妄想戦線
機動戦士Gundam GQuuuuuuX11話ラスト辺り
「僕は向こう側からやってきた。…彼女の作ったこの世界を…終わらせるために」
「し、シュウジ?キラキラの向こうから何か来ているんだけど?」
「ああ、もう来たのか…」
見ればマチュの言う通り、キラキラの向こうから人型の何かが近づいてきている。
シュウジはその正体に心当たりがあった。
「あれは、本当の…ガンダム…」
「え?ガンダム?…言っていることがよくわかんないけど、本物のガンダムって女の子なの?」
「…は?」
何を言われたか理解できず、疑問符と共に前を見れば、マチュの言う通り人型のシルエットは女の子だった。
ジャン、ジャジャジャンジャーンゆーびろんとみー♪
しかもなぜかBGMみたいな歌を歌っている。
全力全開の満面の笑みで近づいてくる姿にこの場の三人は思わず硬直した。
「お待たせしました。私、参上‼」
正体不明の存在は現れたとたん、真面目に理解不能なハイテンションでのたまう。
何やらにこにこと笑っている不審人物を前に、それを見る三人はなんかやべーやつが来たなと内心が一致していた。
「失礼、あなたがシュウジ・イトウですか?」
「そ、それは僕の名前だけど?」
「呼ばれて飛び出て、私来ちゃいました」
「は、はあ…僕が呼んだ。のか?」
シュウジの中でいろいろな疑問が渦巻くが、考えがまとまるより早く、その肩に手が置かれて強制的に振り向かされる。
目の前に現れたのはマチュのドアップ顔、しかも…。
「え?な、なにマチュ?目がいつもの三白眼を通り越して虚無の深淵になっているよ?」
「よくわかんないけど、異世界から女の子をデリバリーするなんてそれどこのハーレム主人公なのカナカナ‽」
「え?まって‼人を勝手になろう系にしないで‼」
マチュの目が「何してやがんだこの腐れ浮気者?」と雄弁に語っている。
人はNT能力がなくても意思を伝えられるという好例だろう。
「え?修羅場?SYURABAですかこれ⁈ちょっとお菓子用意するんで停止ボタン押してもらっていいですか‽」
「あんたはだーってろい‼」
そしてこの状況に昼ドラをガン見するおばちゃんよろしく、食いつく正体不明の異邦人と怒鳴りつけるマチュ、キラキラ世界はいい感じに混沌としている。
「ち、違う。僕が呼んだのは本物のガンダムで、MSで、こんなわけのわからない女の子じゃない」
「あ、それはRX-78-2ガンダムのオジキですね」
「「「は?」」」
一瞬、静寂が四人の間に流れた。
「私はRX-78F00ガンダム改です気軽に万博ちゃんと呼んでください」
「いや、本名がかけらもかすってないのにどこから来たそのあだ名‽え、つまり別人?っていうか別MS?セーフ、これは圧倒的セーフだよね?マチュ‼」
「あ~、そうなのかな?」
「お願いだからそこで疑問符にならないでマチュ、僕は無実だ‼」
浮気を疑われて弁明する夫みたいな様子に、マチュの中でこれは白かな~という考えが浮かぶ、そもそも男女関係をにおわすやり取りはなかったし、何なら彼女に対してシュウジは終始腰が引けて警戒している。
「うん、ごめんねシュウジ。ララァの所でお世話になっていたせいでどうも思考がピンク色になっていたみたい」
「ご、誤解が解けたようで何よりだけど、え~っと…万博ちゃん?オジキ…本物のガンダムは…何処?」
何とか気を取り直したシュウジが正体不明あらため、万博ちゃんに問いかけた。
「はい、オジキはイベントに参加していて来れないんで、私が代理できました」
「え?イベント⁈」
「詳しくは言えないんですけど結構大きなイベント会場で右手を天に掲げて膝まづいてオブジェになっています」
「な、なんじゃそりゃ⁈」
あんまりにもあんまりな返答にシュウジが叫んだ。
そんなシュウジを見るマチュは今日は珍しい感情的なシュウジをよく見るな~と少々現実逃避気味に思っていた。
