初投稿させて頂きます。
以前からGUNSTAで皆様の作品を拝見させて頂いており、自分でもこんな素晴らしい作品・投稿が作れたらなあ、とずっと思っていました。
今回、頑張って作って投稿してみようと思い立ちまして、お目汚しですがよろしくお願いします。
ストーリー立ての投稿も、カッコ良いなあと拝見していたので、自分の軽い頭をひねってみたので最後まで見ていただけたら幸いです。
アナハイムの整備主任は、自分が手掛けた艦が見るも無惨な状態で帰ってきたのを目の当たりにし、胸を痛めた。
強襲揚陸艦アルビオンは、コロニー阻止限界点での激しい戦闘から戦域離脱した後、味方である連邦軍に拿捕され、乗務員は全員身柄を拘束された。
かくして、アルビオンは無人のまま、戦闘後のボロボロの状態でコロンブス級に曳航されて月面のドックに還ってきたのだった。
「このまま、廃艦か…」
そう言って整備主任は、ため息をついた。
今回の一連の事件では、アナハイムでも様々な暗い出来事が有った。
オサリバン常務のデラーズ・フリートとの内通。
ガンダム1号機・2号機の開発エンジニアだった女性は、地球連邦軍の僻地にある基地への出向を命じられ、恐らく月の本社へ戻って来る事はもう二度とないだろう。
そして、ガンダム3号機の開発主任だった彼女は……。
整備主任は、同期だった彼女の野心的だった眼差しを思い返していた……
「おい。アルビオンを修理するぞ」
整備主任は、工場長のその言葉に驚きを隠せなかった。
「修理!?いったいまたどうして…」
「引き取り手が見つかったんだ」
「こんなボロボロの状態なのに、1から建造じゃなく修理?いったいどこが……」
アルビオンはガンダム開発計画の母艦となるべく開発された艦だ。当然、計画の一部だと見做される。連邦軍がガンダム開発計画を「無かったこと」とした今、廃艦にされるのが当然だ。そこを覆せる影響力を持つ組織なんて…
「買い手は、ビスト財団だ。もう、連邦軍と財団との間でも話がついてるらしい」
ビスト財団……アナハイムの会長、メラニー・ヒュー・カーバインの妻になったのが、マーサ・ビスト・カーバイン……その口利きとは言え、どうやったらそんな融通がきくというのか……
「連邦とビスト財団の関係なんか気にするな。ロクな事にならんぞ。……修復にあたっての条件は、1にまずガンダム関連のデータ抹消と機密事項漏洩に対する防止策の実施。2つ目に、非武装とする事。当然だな。最後に、船体のカラーリング変更。この3つだ。さあ、準備に取り掛かれ」
「なんで、アルビオンを色変えしてまで直すんでしょうね?」
部下の整備士が、作業をしながらそんな事を口にした。整備主任はそれに応えてやる。
「連邦軍がカラーリングを変更しろと言ってきた理由は、かの伝説的なペガサス級と同じカラーリングを、民間船に使わせるのに難色を示す勢力があるから、らしい。
ビスト財団側がコレを直してまで使う理由は、表向き美術品や貴重品の輸送を行う業務において、最近は宇宙海賊が頻繁に出没する事に頭を悩ませていたらしい。…海賊には軍人崩れが多くなっていて、MSを運用する海賊までいるらしいから、恐らくジオン残党が多く居るんだろう。
そこで、伝説の強襲揚陸艦と同じ見た目をした船なら、海賊に「襲撃を躊躇わせる」効果が有るかどうか?っていうのを期待しての、今回の買い取りってワケだ」
「へぇ~………そんなに、上手くいくモンすかね?」
「さあな。ガンダム顔のジムを作って効果を検証している部隊もいるらしいぞ…ほら、手が止まってるぞ」
「わ!すみません!」
整備主任は、苦笑しながら直っていくアルビオンを見つめなおした。
…彼女の事がまた思い浮かぶ。
絶対に修復してみせる、と主任は改めて気合いを入れ直した…
かくして、アルビオンは修復された。
ただ、ビスト財団からの追加装備の作成依頼に対して、召集された開発メンバーの面子に整備主任は頭を抱えていた。
…社内でも名高い、変人揃いだったからだ。
「まず1人目、イワン。発表どうぞ」
イワン。真面目で堅物で融通が利かず、かと思えば突然、突拍子もない事をやらかす。今回も、そんな雰囲気が漂っていた。
「自分が制作した追加装備は、ロケットブースターです。これが有れば、海賊が襲撃しても即座に離脱できます。似たような装備を、ジオンの試験支援艦が搭載していた記録があり、連邦軍の攻撃を逃れていたそうですよ」
ん?……以外にまともか……?
