ジムD型改

宇宙世紀コンの応募作品です
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「ーーノースナインか……」

俺は次の艦の行き先をポツリと上の空で呟いた。
新型機の受領の為に立ち寄るようだ。
全く俺たちの所属は宇宙艦隊だ、なのにわざわざ受領しに行くとは…よっぽど自信があるのだろうか、その新型機に。

しかし、よりによってだ。
その地は一年戦争時に俺が一時的配属されていた。
だからと言って感傷があるわけでも無し、連邦自体はその地のジオンの押し返しは成功しているものの、むしろ俺自身は辛酸しか味わってない。
そして、俺はそこで汚名挽回することなく宇宙に上がった。
故にそこまでの思い入れはない。

俺は格納デッキの隅に設置されたスモーキングスペースに足を向けた。
一息入れるためだ。
それにパイロットの俺が今あそこにいても邪魔なだけだ。
スモーキングスペースには誰もいなかった。
俺は肩身の狭さを感じながらも、安物のタバコに火をつけた。

そういえば、あの時のクソガキはあれからどうなったのだろう、と思う。
一年戦争の頃だ。
ジオンへの反抗作戦があらかた済んだ頃だったか。
あの時、俺はジムのパイロットをしていた。

……。
………。

「ーーくっ!たかがグフ一機に……!」

俺がフットペダルを踏み込むと、ジムが跳ねるように機動する。
グフは一瞬遅れて先程までジムがいた地点に弾丸を撃ち込む。
照準を合わせ、トリガーを引く。

連続したビーム光は僅かに逸れたものの、それでもグフの兵装を破壊するのには十分だった。
ジムがコンクリートとアスファルトを撒き散らし地面に降り立つ。
すかさず俺はビームライフルをグフに向ける。
グフはその赤熱した刃を引き抜いていた。
俺は構わずトリガーを引く。

ビープ音。
ライフルがオーバーヒートしている事を知らせているのだ。
俺はビームライフルを投げ捨て、代わりにビームサーベルを抜く。
グフがその意図を察したように腰を下げて構える。

「ーークソが、遊びじゃねぇんだぞ…」

そう毒付くものの、実際には俺に攻め手は無い。
それ程までに隙がない。
実際には数秒も無いのだが、この時の睨み合いは永遠のように思えた。

カラリーージムの収音センサーが小さな音捉える。
音は背後のビルからだ。
もはや伏兵か?
歩兵のロケット弾レベルの攻撃でもランドセルに直撃を受ければタダでは済まない。
俺は横目で背部センサーの情報を読み取りそして目を疑った。

「子供だと…!?」

センサーに映っていたのは10になるかどうかの…いや、そんな事はどうでも良い。
民間人の避難は既に終わっていて、作戦行動地域への立ち入りは禁止されているはずだ。

「…いい加減な仕事をしやがって…!」

俺が憤ると同時にグフがその巨体を奔らせる。
駆動系がやられているのか、速度は大して出ていない。
フットペダルを踏み込めば、十分に避ける事は容易いだろう。
だがーー。

「クソが!」

だが、避ければ背後のビルにはグフの巨体が突っ込む事となる。
そうなればビルは崩壊しそこにいる子供も犠牲になるのは必然だ。
俺は咄嗟にレバーを引いていた。

甲高い金属音、刃と盾がぶつかり合う音。
シールドはひしゃげ、幾分かグフの質量を和らげるものの、MSの大質量を全て奪うには足りない。
ジムもろともビルに突っ込む。
装甲がねじれ機械が使い物にならなくなる音、コンクリートが砕け崩壊する音、様々な音がコックピットにこだまする。

すべての音がゼロになった瞬間、咄嗟に後部センサーを起動し索敵を行う。
問題無し、の表示に俺の心がサッと冷え込んだ。
目の前のモニターに大きく表示されているモノアイが怪しく灯ると同時にダメージセンサーがけたたましく告げる。
グフの攻撃を受け止めた左腕が赤熱し融解を始めたのだ。
そうだ、まだ戦闘は終わっちゃいない。