「…ちょっといいだろうか‽万博ちゃん?でいいのかな?」
三人のやり取りに介入してきたのはここまで空気だったジャアだ。
「ハイハイ、なんでしょうか…シャアさん?」
「当たり前のように私の名を知っているんだな‽」
「私も一応ガンダムなので、お気になさらず」
「いい…のか?まあいい…んだろう」
シャアはここまでのやり取りで考えても無駄だろうなと悟って話を続ける。
「代わりとはいえ、君はなぜこの世界に?目的はなんだ?」
その問いかけに場が凍る。
シュウジは警戒を、マチュは困惑の視線を万博ちゃんに送り、それを受けた万博ちゃんはニコッと笑う。
「ええ、ちょっとララァさんが調子に乗りすぎているのでOHANASIをしに」
「ララァと…お話?」
「……すいません、そろそろ限界のようです。続きは現実世界で」
次の瞬間、四人はキラキラの世界からはじき出された。
「はっ!」
キラキラ世界からはじき出されたマチュは、ジークアクスのコックピットにいる自分を認識した。
直感でイオマグヌッソを見ればその中から飛び出してくる何かの光がある。
『私が、キターーーー‼」
間違いなく万博ちゃんだと確信した。さっき会ったばかりだがあれは間違いないだろう。
なら放っておいてかまうまい。
「シュウジは⁈」
『…ここにいるよ』
「どこに、ってハロ⁈」
シュウジの声のもとはハロだった。
「なんで⁈」
『本当ならね、ガンダムに乗り込むはずだったけど、あれは無理だから…どうしようと思っていたら…キラキラからはじき出されて…こんなことに…」
「シュウジ…とりあえず女の子の中に入ろうとするなんて字面だけでもセクハラだよ‽」
『…あい、すいません』
シュウジの不幸が止まらない。
涙腺がないはずのハロから涙が流れるのはどういう原理だろうか?
NTの共感性がイメージで見せているのか?
「ねえシュウジ、なんであの子、っていうかガンダムを呼んだの?」
「…終わらせるためだよ。ララァを殺して、この世界を終わりにする」
「そんな、じゃああいつはララァを殺すために来っていうの?」
「多分…僕の望みを受けてこの世界に来たとしたら…」
「そんなこと、させない‼」
マチュはジークアクスを発進させた。
『あ、マチュさん、こっちですよ~』
マチュが近づけば、当の万博ちゃんは手を振ってフレンドリーに迎えてくれた。
いまさらだが、なんで真空のはずの宇宙空間で声が届くのか謎だ。
気にしてはいけない気がするので気にしない。
『さあ、お話の続きを…』
「ねえあんた、ララァを殺しに来たの‽」
前振りも何もなく、直球で本題をぶつけた。
万博ちゃんは一瞬きょとんとして…。
『え?殺す…まあそうとらえなくもないっていうか…う~ん』
「ララァは殺させないよ‼っていうかあんたでっかくなっていない⁈」
最初から気が付いていた事実に、どうしても突っ込まずにはいられなかった。
キラキラの世界では同じくらいの大きさだったはずだが、こっちの世界に来たとたんMSサイズになっている。
『え~まあわたしもMSですから』
「すごく、でっかいです」
『そうでしょう何よりこのサイズの私はですね』
「私は‽」
『空前絶後、バストサイズZZZオーバーなんです』
「………………あ⁈」
マチュの声にドスが混じり、三段階は低くなったが、万博ちゃんはそれに気が付かない。
むしろ胸をそらしてバストを強調するという暴挙に出れば、マチュの中で何かが切れる。
『ど~ですか、つまりこの世界でのバストクイーンは文句なく私の…ってぎにゅあ‼』
気が付けば、ジークアクスの手が万博ちゃんのZZZをつかんでいた。
しかも触るという生易しいレベルではなく、鷲掴みで捥ぎにかかるレベルでだ。
痛みに涙目になった万博ちゃんがお胸ガードで距離をとる。
『な、なんばすっとですか⁈女同士でもセクハラの概念はあるんですよ⁈』
