AMS-119D/X DOM KALIMA

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黒き者、破壊の女神。復讐する者。

 日の光も届かないほど薄暗くなった空を引き裂くように、巨大な物体がアイルランド、ダブリンの街に影を落とす。スペースコロニー。人類が新たに手に入れた、宇宙における生活の場。地球を追われた人々にとっては故郷とも言える。そんなコロニーが今、ダブリンの空を割り、落ちて来る。 …コクピットに座る自分は、何もできず、ただ見ていることしかできない。そんなコクピットの中に響くのは隊長の声。「何を呆けているっ、さっさと橋を落とせっ!」 …橋?…橋を落とす、目の前の橋を…、そこには避難して行く、多くのダブリンの市民が…。レティクルが動く。橋に、人々に合わせロックオン。自分の指は…、トリガーを押し込んで…。「大尉…、カビーア大尉…」 声が聞こえる。若い、女の声だ。 眼を開けると、褐色の肌に型の良い眉をひそめた、若い、まだ少女といってよい顔立ちの女性と目が合う。「疲れが溜まっているんですか、珍しいですねこんな所で眠って…」 アリシャか…、どうやら眠っていたらしい。そして、夢を見ていた。昔の夢だ。もうすぐブリーフィング、始まりますよ。そう言って自分のヘルメットを抱え、無骨なノーマルスーツに包まれた身体を席に滑り込ませる彼女を眺める。ふと、視線を感じ、そのまま顔を向けると、今度はニヤニヤした顔と目が合う。もう二十年近い付き合いになる相棒の、クルト・デングラーだ。「……起こせよ、クルト…」

 日の光も届かないほど薄暗くなった空を引き裂くように、巨大な物体がアイルランド、ダブリンの街に影を落とす。スペースコロニー。人類が新たに手に入れた、宇宙における生活の場。地球を追われた人々にとっては故郷とも言える。そんなコロニーが今、ダブリンの空を割り、落ちて来る。

 …コクピットに座る自分は、何もできず、ただ見ていることしかできない。そんなコクピットの中に響くのは隊長の声。

「何を呆けているっ、さっさと橋を落とせっ!」

 …橋?…橋を落とす、目の前の橋を…、そこには避難して行く、多くのダブリンの市民が…。レティクルが動く。橋に、人々に合わせロックオン。自分の指は…、トリガーを押し込んで…。

「大尉…、カビーア大尉…」

 声が聞こえる。若い、女の声だ。

 眼を開けると、褐色の肌に型の良い眉をひそめた、若い、まだ少女といってよい顔立ちの女性と目が合う。

「疲れが溜まっているんですか、珍しいですねこんな所で眠って…」

 アリシャか…、どうやら眠っていたらしい。そして、夢を見ていた。昔の夢だ。もうすぐブリーフィング、始まりますよ。そう言って自分のヘルメットを抱え、無骨なノーマルスーツに包まれた身体を席に滑り込ませる彼女を眺める。ふと、視線を感じ、そのまま顔を向けると、今度はニヤニヤした顔と目が合う。もう二十年近い付き合いになる相棒の、クルト・デングラーだ。

「……起こせよ、クルト…」

AMS-119D  ドム・ドゥルガー UC0107、「宇宙賊(かいぞく)」として連邦軍艦船を襲う、カビーア・アミン大尉が搭乗する機体。ドムの名を冠し、ドムのような外観を持つが、型式番号を見ると、ギラ・ドーガタイプであることがわかる。砂漠用のデザート・ドーガと呼ばれるタイプのフレームに、ドムをはじめとした様々な機体の外装を流用し組み上げられたワンオフモデルである。 「ドゥルガー」近づき難き者、と言う名を与えられた本機は、中、遠距離及び、対艦船用のセッティングがなされている。大型ガトリング 本機体のメイン武装となる、120mm対艦徹甲炸裂弾を毎分1000発で発射する。重く、大柄で取り回しは非常に悪い。長距離対艦用ミサイル 左肩に装備されている対艦船用のミサイル。高火力、長射程だが、主に艦船用として使用される為、誘導性能はそれほど高くはない。胸部60mmバルカン 胸部に内蔵される。対MS戦において、牽制用に使用されることが多い。腹部メガ粒子砲 ジェネレータ直結のメガ粒子砲。撃ちすぎに注意。腰部四連装散弾ミサイル 腰部ハッチ内に装填されたミサイル。射程は短いが、発射後一定距離で、散弾のように炸裂する。対MS用。腰部グレネード 大小二発あり、様々な弾頭を装填可能。カビーア大尉は、閃光弾などサポート向けの弾頭を装填することが多い。脚部ミサイル 腿部に装備されたミサイル。飛翔速度が速く、非常に高い誘導性能を持つ。小型だがMSを撃破するには十分な火力を持つ。 左腕のシールドには、シュツルムファウスト、ヒートサーベルが、懸架されている。また、シールド自体にピックも折り畳まれている為、接近戦にも対応できる。

