RGM-89PST PROTO ST-GAN CYCLOPS

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公国の亡霊を内包した一つ目の巨人は、スコープの中になにを見るのか…。

「艦長、グース1より、離艦許可申請」 艦橋内にオペレーターの声が響く。「離艦を許可する。…敵か、よくもまあ、見つけられるものだ…」 コロンブス級を改装したMS試験評価を目的とした試験用改修艦「マザーグース」。その艦橋内が俄かに慌ただしくなる。艦のレーダーにはまだ何も反応は無い。にもかかわらず、敵機の存在を確認したジェガンタイプの機体が、静かに艦を離れ狙撃ポイントへと移動するのが艦橋の窓から見えた。狙撃。あの機体はこれから狙撃を行う。MSでありながら戦艦を遥かに超えるレーダー性能を持つその機体のパイロットの声が、艦橋に届く。話し方は若い、が、老齢さを感じさせる声だ。「グース1より、マザーグース。…敵影、3、射撃許可を」「…許可する」 艦長の声とほぼ同時に、そのジェガンタイプの機体は長銃身化されたビームライフルを撃つ。…二発の光が宇宙を割る。

「艦長、グース1より、離艦許可申請」

 艦橋内にオペレーターの声が響く。

「離艦を許可する。…敵か、よくもまあ、見つけられるものだ…」

 コロンブス級を改装したMS試験評価を目的とした試験用改修艦「マザーグース」。その艦橋内が俄かに慌ただしくなる。艦のレーダーにはまだ何も反応は無い。にもかかわらず、敵機の存在を確認したジェガンタイプの機体が、静かに艦を離れ狙撃ポイントへと移動するのが艦橋の窓から見えた。狙撃。あの機体はこれから狙撃を行う。MSでありながら戦艦を遥かに超えるレーダー性能を持つその機体のパイロットの声が、艦橋に届く。話し方は若い、が、老齢さを感じさせる声だ。

「グース1より、マザーグース。…敵影、3、射撃許可を」

「…許可する」

 艦長の声とほぼ同時に、そのジェガンタイプの機体は長銃身化されたビームライフルを撃つ。…二発の光が宇宙を割る。

「離艦許可を受諾。サイクロプス、離艦する」 そう言うと男は、様々なモニター機器により、狭くなったコクピット内で、次々とシステムを立ち上げていく。当然、機体は狙撃ポイントである何かの隔壁だったデブリの陰、その上方に移動させながら。次々と明るくなっていくモニター類、その中で、一際目を引くモニターがある。そのモニターには、自機を中心にこの宙域のかなりの範囲が、3D立体画像として浮かび上がる。「イーグルアイ、…オンライン。宙域データ…チェック。033…ロード。…チェック、オールグリーン、マップ展開」この機体、「サイクロプス」に搭載されたシステム。「イーグルアイ」と呼ばれる。「彼」がかつてのジオン公国軍のMSパイロットだった時から使い続けてきたものだ。 コロンブス級のレーダー範囲を超える位置で、艦の予測進路上に、敵機が展開する様子が、その機体の識別とともに、モニター内の3Dマップ上に詳細な3Dモデルとして現れる。まるでビデオゲームのように。「敵性MSを確認。…三機」 マップ上には、手足の動きまで3Dモデルで精密に再現された、AMX-009ドライセンが二機、岩塊の合間を縫うように動くドライセンから、離れるように動くAMX-104Lアルス・ジャジャを確認できた。マップ上で動く型式番号をタップすると、その機体の詳細なデータが別のモニターに現れる。装備、機体構成から狙撃機のようだ。恐らく狙撃位置を探しているのだろう。コクピットの老パイロットは呟く。「遅いよ、スナイパーは敵、味方、誰よりも早く狙撃位置に着いて、見なくちゃならない」 戦場を。そう言うと同時に、ノーマルスーツ越しでも分かるように少し硬めに調整されたトリガーを引く。二発。 放たれた二発の弾丸、いや、ビームは、薄く光の尾を引きながら、一発は岩塊の上に位置どり、今その長大なライフルを構えんとするアルス・ジャジャのコクピットを貫き。一発は先行するドライセンの左腕、左半身を貫通するようにバックパックを破壊する。そのドライセンは破壊の衝撃で右側にあった何かのデブリに激突、爆散し、後行のドライセンは、その爆発の中に自ら突っ込む形でバランスを崩した機体は岩塊に激突、その機体形状を大きく変えあらぬ方向へ弾き飛ばされて行く。 コクピットの中、スコープを覗き込んでいるようになっているメインモニター越しに、その様子を見ていた老パイロットは、ヘルメットのバイザーを開けると、長く、深い息を吐く。…その顔には、深い皺が刻まれている。