「あんた、それはだめだろう?ZZZなんてそんなサイズ、エロ男子の妄想の中にしかあっちゃいけない代物だろう‽もぐぞ貴様‼」
『え、えっと…マチュさん‽お胸にコンプレックスでもおありで‽』
なんか地雷を踏んだらしいと察した万博ちゃんがさらに距離をとる。
「この童顔と低身長と着やせするせいで初対面の奴はみんな私のことを貧乳だと勘違いしやがる。あるっつーの、少なくともコモリンよりはあるっつーの‼こちとらコモリンのブラをサイズで破壊した前科者だぞこら‼」
『おいこらマチュ‽』
いきなり入ってきた通信に三白眼で見れば…笑顔のコモリン…しゃべりすぎたことに気づいたマチュが真っ青になった。
『…マチュ‽』
「サーイエスサー」
『その駄肉は捥いでよし』
「サーありがとうございますサー」
『それと後で面貸せ』
「さーいえすさー」
青筋がはっきり浮いている小森に対し、それ以上言えることはなかった。
デッドオアアライブ、マチュの明日はどっちだ‽
「よっし、とりあえずそれを捥ぐか‼」
『ちょ⁈それ絶対八つ当たりじゃないですか‼」
大宇宙を駆け回る壮大な追いかけっこが始まった。
『落ち着いてくださいマチュさん、サイズが戦力の決定的な差ではありません。張りとか形とか…』
「同じ女なめんな‼そんな事を言う奴は実はそっち方面でも結構自信あるってバレバレなんだよ‼」
『それはまあ…ねえ‽っていうかパイスラッシュでもして主張すればいいじゃないですか‼』
「ZZZのパイに何挟むつもりだ機様⁈つくづく男の妄想を具現化してやがるなこの野郎‼よ~しモギモギしちゃうぞ~待て待て~♪」
『なんで思考が親父よりなんですかこの人⁈マチュさん、断言しますけどあなたは今女の子に向けてはいけない顔になっているはずですよ。落ち着いてください‼』
「あんたララァを殺しに来たんでしょう‽‼二重の極みで私の敵だーー‼」
『だからそ「マチュ、援護するよ‼」な、ニャアンさんまで参戦してきた⁈」
ジフレドが参戦したことで鬼ごっこの鬼が二体になった。
『ニャアンさん、あなたお胸にコンプレックスなんてないでしょう⁈なんで追いかけてくるんですか⁈』
「マチュが楽しそうだから」
「サンキュ、ニャアン」
『なんて感動的なマブ、ああもう‼』
二対一じゃ逃げきれないと判断した万博ちゃんが反転して反撃を開始した。
それにマチュとニャアンも応じる。
『っていうかこんな状況でマブ戦術を完成させないでくれませんかね⁈』
「ムネオイテケー」
『とっくに妖怪化しているじゃないですか‼』
ジークアックスとジフレドが入れ代わり立ち代わり攻撃してくるのを、万博ちゃんが四本の腕で対抗する。
ビームライフルを盾でふさぎつつバズーカを放ち、バズーカの球をサーベルで切って煙幕にして距離を詰める。
煙を抜けたところにビームサーベルを叩き込むがビームアックスで受けられたのでけりを叩き込んで距離をとる。
ジフレドがファンネルを使えば万博ちゃんもグラスフェザーを単会して対抗する。
『っていうか、いつの間にかオメガサイコミュ発動してませんかこれ⁈無茶苦茶顔の拘束具が展開しているんですけど⁈」
「なにそれ‽」
『無自覚⁈ああもう。時間がないのに‼こうなったら』
覚悟を決めた万博ちゃんが二人に背を無kじぇて加速する。
単純な速度で言えば万博ちゃんの方が上のようで、彼我の距離は一気に離れた。
十分距離をとった所で万博ちゃんが振り返り、バックパックが展開される。
後方に展開していた日本の槍が天を突き、前方に倒れることでその正体が理解できるようになった。
「え?大砲‽キャノン‽」
「ここに来る前にDXのお兄さんからドロ…パク…返却期限なしで借りてきたツインサテライトキャノンです」
あ、こいつ借りパクってきやがったなと誰もが思った。
DXなにがしさんは今頃泣いているんじゃなかろうか?