AMS-119D  ドム・ドゥルガー

 UC0107、「宇宙賊(かいぞく)」として連邦軍艦船を襲う、カビーア・アミン大尉が搭乗する機体。ドムの名を冠し、ドムのような外観を持つが、型式番号を見ると、ギラ・ドーガタイプであることがわかる。砂漠用のデザート・ドーガと呼ばれるタイプのフレームに、ドムをはじめとした様々な機体の外装を流用し組み上げられたワンオフモデルである。

 「ドゥルガー」近づき難き者、と言う名を与えられた本機は、中、遠距離及び、対艦船用のセッティングがなされている。

大型ガトリング

 本機体のメイン武装となる、120mm対艦徹甲炸裂弾を毎分1000発で発射する。重く、大柄で取り回しは非常に悪い。

長距離対艦用ミサイル

 左肩に装備されている対艦船用のミサイル。高火力、長射程だが、主に艦船用として使用される為、誘導性能はそれほど高くはない。

胸部60mmバルカン

 胸部に内蔵される。対MS戦において、牽制用に使用されることが多い。

腹部メガ粒子砲

 ジェネレータ直結のメガ粒子砲。撃ちすぎに注意。

腰部四連装散弾ミサイル

 腰部ハッチ内に装填されたミサイル。射程は短いが、発射後一定距離で、散弾のように炸裂する。対MS用。

腰部グレネード

 大小二発あり、様々な弾頭を装填可能。カビーア大尉は、閃光弾などサポート向けの弾頭を装填することが多い。

脚部ミサイル

 腿部に装備されたミサイル。飛翔速度が速く、非常に高い誘導性能を持つ。小型だがMSを撃破するには十分な火力を持つ。

 左腕のシールドには、シュツルムファウスト、ヒートサーベルが、懸架されている。また、シールド自体にピックも折り畳まれている為、接近戦にも対応できる。

 UC0107、シャアの反乱、ラプラス事変を経て、世界、宇宙には大きな争いもなく、穏やか時が過ぎていく。そんな中、日に日に増長、腐敗していく連邦政府及び、連邦軍は、自分達の立場が平和な時代になるにつれて小さくなっていくことを恐れた。特に軍縮の恐れのある軍は自らの立場をより強固なものとするべく、各地に潜伏するネオ・ジオン残党を始めとした様々な反連邦組織に対し、極秘裏に資金、物資の援助を行い、連邦軍の「敵」を作る必要があった。 そうした連邦軍による各地の残党に対するコンタクトは、主に、アナハイムエレクトロニクスが間に入り行われていた。本機体もそうした経緯で残党として燻っていた彼らに与えられた物資の一つである。その為、この機体に見受けられる一部の連邦系の意匠は、アナハイムからの支援があったという証拠と言えるだろう。 そうした経緯で生まれた「宇宙賊(かいぞく)」と呼ばれる者達は、「依頼」という形で連邦政府及び、連邦軍にとって不都合となる者達に対して、賊行為として襲撃していった。

 UC0107、シャアの反乱、ラプラス事変を経て、世界、宇宙には大きな争いもなく、穏やか時が過ぎていく。そんな中、日に日に増長、腐敗していく連邦政府及び、連邦軍は、自分達の立場が平和な時代になるにつれて小さくなっていくことを恐れた。特に軍縮の恐れのある軍は自らの立場をより強固なものとするべく、各地に潜伏するネオ・ジオン残党を始めとした様々な反連邦組織に対し、極秘裏に資金、物資の援助を行い、連邦軍の「敵」を作る必要があった。

 そうした連邦軍による各地の残党に対するコンタクトは、主に、アナハイムエレクトロニクスが間に入り行われていた。本機体もそうした経緯で残党として燻っていた彼らに与えられた物資の一つである。その為、この機体に見受けられる一部の連邦系の意匠は、アナハイムからの支援があったという証拠と言えるだろう。

 そうした経緯で生まれた「宇宙賊(かいぞく)」と呼ばれる者達は、「依頼」という形で連邦政府及び、連邦軍にとって不都合となる者達に対して、賊行為として襲撃していった。

