マスターグレード1/100 ボール(カトキハジメバージョン)を製作しました。内部メカを細かく塗り分け、コクピット内に電飾を仕込むことにより、見どころを増やしています。マスターグレードのボールは2004年発売で、すでに20年以上前のキットですが、金属パーツや電飾キットに最新のマテリアルを使用することで近代化させることができました。
■外装の塗装
やや暗めの落ち着いたグレーと明るめのグレーのツートンカラーを基調として、レッド・ホワイト・金属色をアクセントに用いました。無機質な工業製品としての印象やミリタリーテイストを高めるため、また、塗り分けを行った内部メカとの対比を強調するために、外装の色数は極端に減らしました。
■使用塗料
広い面のエアブラシ塗装と極細の面相筆による細部の塗り分けはラッカー系塗料を用い、スミ入れとウォッシングにはエナメル系塗料を使用しました。
仕上げとして、水性塗料のつや消しをプロユースシンナーで希釈して吹き付けています。これは、「水性塗料のつや消しをシンナーで溶いて吹き付けると、物凄くつや消しになる」といった記事を模型誌で見たことがあったため、実践してみたものです。
乾燥後の塗装面は完璧なつや消しとなり、仕上がり状態は良好でした。
■ノズル
背面に2基、真下に1基、計3基あるノズルは、HIQPARTS製の金属部品STDスラスター(ノーマル12.0mm)に置き換えました。クリアーオレンジとクリアーブルーをランダムに薄く吹き付けることにより、焼けた状態や使用感を演出しました。
■内部メカの塗装
ボールの内部メカの成形色はニュートラルグレー一色ですが、メカとしての説得力を塗り分けで演出することにしました。外側のトラス状の部分はレッド、内部はウォームグレイを基調として、彩度を落としたグリーン、ブルー、グレー、イエロー、ホワイト等の複数の色で塗り分けています。強い塗膜が欲しかったのでラッカー系塗料を使用し、同じ色を隣り合わせさせない立体パズルだと思いながら、極細の面相筆で丁寧に彩色していきました。
■内部メカのデカールワーク&ディティール追加
外装と同様に内部メカにもデカールを貼ったり、金属製パーツでディティールを追加したりと細部にこだわって製作しました。デカールはガンダムデカール、アンプコーションデカール(先行発売品)、ヴェルテクスデカール等からチョイスし、金属製パーツはハイキューパーツの製品を各種使用しています。
複数の色で塗り分けるだけで印象が全く異なるものに仕上がることが実証され、ディティール工作以上の効果があったと思います。
■台座
キット付属の台座を格納庫の一部に見立ててパネルラインのスジ彫りを入れました。使用したデカールは、ガンダムホビーライフの付録デカールと、ガンダムデカールデラックス(地球連邦軍)です。
■180mm低反動キャノン砲
フック状のパーツは、φ1.0mm真鍮線に置き換え、メタルプライマーを塗布後、ホワイトで塗装して取付けました。プラ板、プラ材の貼り付けにより、上側や弾倉にディティールを追加しています。
180mm低反動キャノン砲は単色で塗装されがちであり、パーツなりに塗らされてしまっていると妙にオモチャっぽい印象になると思います。そのため、キットのモールドを生かしてマスキングを行い、グレー2色で塗り分けることで、精密感やリアリティの向上をめざしました。
今回の工作についてまとめてみました。
■外装ディティール追加
一年戦争で大量投入された架空の兵器である「ボール」を工業製品として捉え、外装にどのようなディティールを追加したらよいか考えながら製作しました。破損や故障が発生した箇所は、装甲ごと取り替えたり、ユニットやモジュールごと入れ替えたりしていたと想像し、整備性や作業効率の観点から機体各所に固定用フックを掛ける箇所を多数設けました。また、推進器、側面の窓、バーニア等を宇宙デブリ等の物理的な衝撃から保護する目的で、コの字型の”格子”を各所に取り付けました。
■フィギュア
製作したフィギュアは4体で、キット付属のノーマルスーツ着用メカニッククルー2体及びコクピット内に着座するパイロット1体に加え、ビルダーズパーツを使用して立ち姿のパイロット1体を追加しました。コクピット内のパイロットは両足を揃えて姿勢が良すぎるため、両足を開いた状態に改造しています。パイロットのノーマルスーツは、1stのセイラ・マス専用スーツを参考に彩色してみました。
■アーム部
形状・サイズ感・可動ギミックとも良好なため、特に大きな改造は行わず、塗り分けやマーキングでメカ感の演出を狙いました。アームと本体の接続部分にあるゴム製パーツや二の腕?下部の金属製シャフトに、キット開発当時のメーカーの意気込みを感じます。
■外装のデカール
キット付属のデカールに加え、ガンダムデカール、アンプコーションデカール、ヴェルテクスデカール、モデラーズデカール、ロボデカールからチョイスし、”粗密”を意識しながら貼り付けました。ホワイトだけでなく、部分的にブルー、オレンジ、グレーの色と組み合わせて使用しています。本キットは1/100スケールですが、精密感やリアリティの向上をめざして、1/144スケール用のデカールも織り交ぜてみました。今回使用したデカールの総枚数は、数えてみたところ大小併せて165枚となります。
■コクピットの電飾