「離艦許可を受諾。サイクロプス、離艦する」

 そう言うと男は、様々なモニター機器により、狭くなったコクピット内で、次々とシステムを立ち上げていく。当然、機体は狙撃ポイントである何かの隔壁だったデブリの陰、その上方に移動させながら。次々と明るくなっていくモニター類、その中で、一際目を引くモニターがある。そのモニターには、自機を中心にこの宙域のかなりの範囲が、3D立体画像として浮かび上がる。

「イーグルアイ、…オンライン。宙域データ…チェック。033…ロード。…チェック、オールグリーン、マップ展開」

この機体、「サイクロプス」に搭載されたシステム。「イーグルアイ」と呼ばれる。「彼」がかつてのジオン公国軍のMSパイロットだった時から使い続けてきたものだ。

 コロンブス級のレーダー範囲を超える位置で、艦の予測進路上に、敵機が展開する様子が、その機体の識別とともに、モニター内の3Dマップ上に詳細な3Dモデルとして現れる。まるでビデオゲームのように。

「敵性MSを確認。…三機」

 マップ上には、手足の動きまで3Dモデルで精密に再現された、AMX-009ドライセンが二機、岩塊の合間を縫うように動くドライセンから、離れるように動くAMX-104Lアルス・ジャジャを確認できた。マップ上で動く型式番号をタップすると、その機体の詳細なデータが別のモニターに現れる。装備、機体構成から狙撃機のようだ。恐らく狙撃位置を探しているのだろう。コクピットの老パイロットは呟く。

「遅いよ、スナイパーは敵、味方、誰よりも早く狙撃位置に着いて、見なくちゃならない」

 戦場を。そう言うと同時に、ノーマルスーツ越しでも分かるように少し硬めに調整されたトリガーを引く。二発。

 放たれた二発の弾丸、いや、ビームは、薄く光の尾を引きながら、一発は岩塊の上に位置どり、今その長大なライフルを構えんとするアルス・ジャジャのコクピットを貫き。一発は先行するドライセンの左腕、左半身を貫通するようにバックパックを破壊する。そのドライセンは破壊の衝撃で右側にあった何かのデブリに激突、爆散し、後行のドライセンは、その爆発の中に自ら突っ込む形でバランスを崩した機体は岩塊に激突、その機体形状を大きく変えあらぬ方向へ弾き飛ばされて行く。

 コクピットの中、スコープを覗き込んでいるようになっているメインモニター越しに、その様子を見ていた老パイロットは、ヘルメットのバイザーを開けると、長く、深い息を吐く。…その顔には、深い皺が刻まれている。

RGM-89PST   プロトSTガン サイクロプス 海軍戦略研究所サナリィがフォーミュラ計画において使用した、データ収集及び、試験宙域の早期警戒を目的として、ジェガンタイプをベースに開発した観測用MS、STガン。本機は、そのプロトタイプとして開発された機体である。ジェガンJ型?がベースになっているSTガンと異なり、RGM-89DEW  EWACジェガンをベースとするワンオフモデルとなっている。 機体性能的には、ベース機にあったEWAC、早期警戒機としての機能は、ほぼオミットされており、代わりに試験観測用、データ収集用に特化したMSとなっている。特徴的な、巨大なモノアイカメラをはじめ様々な観測用のシステムをその頭部に集約した姿は、RMS-119アイザックを彷彿とさせる。その巨大なモノアイから「サイクロプス」のコードネームが与えられた。試験機メカニッククルーなどからは、サイクロップスガンなどとも呼ばれる。 尚、本機体は、基本的に「非」戦闘用の機体であり、サナリィ技術試験部に所属するコロンブス級MS試験艦マザーグースの艦載機として、試作機などの試験の観測及びデータ収集が主な運用方法である。