「はやるなよ、アリシャ…、まだ機体に慣れていないんだ。…スロットルは優しく…」 先行するギラ・ズールの背に声を掛けるが、最後まで言わないうちに、目の前のギラ・ズールは、スラスターを閃かせ行ってしまう。「…まるで、ホントの親子みたいですね。反抗期ってヤツだ」 いつの間にか、隣についたギラ・ズールが話かけてくる。クルトだ。…うるせえ。そう言いながら付近の宙域図と、連邦軍から送られてきたデータを照らし合わせる。目標の連邦艦はすぐに姿を現す筈だ。「好きなように飛び回ってもいいが、相手の索敵範囲内には入るなよ」 おそらく聞いていないだろうアリシャ機に声を掛ける。アリシャ・アミン。本名ではない。何処かのニュータイプ研究とは名ばかりの、強化人間施設から脱走してきた所を保護した。その施設は、非人道的な研究ばかり行われていると言う、そんな話を聞いていたからか、彼女を保護した時、名を与え、養子にした。別に亡くなった妻と娘のことを思い出したからでは無い。まあ、彼女からすれば、迷惑だったのだろう。良い顔をされた事など、一度もないのだが…。「見つけたっ!クラップ級」 アリシャの声、隣のクルト機を見る。頷くギラ・ズール。…各武装のセーフティを解除。…よし、仕事の時間だ。

「はやるなよ、アリシャ…、まだ機体に慣れていないんだ。…スロットルは優しく…」

 先行するギラ・ズールの背に声を掛けるが、最後まで言わないうちに、目の前のギラ・ズールは、スラスターを閃かせ行ってしまう。

「…まるで、ホントの親子みたいですね。反抗期ってヤツだ」

 いつの間にか、隣についたギラ・ズールが話かけてくる。クルトだ。…うるせえ。そう言いながら付近の宙域図と、連邦軍から送られてきたデータを照らし合わせる。目標の連邦艦はすぐに姿を現す筈だ。

「好きなように飛び回ってもいいが、相手の索敵範囲内には入るなよ」

 おそらく聞いていないだろうアリシャ機に声を掛ける。アリシャ・アミン。本名ではない。何処かのニュータイプ研究とは名ばかりの、強化人間施設から脱走してきた所を保護した。その施設は、非人道的な研究ばかり行われていると言う、そんな話を聞いていたからか、彼女を保護した時、名を与え、養子にした。別に亡くなった妻と娘のことを思い出したからでは無い。まあ、彼女からすれば、迷惑だったのだろう。良い顔をされた事など、一度もないのだが…。

「見つけたっ!クラップ級」

 アリシャの声、隣のクルト機を見る。頷くギラ・ズール。…各武装のセーフティを解除。…よし、仕事の時間だ。

 「宇宙賊(かいぞく)」として活動する彼らには、アナハイムを通してギラ・ズールが支給された。カビーア大尉の小隊は、大尉のドムを一番機として、二番機にクルト機、三番機のアリシャ機と、三機編成で運用される。アリシャ機は、バウのシールドを装備。この、メガ粒子砲の為に小型のジェネレータが内蔵された重いシールドを、カビーアは防御性能向上の為、無理矢理装備させている。当のアリシャは、重くて機動性が落ちると渋っているようだが。 多くの対艦船武装を装備し、対艦戦闘に特化したドムをサポートする二機のギラ・ズールは、ドムが集中して対艦戦闘を行えるよう、敵艦に搭載されたMSの相手をする。軽装だが、ドムの方が艦船を撃破する方が早い為、戦闘時間自体はそれほど長くない。この小隊は連邦軍内では、艦船キラーとして恐れられている。カビーア・アミン 大尉(ネオ・ジオン所属時最終階級)、インド系の57歳。第一次ネオ・ジオン抗争時、ラカン隊に所属していた。ダブリンのコロニー落としをその目で見ている。クルト少尉も同じ隊だったようだ。アリシャを養子にしたものの、どう接したら良いかわからないと、酒を飲みながらクルトにボヤくのが日課になりつつある。アリシャ・アミン 階級なし(一般人、志願兵扱い)、インド系の20歳(と本人は言っているが、おそらくもっと若い)。ニュータイプ研究を名目とした強化人間施設を脱走、彷徨っていた所を保護された。施設内では特に(ニュータイプ)能力は無いと判断され、処分を待つばかりだったようだ。試験被検体番号0061。保護後にされた検査時に、遺伝子異常が見受けられた為、クローンの可能性がある。クルト・デングラー 少尉(ネオ・ジオン所属時最終階級)、ドイツ系の38歳。第一次ネオ・ジオン抗争の際、ラカン隊に新人として配属された。カビーア大尉とはその時からの付き合いだ。MSの推力を活かした機動戦闘を得意とする。カルい雰囲気を出しているが、真面目で、面倒見の良いナイスガイ?だ。