グラスフェザー装備や全身のクリスタルが青く輝きを放ち始める。
同時に胸のミラーパーツにどこからか放たれた光が吸収され、さらに輝きを増していく。
「通常のマイクロウェーブだけでなく、グラスフェザーからのエネルギー供給で365日24時間打ち放題、しーかーも両方を合わせた威力はターンAお兄さんも二度見をするレベルってもうわけわかりませんねこれ‼」
半分位は理解不能だったが、とんでもないエネルギーが万博ちゃんにチャージされているのは誰が見ても明らかだ。
『マチュさん』
「ひげマン⁈」
『そのMSは…MSか?とにかくこの世のものじゃない。逃げなさい』
「に、逃げられるなら逃げたいけど、逃げられるのこれ⁈」
万博ちゃんがMSの右手のパーツを外し、銃形態にしてジークアクスとジフレドに向ける。
NTの感覚が自分たちがロックオンされたと伝えてくる。
『それでは皆さん?ちょっと、頭冷やしましょうか?』
ニッコリ笑顔と共に、万博ちゃんの背後に白い魔王様を幻視した直後、銀河を貫く一閃が放たれた。
「はい?」
「え、なんでキラキラの中に‽」
ツインサテライトキャノンで撃たれ、こりゃ死んだと思ったマチュとニャアンはしかし、気が付けばキラキラの世界にいた。
しかも二人だけでなく、シャアにシャリア、エグザベにコモリまでいる。
共通点はNTだということだろう。
「っていうかなんでシュウジとララァが正座してんの?」
なんか隅っこっぽい場所にシュウジとララァが正座している…だけでなく、首から【迷惑かけてごめんなさい】と書かれたプレートを下げている。
しかもむっちゃ震えている。
スマホのバイブ機能よりも小刻みだ。
「お二人には先にいろいろと説明したので素直に正座してくれました。具体的にはサテライトキャノンの砲口にそれぞれ頭を突っ込んで…」
「予想よりもとんでもないことしてる⁈万博ちゃん、わけわかんないんですけど‽」
「はい、なので訳が分かるように説明します。OHANASIを始めましょう」
そういってにっこり笑う万博ちゃんに逆らえるものはいなかった。
同じ笑顔で極太ビームをぶっ放された恐怖は消えていない。
そして始まる説明…説明中…説明中…。
「つ、つまり、ララァがシャアの死に発狂して死なない世界を求めて世界を作りまくって、この世界もその一つってこと‽しかもシュウジがシャアさんが死んだらララァを殺して世界をリセットしてきたって言われても、そんなことある‽」
「信じられないでしょうが真実です。元の世界では最強のNT 論では天パかシャアさんかですが、NT能力っていうことならダントツでララァさんなんです」
「ご、ごめんなさい」
いきなり謝罪したのはララァだった。
「でも私は、シャア大佐が生きている世界を諦められなかったの」
「同じ女として気持ちは理解したいとは思うのですが、これ以上やると守護者が動いてしまうので、その前にララァさんを止めに来ました」
「守護者‽」
「なんというか、世界の崩壊を防ぐ存在です。世界によってはいないところもあるんですが、この世界にはいます。ちなみに金色のMSの姿をしています。そこ、成金趣味悪いなっていう顔しないでくださいシャアさん」
「わ、私か‽」
「違う世界線では貴方も金色のMSに乗っているんですから」
「そ、そうなのか‽」
「話を戻しますが、前回の時に別の次元との干渉がありまして、そのため守護者が対処に乗り出しそうになっています」
「対処‽」
「殺すということです。守護者は世界にバックアップを得ているので基本強力で容赦がありません」
「そんな…」
「しかも問題はそれだけでなく、このまま続けて別の時空と干渉してしまうと、その世界の守護者が来てしまう可能性があり、これはかなりまずいことになりかねません」
「まずいことって、例えば‽」
「型月の世界につながったら、赤い弓兵に無限の剣で刺し貫かれたあげく、魂食いや魂砕きな剣で転生もできないなんてことがあり得ます」
「そ、そんな奴がいるの‽」
「電撃の時空につながったら最悪ですね、あそこには元祖世界の守護者な不気味な泡の御大がいらっしゃるので、敵認定された時点で首が飛んでもおかしくないです」