「ちなみに、1回きりの使い捨てです」
「は?!この艦船用の巨大構造物を?使い捨て?!」
「はい。燃料を使い切った後にはデッドウェイトなので、船足が遅くなったら意味がありませんので、自動で切り離されます」
整備主任は、クソデカ溜息をついた…
「はい。次の人行くぞ。次は…カトゥー、お前だ」
カトゥー。ニホン系のエンジニアの血筋で、変な機能美に対するこだわりが強すぎて、はっきり言って変人だ。
「僕が作成したのは、オプションの作業用アームです」
「アーム?……これ、工作船でもなんでもないんだけど。位置的にも…船に腕生えてるって…おかしくない?」
「最近はMAがMSに変形する機体が開発されているとのことです。それからすれば、船に腕が付いたくらい、なにもおかしくありません。
……それに、美しい……」
ダメだコレは。理解が出来ない…
整備主任はメガデカ溜息をついた…
次は…
「ヒャッハー!次は俺ですねえ?!」
「あ、ああ…」
スリギン。連邦軍を脱走してお尋ね者となり、宇宙海賊に入ってまた海賊を脱走し、何故かウチに入社してきた。いかにもヒャッハーな見た目と言動をしているが、普通に真面目に勤務している。何があったんだろうか?
「オレが制作したのはコイツ!アンカーユニットです!船って言ったらやっぱ錨が必要ですよねえ?!」
「いや、宇宙を航行するのであって、海じゃないんだよ?必要無くない?」
「いやいや、コイツは先端を開かなければハープーンみたいに海賊船の船体に突き刺す事ができます。更に、ガス噴霧器が内蔵されてるので、船内の海賊は一網打尽です!」
「いや、ノーマルスーツ着てるから効果無くない?」
「大丈夫です!海賊は、ヒャッハーなんでノーマルスーツ着ません!どこかの悪名高い艦隊でも、着てませんでしたから!」
ヒャッハーにはヒャッハーにしか解らない理屈があるのか……?
整備主任は、ハイメガ溜息をついた…
「最後は私ですね……?」
「もう、さっさと発表してくれ」
フォーリン。内向的で妄想しがちな所があるが、基本的に真面目な社員だ。この4人の中ではまだマシなほうのはずだが、コイツは最近カトゥーに毒されつつあるという噂だ。油断は出来ない。
「私の制作した装備は……………
クローアーム、です」
………もうね、バカなんじゃないの?この子。カトゥーの毒が廻りきっているようだ。
「あと、88は私が描きました。夜中にこっそりと」
「それだよ!なんなの88って?ビスト財団にも管理番号くらいあるはずだよ?なんで勝手に描いちゃうの?!」
「ニホンの大昔の漫画をカトゥーさんに読ませてもらって。それ以来、船には絶対に88と描くと決めてたんです」
整備主任は、思考を停止したあと、ハイパーメガ溜息をついた…
「ていうか、もう全部つけましょうよ」
は?
「全員、こんな事もあろうかと共通規格のハードポイントを設けてますから」
はあ?
「せっかく作ったんですから、ビスト財団の人には全部お持ち帰りいただきましょう。お残しは許しません」
コレらに対して、更に費用を請求しようってのか…?こいつらは?
