HGUCグフ飛行試験型

「当てなくていいっ！トーチカは前面に砲弾を叩き込め！」

オリバーは基地周辺を囲むトーチカに指示をだすと自身もトーチカの射線に入らぬよう移動する。

グフ飛行試験型はそれまでのMSと違い地面を滑る様に動く。脚部の熱核ジェットエンジンが機体を浮かし大型バックパックがその補助と機動を担っている。その速さはザクやグフの2足歩行とは違い、雲泥の差があると言っても過言でなかった。

「砲台の弾は持っていけねぇんだ!撃ちまくれ！」

腹の底から震える爆音と視界をさえぎるくらいの白煙を上げ一斉射撃を行なう。敵は戦車部隊を主力とした陸戦兵器が中心のようだ。基地周囲にあるトーチカの威力や射程は連邦軍の61式戦車を大きく上回る。奇襲などを除いた真っ向勝負なら先手はジオン側が有利である。

砲撃は戦車隊の予測進入路に次々着弾すると、地面を大きく刳る。これはキャタピラを履いた戦車といえど高速での移動が困難となり進撃が遅れる。

案の定、正面を切って進行した地球連邦軍の戦車隊は足止めを食らう。

「敵はほとんどいないって話しじゃなかったのか?!」

「あんな砲台があるなんて聞いてねぇぞ!」

トーチカの砲撃が着弾すると衝撃で61式戦車も大きく揺れる。これには戦車隊も動揺するが迂回したり着弾地点を避けながら前進したりと対応し進撃の手を止めない。

「慌てているな連邦共は」

オリバーは進撃の早さが落ち戦車隊が陣形を崩したのを確認すると前に出る。

「敵MS接近!‥なんだあれは?浮いているのか?」

戦車兵はグフ飛行試験型を目視すると、その動きに違和感を覚える。今までのザクのように2足歩行のように動いておらず、まるでローラースケートのように地面を滑っている。何よりあの機動力で戦車の砲塔で狙うには難しい速さだ。

「戦車13両。1個中隊か。弾は無駄にできんな！」

オリバーはグフを再加速させ速度を上げる。直ぐに戦車隊との距離は縮まり、先手必勝と120mmマシンガンを撃つ。至近距離で弾を叩き込まれた61式は数発のみの被弾で大破した。

「1つ目!」

ヒット・アンド・アウェイで直ぐに次の目標に狙いを定める。

「おいっ5番機がやられたぞ!包囲陣形を取れ！」

戦車隊は陣形を整えるべく動くがトーチカが荒らした地面に足を取られ素早く動けない。それに対しグフは地面から離れている為、不整地でもその機動力を殺さず駆け抜ける。

「２つ目!」

数では勝る連邦軍だがここでは1機のMSが主導権を握る。グフは一騎当千ばかりにその性能を見せつける。

戦車は各個撃破され炎と煙をあげるとグフが巻き上げた砂塵に飲み込まれていった。

「死の砂嵐か‥」

戦車中隊の指揮官は後方の見渡せる位置からこの光景を目にすると唾を飲んだ。

グフは満足に動けない61式を容赦無く潰していく。この機動力の前に61式も火力が活かせず放った弾は虚しく空を切る。

「うわぁぁっ‥！」

業火を背にグフは自分より小さな戦車を見下ろすとハッチから頭を出した戦車兵と目が合う。蛇に睨まれた蛙とはよく言ったものでこれには戦車も一瞬動きを止める。

だが戦場でこれはご法度だ。怯えた奴から消える。数で有利だった連邦軍の戦車隊は僅か数分で10両を失う事態となった。

「おいおい、こんな作戦立てたのは何処のクソ野郎だ！」

ロブは陸戦型ジムのコクピット内で悪態をつきながら戦車隊がやられていく様を見ていた。

「ありゃジオンの新型か?見たことねぇ」

同じ小隊のマイクもMSの足を止める。今回の作戦は撤退中の小規模な後方基地を制圧するもので、戦力は少ないと聞いていた。だがMSの配備は予想されていた為、数で一気に制圧しようと戦車一個中隊を投入したがこの有様だ。

「7小隊聞こえるか?!」

ロブのもとに戦車隊の指揮官から通信が入る。

「おう、派手にやられてるじゃねぇか。ザクなんか目じゃねえって吠えてたのは何処の犬だ?」

「五月蝿いっ！貴様らの出番だっ!さっさと前に来い!」

「へっ、よく吠える犬だぜ。マイク、サリー、前進だ。奴ら露払いにもならなかったな」

「了解！」

「聞いていたな8小隊のトラック。つー訳だからアシストよろしく」

「弾をかなり使ったな‥。ここは切り換えるか」

戦車隊が引いて行くのを確認するとオリバーはヒートサーベルを抜く。まだ距離があるが今度はMS3機が近づいている。補給に戻るには時間が足りない。何よりMSの弾薬もほとんど輸送機に積み込んでおり補給も出来て一回が良い所だ。

「次がコイツの真骨頂だな」

MS-07は元々MS同士の接近戦を主とした機体であり、この07は足元はH型であるが上半身は従来と同じでヒートロッドやシールドはそのまま採用している。高速移動の為に軽量化は必要だが敢えて残し、その重さをバランサーとしているのだ。エイプからツィマットの新型もかなりの重MSと聞く。

「パドレス、敵のMSが来るぞ!」

「今の隊長となら何が来ても乗り切れますよ!」

「な〜にがアシストよろしくっ！‥だ。何でうちがよそのケツ拭くんだよ!」

「仕方ないですよエレドアさん。7小隊はいま欠員で今回みんなMSに乗ってるんですから‥」

「そんな事わーってる!」

ホバートラックの中で荒れるエレドアにミケルはヤレヤレとため息をついた。

「隊長に7小隊の支援に入るの連絡いれときますよ」

「だいたい戦車隊は何やってやがんだ！真っ向から仕掛けて返り討ちにあいやがって!」

聞いちゃいないんだからとミケルは呆れながらもチャンネルを合わせ自身が所属する第08小隊の隊長に連絡をいれた。

〜to be continued〜

今回のグフ飛行試験型は旧HGUCグフと旧キットグフ飛行試験型のニコイチです。

かなり前に作ったのですが途中で放棄されたのを最近復活させました。当時は未熟で途中で挫折したんですねwww。あまりに昔でなくしたパーツも多くジャンクや他ディテールパーツでリメイクしました。なので本来の07Hとかなり差があります。

カラーリングはミリタリーテイスト強めのグリーン、グレーが主です。

武器は残ってたのでそのまま採用。グレネード付の120ミリは当時好きでしたね。

発見当初、足のここは隙間が目立ち雑にパテでくっつけただけだったので一旦外しプラバンで塞ぎました。その後にパテで再度足周りを固めました。あとはディテールパーツでそれっぽく仕上げてます。

バックパックも本来2枚羽ですがどこ探しても見当たらないので変更。ジャンクから安定翼1枚と補助ブースター設置。バーニアも大きいのに付け替えました。なので本家とかなり差異があります。

このH型はキャリフォルニアベースのもとは別物と見てください。

次回はやられまくった61式戦車とホバートラックをご紹介します。また見てくれたら喜んじゃいます。ありがとうございました（＾◇＾）