UC0079後期から、0087後期にかけて数度の目撃例がある機体。連邦軍所属であること以外は謎に包まれており、軍データベース内にもこの機体に該当するものは無いとされている。
クローバー(シロツメクサ)
マメ科・シャジクソウ属(トリフォリウム属)
英名 Clover
和名 白詰草 詰草
学名 Trifolium repens
原産地 ヨーロッパ 開花期 4月〜7月
花言葉 think of me(私を思って) be mine(私のものになって) promise(約束) good luck(幸運) revenge(復讐)
三機のMSによる光の尾。その先には一機のリックドムII、その両脇にはジムII。一年戦争を経験した者にはあり得ない光景だろう。UC0083、12月に結成したティターンズ。しかし、旧公国軍残党狩りと称して行った多くの暴挙ともいえる行いは、反地球連邦運動を活性化させる。A・E・U・G(エゥーゴ)である。エゥーゴカラーのリックドムIIとジムII、そのグリーンのリックドムIIのコクピットの中、
「なれねぇなぁ」
「いいかげん、慣れてくださいよ。大尉」
大尉と呼ばれた男は、両脇のジムIIを見て呟くのを聞かれたらしい。
「まさか、ゴーグル付きと飛ぶとはな」
一年戦争後、除隊し、酒浸りになっていた男は、知人の誘いに乗りエゥーゴに参加。無理を言って当時の愛機と同じリックドムIIを用立ててもらう。そうしてこの鮮やかなグリーンのリックドムIIのコクピットの中で男は言う。
「敵は、この辺りなんだろう?」
両のジムIIに問う。ジムIIの方がセンサー性能が良いのだ。哨戒範囲のデブリ帯に所属不明機の反応があった。その調査に、非番だった自分達が駆り出されたのだ。発足したばかりエゥーゴはまだ人手が足りないのだ。ハズレくじを引かされたな。と、メインモニターに向き直る。その瞬間、3条のビーム。センサーの範囲外から。
「散開っ!敵の位置は、だいたいでいい、教えろ」
両のジムIIに檄を飛ばし、両の手に持ったクレイバズーカの最終セフティを解除、ビームの放たれた方向へと向かって機体を疾らせる。それと同時に僚機のジムIIからの声。
「見つけた、識別レッド、機体照合、…マッチ。…こ、コイツは!」
…ガンダム、連邦の白い悪魔。
RX-78ガンダム、一年戦争を生き抜いてきた者は敵、味方問わず知らない者はいないだろう。白い悪魔と呼ばれた機体。
躱わす、躱わす、躱わす、当たらない。弾速の遅いクレイバズーカはともかく、ジムIIのビームライフルですら。圧倒的な機動力。側から見ていても殺人的とも言える加速力。同じ人間が乗っているとは思えない機動。
「強化人間とか言うヤツか、でなけりゃ、今頃中でシェイクだ」
中に乗っている者など無視するかのような機動で、そのガンダムはデブリ帯を舞うように、…いや、あれは雷だ。
ひっきりなしに聞こえる僚機からの焦りの声の中、冷静に敵の動きを見る。あれだけの動きだ、凄まじいまでのGがかかるはず、人が乗っている以上、必ず限界が来る。
そんなガンダムの動きが急に変わる。…不自然なまでに直線的に。それに反応したジムIIの一機が追い縋る。
「…?、…まて、そいつはワナだ!」
その言葉は届かない。ガンダムは加速しながら振り向きざまにジムIIを狙撃したのだ。
「後ろに目が付いているのかっ、おいっ、どうにかして回り込めっ」
残りのジムIIに指示を飛ばしながら、弾数の少なくなったクレイバズーカを撃つ。その弾はまだ可燃物が残っていたであろうデブリに当たり大爆発を起こす。偶々当たった弾で起きた爆発は、次々と周りのデブリに誘爆し、ガンダムを包み込む。これはチャンスだ。モニターに映るジムIIに叫ぶ。
「今だっ撃て!」
しかし、その言葉も届くことはなかった。ライフルを構えたジムIIは、爆発の煙の中から放たれたビームに貫かれたのだ。見えているのか?、煙に包まれパイロットの視界はゼロのはずだ。…だが、動きは止めた。残弾のなくなったクレイバズーカを捨て、ヒートサーベルを構える。
ガンダムの二倍近い質量のリックドムIIはサーベルを構え、体当たりをするように突進する。しかし、ガンダムはそれを察していたかのように2本のビームサーベルを引き抜き、身にまとう煙を裂くようにその姿を現すと、サーベルを振り下ろさんと腕を上げる。だが、こちらの方が早い。リックドムIIの両の手に握られたヒートサーベルの切先は、ガンダムの腹部、コクピットを捉えている。
「獲った!」
レバー越しに、厚いパイロットスーツ越しに伝わる、装甲材を貫く感触。汗の滲んだ手でそれを感じながら、スラスターを噴かし機体ごとぶつける。ヒートサーベルがガンダムの腹部を抉り、その切先が背部、バックパックの向こうに見えた時、それは、起きた。
「なんだこれは…」