 「宇宙賊(かいぞく)」として活動する彼らには、アナハイムを通してギラ・ズールが支給された。カビーア大尉の小隊は、大尉のドムを一番機として、二番機にクルト機、三番機のアリシャ機と、三機編成で運用される。アリシャ機は、バウのシールドを装備。この、メガ粒子砲の為に小型のジェネレータが内蔵された重いシールドを、カビーアは防御性能向上の為、無理矢理装備させている。当のアリシャは、重くて機動性が落ちると渋っているようだが。

 多くの対艦船武装を装備し、対艦戦闘に特化したドムをサポートする二機のギラ・ズールは、ドムが集中して対艦戦闘を行えるよう、敵艦に搭載されたMSの相手をする。軽装だが、ドムの方が艦船を撃破する方が早い為、戦闘時間自体はそれほど長くない。この小隊は連邦軍内では、艦船キラーとして恐れられている。

カビーア・アミン

 大尉(ネオ・ジオン所属時最終階級)、インド系の57歳。第一次ネオ・ジオン抗争時、ラカン隊に所属していた。ダブリンのコロニー落としをその目で見ている。クルト少尉も同じ隊だったようだ。アリシャを養子にしたものの、どう接したら良いかわからないと、酒を飲みながらクルトにボヤくのが日課になりつつある。

アリシャ・アミン

 階級なし(一般人、志願兵扱い)、インド系の20歳(と本人は言っているが、おそらくもっと若い)。ニュータイプ研究を名目とした強化人間施設を脱走、彷徨っていた所を保護された。施設内では特に(ニュータイプ)能力は無いと判断され、処分を待つばかりだったようだ。試験被検体番号0061。保護後にされた検査時に、遺伝子異常が見受けられた為、クローンの可能性がある。

クルト・デングラー

 少尉(ネオ・ジオン所属時最終階級)、ドイツ系の38歳。第一次ネオ・ジオン抗争の際、ラカン隊に新人として配属された。カビーア大尉とはその時からの付き合いだ。MSの推力を活かした機動戦闘を得意とする。カルい雰囲気を出しているが、真面目で、面倒見の良いナイスガイ?だ。

「狙撃機だ。さがれ!絶対に動きを止めるな」 いつもの仕事、いつもと同じような「依頼」だった。組織内の不要な者、もしくは部隊に対し賊行為を行え。目標はコロンブス級、武装の少ない旧型艦。何かの試験部隊らしい。それがどうだ…。動いていても当ててくる、こっちのレーダー範囲外からの長距離射撃。…俺のは、対艦戦闘用に通常のMSの二倍近い索敵範囲を持つんだぞ。仕掛けたのはこっちが先だ。にもかかわらず、何もできずに逃げ回っている。特にクルトのヤツは、早々と被弾して機動性能が下がっている。殺意の塊みたいな狙撃機のビームが、この宙域からの離脱も許してくれない。それと、狙撃機ばかりに気を取られているが、俺達とコロンブス級の間に一機、MSがいた筈だ。そいつも何処かに行ってしまった。 狙撃の合間をぬって左肩の対艦ミサイルを発射。残りの二発だ。しかし、そのミサイルも狙撃によって撃ち落とされる。しかも、一発でだ。「ミサイルの二枚抜きっ!…どんな化け物だっ!」

「狙撃機だ。さがれ!絶対に動きを止めるな」

 いつもの仕事、いつもと同じような「依頼」だった。組織内の不要な者、もしくは部隊に対し賊行為を行え。目標はコロンブス級、武装の少ない旧型艦。何かの試験部隊らしい。それがどうだ…。動いていても当ててくる、こっちのレーダー範囲外からの長距離射撃。…俺のは、対艦戦闘用に通常のMSの二倍近い索敵範囲を持つんだぞ。仕掛けたのはこっちが先だ。にもかかわらず、何もできずに逃げ回っている。特にクルトのヤツは、早々と被弾して機動性能が下がっている。殺意の塊みたいな狙撃機のビームが、この宙域からの離脱も許してくれない。それと、狙撃機ばかりに気を取られているが、俺達とコロンブス級の間に一機、MSがいた筈だ。そいつも何処かに行ってしまった。

