UC0093、シャアの反乱後、主に地上に潜伏するネオジオン残党に運用され、高い機体性能、運動性能により地形、環境を問わず、地上の連邦軍を苦しめた。
AMS-119X[G] 量産型サザビー陸戦型
MASSPRODUCT MODEL、「量産型」のサザビーとして、地球連邦軍内データベースに登録されているが、型式番号を見れば分かるように、本機はギラ・ドーガタイプの最上級モデルとして、生産された機体である。
それぞれ改良された、ギラ・ドーガの胴体フレームに、ヤクト・ドーガタイプの四肢を接続、サザビータイプの外装を装着している。十数機程生産された機体は、各地に潜伏する残党軍に譲渡された。
本機は、トリントン基地の北部に潜伏するネオジオン残党軍、デリック・アビントン大尉の乗機である。
それらの機体の中で、陸戦型の名を与えられたタイプは、その下半身、高機動ホバーシステムが内蔵された脚部と、前後左右の腰部アーマー類により、他を圧倒する運動性能を持つ。
「さて、どうする。デリック。やり過ごすか?」
隣にいる一つ目の巨人が、俺の肩に鋼鉄の腕を乗せ言う。AMS-119ギラ・ドーガ。サンドブラウンの巨人、モビルスーツと呼ばれる人型機動兵器だ。全天周モニターに覆われたコクピット内では、まるで自分が25mの巨人になったかのような錯覚に陥るのだ。今、巨人となった自分の目。目の前のモニターには、その巨人の目によって、最大望遠で映し出された映像。
そこには、サンドカラーの直線的なラインを持つ機体、「ジェガン」が四機、それに追従する一機のトレーラータイプのホバートラック。「彼ら」は、今、自分達がいる台地、この台地を亀裂のようにはしる渓谷内の道に入ろうとしている。このまま行けば。
「う〜ん。出来れば渓谷内の道は通って欲しくないな、マーカス、連中はどのぐらいで渓谷に着く」
渓谷内、その中を網の目のように広がる細かな道。その奥に昔鉱山だった採石場がある。そこには今、俺達が基地、隠れ家としている「家」があるのだ。まだ俺の肩に腕を乗せたままのマーカスが言う。戦闘速度ではないから十数分ほどだろうと言う声を聞きながら、隣のマーカス機、そして、150メートルほど前方でライフルを構えているランドル機に指示を出す。
「ランドル、マーカス、二人は渓谷入り口の崖の上に待機。俺は連中をこの台地に釣り上げる。」
「奴ら、俺達の基地を狙ってるんじゃないのか」
近くに来たランドルが言う。違う。俺達の基地が狙いなら、あんな重装備のMSをよこすより爆撃機で爆撃した方が早い。そんなことは、トリントンの連中なら知っている。それに、あの機体はトリントン基地の所属じゃない。あのホバートラック、積まれているのは、弾薬を始め、MSに対する補充物資ばかりだ。つまり連中は、なんらかの理由があって、MSで北上している。だが、俺はあの連中に渓谷内を通って欲しくない。
「俺が、台地の上に上がる道の手前で狙撃する。連中、相手が一機なら追撃してくる筈だ。もし俺を無視して渓谷側に行ったら上から狙撃して足止めしろ。俺が後ろから挟撃する」
一機で大丈夫か。そう言うマーカスの声に、言う。大丈夫だ。単騎だからこそ大丈夫なんだ。と、複数機同士の交戦は、戦闘を行う範囲が広くなる。連中にとって複数対一という状況を作り、俺がこの台地の上で戦い、渓谷の方から離れるように動けば、渓谷側の被害は無くなる。
「連中が台地に上がって来たら、お前達は「静か」に基地に戻って、「静か」に警護だ。気取られるなよ」
了解。「静か」に、ですね。二人の声が重なる。ご武運を、と言う声を聞きながら、巨人となった自分自身である、量産型サザビーを疾らせる。左腕のウェポンシステムをON、接続された大型のシールド、それに内蔵されたメガ粒子砲のチャージを開始する。この機体の最大火力を誇る武装だ。なんでも「袖付き」と呼ばれた残党組織の首魁が乗る機体の専用装備として試作されたものの、でかい、重い、当たらない。と言う涙が出るくらい素晴らしい武器だ。