RGM-89PST   プロトSTガン サイクロプス

 海軍戦略研究所サナリィがフォーミュラ計画において使用した、データ収集及び、試験宙域の早期警戒を目的として、ジェガンタイプをベースに開発した観測用MS、STガン。本機は、そのプロトタイプとして開発された機体である。ジェガンJ型?がベースになっているSTガンと異なり、RGM-89DEW  EWACジェガンをベースとするワンオフモデルとなっている。

 機体性能的には、ベース機にあったEWAC、早期警戒機としての機能は、ほぼオミットされており、代わりに試験観測用、データ収集用に特化したMSとなっている。特徴的な、巨大なモノアイカメラをはじめ様々な観測用のシステムをその頭部に集約した姿は、RMS-119アイザックを彷彿とさせる。その巨大なモノアイから「サイクロプス」のコードネームが与えられた。試験機メカニッククルーなどからは、サイクロップスガンなどとも呼ばれる。

 尚、本機体は、基本的に「非」戦闘用の機体であり、サナリィ技術試験部に所属するコロンブス級MS試験艦マザーグースの艦載機として、試作機などの試験の観測及びデータ収集が主な運用方法である。

ヨルク・ハモンド(ヨハン) 60歳。サナリィのMS技術試験部に所属する老パイロット。落ち着きがあり老齢さを感じさせない言動から艦長らの信頼も厚い。と、同時に言葉回しは若く、結構ノリも良い為、若いクルーやスタッフからは、ヨハン爺、などと呼ばれ慕われている。しかし、彼はジオン公国軍MSパイロットとして一年戦争を、そして、その後も数々の戦いを生き抜いてきた「戦士」なのだ。狙撃手として培ってきた技術は、部隊の試験の観測者として、試験機の護衛者として発揮される。 常に被っているボロボロのニット帽がトレードマーク。また、彼の物を含め三枚のジオン公国軍の認識証を首にかけている。歳もあるが、最近特に腰にキており、「高機動戦闘は勘弁してくれるかな」とは本人の談。若い頃から視力が落ちていないのが自慢だったりする。

ヨルク・ハモンド(ヨハン)

 60歳。サナリィのMS技術試験部に所属する老パイロット。落ち着きがあり老齢さを感じさせない言動から艦長らの信頼も厚い。と、同時に言葉回しは若く、結構ノリも良い為、若いクルーやスタッフからは、ヨハン爺、などと呼ばれ慕われている。しかし、彼はジオン公国軍MSパイロットとして一年戦争を、そして、その後も数々の戦いを生き抜いてきた「戦士」なのだ。狙撃手として培ってきた技術は、部隊の試験の観測者として、試験機の護衛者として発揮される。

 常に被っているボロボロのニット帽がトレードマーク。また、彼の物を含め三枚のジオン公国軍の認識証を首にかけている。歳もあるが、最近特に腰にキており、「高機動戦闘は勘弁してくれるかな」とは本人の談。若い頃から視力が落ちていないのが自慢だったりする。

 右腕には高性能カメラユニットが、頭部右側に装着された「止まり木」と呼ばれるカメラユニットには、三機の自律飛行可能の小型観測ポット「スパロー」1〜3が懸架される。観測宙域に広く展開したスパロー三機と、止まり木をはじめとした機体各部のカメラシステムをリンクさせることで、観測宙域全体を詳細な3D立体映像としてモニターに表示することができる。これと狙撃用特殊システム「イーグルアイ」の併用により、この機体は高性能狙撃機として高い性能を持つのだ。