「いい加減に、しやがれ!」
『ーー!?』

レバーを押し込むと同時に、ジムの右腕に装備されたビームサーベルがグフのコックピットを貫く。
…あまり想像はしたくは無いが、ミノフスキーのプラズマが一瞬の苦しみを与えぬまま吹き飛ばしたのだろう。

グフのモノアイから光は消え、やがて糸の切れた人形のように地響きを立てて倒れる。
俺はしばし放心状態でそれを見ていたが、ハッとなってコックピットを開ける。
どうやら歪んでいたのか、自動では開かず炸裂ボルトによる強制排出でようやく開いた。

外の風が運んできたのは、火の匂いと金属が灼ける音。
外でジムの様子を見て、これ以上の作戦遂行は不可能と断定する。
左胸から腰にかけてざっくりと斬られている、よくもまあこれで爆発しなかったものだと感心した。

俺は子供がいたあたりに降り立ち、あたりを見渡す。
コンクリートと鉄筋の瓦礫が邪魔だ。
いっそ見つからなければ、諦めがついたものを…俺は一際大きな瓦礫の前で立ち尽くした。
流れてくる赤い地面に俺は力無くへたり込む。
どうしようもなく俺は無力だ。

「ーーたすけ…」

その小さな声にハッと覚醒する。
俺は反射的に瓦礫を倒し叫んでいた。

「諦めるな!」

……。
………。

それから俺は瓦礫から引っ張り出したガキと共に救護部隊に救出された。
俺の方の傷は大した事がなくてその日のうちにはピンピンしていて、次の日には銃を握っていた。
だが、ガキの方はと言うとそうはいかなかったらしい。
意識混濁がしばらく続いていた、と後に聞いた。
何故、そう言った言い方になったのかと言うと、俺はこの戦いの5日後には宇宙に上がっていたからだ。
ア・バオア・クーの攻略の為だ。
だからそのガキの顛末は知らない。

「…」

俺は紫炎を潜らせる。
…少し見て回ってもいいかも知れない。
俺はそんな風に思ってちびたタバコの火を消した。

汚名挽回でも間違ってない、とフォロー的に言われていても何だか釈然としない…!ジム寒冷地仕様…の改造機です。寒冷地仕様って考えてないんでD型です。 

汚名挽回でも間違ってない、とフォロー的に言われていても何だか釈然としない…!

ジム寒冷地仕様…の改造機です。
寒冷地仕様って考えてないんでD型です。

 

コンセプトは「勇者」ガンダムばかりが取り上げられるけれども、連邦の勝利に寄与した真の功労者はジムだと思っています。その勇姿を表現出来たらな、という思いからです。…ジムに使うのがもったいないコンセプトだったかも…

コンセプトは「勇者」

ガンダムばかりが取り上げられるけれども、連邦の勝利に寄与した真の功労者はジムだと思っています。

その勇姿を表現出来たらな、という思いからです。

…ジムに使うのがもったいないコンセプトだったかも…

フレーバーストーリー的には、結構お馴染みになってきた感がある中尉殿の一年戦争時のお話。大体最終決戦前の地上での一幕。宇宙に戻るHIVを防衛する部隊との遭遇戦みたいなイメージです。今回は構成を思いっきり変えてみました。いつもだったら視点の提供者は負ける側なのですが、今回はパイロット視点です。じゃないとやりたい事が出来なかった…!

フレーバーストーリー的には、結構お馴染みになってきた感がある中尉殿の一年戦争時のお話。
大体最終決戦前の地上での一幕。
宇宙に戻るHIVを防衛する部隊との遭遇戦みたいなイメージです。

今回は構成を思いっきり変えてみました。
いつもだったら視点の提供者は負ける側なのですが、今回はパイロット視点です。
じゃないとやりたい事が出来なかった…!

長々とフレーバーを考えた時に限ってポーズが思いつかない…!