メガ粒子砲のチャージが丁度終わるタイミングで、狙撃地点に、連中はまだこちらに気付いていないようだ。いや、気付いてはいるだろう。だが、攻撃ポイントついたのはこっち先だ。正面。やらせてもらう。
ターゲットサイトを先頭のジェガンに合わせ、トリガーを引く。
一見、ザクマシンガンのように見えるが、機体サイズから考えるに、二回りも巨大なマシンガンである。それもそのはず、本来は艦載機銃であった物をMSの手持ち火器として改造した物である。一年戦争後期に生み出されたこのマシンガンは、主にドム、ゲルググといった大柄な機体(それでも両手での保持だった)によって運用され、拠点防衛に使用された。学徒兵の操縦するゲルググがア・バオア・クーにおける戦闘の際、このマシンガンを装備し、戦闘を行った記録が残っている。
据え置きの機銃を、ザクマシンガンと同等の機構に組み直すことで、シンプルがゆえの強度を獲得している。120mm強装弾を凄まじい連射速度で発射可能。その発射音から、連邦軍の古参兵からは、Giren's Buzzsaw 「ギレンの電動のこぎり」と呼ばれ恐れられた。
メガ粒子砲を内蔵する大型のシールド。「袖付き」と呼ばれたネオジオン残党組織の首魁、フル・フロンタルの機体用に試作されたものの、大きく、重く、精度の低い命中率。チャージに30秒、発射後の冷却に2分(これは、宇宙空間における冷却時間であり、砂漠地帯などではさらに時間がかかる)という、非常に残念な物であった。
しかし、ビーム発射機構自体は優秀だった為、小型簡略化され、別のMSのシールドに転用されたようである。
「クソッ、なんて奴らだ。この連中、手練れなんてモンじゃねぇ。一人一人がエース級だ」
強い。いや、そういうのともまた違う。俺だって一年戦争から戦ってきた、単騎で、部隊で、どんなに優れた個人だろうと、チームだろうと、誰かしら突出したりミスをしたりする。俺だってそうだ。だがこの連中はどうだ、誰もミスしない、突出しない、隙がない。大型のマシンガンと小型のマシンガンを持つ前衛二機、それ援護するバズーカ装備の二機、この四機の連携、攻撃はまるで精密な機械式時計のようだ。
だが、連中は俺の誘い乗ってくれた。この台地で俺を囲むように戦っている。これなら渓谷内の基地に影響はない、連中の攻撃を捌きながら、「林」の位置を確認する。そう、「林」。この台地の北側に広がる、大小様々なスペースコロニーの残骸が林の様に突き刺さっている場所だ。ここオーストラリアにコロニーが落ちた際、破片が雨の様に降り注いだ所だ。そして、この林を抜けた先は渓谷を抜けた先の道に続くのだ。「林」の中に、連中を誘い込めれば、自分がやられてもそのまま北上してくれる筈だ。まあ、やられるつもりもないが。
的確に、こちらの動きを止めてくるバズーカを避け、前衛二機の連携を捌きながら、攻撃と移動を繰り返す。こちらの機体性能は遥かに相手を上回っている筈、にもかかわらず、有効打を与えられないのは、林の方に誘い込む為もあるが、ジェガンタイプとは思えない程の厚い装甲、致命傷を与えられないのだ。
そんななか、急にジェガンの動きが変わる、走っていた機体が、滑る様に動き出したのだ。
「ホバー機かよッ!」
コクピット内に響くアラートを聴きながら、エラー表示を吐き出すフロントアーマー、脚部装甲をパージする。至近距離で大型マシンガンの特殊弾頭弾を喰らったのだ。距離を取りながら、相手の出方を伺った先に見えるのは、「林」に入るバズーカ持ちの二機。
「林」の中、機体が隠れられる程の残骸の陰に機体を寄せ、コクピットハッチを開ける。シートの下からサバイバルキットの入ったバッグを出し背負うと、コンソールを叩きオートパイロットシステムを起動させる。
「すまないな」
主のいないコクピットハッチを閉じたサザビーは、そのモノアイを二、三度、点灯させると、シールドをパージし身軽になった左腕に、残されたフロントアーマー内のビームホークを装備、その姿をコロニーの残骸が立ち並ぶ林の奥に消す。
一時間後、可燃性のトリモチにその身を焼かれ動きを止めた機体、その横に立つ男を見つけたマーカスは、乗機のコクピットを開け、その男の頭の上に声をかける。