「コクピット」を貫かれたはずのガンダムが動き出したのだ。自分の倍近い質量を持つリックドムIIを蹴り出すと、再びビームサーベルに火を灯し、一瞬のうちにリックドムIIの四肢を切り落とす。その腹をヒートサーベルに刺し貫かれたまま。
「ば、化け物め…、あ…」
男の言葉は最後まで言われることはなく、その姿は白い光の中に消えていった。
リックドムIIだったものが光の球となった地点から、30キロ程離れたポイント、デブリ帯の端の方、ダークブルーのサラミス級がメインスラスターに火を入れる。艦前部、両舷に大型のコンテナが付き、上から見ると音叉のような形状をしている。
その薄暗い艦橋内、灯りはモニター類の光だけ、クルーは皆、顔を覆うバイザータイプのヘッドセットを付けており、その表情は伺えない。
「クローバー、戦闘行動の終了を確認」
オペレーター席の女性クルーが声を上げる。それを受け、艦長席に座る男が何処か神経質な声で言う。
「機体の状態は、"AI"システムに影響は」
「腹部システム冷却ユニットの破損により機体、システム残り稼働時間…、…419秒。システム自体は、腹部ユニットの破損により軽度のパニック症状が見られますが、許容範囲内です」
女性クルーの言葉に何度か小さく頷くと男は言う。
「機体の回収が済み次第この宙域を離脱する、回収班、急がせろ」
ダークブルーのサラミスの前部コンテナが開き、二機のMSと回収艇が隊形を整えスラスターを光らせる。ジム・クゥエルと呼ばれるMSだ。
UC0084頃から今までの数年、地球連邦軍ティターンズによって行われてきた暴虐無尽とも言える出来事は、多くの人々(主に宇宙に生きる者達)に様々な感情を抱かせてきた。そのような時代にジャーナリストとして生計を立てる私は、古くからの知人を通し、ある資料を手に入れた。地球連邦軍及び、NT研究に関する極秘資料の一部である。その内容は、一年戦争時代から現在ティターンズの時代まで続く、MS、そして人、NTに対するものだ。
それらの極秘資料を、当時関わっていたと思われる、この宇宙世紀に生きる者には知らぬ者など居ない大企業の元技術者から入手することが出来た。
RX-78 ガンダムクローバー (0084)
クローバーのコードネームを与えられたこの機体は、AI制御による無人機として製造されたと資料にあるものの、AIシステムに関する部分が曖昧な表記になっていたりと謎が多い。
RX-78ガンダムと言えば、一年戦争時におけるホワイトベース隊、アムロ・レイの乗機が有名だろう。その姿は、そのガンダムと変わりはない、しかし、資料に記載されているスペックは、現在0087のMSにも引けを取らないものとなっている。
両肩に小型のシールドを装備、小型だが連射性能の高いビームライフルを装備している。
無人機として作られたこの機体は、本来コクピットがある腹部に、AIシステムに対する大型のシステム冷却用ユニットが内蔵されている。その為、コアファイターは搭載されていない。そして肝心のAIシステム、ブラックボックスに値するユニットだが、頭部の真下、胸部の大部分を占めており、単純にユニットを搭載するだけならば、余りに多くのスペースを取っているように思える。
こちらの画像は、一年戦争後期に撮影されたもの。とされている。この機体は、一年戦争後期に目撃されたのを皮切りに、今に至るまで数回の目撃談がある。その時に運良く撮影された画像は、動画、静止画を問わず、多くのMSマニアらによって取引され、都市伝説のようにもなっている。
RX-78 ガンダムクローバー (0087)
一年戦争時に目撃された際の姿。目を惹くのは、赤く塗装されたビームライフル及び、バズーカであろう。また、バズーカをバックパックにマウント、キャノンタイプのようになっているのも特徴的だ。
この赤い武装は、通常の武装類と同じ物ではあるものの、この機体は通常の連邦軍機体とは異なる規格となっている。手のひらの火器接続コネクタの形状の違いや、火器管制システムの違いなどである。その為、同じ連邦軍所属の他のMSが、この機体用の赤い武装類を使用することは出来ない。そして逆にこの機体は、通常の連邦軍機が使用する武装類を使用することは出来ないのである。
当時のMSパイロットの中には、戦場で赤い武器を見ても使えない。と言われていた者も多くいたようだ。
AI制御による無人機とされるこの機体だが、入手した資料とは別に手に入れた音声データがある。
▶️音声データ再生
「はぁ…、はぁ…、…ブラックボックスにしてはスペースを多く取っている…、ピッ、バシュー…、ずいぶん大きいな…、ぅん?覗き穴?、緑色の光…、…いや、液体、なのか、中になにか入って…、筒?、筒状のケースだ。…う、…ああ、な、なかに、…クソッ!ヤツら、…なんてこった、ヤツら、人を、使ったのか…、人を、部品に…、人を、…人の、いや、…あれは、NTの…、クソッ、クソッ…、…ダダダダッ、バンバンバン!チュイン、チュイン、…はぁ、…はぁ、警告も無しに撃ってきた、バンバン!…はん、今更技術士の一人や二人、いなくなってもいいってか、…チクショウ、…バンバン!ガタンッ…、ぅあ…、ここまでか…クソッ、このデータだけ、は、…バンッ!」