長々とフレーバーを考えた時に限ってポーズが思いつかない…!

制作工程です。元となったジム寒冷地仕様は初期のHGのキットでありながらプロポーションは優秀だと思っております。なのでそれを活かしながら、ミキシングでちょっとだけ改良された感を出して行きたいと思います。

制作工程です。
元となったジム寒冷地仕様は初期のHGのキットでありながらプロポーションは優秀だと思っております。

なのでそれを活かしながら、ミキシングでちょっとだけ改良された感を出して行きたいと思います。

頭部。 顎のラインを微妙に加工して、頬に繋がるラインに整えました。耳は削ってアップグレードパーツに変更。トサカの一部を0.3mmプラ板で大型化。いつのまにか、アンテナが紛失してたのでアップグレードパーツのブレードアンテナを加工して装備しました。脳内設定では性能検証中のブレードアンテナ。ジオン系のMSのデータ解析から作られた代物って感じ。胴体。変更なし。

頭部。 
顎のラインを微妙に加工して、頬に繋がるラインに整えました。
耳は削ってアップグレードパーツに変更。
トサカの一部を0.3mmプラ板で大型化。
いつのまにか、アンテナが紛失してたのでアップグレードパーツのブレードアンテナを加工して装備しました。
脳内設定では性能検証中のブレードアンテナ。
ジオン系のMSのデータ解析から作られた代物って感じ。

胴体。
変更なし。

腕部。変更なし。腰部。股関節のV字を削り取りました。フロントアーマーをEz8の物に、サイドをジムⅡの物に、それぞれ変更。

腕部。
変更なし。

腰部。
股関節のV字を削り取りました。
フロントアーマーをEz8の物に、サイドをジムⅡの物に、それぞれ変更。

脚部。プラ棒でディテールアップした程度で、基本的に一緒。バックパック。ジムⅡの物に変更。脳内設定では、ジムのバックパックのスラスター高出力化や後部センサーの強化してたら偶然後のジムⅡに似た形状になった感じ。

脚部。
プラ棒でディテールアップした程度で、基本的に一緒。

バックパック。
ジムⅡの物に変更。
脳内設定では、ジムのバックパックのスラスター高出力化や後部センサーの強化してたら偶然後のジムⅡに似た形状になった感じ。

武器。ビームライフルはオリジンガンダムの前期ライフルから。ビームサーベルはジムⅡの物をそのまま。シールドは、ジムスナイパーⅡの物を少し切り取って使用しました。

武器。
ビームライフルはオリジンガンダムの前期ライフルから。
ビームサーベルはジムⅡの物をそのまま。
シールドは、ジムスナイパーⅡの物を少し切り取って使用しました。

カラーリング。メインはロイヤルライトグレー。サブにインターミディエイトブルー。関節等にガンシップグレー2。ジムって青とかグレーで塗るととっても強そうに見えるよね…。