 右腕には高性能カメラユニットが、頭部右側に装着された「止まり木」と呼ばれるカメラユニットには、三機の自律飛行可能の小型観測ポット「スパロー」1〜3が懸架される。観測宙域に広く展開したスパロー三機と、止まり木をはじめとした機体各部のカメラシステムをリンクさせることで、観測宙域全体を詳細な3D立体映像としてモニターに表示することができる。これと狙撃用特殊システム「イーグルアイ」の併用により、この機体は高性能狙撃機として高い性能を持つのだ。

 左腕には高性能な複合センサーが内蔵されたユニットが、カメラガンも装着される。カメラガンはこの状態でも撮影可能だ。頭部左側に高性能なレーダーシステムが、これに、この機体の様々な機能を併せて使用することで、結果的に戦艦クラスを超える索敵性能を持つに至った。

 左腕には高性能な複合センサーが内蔵されたユニットが、カメラガンも装着される。カメラガンはこの状態でも撮影可能だ。頭部左側に高性能なレーダーシステムが、これに、この機体の様々な機能を併せて使用することで、結果的に戦艦クラスを超える索敵性能を持つに至った。

 本機の基本装備。MS技術試験の観測を目的とする非戦闘用の機体であるが、優秀な狙撃手が搭乗することで、非常に高性能な狙撃機となる。この機体用に用意されたビームライフルは、ジェガンタイプが主に使用する物と基本的には同等の物だ。ただ、長距離の狙撃に対応できるよう銃身がロングレンジ仕様に変更されている。ライフル自体のセンサー系も通常の物と変わりはない。一般的に狙撃と聞いてイメージするのは、大きな光学機器(スコープ)を装着したライフルを想像するだろう。例えるなら、この機体自体が非常に高性能な光学機器(スコープ)なのである。 腰部には、ベースとなったジェガンタイプと同等のビームサーベル、ハンドグレネードが装備されている。

 本機の基本装備。MS技術試験の観測を目的とする非戦闘用の機体であるが、優秀な狙撃手が搭乗することで、非常に高性能な狙撃機となる。この機体用に用意されたビームライフルは、ジェガンタイプが主に使用する物と基本的には同等の物だ。ただ、長距離の狙撃に対応できるよう銃身がロングレンジ仕様に変更されている。ライフル自体のセンサー系も通常の物と変わりはない。一般的に狙撃と聞いてイメージするのは、大きな光学機器(スコープ)を装着したライフルを想像するだろう。例えるなら、この機体自体が非常に高性能な光学機器(スコープ)なのである。

 腰部には、ベースとなったジェガンタイプと同等のビームサーベル、ハンドグレネードが装備されている。

 本機が高性能狙撃機として高い性能を持つのは複数のカメラ、広域レーダーや複合センサーによるものだが、もう一つ、イーグルアイシステムの存在がある。コードで繋がっているパーツ類がそれにあたる。パイロットであるヨルク・ハモンドが公国軍パイロットとして、スナイパー仕様にカスタマイズされたザクに搭乗していた時から使用してきた物に改良を重ねてきた。はじめは大気圏内専用、前衛を担当する僚機とのリンクにより運用されていたものは、宇宙空間を含めた全領域に対応し、自律飛行可能の小型観測ポットによって、フィールドの非常に広い範囲を「見る」ことが可能となった。

 本機が高性能狙撃機として高い性能を持つのは複数のカメラ、広域レーダーや複合センサーによるものだが、もう一つ、イーグルアイシステムの存在がある。コードで繋がっているパーツ類がそれにあたる。パイロットであるヨルク・ハモンドが公国軍パイロットとして、スナイパー仕様にカスタマイズされたザクに搭乗していた時から使用してきた物に改良を重ねてきた。はじめは大気圏内専用、前衛を担当する僚機とのリンクにより運用されていたものは、宇宙空間を含めた全領域に対応し、自律飛行可能の小型観測ポットによって、フィールドの非常に広い範囲を「見る」ことが可能となった。