ララァだけじゃなく、みんな真っ青になって思わず自分の首を押さえた。
「で、でも次元をつなげるなんて…」
「残念ながらこれは証拠がありますので」
「証拠‽」
「私ですドーン」
「え?」
「こんなMSか人間かわからない不思議生物が早々いるわけないじゃないですか、ミキシングというのですが、違う世界の情報が流入して悪魔合体的なあれやこれがあった結果、生まれたのが私、万博ちゃんです。あ、ララァさん‽お母さんとかママとか呼ぶのは勘弁してください。そこの赤い人にウザ嫉妬されるのは勘弁なんで」
「ぐふ」
万博ちゃんの言葉にシャアが吐血(幻視)した。
「ば、万博ちゃん‽君は初対面から私に対してあたりが強すぎないか‽」
「いえ、年下の女の子に母になってくれるかもなんていう基準だと私もストライクゾーンに入っていますし、警戒しても仕方がないのでは‽」
「ほかの世界の私はどれだけろくでもないんだ‽‼」
「十代の女の子を利用するために恋人ごっこして「シャア…」なんて呼び捨てさせつつキスまでしてる位にはろくでなしデス、むしろ死ね女の敵まであります」
その場に崩れ落ちて動かなくなったシャアに、周囲の目は同情か屑を見る視線になっているが、前者には女性が全員含まれているのはさもありなんというべきか‽
「あと、寝言でララァさんの名前を呼んで同衾の女性に聞かれたなんてことも…」
「キャ、大佐ったら~」
喜声を上げるララァはうれしそうだが、それでいいのかとだれもが思う。
「死体蹴りはやめてあげてください‼」
シャリアブルがシャアのフォローをしようとするが、見間違いでなければさっきまで殺し合いをしていた気がする。
ちなみにここにNTに覚醒してたっぽい紫B…おばさまがいないのはシャアとシャリアにきっちり〇されたからだ。
いくらNT能力に目覚めようと負傷した上に専用機とほぼ専用機に乗ったNT二人を相手にしては生存フラグを立てることはかなわなかったらしい。
「ララァさん、本当にあんな人でいいんですか‽そのうち僕と契約してママになってよって言い出しかねませんよ?」
天パはあれで結構な戦闘狂で永遠の中二病なところあるし、赤い方はマザコン拗らせまくっているしでなんでこの二人の間にいたいのか本当に気が知れない。
「問題ないわ、むしろそこがかわいいんじゃない」
比喩でなくメンタル的にも物理的にもみんなが引いた。
「それに、お母さん役も赤ちゃん役もプレイ経験あるわ、どんと来いよ」
「未成年もいるんですからプレイ言わないでください」
そういえばこの人はそういう経歴の持ち主だったな~と遠い目になっていろいろあきらめた。
むしろこの人くらいじゃないとあの二人を受け入れるなんて無理なのかもしれない。
「…それで、私はどうしたらいいの‽」
らちが明かないので無理矢理にシリアス空間に戻してお話再開。
「ララァさんには普通に輪廻の円環に入ってもらいます。申し訳ありませんがこれは強制です」
「私は、生まれ変わるの‽大佐への思いも何もかも忘れて…」
「…幸い。この世界ではシャアさんは死なないようですし、この世界のララァさんはシャアさんがどうにかしてくれるでしょう‽」
最後は問いかけのように、ちらっとシャアを見れば背中を見せて寝ころびつついじけているシャアが右手を挙げて親指を立てている…まあ、なんか大丈夫だろう。
「それに、あの二人も十分NT能力高いんで、日本の地方都市にある大型商業施設の屋上で深夜にクネクネダンスを踊ってネットにアップすれば二人まとめて釣れるんじゃないですかね‽」
「何かすごく具体的だけど…わかったわ…」
何とかララァも納得してくれたようだ。
万博ちゃんもほっと息をつく。
「ではシュウジ君?」
「な、何?」
「とりあえずあなたはマチュさんとニャアンさんと話をつけてきてください」
「それは…」
「ちなみにここでこじらせたらああなります」
そういってまだいじけているシャアを指させば、それは嫌なのかシュウジは二人を伴って少し離れたところで話を始めた。
その様子に、いろいろあったがようやく何とか収集できそうだ。
「それではララァさん‽そろそろ行きましょうか‽」
