STTS‐912‐pf ファイティングフリーダムガンダム
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「そもそもキラのフリーダムの扱い方が変なんだ。高機動殲滅型MSだぞ、あれは」
アスラン・ザラのそんな物言いを聞き逃せるシン・アスカではなかった。
「アスラン! あんた、隊長がどんな思いで戦ってるか知ってて……!」
「知っているさ! 他でもない俺が、誰よりも!」
「二人ともミネルバにいたころそんなやりとりしてませんでしたっけ。あのころとは立場が逆かな?」
『……』
ノータイムで口論に発展しそうだった二人の間に、メイリン・ホークが割って入る。男二人はバツの悪そうな顔で矛を収めた。
「シミュレーションでいい汗かいた後なんだからクールダウンしてくださいよね。シンも」
「分かったよ……って言うかいつまでいるんだよ」
ついこぼれたシンの愚痴に、アスランが肩をすくめる。
「ミレニアムがフラガ一佐たちをオーブに送るためにカーペンタリアを出港したら、だな。何ならズゴックごと送ってもらっても構わないんだが」
「あのおっさん、コンパスじゃ”大佐”ですよザラ一佐どの」
マリュー・ラミアス総裁代行を途中ひと騒動ありつつもアプリリウス市のコンパス本部に送り届け――その補佐と護衛はバルトフェルド隊とジュール隊が請け負うこととなった――コノエ艦長に返還されたミレニアムは、ムウ・ラ・フラガらオーブ組をオーブに送り届けるべく地球に降下し、補給のためにカーペンタリア基地に寄港していた。
アスランとメイリンは大気圏突入前にアメイジングズゴックで合流しそのまま同道してきたのだが、ターミナルに出向しているオーブ軍人という立場の二人がカーペンタリアから直接発進すればいらぬ騒ぎを呼ぶ。
そんなわけで二人は、翌朝の出港までミレニアムに留め置かれている状態だった。
「話は戻すがな。フリーダムは元々、平和維持のための武装解除に使うようなMSじゃないんだ。あれでMSの大軍相手に武器やセンサーだけ破壊して二次被害を最小限に留める、なんて真似ができるのはキラくらいのものだ」
「……何が言いたいんだよ」
最初からそう言えばいいのに、と言いたかったが瞬時に噛みついてしまった手前、飲み込まざるを得ないシンだった。
アスランはゆるりと首を動かす。休憩室から、直接目視できないMS格納庫を見通すかのように。
「ライジングフリーダムはコンパスの制式採用機だが、そのまま量産したところで扱いきれるパイロットはそうはいない。だから、仕様変更したフリーダムが用意された。もう搬入は済んだ頃か?」
「……それを見に乗り込んできたのかよ」
アスランの言葉は正しかった。地上戦に向けての調整をカーペンタリアで進めていたライジングフリーダムのバリエーション機。それを受領するのも、ミレニアムがカーペンタリアに寄港した理由だった。
否定も肯定もしないアスランに代わり、メイリンが口を開く。
「コンパスの再編に当たって、大西洋連邦が新部隊の設立を提案してきたの」
「えっ!? どうして急に、ってわけでもないか」
大西洋連邦はコンパス創設国の一つだが、これまでは出資や緊急展開時の領空通過の便宜を図ると言ったサポートがメインだった。一応実戦部隊はあるもののアークエンジェルやミレニアムに比べると機動性が低く、ファウンデーション事変における存在感はなかったに等しい。
「ファウンデーション王国の罠だと判明して名誉回復中とは言えキラが暴走したことでオーブが、ジャガンナート委員長のクーデターでプラントが失点を重ねてしまった上、ユーラシアは度重なる独立運動に加えて首都壊滅だからな。この機に主導権を握りたいんだろう」
「ったく、誰があいつらを止めたと思ってるんだ!」
「コンパスだって戦力再編は必要だ。オーブだってラミアス大佐のためにイズモ改級やムラサメ隊を補充するつもりでいる」
「だからって」
「分かる分かる」
シンの憤慨にメイリンが同調して、さらに爆弾を投下してきた。
「アークエンジェル級三番艦を建造した上に今日搬入した新型フリーダムを融通してもらおうなんてね。大西洋連邦、軟化したって言っても相変わらずなんだから」
「はぁ!? ……今更だけどそれ、ここで言っていい奴なのかよ」
相当ヤバい機密情報ではないのか、それは。シンは落ち着かなくなって腰を浮かし、何となく周囲をきょろきょろと見回してしまう。
アスランは首を振った。