コクピット内の天井及び左右のコンソールパネルに電飾を仕込みました。使用した商品は、ビットトレードワンの「磁気スイッチ付LEDモジュール 3灯リード線付き ブルー」であり、3か所を同時で光らせることができます。磁石をボタン電池ボックスに近づけることにより、簡単にオン・オフの操作をおこなうことができ、点灯パターンは「①全灯→②点滅→③ゆっくりとした明滅→④消灯→①に戻る」の順に切り替わります。スイッチは内側の正面下側に設置しました。
※本商品は島根県浜田市にある「地球堂模型店」で購入したものです。南條店長様から直接、商品説明をうかがうことができ、たいへん勉強になりました。
■模型を通じた交流のありがたさ
先日開催された「宇部ホビーフェス2025」に展示した際、数組の親子連れのお客様には磁石による点灯を試していただきました。興味を持たれたお子様、それを傍らから見ておられる保護者の方、模型を通じた温かい交流が実現し、モデラー冥利に尽きる場面を経験させていただきました。当日御観覧いただきましたお客様、ありがとうございました。
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
特に大掛かりな改造や工作はしていませんでしたが、往年のメカニックモデルやカットモデルのテイストを盛り込んで、丁寧な塗り分けや電飾に取り組むことにより、20年以上前の古いキットでも見どころを増やすことができたと思います。







![MG1/100 RB-79 ボール(Ver.Ka) [カットモデル/メカニックモデルテイスト]–9枚目/制作者:あやぽん](https://gumpla.jp/wp-content/uploads/2025/12/DSCN8842-1007x1024.jpg)








コメント
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ホント見どころ満載ですね👍️👍️👍️
キャノン砲が無かったら、近未来の宇宙用作業重機みたい❗️
展示会に出展なされていたのですね。コレを見ることが出来た方が羨ましい🙂↕️
コクピットの電飾なんて、ずっと見ていても飽きないことでしょう。
コレはとても素晴らしいモノを見せて頂きありがとうございます😊
T-Nonさん、ありがとうございます!
内部メカの塗り分けを積極的に楽しもうと思い、タミヤの極細の”面相筆”と筆塗りに適した濃度に薄めた”ラッカー系塗料”でチマチマと彩色しました。立体パズルを組み立てるような感覚で、同じ色が隣り合わせにならないように考えながら作業を進めました。やはり色数が多いと、模型的に盛り上がりますね!また、内部メカにもデカールを貼ることで、密度感やリアリティが増したと思います。
結果、予想以上にメカメカしい感じが強調され、狙い以上の仕上がりになってくれました。
電飾キットについてあまりよく知らなかったのですが、島根県浜田市の「地球堂」に買物遠征した際、勇気を出して南條店長さんに相談したところ、「ちょっと説明させてください!」と気さくに声をかけられ、商品の説明を十分に受けることができました。商品の特性や使用方法等についてよく理解でき、安心して購入することができました。単に模型アイテムを売るだけのお店は多いですが、取扱商品に関する商品知識が豊富で、顧客のニーズに的確に答えてくださるお店は貴重だと思います。「地球堂」さんは、山口市の自宅から車で片道3時間(※高速道路を使わない)であり、12月中にはドライブがてらにまた買物遠征に行きたいです!
良い模型店ですね😊買い物遠征と書いてあったので、ちょっと遠くても、こんな素敵なお店は羨ましい…と読み進めると、片道3時間(zaku-kao2) 旅ですよ〜😅
私の生まれ故郷にも、負けないほどのお店があったのですが… よけれは私のつぶやきをご覧ください(zaku-kao9)
緻密!リアリティ!素晴らしすぎます!
眼福いただきました!ありがとうございます!!
OGNEKさん、こちらこそ、ありがとうございます!
MG1/100ボール(Ver.Ka)の内部フレームの成形色はフィールドグレイ一色であり、組立説明書でもグレー一色で塗装するよう推奨されています。外装を取り付けると見えなくなるため、パーツやユニットを単色で塗って終わりにしてもよかったのですが、今回は緻密な筆塗りを楽しみたかったので、ちょっとひと手間かけてみました。
ガンプラはパーツ構成に従って”塗らされてしまう”と、完成後もキットのプラモデルとしてのパーツ構成がなんとなく透けて見えてしまい、これがリアリティーを損なう原因の一つと考えました。キットのパーツやユニットごとに塗り分けると作業が楽なのですが、それに抗うようにできるだけマスキングをして細かく色を分けました。
あと、白や金属色は差し色なので多用せず、アクセントとして最低限に留めておくとより効果が大きいと思われます。何かの御参考になれば幸甚に存じます。
主に1/144ガンプラ、1/35恐竜、ウルトラ怪獣のガレージキット等をマイペースで製作しているリーマン週末モデラ―です。
X(旧Twitter)→ https://x.com/Ayapons45
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