 狙撃の合間をぬって左肩の対艦ミサイルを発射。残りの二発だ。しかし、そのミサイルも狙撃によって撃ち落とされる。しかも、一発でだ。

「ミサイルの二枚抜きっ!…どんな化け物だっ!」

「とにかくひけっ!さがれっ、コイツらはヤバい」 引けない、引かせてくれないのはわかる。がそう叫ぶしかないのだ。その時、クルト機の放ったシュツルムファウストが何かの残骸に当たり、爆発が起こる。「よし、爆発を盾に撤退す…」 その瞬間、爆発の中から一条の光が奔ると、撤退の為、背を向けたクルト機のバックパックを貫く。なんだ…?ヤツはこっちが「見えて」いるのか。クルトは…?大丈夫か…。 …自分は大丈夫ですよ。クルトからの返事に胸を撫で下ろすのもつかの間、アリシャが叫ぶ。「大尉っ!もう一機が」 アリシャの声が聞こえるのと同時に、目の前の残骸の陰から白い小柄な機体が踊り出る。…っ!どこからきたっ、レーダーには反応が無かった。その機体。「ガンダム」は、一振りのビームサーベルを発振させると、周囲の残骸や、岩塊を蹴りその反動でこちらに切り掛かって来る。そうか、そうしてスラスターを使わずに移動して来たのか、そして小柄に見えたのは、ライフルもシールドの類いも持っていないからか。 そのガンダムは、踊るように、残骸と岩塊、そして、ドムの間を舞う。

「とにかくひけっ!さがれっ、コイツらはヤバい」

 引けない、引かせてくれないのはわかる。がそう叫ぶしかないのだ。その時、クルト機の放ったシュツルムファウストが何かの残骸に当たり、爆発が起こる。

「よし、爆発を盾に撤退す…」

 その瞬間、爆発の中から一条の光が奔ると、撤退の為、背を向けたクルト機のバックパックを貫く。なんだ…?ヤツはこっちが「見えて」いるのか。クルトは…?大丈夫か…。

 …自分は大丈夫ですよ。クルトからの返事に胸を撫で下ろすのもつかの間、アリシャが叫ぶ。

「大尉っ!もう一機が」

 アリシャの声が聞こえるのと同時に、目の前の残骸の陰から白い小柄な機体が踊り出る。…っ!どこからきたっ、レーダーには反応が無かった。その機体。「ガンダム」は、一振りのビームサーベルを発振させると、周囲の残骸や、岩塊を蹴りその反動でこちらに切り掛かって来る。そうか、そうしてスラスターを使わずに移動して来たのか、そして小柄に見えたのは、ライフルもシールドの類いも持っていないからか。

 そのガンダムは、踊るように、残骸と岩塊、そして、ドムの間を舞う。

AMS-119D/X  ドム・カーリマー 戦死したカビーア大尉のドム・ドゥルガーを受け継いだアリシャの新しい機体。強化人間として、NT能力に目覚めたアリシャ用に改修され、「カーリー・マー」破壊の女神の名が与えられた。 遠距離用のセッティングがなされたドゥルガーに対し、この機体は近、中距離での戦闘を目的とした機体となっている。これは、大尉の仇である「ガンダム」との戦闘を見据えたものであり、本来、重く、それほど機動性能の高くない本機体を、厚い装甲を維持したまま、機動力を限界まで高めるという非常に安定性の欠けたセッティングがなされている。 見た目の変化としては、一部に装甲の追加、また、脚部に追加される装甲兼スラスターと、ドゥルガーとの相違点はさほどない。その為、ドゥルガーが機体に内蔵していた武装はすべて使用可能であり、本体だけで高い火力を持つ。そして、一際目を引くであろう、大型のビームランチャーの存在だ。この存在感のある武装は、一年戦争時に使用されたMS用のビームバズーカに、Iフィールド発生装置を搭載した物であり、「ガンダム」と戦う際に脅威となる狙撃機のビームに対する、苦肉の策と言えるだろう。重い機体が、重くバランスの悪い武装を振り回して、高機動戦闘を行う。いかに、この機体の扱いが難しいかわかるだろう。

AMS-119D/X  ドム・カーリマー

 戦死したカビーア大尉のドム・ドゥルガーを受け継いだアリシャの新しい機体。強化人間として、NT能力に目覚めたアリシャ用に改修され、「カーリー・マー」破壊の女神の名が与えられた。