「まあ、今更だな。恐らくコノエ艦長の耳にはもう入っているはずだ。だからフラガ大佐も手を打ったのさ」
「……あのおっさんが、ルナと一緒に外出したのが?」
シンの言葉に険が乗る。アスランとメイリンは顔を見合わせ、苦笑した。
「大丈夫だよ、お姉ちゃんの趣味とは違うし」
「フラガ大佐はラミアス大佐一筋だからな」
「面白がるなよ! 別に不安とかじゃないし!」
「で、大佐。そろそろ私を連れてきた理由を教えてもらえます?」
ムウがルナマリアをバイクの後部座席に乗せて連れてきたのは、基地から数キロ離れたところにある隠れ家的なバーだ。
「スカウトしようと思ったんだよ。性格には難があるけど、腕が立ってある程度信用出来るやつ」
「そんな人がこんなところに?」
「向こうさんが指定してきたんだよ」
恐らく、ムウやルナマリアに染みついた軍人としての足運びを見て取ったか、何人かの客からそれとなく好奇と警戒の視線を向けられるのを感じる。恐らくは傭兵のたまり場という性格もあるのだろう。
「知ってるだろ、俺の前歴」
「それは、まあ」
ムウ・ラ・フラガ。元は地球連合軍のエースパイロットで、今はオーブ国防軍の一佐。だが一時期、ロゴスにより偽りの記憶を植え付けられ、ファントムペインの一部隊の指揮を執っていたことがある。ルナマリアたちにとっては初陣からしばらくの間幾度も激突してきた宿敵だったことのある男だ。
事情が事情、立場が立場なだけに今はルナマリアもシンもわだかまりは抱いていないのだが、改めて本人から告げられるとリアクションに困る。
「そこの同僚っていうか別部隊のリーダーだったんだけど、俺がベルリンでやらかしたのを見て組織全体が長くないなって見切りをつけて、さっさと部隊丸ごと離脱した奴なんだよ」
「それ、大丈夫な要素あるんですか」
聞き返しながらルナマリアは自分が連れてこられた意味を理解していた。
元ファントムペインの指揮官でなおかつ組織への忠誠心を持ち合わせていないタイプを勧誘しようというのだ。後でシンが激発しないように間に立って説明する役が要る。
「ジョーカーはあると分かって忍ばせるだけで十分……おっと」
ムウが足を止める。目立たない四人掛けのテーブル席に、一人の少年が座って文庫本を読んでいた。年のころならシンより幾つか下だろうか。ムウよりも色素の薄いブロンドの髪と、鋭い目つきがルナマリアの目を引いた。
「やあ君。おじさんとお姉さんな、この店で待ち合わせをしているんだ。ちょっと他の席に移ってもらえないかな?」
少年は、フレンドリーに話しかける現・オーブ軍一佐を一瞥して、彼ではない方向に話しかけた。
「コーディネーターのお嬢さん、注意した方がいい。
この男はベルリンでしくじったかと思ったら、第一次連合・プラント大戦でMIAとなったムウ・ラ・フラガ大佐の軍籍を手に入れてオーブに鞍替えした油断ならぬ男だ」
低い声と持って回った言葉遣いに、ムウとルナマリアは顔を見合わせた。
「なあ君」
「私はオルド・ソナール。先代が世話になったな、ネオ・ロアノーク”中将”」
少年が席を立つ。元ファントムペイン指揮官と言うには若すぎる。まさかアウラ・マハ・ハイバルのように、実年齢と外見が一致しない何らかの事情があるのか。
身構える二人に、オルド・ソナールを名乗る少年は文庫本を閉じてテーブルに置く。
「先代は私の父のようなものだ。傭兵となって部隊と私を養っていたが先日の作戦で戦死した。だが、その思想と記憶、戦術は全て受け継いでいる。だから私がオルド・ソナークだ。古巣のネットワークで君を呼びつけられたことがその証拠だと思ってもらおう」
ああ、とルナマリアはこっそり天井を仰ぐ。ムウも頭を抱えている。
ファントムペインから生まれた「他の誰かの人生」を背負ってしまった少年。これはシンへの説明に手間取るに違いないという確信を、言葉を交わすことなく二人は共有していた。
頭頂高:17.80m 重量:74.90t
STTS-909ライジングフリーダムのバリエーション機。「キラ・ヤマトの技量がなければコンパス制式採用機として不相応な火力を持つ」ライジングフリーダムのコンセプトを見直し、MA-BBF75 400mm超高インパルス砲 シュトゥルムスヴァーハーと能動性空力弾性翼を廃した上で、バクゥ系列の無限軌道機構を搭載した陸戦格闘機として完成した。
その一方で補助推進機関としてヴォワチュール・リュミエールを採用しており、低下した機動性を補っている。これはZGMF-X20Aストライクフリーダムなどに採用された短距離能動加速用の近縁種ではなく、原型機から別系統に発展した「ネオ・ヴォワチュール・リュミエール(天羽雷)」に近いもので、緊急展開用ブースター兼対ビーム防御手段として搭載されている。