整備主任は、コロニーレーザー級の溜息をついた…
驚いた事に、ビスト財団の受け取り人は眉も動かさずに受け取りにサインをした。
まだ若そうなのに、たいそう貫禄がある。
スキンヘッドなのが怖いけど。
「これで手続きは完了ですね。ありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ。あんなふざけた装備の分まで費用を出して頂いて、ありがとうございました。」
「大丈夫ですよ。……ところで、1つ確認なのですが」
「はい?」
「この船は、なんという名前ですか?元の名前が使用できないのは分かっています。アナハイムの皆さんで決めていいと当主から言われていますので」
「この船は…」
ふと、彼女の笑顔が脳裏をよぎった。
事件の隠蔽がもとで、その死の真相さえも知る事が出来ないまま、二度と会えなくなった彼女の………
「ルセット」
「?」
「この船の名前は………
「ルセット」、
………です」
「女性の名前のような、優しい雰囲気の名前ですね」
「ええ……(殴られるかと思った)」
「分かりました。それでは、「ルセット」の受け渡しは完了です。では、これにて」
その後、無事にルセットは発進していった。
名残り惜しそうにその姿を見送り、整備主任は問題児達と共に、また次の仕事へと取り掛かっていった……
最後まで見ていただいて、ありがとうございました。
脳内ストーリーで長文を書きすぎると、テンポが悪くなりますね。次の投稿には自重しないと。でも諸説あるアルビオンのその後を妄想できて楽しかったです。
今回、使用した色は
白→軍艦色2、赤→黄橙色、黒→ジャーマングレー、艦橋等→スカイブルー、追加装備→軍艦色1
艦橋等を除いて全部が缶スプレー、後は筆でリタッチです。
追加装備には、ブースター→MSGベクタードスラスター、作業アーム→30MMとカスタマイズシーンベース、アンカー→境界戦機ウエポンを使用しました。
出来は良くなかったと思いますが、初のEXモデル、楽しかったです。
今年中に何かもう1つ組みたいなあ。
コメント
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コメント失礼します。
輸送船にモリモリするのは新鮮ですね~😁私も変態エンジニア好きなので楽しくストーリーを読ませて頂きました。
戦艦らしさをオミットし、カラーリングやホワイトライン。納得の民間仕様👍
ike_k5さん、コメントありがとうございます😊
私も何故か、この変態4人に関する事はスラスラ思い浮かぶんですよね(gundam-kao10)
いつの世も、世界を動かしてきたのは1握りの変態だ!(iori_sei)
コメント失礼します。仕事中なのに止めて読んでしまった。ユニコーンに似たような船が地球のジオンに使われてましたが、こんな話は大好物です(笑)まだオーキスの残骸もどこかにありそうですね
裕裕さん、コメントありがとうございます✨
仕事の手を止めてまで見ていただいて、とても嬉しいです🤭
UCにワンカット出ていた準ホワイトベース級は、ジオン残党にティターンズ残党が持ち込んだものなんでしょうね。ああいった寄り合い所帯とかは、私も大好きですね(zaku-kao5)
ラクシャサなんかを見てると、GP03のパーツはまだ残ってるはず(gandam-hand2)
コメント失礼します🙇
戦闘でなく改修及び建造の物語とは素敵な世界観ですね✨
民間船なら非武装等、よく練られてる😄
カラーリングも従来のペガサス級とは異なるシックに纏まって渋い👍
私もGUNSTAで物語をしているので楽しませていただきました🍽️
MSV-Kさん、コメントありがとうございます😊
ゲームでも対人対戦がニガテな私は、バトルを思い描くほうが難しいので、戦闘描写を書ける方のほうを尊敬します🫡
皆様、ガンダムには拘りが有る方達だと思いますので、ストーリーを付ける際はせめて恥ずかしくない内容にしていきたいですね。
はじめまして。このストーリー大好きです!作品と共に思わず見入ってしまいました!
komari-max!!さん、コメントありがとうございます。
AC4のストーリーパートや、袖付きの機付長は詩詠うなどのストーリー等、争っている当人達ではなく第3者視点で進む物語が好きで、今回はこんな話を考えてみました。
でも、当のルセットさんは何も気付いていなかっただろう、というのが私の考えです(gundam-kao9)
はじめまして!
0083好きなのでストーリーにハマりました!😆
もちろん作品もカッコいい!
全部乗せ、私も大賛成です♪😆
にわとりさん、コメントありがとうございます。拙作もストーリー部分も評価して頂き、大変嬉しいです。
全部乗せは皆のロマンですよね(zaku-kao2)
え、違う?
これは載せるMSにも期待^_^
okinasanさん、コメントありがとうございます。初投稿への初コメントで、嬉しいです。
ルセットはビスト財団に渡ったので、どう使われるかも何のMSを載せるのかも未知数な部分が有りますね。これからは、ルセットの搭載MSを考えるのも楽しそうです(gandam1)
子供の頃から素組みだけでしたが、最近になり部分塗装やトップコートなど試すようになりました。
どの作品も好きですが、基本的には宇宙世紀おじさん。
家族の相手もあり、制作は超スローペースですが頑張って作っています。