この音声データが入ったチップは、ガンダムの胸部付近の装甲の隙間に、ピッタリと挟まっていたのだと言う。このチップを見つけ誰にも言わず隠し持っていた元MS技師は、これの中身を聴いたのか。と言う私の問いに静かに首を横に振るだけだった。それは、聴いていない。と言う意味なのか、それとも、中身については話たくないと言う意味だったのだろうか。
思いがけず入手した音声データであるが、音声だけならば容易に加工することも可能だろう。しかし、この音声データが本物であった場合、この機体にはAIではなく、生体ユニットが搭載、いや内包されていたという事になる。それも人としての姿ではない状態で。これは、連邦軍、そしてティターンズによる非道な、研究とは名ばかりの人体実験の証拠となりうるものであり、こr
「このジャーナリストの原稿はこれですべてか」
「はい大佐」
多くの調度品が並ぶ部屋、その部屋の中、一際目を引く大きな黒檀の机の上に広げた紙の束を脇に寄せながら、大佐と呼ばれた男は、レンズ越しにそのするどい目を戸口に立つ男に向ける。
「今どき珍しく原稿をタイプライターで書く男のようで、一応、家捜しはしましたが、仮にまだあったとしても全て灰になっているものと思われます」
フンッ…、鼻を鳴らし、大佐と呼ばれた男は、机の端に備え付けられた小型モニターに目をやる。
「〜昨夜未明に起きた、著名な軍事ジャーナリストの自宅兼オフィスの、ガス漏れが外因とされる爆発事故について、新たな〜」
派手にやったな。その声に、戸口に立つ男を言う。
「彼はどうやらヘビースモーカーだったようで、…大佐も寝タバコには気をつけてください」
「フンッ…、私はタバコはやらんよ」
そう言って大佐と呼ばれた男は、葉巻に火をつける。
…まだ何かあるのか。戸口から動かない男に問う。
「はい、この件でアナハイムから、内密に話がしたい。と」
ドンッ!…部屋に重い音が響く。大佐と呼ばれた男が、その大きな手を机に叩き付けたのだ。
「巫山戯るなッ、元々貴様らがリークした情報だろうがッ、…フンッ、まあいい、今後受領されるMSのこともある、適当に話を合わせておけ」
戸口に立つ男は、表情も変えず頷くと音も立たず部屋を出ていく。
「アナハイムめ…」
UC0088、2月x日、XX宙域XXポイント、ティターンズ所属と思われるサラミス級が、大破状態で、哨戒任務中の部隊により発見される。艦体の損壊状況から、乗組員の生存は絶望的、付近には搭載機と思われる二機のMSが見つかるも、二機ともコクピットを中心に大破している。
この艦に搭載されていたMSは、ジム・クゥエルが「3」機となっている。また、かろうじて回収されたブラックボックスに記録された音声には、「裏切った」、「復讐か」などと言った言葉がかろうじて聴き取れるのみだったという。
うん、これたぶん今までで一番長い。話が。わかりにくいが、手足とかシルバーなんだ。モチーフは、そう、クローバーのガンダム、と漫画アウターガンダムのゼファー。
コメント
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ハイサイ☆
サムネ画像のクローバーに誘われ覗いてみると、
ナーンチャッテサンダーボルト?なガンダム???
最後に明かされた銀色の手足でやっぱりクローバーだった(笑)
赤いビームライフルが大変美味しゅう好い味出てますね♪
さてさて、クローバーと言うと、やはり四つ葉のを連想しちゃいますが、、、
まさか、シールドが最終的に4枚に!?!!
な〜んてね、と妄想しちゃいましたアハハハハ〜〜♬
でわでわおじゃましました。
アウターガンダムいい作品ですよね。今でもガンダム本のバイブルです。
読みいってしまった…
クローバーとあるので往年のDX超合金のほうかと思ったら、フルスペックのハードSFを堪能できました。ありがとうございますw
主役のガンダムも、そのストーリーに負けない丁寧な工作で細部まで魅了されました!
プラモ好きの40代
サッと色塗ってパッと作るあまり複雑な改造はしない人(最近はパッと作ってはいない)
MDN-6632+1 ディランザ カッティーヤ
…敵、…ガンダムは、敵ッ! 注意 「コレ」は、水星の魔女最…
ガンダムvsシャークゴッグvsモサゴッグ 海獣大決戦!
夏がきたっ(もう遅い)!それはサメ映画の季節っ!ヤツらが、…
水星から吹く風ッ!それは黄金の疾風(かぜ)ッ‼︎
チュアチュリー•パンランチには、…夢があるッ!
RGM-F0 GUNDAM CALISTEPHUS
見上げ、夢見て、追想の先に、見上げた先になにを見るのか…。