 UC0106〜0107にかけて、地球連邦軍主体により、アナハイムとサナリィによる次期主力量産機に関する競合が行われた。しかし、この競合自体が連邦軍内外に対するポーズであり、競合結果に関わらず、軍は引き続きジェガンタイプを使用していく事が決まっていた。サナリィ側もそれを知った上で、今自分達の技術がどれほどのものなのか。向上心旺盛な若いスタッフを募り、彼らの実力を試して見ようという考えに至る。そうして集められたスタッフは、最終的にサナリィが想定していた以上の結果を出し、関係した多くのスタッフが、後のフォーミュラプロジェクトに携わる事となる。

 UC0106〜0107にかけて、地球連邦軍主体により、アナハイムとサナリィによる次期主力量産機に関する競合が行われた。しかし、この競合自体が連邦軍内外に対するポーズであり、競合結果に関わらず、軍は引き続きジェガンタイプを使用していく事が決まっていた。サナリィ側もそれを知った上で、今自分達の技術がどれほどのものなのか。向上心旺盛な若いスタッフを募り、彼らの実力を試して見ようという考えに至る。そうして集められたスタッフは、最終的にサナリィが想定していた以上の結果を出し、関係した多くのスタッフが、後のフォーミュラプロジェクトに携わる事となる。

 MS開発に一日の長があるアナハイムに対し、改めてMSを開発することが難しいサナリィには、アナハイム側で試験用MSとして、試作MS、RGM-87(アナハイム内通称ジムⅣ)が供与された。 アナハイムより供与されたRGM-87は、一旦フレームまで分解され、後の小型MSに採用される技術、フレームと関節部、そして小型高出力なジェネレータが組み込まれる。特にジェネレータは出力の割に軽量な為、機体の総重量の低下、それに伴う機体の大幅な機動性能強化に繋がった。また、機体重量が軽くなった分、機体各部のキャパシティに余裕ができた為、各部にハードポイントを設置、様々な追加ユニットを装着できるようになった。 そうして誕生したのが、RGM-F0(F00) カリステフスである。その姿(外装)は、ジム系ではなくガンダムを彷彿とさせる。これは若いスタッフらの俺達もガンダムを作るんだ。という情熱の表れであり、当然連邦軍上層からは良い顔をされなかったことは想像するに容易いだろう。 メインテストパイロットとして搭乗するのは、ケイリー・タチバナ。MS技術試験部のフレーム、関節部の担当スタッフの一人だが、高いパイロット適性を持つ。戦い(命のやり取り)を好まない性格だが…。

 MS開発に一日の長があるアナハイムに対し、改めてMSを開発することが難しいサナリィには、アナハイム側で試験用MSとして、試作MS、RGM-87(アナハイム内通称ジムⅣ)が供与された。

 アナハイムより供与されたRGM-87は、一旦フレームまで分解され、後の小型MSに採用される技術、フレームと関節部、そして小型高出力なジェネレータが組み込まれる。特にジェネレータは出力の割に軽量な為、機体の総重量の低下、それに伴う機体の大幅な機動性能強化に繋がった。また、機体重量が軽くなった分、機体各部のキャパシティに余裕ができた為、各部にハードポイントを設置、様々な追加ユニットを装着できるようになった。

 そうして誕生したのが、RGM-F0(F00) カリステフスである。その姿(外装)は、ジム系ではなくガンダムを彷彿とさせる。これは若いスタッフらの俺達もガンダムを作るんだ。という情熱の表れであり、当然連邦軍上層からは良い顔をされなかったことは想像するに容易いだろう。

 メインテストパイロットとして搭乗するのは、ケイリー・タチバナ。MS技術試験部のフレーム、関節部の担当スタッフの一人だが、高いパイロット適性を持つ。戦い(命のやり取り)を好まない性格だが…。

