた為、ばっさり切り落としました。
ああいったのはEz08がパラシュートパックを付ける時にしか使ってない→通常部隊であれば要らないな、って言うのもあります。
落下傘部隊だったら付いてると思う。
肩から下はダガーLのものを。
二の腕は陸ガンの方を使ってデザイン的な整合性を狙ってます。
関節構造の見た目が陸ガンとは違うので見た目から受ける性能が違って見えるんじゃないかなぁ、という期待をこめて。
脳内設定的にはムーバブルフレームに類する技術のもの。
まぁ、単純にダガーLのシールドをポン付けで使いたかったし、宇宙世紀外にしては結構おとなしいデザインってのも選定理由の一つですが。
脚部。
基本的には、キットそのまま。
けど、ニースパイクは削りました。
理由としては、ニースパイクがない陸ガンを見たかった、それだけです。
今回のやつに荒々しさは要らない、いるのはスタイリッシュな感じ……!
バックパック。
バックパックはコンテナを背負わせるつもりが微塵も無かった為、シンプルなデザインであるペイルライダーのを使いました。
あと何となく形状が小さくまとまっていて性能が高そうと思ったので。
武器。
ビームライフルはいつだかのキャンペーンのヤツ……のベースで売ってる方。
スコープが付いてて命中精度が高そう。
このライフルかなり好みだから大量に欲しい……。
側面に、ア・タ・レの切り替えレバーをイメージしたディテールをつけました(ア-安全装置、タ-単発、レ-連射……なお、現実世界の次期小銃には3-三点射が無くなった為、3は存在しませぬ)。
……確実に気に留められないな、小さ過ぎて。
シールドはダガーL。
陸戦のシールドは小さい……機体本体は軽量化による弊害でダメージ耐久度は低い、と言う設定にしたいからそれに説得力を持たせる為に通常サイズのを付けたい。
↓
対弾性の高そうな曲面シールドが良いな、けど、連邦のは使いたくないな。
↓
良い所にダガーLのものが!ということで決定。
みたいなノリで決めました。
まんま使うと分かりやすすぎなので、パーツ隠しも兼ねて中央の突起をパテでフラットにしました。
塗装。
塗装は今まで使ってない色……つまりは緑系でまとめました。
メインは濃緑色。
ついでOD色。
ポイントにマホガニー。
関節にはニュートラルグレーとアルミシルバー。
バーニアはライトガンメタル。
新しく百均で漢字デカール買ったけど……めっちゃ目立つな……!
ちな胴体の日の丸はザクのモノアイシールを赤く塗って使いました
戦争行為に善悪も無い、と言う意見もあるけど……護る為の力を悪とは言ってはいけない、と思っているので善MSでお願いします。
……にしてもガンダムと言うコンテンツでは勧善懲悪って話は基本無いから善悪ってカテゴリ分けってイマイチ出来なくないか?と思わなくもなかったり……。
それでは長々と閲覧ありがとうございました!
チャンバラ チャンバラ そいつが男たちの生き様
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……成功したのかは何となく微妙なところ。
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