凍土のサイクロプス

宇宙世紀0147年8月。
あの忌まわしき一年戦争終結から67年後、シベリアの永久凍土にて一機のザクⅡが民間人冒険家により発見された。
超ロングバレルの狙撃銃らしき兵器を構えた姿で凍りついたザク。
その正体は地上から衛星軌道上の戦艦、偵察衛星などを撃ち抜くジオン地上狙撃部隊「オンリーワンショット」、通称OOS（ダブルオーエス）に所属のザクⅡであった。

時は遡ること0079年11月23日、シベリア上空高度800km付近を航行するマゼランを撃破する指令がOOSに下された。
マゼランには三日前にジオン軍から脱走し、地球圏に亡命したジオン軍兵器開発部の主計技術者が乗艦しており、ジオン軍の兵器に関する機密漏洩防止のためマゼラン諸共亡き者にする指令であった。
本件の実行者にOOSのエーススナイパー「デューク・ホンゴウ大尉」がアサインされ、22時間後にシベリア上空を通過するマゼラン狙撃作戦が開始された。

超電磁スナイパーライフルへの充電開始直後、供給電源装置のインバータが過電流で停止。
4時間にわたる修理を試みたが修復する見込みは無く、部隊長のヒュームは起爆式発電による高電圧瞬時給電で弾丸を射出する手段を選択する。
マゼラン通過ギリギリの時間で起爆式充電の準備は完了したが、時間が無いことでザクの真横で小型戦術核級破壊力の給電爆薬を起爆させることになった。
起爆後の爆圧はザクの装甲で耐えられるが機内のパイロットは衝撃をまともに受けることに・・・。

ヒュームは弾丸射出数秒後に即死するデュークへの狙撃命令を躊躇したが、「あの情報を連邦に渡すわけにはいかんのです。どうか命令を。」と笑顔でヒュームを諭すデューク。
その笑顔に応えるべくヒュームは「武運を祈る」と一言だけ手向けの言葉を授け、デュークのザクを残して部隊を退避させるのであった。

マゼランがザクの直上832kmに最接近した瞬間、デュークは躊躇なく引き金を引いた。
ザクを中心に半径2kmの森林は給電爆薬炸裂の衝撃波で薙ぎ倒され、2秒後充電完了した超電磁スナイパーライフルの砲身内でマッハ12（約14800km/h）まで加速した劣化ウラン弾を射出。
デュークは放たれた弾丸の行く末を見ることもなく静かに操縦レバーから手が離れた。
しかし、命を賭けて放たれた弾丸はマゼランをわずかに逸れ、作戦は失敗に終わった。
その後、亡命した主計技術者の設計によりドムをベースに開発されたGPシリーズ二号機「サイサリス」が誕生。
奇しくも核バズーカを発射したガトーによりコンペイトウ宙域に集結した地球連邦軍将官の大量虐殺に繋がるのであった。
歴史に「もし」は無いが、もしデュークが放った矢が林檎（マゼラン）を射抜いていれば星の屑作戦の結末も変わり、「ソロモンよ！私は帰ってきた！」の名言も生まれなかったのかもしれない。

ガンスタはガンプラであることが掲載の条件ですが、このザクはモビルスーツインアクションのフィギュアです。
本来なら規約違反かもしれませんが、超電磁スナイパーライフルは1/144HG陸戦ジムのバズーカと1/100MGザクに付属のマゼラトップ砲、その他諸々のジャンクパーツを組み合わせたモノなので規約内ということで♪
登場するデューク・ホンゴウ、ヒュームはゴルゴ13のパロディで、内容は全てオッサンの妄想です。
尚、凍結した様な表現は約20年間トイレで放置した埃汚れの賜物です(´・ω・)