「あんなことになるなんて思ってなかったんですよ!」 多くのメカニックスタッフが試験機「ガンダム」に取り付き作業しているデッキで、試験機のテストパイロットであるケイリー・タチバナは叫ぶ。先の戦闘、試験機の運動性能試験の際、ジオン残党による襲撃を受けたのだ。たとえ試験中といえど、敵に攻撃を受けた場合は、戦闘行動も許可されている。そもそも、この試験機は次期主力量産機の名目で作られているのだ。戦闘データ、実戦データは必要だ。それはいい、ただパイロット、彼女の方にこそ、問題があった。「大丈夫、君は悪くない。彼らは兵士だ。その覚悟を持って仕掛けてきている」 僕は声をかける。「ヨハンさん、…でも、戦争はもう終わっているんですよっ」 ショックだったのだろう、彼女は涙を浮かべた目で、僕を睨む。 ケイリー・タチバナ。MS技術試験部、フレーム及び関節部担当の優秀なスタッフであると同時に、パイロットとしても優秀な人物だ。しかし、MSに乗る以上、兵士、戦士として見た場合、苦言を言わざるを得ない。彼女は、良い言い方をすればパイロットを狙わない。武装の破壊、四肢の破壊など戦闘行動が取れなくなるように戦うのだ。平和的?そうなのかもしれない。彼女は若い、軍人でもない。学者、技術者として生きてきた、戦争を知らないのもある。「甘い」とは言わない。…言えない。 先の戦闘、彼女は初めて敵機を「撃墜」した。…別の言い方をしよう。彼女は初めて敵パイロットの命を奪った。試験宙域に選ばれる場所は辺境宙域も多い、当然、ジオン残党を名乗るならず者も多い。そういったことから彼女の戦闘回数もそれなりに多い。その上で彼女は敵機体を戦闘不能にして勝利してきた。彼女なりの、何か信念のようなものがあるのだろう。若い時、一年戦争を潜り抜けてきた僕の目から見ても、彼女の操縦技術は素晴らしい、機体の性能もある。しかし、その性能を100%発揮できるのもまた彼女なのだ。 敵の機体はドムタイプ。他にギラ・ズールが二機、それは僕の狙撃で抑えた。始めは撤退の指示が出ていたが、相手の機体が遠距離仕様の機体と分かるや否や近距離戦闘試験の指示がきた。その時、彼女の機体「ガンダム」は運動性能試験の最中、火器の類は持っていない、サーベル一本だけにもかかわらず彼女とガンダムは見事な動きで敵機を翻弄する。僕もただ見ている訳ではない、いや、観測(見る)のが仕事だが。敵は敵で、遠距離戦の戦い方をわかっているパイロットのようで、僕の狙撃を躱わす。ガンダムと戦いつつ動きを止めない。それでいて時々わざと動きを止め、僕に撃てと…、当然、撃っても当たらない。それをガンダムと戦いながら、接近戦をしながらやるかね…。 あれは偶然だった。僕の撃った一撃を躱したタイミングと、彼女、ガンダムが腕部を狙ってサーベルを振り下ろしたタイミングが…。サーベルの切先が、ドムのコクピットを貫いた時、ドムのパイロットを焼いた時、彼女の信念もまた焼けてしまったのだ。

「あんなことになるなんて思ってなかったんですよ!」

 多くのメカニックスタッフが試験機「ガンダム」に取り付き作業しているデッキで、試験機のテストパイロットであるケイリー・タチバナは叫ぶ。先の戦闘、試験機の運動性能試験の際、ジオン残党による襲撃を受けたのだ。たとえ試験中といえど、敵に攻撃を受けた場合は、戦闘行動も許可されている。そもそも、この試験機は次期主力量産機の名目で作られているのだ。戦闘データ、実戦データは必要だ。それはいい、ただパイロット、彼女の方にこそ、問題があった。