シュウジ達も何とか収集が付いたらしく、万博ちゃんがそろそろ行くかと促した。
「うん…」
「ええ「ちょっと待って」
いきなり待ったをかけられ、肩をつかまれた万博ちゃんが振り向けば…。
「え‽コモリさん‽」
「帰る前にMSになる方法を教えて」
「なに言ってんだあんた‽」
「一度だけ、一度だけでいいから見てみたいの、持つ者の視界って奴を‼出来ればZZZの視界を‼」
「いやこれは私の特性であって努力とかで手に入れられる類のものではないんで…あきらめてください」
コモリは発狂した。
「コ、コモリ、落ち着け」
「離してエクザベ君!これが最後のチャンスなの‼‼」
「こ、ここは俺に任せて行ってくれ‼‼」
「なんでこの人、何もかも終わったタイミングで死亡フラグを立てているんですかね?まあ、ありがたいのでお任せします」
発狂したコモリをエグザベ君に引き取ってもらい、ララァとシュウジを回収してキラキラに向かって飛び込んだ事で、ようやく世界の危機は回避されたのだった。
後日談
コモリさんとエグザベ君が付き合った。
猛獣コモリを押さえつけていたエグザベ君が「コモリの胸、お、俺はありだと思う」っと貧乳好きなのかお世辞なのか判断に困ることをのたまったところ、首を180度回転させる勢いでターゲットを改めた…梟かよ…その後コモリさんがエグザベ君に猛アタック…何があったのかしれないが付き合うことになったらしい。
どう見ても食われたようにしか見えないが、本人たちはまんざらでもなさそうなので問題なし、そしてそれを親目線で見守るシャリアブルも問題はないだろう。
シャアはララァを見つけ、そのまま姿を消した。
今後、表に出てくるかどうか知れないが、とばっちりを受けたセイラことアルテイシアがおかげでいろいろと忙しくしているようだ。
正史ではもらった金塊でだいぶ気楽に生きていたようなのでその揺り戻しかもしれない。
そしてマチュとニャアンは地球で暮らしていたのだが、ある時ジュースと間違って缶チューハイを購入してしまったことで騒動になる。
レディキラーみたいな代物でアルコールが進み、なんでそう思ったか謎なのだが、「MSで踊って動画取りたい」「いいね沢山でしよ〜にんよっきゅ〜みたしたーい」となった。
そして始まるMS二機によるマヴ戦術ダンス、アルコールはNT感覚を通してジークアクスとジフレドに逆干渉し、この上ないシンクロをたたき出し、最悪の条件がそろった結果…ゼクノヴァが発動しかけてしまう。
開きかけるゼクノヴァをバックに踊り狂う二機は動画サイトで話題になり、事情を知る者にとってはまさに絶望の光景だった。
「「飛び出していけ~」」などと歌っている二人に、コメントで「それは飛び出しちゃいけない一線だろ‼」「止まれバカ‼」と突っ込みが入るが、酔っ払いがそれに気づくことはない。
世界の終わりナウっと思われたその瞬間…。
「なにやってんですかあんたら⁈」
開きかけたゼクノヴァの先から助走をつけて出てきた万博ちゃんがドロップキックをかまし、二体を蹴り飛ばすとすかさずツインサテライトキャノンでキラキラ世界にご案内からの怒説教開始のコンボを決めた。
問題の動画は、ゼグノヴァとMS二機のダンスまではまだ世界の危機かと騒がれたものの、その後にMS大の美少女が乱入した時点で現実感が崩壊、更に身の丈の長さのキャノンを展開してゼロ距離でぶちかまし、光にする内容がCGすげーと高評価を受け、関係各所もそれに乗っかって隠ぺいしたため、誰も本気にしなかった。
まあ、これを現実と思う人間は頭がどうかしている。
こうして人知れずまた世界は救われたのだった。
最後まで見ていただいてありがとうございます。
何とか万博期間中に間に合いました。
あれはガンダムだ。私がそう判断したBy総帥
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これはシュウジどんまいやで
しがないプラモ好きですが、頑張って作ったのでよかったら見て行ってください。
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