カラーリング。
メインはロイヤルライトグレー。
サブにインターミディエイトブルー。
関節等にガンシップグレー2。

ジムって青とかグレーで塗るととっても強そうに見えるよね…。

長々とご閲覧ありがとうございました。

あともうちょっとだけ続くんじゃ

⭐︎ー⭐︎「ーーあ、中尉殿、こんなところにらっしゃったんですね」そう言いながらスモーキングスペースに入ってきたのは俺の機体の専任整備士である男だ。そうだ、生きていればちょうど彼くらいの年齢だろう。…。「ーー軍曹、貴公は確か以前ノースナインの出身だ、と言っていたな?」「はっ、その通り…ですが、それが何故今…」俺は何を聞いているんだ。聞いたところで何だと言うのだ。「いや、忘れてくれ」「は、はぁ…」第一ノースナインでもどれだけ多くの人がいたと思っているのだ。知り合いである可能性はないに等しい。「軍曹殿、何故軍に志願した?」沈黙に耐え切れなかったのは俺の方だ。彼は、そうですね…、と少し考えて答えた。「自分は…一年戦争の頃あるMS乗りに命を救って貰いました」よくある話、珍しい話ではない。「逃げ遅れた自分をジオンの攻撃から守ってーー」「いや、そんな風に夢見るもんじゃねえさ」第一、MS戦の最中だったもだろう。気がつくのは普通はない。だから偶然だ。口を挟む俺に珍しく声を荒げ反論する。「気が付いてましたよ、絶対に。なぜならば、気付かれてなければ自分は間違いなく死んでいました」「…だから助けられた、と」力強く頷く彼に、そうか、とだけ俺言った。そう言ってタバコに火を付け、肺を煙で満たす。「聞くところによると中尉殿は一時期この地区で戦われていた…と聞きました」「あぁ、そうだが…?」「青いジム…のパイロットの事をご存知でしょうか」それを聞いて一気にむせる。「中尉殿!?」「ーーあぁ、いや、大丈夫だ。…で、それを聞いてどうする?」「え、あぁ、感謝を申し上げたく」そのまっすぐな視線に耐え切れずプイとそっぽ向いた。「あぁ、アイツは知ってるが…戦死したよ」「…中尉殿。中尉殿が嘘をつく時のクセ、ご自分で気付いていますか?」ニュータイプだと言うのか、コイツは。形勢が不利になったと見た俺はスッと立ち上がり伝えた。「あぁ!そう言えば報告書出さねばならん事を思い出したよ!」そう言って足早に逃げる俺の後ろから「中尉殿!」と言う声が聞こえていた。

⭐︎ー⭐︎
「ーーあ、中尉殿、こんなところにらっしゃったんですね」

そう言いながらスモーキングスペースに入ってきたのは俺の機体の専任整備士である男だ。
そうだ、生きていればちょうど彼くらいの年齢だろう。

…。

「ーー軍曹、貴公は確か以前ノースナインの出身だ、と言っていたな?」
「はっ、その通り…ですが、それが何故今…」

俺は何を聞いているんだ。
聞いたところで何だと言うのだ。

「いや、忘れてくれ」
「は、はぁ…」

第一ノースナインでもどれだけ多くの人がいたと思っているのだ。
知り合いである可能性はないに等しい。

「軍曹殿、何故軍に志願した?」

沈黙に耐え切れなかったのは俺の方だ。
彼は、そうですね…、と少し考えて答えた。

「自分は…一年戦争の頃あるMS乗りに命を救って貰いました」

よくある話、珍しい話ではない。

「逃げ遅れた自分をジオンの攻撃から守ってーー」
「いや、そんな風に夢見るもんじゃねえさ」

第一、MS戦の最中だったもだろう。
気がつくのは普通はない。
だから偶然だ。
口を挟む俺に珍しく声を荒げ反論する。

「気が付いてましたよ、絶対に。なぜならば、気付かれてなければ自分は間違いなく死んでいました」
「…だから助けられた、と」

力強く頷く彼に、そうか、とだけ俺言った。
そう言ってタバコに火を付け、肺を煙で満たす。

「聞くところによると中尉殿は一時期この地区で戦われていた…と聞きました」
「あぁ、そうだが…?」
「青いジム…のパイロットの事をご存知でしょうか」

それを聞いて一気にむせる。

「中尉殿!?」
「ーーあぁ、いや、大丈夫だ。…で、それを聞いてどうする?」
「え、あぁ、感謝を申し上げたく」

そのまっすぐな視線に耐え切れずプイとそっぽ向いた。

「あぁ、アイツは知ってるが…戦死したよ」
「…中尉殿。中尉殿が嘘をつく時のクセ、ご自分で気付いていますか?」

ニュータイプだと言うのか、コイツは。
形勢が不利になったと見た俺はスッと立ち上がり伝えた。

「あぁ!そう言えば報告書出さねばならん事を思い出したよ!」

そう言って足早に逃げる俺の後ろから「中尉殿!」と言う声が聞こえていた。

言葉も願いも勇気も今も確かに私の中で生きている

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