 遠距離用のセッティングがなされたドゥルガーに対し、この機体は近、中距離での戦闘を目的とした機体となっている。これは、大尉の仇である「ガンダム」との戦闘を見据えたものであり、本来、重く、それほど機動性能の高くない本機体を、厚い装甲を維持したまま、機動力を限界まで高めるという非常に安定性の欠けたセッティングがなされている。

 見た目の変化としては、一部に装甲の追加、また、脚部に追加される装甲兼スラスターと、ドゥルガーとの相違点はさほどない。その為、ドゥルガーが機体に内蔵していた武装はすべて使用可能であり、本体だけで高い火力を持つ。そして、一際目を引くであろう、大型のビームランチャーの存在だ。この存在感のある武装は、一年戦争時に使用されたMS用のビームバズーカに、Iフィールド発生装置を搭載した物であり、「ガンダム」と戦う際に脅威となる狙撃機のビームに対する、苦肉の策と言えるだろう。重い機体が、重くバランスの悪い武装を振り回して、高機動戦闘を行う。いかに、この機体の扱いが難しいかわかるだろう。

「大尉……」 忘れない。忘れることなどできない。あのガンダムのビームサーベルが、大尉のいるコクピットを貫くのを。狙撃機の放ったビームを躱す為に機体を捻った胴体に、まるで吸い込まれるようにビームサーベルが突き立てられるのを。我を忘れ、撤退することも忘れ、大尉の元に行こうとする私を、半壊した機体で引き留めるクルト少尉。解せないのは、そんな私達を後目に、何か、動揺したような素振りで背を向け、行ってしまったガンダム…。あの時、私が冷静さを保っていれば…。「…だいぶ、機体に慣れてきたようだね」 隣を飛ぶクルト少尉の声で、慚愧の念を振り払う。「はい、…まだ、機体の重さに振り回されて、怖くてあまり踏み込めませんが…」「それでいい。慎重になるぐらいが生き残るコツだよ」 大尉がよく言っていたと、クルト少尉が言う。ネオ・ジオン抗争のおり、ハイスクールを出たてで右も左もわからない自分を鍛えてくれた、今まで生き残れたのは大尉のおかげだよ。そう言う、クルト少尉の顔はどこか寂しそうだった。大尉は身寄りのない私を、娘のように、いや「娘」にしてくれたように、少尉にとっても親のようなものだったのかもしれない。私は…、私は恥ずかしかった。どう接したら良いかわからなかった。親も、家族というものも知らずに施設で育ってきた私は。もっと娘、家族らしく接していれば…。いや、もう遅い、被検体0061という「番号」だった私に、「名前」を、家族という「場所」をくれた大尉に感謝している。…今は、これでいい。 気持ちを切り替える。見据えたメインモニターに小さく艦影を捉える。コロンブス級。例の艦、私の、仇だ。

「大尉……」

 忘れない。忘れることなどできない。あのガンダムのビームサーベルが、大尉のいるコクピットを貫くのを。狙撃機の放ったビームを躱す為に機体を捻った胴体に、まるで吸い込まれるようにビームサーベルが突き立てられるのを。我を忘れ、撤退することも忘れ、大尉の元に行こうとする私を、半壊した機体で引き留めるクルト少尉。解せないのは、そんな私達を後目に、何か、動揺したような素振りで背を向け、行ってしまったガンダム…。あの時、私が冷静さを保っていれば…。

「…だいぶ、機体に慣れてきたようだね」

 隣を飛ぶクルト少尉の声で、慚愧の念を振り払う。

「はい、…まだ、機体の重さに振り回されて、怖くてあまり踏み込めませんが…」

「それでいい。慎重になるぐらいが生き残るコツだよ」

 大尉がよく言っていたと、クルト少尉が言う。ネオ・ジオン抗争のおり、ハイスクールを出たてで右も左もわからない自分を鍛えてくれた、今まで生き残れたのは大尉のおかげだよ。そう言う、クルト少尉の顔はどこか寂しそうだった。大尉は身寄りのない私を、娘のように、いや「娘」にしてくれたように、少尉にとっても親のようなものだったのかもしれない。私は…、私は恥ずかしかった。どう接したら良いかわからなかった。親も、家族というものも知らずに施設で育ってきた私は。もっと娘、家族らしく接していれば…。いや、もう遅い、被検体0061という「番号」だった私に、「名前」を、家族という「場所」をくれた大尉に感謝している。…今は、これでいい。