当初はアンドリュー・バルトフェルドの招聘を念頭に置いて設計されたが、バルトフェルド本人が(少なくともパイロットとしては)引退を表明して固辞して機体の所属が宙に浮いたため、地球連合系のコンパス第三部隊が受領を狙っている。
というわけでHGCEライジングフリーダムガンダムをベースにバクウの四肢とスターゲイザーのVLユニットを組み込みました。ボールデンアームアームズとガンプラバトルアームズを使用。
M79-PSP 脚部対装甲相転移高周波破砕錐杭「ナルワル」
膝部に搭載された近接格闘装備。一応はM71-AAKフォールディングレイザーの系列にあたる。イモータルジャスティスのMMI-S2M5/X カルキトラ ビーム重斬脚が回し蹴り前提の設計であるため陸戦では扱いづらいという懸念(およびシン・アスカによる運用レポート)を受けて搭載された。敵装甲の詳細が判明していればそれに合わせてVPS装甲性の破砕杭を調整できるため、理論上はVPS装甲であっても貫徹破砕が可能とされている。ナルワルはラテン語で「イッカク」の意。
こちらはMSバーニア03とMSスパイク01を組み合わせた物を膝に固定。
なお脚部のバクゥレッグはライジングフリーダムのカカトフレームを切り飛ばしてくっつけています。
MA-M727A3 高エネルギービームライフル、MA-FZ51 ヴェルシーナ ビームサーベル、MMI-M2020 ヴァイパー3 レールガン、MMI-X525 インフェクタス ビームシールド、RQM73 フラッシュエッジG-3 シールドブーメランは原型機と共通。部分的にオレンジ基調となっているのは、先述の通りバルトフェルドの搭乗を視野に入れていた名残。
この辺は特に手は入れていません。
モビルビーストモード
ZGMF-X88Sガイアのデータが用いられているが、TMFシリーズ同様無限軌道を併用。前脚側はマニピュレータの収容機構を廃し、MS形態でも格闘用サブアームとして用いることが可能になっている。機首はモノアイとビームサーベルを装備。
一方でこの状態ではビームライフルを前方に向けられない欠点も有している。
ライジングフリーダムの機首を途中で切り飛ばしてバクゥの頭をくっつけてパテで段差を均して……で作ったバクゥヘッド。
ヴォワチュール・リュミエール展開。量子膜にビームやレーザーを受け量子鏡面ディラック干渉によって推進力に変換するヴォワチュール・リュミエールの特性を利用し、この時代の正規軍の軍艦であれば標準搭載されているビーム砲を受けること瞬間的な高加速を実現している。機体とパイロットにかかるGを考慮した威力調整を要するものの、専用の設備なしに作戦空域までの長距離高速射出が可能となった。
というわけでVLエフェクト装着。火の輪くぐりかな。
インフェクタス・ウォール
MMI-X525 インフェクタス ビームシールドをVLユニットに干渉させることで広範囲の防性斥力場フィールドを展開する「裏技」。本体額部に増設されたオラージュ・ド・リューヌ制御機構を応用して実弾やミサイルそのもの、あるいはその爆風を別方向(基本的には斜め後ろ上)に受け流すことが可能となる。
裏返しになるもののアームを用いればVLリングを前面展開することも出来たので。
フラッシュエッジ・ファントム
RQM73 フラッシュエッジG-3ビームブーメランにオラージュ・ド・リューヌの軌道を同調させ、共に射出するという、こちらも「裏技」的な運用法。デストロイの胴体を一撃で貫通・崩壊させるだけの威力を持つ。
フラッシュエッジG-3の変形用フレームにヴォワチュール・リュミエールエフェクトパーツを追加。剛腕爆砕!
フフフッ フフフッ フリーダム フフフッ ファイティング! フリーダム
コメント
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はじめまして 面白い読み物にハマりました フリーダムのその後、いいですね ファイティングフリーダムもカッコいいです 素敵な作品を拝見させて頂きありがとうございます フォローもさせて頂きます
ぼちぼち貼っていけたら……いいな……
壱状什 @M124326さんがお薦めする作品
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