「手酷くやられたな、デリック、無事か」
下ろした巨人の掌に乗ったデリックは、真鍮色に輝く筒を振りながら声を張り上げる。
「参った、機体を捨てなきゃヤバかったよ」
そう言って乗り込んできたデリックは、手に持った筒、薬莢だ。それを押し付けてくる。ジェガンの頭部バルカンの物だろうか、
「お土産だ」
真面目な顔のデリックに言ってやる。
「まだ早い。この間生まれたばかりだろう」
そうか?と、笑うデリック。この男は、先日、父親になったのだ。もういい歳のはずの男は、まるで少年のような顔で閉じ始めたコクピットハッチから外に向かい叫ぶ。
「待ってろレド!とうちゃん、今帰るからな!」
近接兵装としてフロントスカート内に、一振りずつ、ビームホークが内蔵されている。サザビーの物とは違い、片刃になっており、取り回しも向上している。
本機体は、UC0095、オーストラリア北部に展開していた「袖付き」の部隊に届けられる機体だった。トリントン基地の航空警備網の隙間を縫って、航空輸送されていたが、本来飛ぶはずのない空域を飛行していた、命令違反の機体(ニ機のZタイプ)により発見、撃墜される。墜落現場に偶然居合わせたデリック・アビントン大尉により、二機のZタイプの撃退に成功するも、デリック大尉の機体は大破してしまう。
輸送機に搭載されていた機体、試作シールドは無事だったが、この機体の専用設計のビームライフルは、輸送機と共に爆発、焼失している。乗組員、乗っていた補充パイロット、二人の技師らは、全員無事だった。
輸送機の撃墜により、袖付きの部隊への合流が不可能になったことで、本機は機体を失ったデリック大尉に譲渡されている。その後、乗組員を始めとしたスタッフも、デリック大尉の基地の一員になっている。この時の補充パイロットが、ランドルとマーカスである。
初めこの機体は、ダークレッドに塗装され、その胸部には「袖付き」の装飾、襟飾りが、付いていたが取り外されている。それと同時に、現在の迷彩柄に塗装された。
本機のシルエットを特徴的なものにしている下半身。それぞれにホバーシステムを備えた脚部、スカートアーマーにより、大型の機体にもかかわらず、高い機動性能を有する。このスカートアーマーの開発に関わった技術師らは、一年戦争時スカート付きなどと呼ばれたドムなどにあやかり、ドレススカートユニットと言った愛称で呼んでいたが、まさかオーストラリアの砂漠の真ん中で、土偶などと呼ばれているとは夢にも思わなかっただろう。
ガトリングガン装備して。弾倉はバックパックに装着されている。
AMS-119という型番が表すように、ギラ・ドーガである。ギラ・ドーガ最終モデルとして開発されていた。エンデ・ドーガと言う開発コードだった。
その為、このドーガヘッドタイプの機体も各地で目撃されている。こちらのヘッドタイプは、ギラ・ドーガ改、強化型ギラ・ドーガなどといった名称で登録されているようだ。
UC0096、「袖付き」から、トリントン襲撃(ユニコーンガンダムep4)を打診されるが、参戦しなかったようだ。
「うん?何で参戦しなかったって?…見てくれよ、この迷彩、カッコイイだろ。コイツが出張っていったら、「作画担当」がどうにかなっちまう。「映画」のクオリティを下げる訳にはいかないだろ」
と、のこと。
ドグウヤロウこと、量産型サザビー。色々設定やら、ネタやら詰めすぎて、文章が長い。読み辛い。ジェガン陸戦型とセットで。
コメント
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武骨さが良いですねぇw 陸戦!って感じが滲み出てる。
個人的に惜しいのはマシンガンの予備弾倉もスカート辺りに欲しかったって処かな。
コメント失礼します。
陸戦型サザビー、泥くささ出ていて最高です!
物語の設定も凝っていてよかったです。
善き!近藤テイストを感じる作品最高です!ボックスタイプのドーガヘッドが用意されてるのが最高ですね笑。
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