 気持ちを切り替える。見据えたメインモニターに小さく艦影を捉える。コロンブス級。例の艦、私の、仇だ。

Iフィールドバズーカランチャー 大型MAに搭載されていたIフィールド発生装置を、ビームバズーカ銃身下部に装着した大型の武装。高い火力を持ち、収束、拡散の切り替えが可能となっている。フィールド発生時は戦艦主砲クラスのビームですら弾く。しかし、フィールドによる防御と射撃を同時に行うことができず、また、フィールド発生時にはジェネレータに負荷が掛かる為、あまり長時間の使用もできない。プロペラントタンク内に入っているのは、冷却剤である。フィールド発生時は、銃口の下、円形の部分のシャッターが開く。また、銃口付近にビームサーベルが装着され、接近された際の緊急用として使用される。 アリシャ機の左腕には、シールドではなくビームサーベルが装着されている。

Iフィールドバズーカランチャー

 大型MAに搭載されていたIフィールド発生装置を、ビームバズーカ銃身下部に装着した大型の武装。高い火力を持ち、収束、拡散の切り替えが可能となっている。フィールド発生時は戦艦主砲クラスのビームですら弾く。しかし、フィールドによる防御と射撃を同時に行うことができず、また、フィールド発生時にはジェネレータに負荷が掛かる為、あまり長時間の使用もできない。プロペラントタンク内に入っているのは、冷却剤である。フィールド発生時は、銃口の下、円形の部分のシャッターが開く。また、銃口付近にビームサーベルが装着され、接近された際の緊急用として使用される。

 アリシャ機の左腕には、シールドではなくビームサーベルが装着されている。

 新たにNT用の機体となった本機体には、ファンネルが追加される。サザビーと同タイプのものと思われ、ファンネルが三基セットされたコンテナには追加で、ドライセンの武装が転用されたリッパーファンネルが一基搭載された。これらの装備の為、コクピット回りの隙間には、サイコフレームと思われる構造体が詰め込まれ(おい…アナハイム…)た。

 新たにNT用の機体となった本機体には、ファンネルが追加される。サザビーと同タイプのものと思われ、ファンネルが三基セットされたコンテナには追加で、ドライセンの武装が転用されたリッパーファンネルが一基搭載された。これらの装備の為、コクピット回りの隙間には、サイコフレームと思われる構造体が詰め込まれ(おい…アナハイム…)た。

「いけっ、サイコミュマシーンなんだったらやってみせろっ」 機体背部のコンテナに搭載したファンネルを通し、意識を飛ばす。相手を、相手の動きにイメージを合わせて意識を放つ。初めはぼんやりとしたその感覚は、数度の実戦を経て、シャープな感覚を得られるまでになった。一定の距離を維持しながら対峙するガンダム。前に大尉と戦った時のように、距離を詰めさせる事はしない。今、この瞬間は、私の間合いだ。ガンダムの主武装はビームライフル。そして、例によってこちらのレーダー範囲外がから放たれる狙撃機の攻撃も、Iフィールドが弾いてくれる。ガンダムに至っては、射撃が苦手なのか、ライフル下部のグレネードを早々と撃ち尽くしている。クルト少尉には、相手の狙撃機から狙われにくい位置、距離からの援護に徹してもらっている。実質、ガンダムとの一騎討ちだ。 

「いけっ、サイコミュマシーンなんだったらやってみせろっ」

 機体背部のコンテナに搭載したファンネルを通し、意識を飛ばす。相手を、相手の動きにイメージを合わせて意識を放つ。初めはぼんやりとしたその感覚は、数度の実戦を経て、シャープな感覚を得られるまでになった。一定の距離を維持しながら対峙するガンダム。前に大尉と戦った時のように、距離を詰めさせる事はしない。今、この瞬間は、私の間合いだ。ガンダムの主武装はビームライフル。そして、例によってこちらのレーダー範囲外がから放たれる狙撃機の攻撃も、Iフィールドが弾いてくれる。ガンダムに至っては、射撃が苦手なのか、ライフル下部のグレネードを早々と撃ち尽くしている。クルト少尉には、相手の狙撃機から狙われにくい位置、距離からの援護に徹してもらっている。実質、ガンダムとの一騎討ちだ。

 

「本当に、バカにしてっ」 なんだ。あのガンダムのパイロット。ふざけているのか。大尉と戦っているのを見た時から思っていたが、今、対峙してみてわかる。戦いをなんだと思っている。まるでスポーツか何かと勘違いしているのか。ライフルが当たらないことで、近接戦闘にシフトする。そこまではいい。だが、いざ切り結んでみればどうだ。スポーツでもしているかのように、腕を斬れば何点、足を斬れば何点。そんな戦いをしてくる。コクピットも狙わず、致命傷となる攻撃もしない始末だ。遊ばれているのか私は。 距離を詰め、接近戦となって改めてわかる。このガンダムの性能、圧倒的な性能差。私が必死に重い機体を振り回して行う機動を遥かに超える動きで。…何度、モニターからその姿を見失ったか。「ふざけるなよ、ガンダムっ」 命のやり取りだろう。戦いは!おまえは、大尉の命を奪った!そんなおまえが、なんでそんなことをする!ガンダムッ!

「本当に、バカにしてっ」

 なんだ。あのガンダムのパイロット。ふざけているのか。大尉と戦っているのを見た時から思っていたが、今、対峙してみてわかる。戦いをなんだと思っている。まるでスポーツか何かと勘違いしているのか。ライフルが当たらないことで、近接戦闘にシフトする。そこまではいい。だが、いざ切り結んでみればどうだ。スポーツでもしているかのように、腕を斬れば何点、足を斬れば何点。そんな戦いをしてくる。コクピットも狙わず、致命傷となる攻撃もしない始末だ。遊ばれているのか私は。

 距離を詰め、接近戦となって改めてわかる。このガンダムの性能、圧倒的な性能差。私が必死に重い機体を振り回して行う機動を遥かに超える動きで。…何度、モニターからその姿を見失ったか。

「ふざけるなよ、ガンダムっ」

 命のやり取りだろう。戦いは!おまえは、大尉の命を奪った!そんなおまえが、なんでそんなことをする!ガンダムッ!

 はい、なんだか久しぶりに宇宙世紀系のを作った気がする、というが、コイツ、ジャンクパーツの集合体だったりする…。芯にドムトローペンのキットが使われているけどね。MGヘビーアームズのガトリングで、ドムバラッジみたいなのを作りたかったんだ。…まあ、作っているうちにどんどん調子に乗って、こんな事に…。 お気に入りは、Iフィールドバズーカランチャー。…モノアイガンダム、カッコいいよね。

 はい、なんだか久しぶりに宇宙世紀系のを作った気がする、というが、コイツ、ジャンクパーツの集合体だったりする…。芯にドムトローペンのキットが使われているけどね。MGヘビーアームズのガトリングで、ドムバラッジみたいなのを作りたかったんだ。…まあ、作っているうちにどんどん調子に乗って、こんな事に…。

 お気に入りは、Iフィールドバズーカランチャー。…モノアイガンダム、カッコいいよね。

 ドムトローペンさんをひとまわり大きくしたいと、肩幅を広げ、それに合わせて腰から足の接続方法の見直し。プラのボールジョイントでの、SDガンダムみたいな接続方法に、脚部が意外と重くなってしまい、腰との接続強度が足らずに、プラップラに…。 それでも、モノアイの可動は個人的に満足いくものが出来たと、出来上がったこのプラモを見ながら酒を呑むのだ。

 ドムトローペンさんをひとまわり大きくしたいと、肩幅を広げ、それに合わせて腰から足の接続方法の見直し。プラのボールジョイントでの、SDガンダムみたいな接続方法に、脚部が意外と重くなってしまい、腰との接続強度が足らずに、プラップラに…。

 それでも、モノアイの可動は個人的に満足いくものが出来たと、出来上がったこのプラモを見ながら酒を呑むのだ。

 おまけのギラ・ズール。腕と足をドーガとすげ替え。よりシルエットがザクっぽくなったのではないかと。大変満足である。

 おまけのギラ・ズール。腕と足をドーガとすげ替え。よりシルエットがザクっぽくなったのではないかと。大変満足である。

コメント

  1. meg-ocero 5か月前

    かっこいいっす😫
    設定から読みものまで何から何まで格好良いですが、カーリマーの突然の紹介がとても浪漫ですね😭
    装備・武装のひとつひつとにしっかりとした設定があり、非常に堪能させて頂きました!
    インド系クローンの少女?もしや!?という設定もまた胸熱ですね🤣

  2. オッサン 5か月前

    コメント失礼します
    作品・物語と素晴らしく世界観に引き込まれました‼️
    ジャンク品でと記載されていたのに驚き、思わず「はぁ‼️」と言ってしまいましたしその技術力に脱帽しました(gandam-kao7)

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