「大丈夫、君は悪くない。彼らは兵士だ。その覚悟を持って仕掛けてきている」

 僕は声をかける。

「ヨハンさん、…でも、戦争はもう終わっているんですよっ」

 ショックだったのだろう、彼女は涙を浮かべた目で、僕を睨む。

 ケイリー・タチバナ。MS技術試験部、フレーム及び関節部担当の優秀なスタッフであると同時に、パイロットとしても優秀な人物だ。しかし、MSに乗る以上、兵士、戦士として見た場合、苦言を言わざるを得ない。彼女は、良い言い方をすればパイロットを狙わない。武装の破壊、四肢の破壊など戦闘行動が取れなくなるように戦うのだ。平和的?そうなのかもしれない。彼女は若い、軍人でもない。学者、技術者として生きてきた、戦争を知らないのもある。「甘い」とは言わない。…言えない。

 先の戦闘、彼女は初めて敵機を「撃墜」した。…別の言い方をしよう。彼女は初めて敵パイロットの命を奪った。試験宙域に選ばれる場所は辺境宙域も多い、当然、ジオン残党を名乗るならず者も多い。そういったことから彼女の戦闘回数もそれなりに多い。その上で彼女は敵機体を戦闘不能にして勝利してきた。彼女なりの、何か信念のようなものがあるのだろう。若い時、一年戦争を潜り抜けてきた僕の目から見ても、彼女の操縦技術は素晴らしい、機体の性能もある。しかし、その性能を100%発揮できるのもまた彼女なのだ。

 敵の機体はドムタイプ。他にギラ・ズールが二機、それは僕の狙撃で抑えた。始めは撤退の指示が出ていたが、相手の機体が遠距離仕様の機体と分かるや否や近距離戦闘試験の指示がきた。その時、彼女の機体「ガンダム」は運動性能試験の最中、火器の類は持っていない、サーベル一本だけにもかかわらず彼女とガンダムは見事な動きで敵機を翻弄する。僕もただ見ている訳ではない、いや、観測(見る)のが仕事だが。敵は敵で、遠距離戦の戦い方をわかっているパイロットのようで、僕の狙撃を躱わす。ガンダムと戦いつつ動きを止めない。それでいて時々わざと動きを止め、僕に撃てと…、当然、撃っても当たらない。それをガンダムと戦いながら、接近戦をしながらやるかね…。

 あれは偶然だった。僕の撃った一撃を躱したタイミングと、彼女、ガンダムが腕部を狙ってサーベルを振り下ろしたタイミングが…。サーベルの切先が、ドムのコクピットを貫いた時、ドムのパイロットを焼いた時、彼女の信念もまた焼けてしまったのだ。

 この機体を狙撃機として運用するにあたり、一つの問題があった。頭部、両腕に各種センサー、レーダー、そして複数のカメラを搭載した本機は、高性能カメラユニットが装着された右腕でライフルを保持した場合、複合センサーを装着した左腕を添える(スナイパーライフル等を構えた際の射撃体勢)ことができない。そこで考案されたのが、作業用ミドルモビルスーツの腕部を流用したサブアームユニットである。これを右脚部に装着、左腕の代わりにこのサブアームでライフルを保持することで、安定した精密射撃性能を持つに至った。

 この機体を狙撃機として運用するにあたり、一つの問題があった。頭部、両腕に各種センサー、レーダー、そして複数のカメラを搭載した本機は、高性能カメラユニットが装着された右腕でライフルを保持した場合、複合センサーを装着した左腕を添える(スナイパーライフル等を構えた際の射撃体勢)ことができない。そこで考案されたのが、作業用ミドルモビルスーツの腕部を流用したサブアームユニットである。これを右脚部に装着、左腕の代わりにこのサブアームでライフルを保持することで、安定した精密射撃性能を持つに至った。

「ダメだ!ケイリー、先行しすぎだ」 行ってしまった。この間の件から様子がおかしかったけど。…いや、今はそれどころじゃない。襲撃なのだ。スコープを覗く、先行してしまったガンダムの姿を捉える。その手にはグレネード付きビームライフル。ガンダムの基本兵装の一つだ。そのまま、襲撃してきた敵機をサイトの中央に捉える。イーグルアイシステムにより二機の敵機はすでにマップ上に表示されている。ドムタイプにギラ・ズール、…この間の連中か。データ照合の結果、ドムの動きが違うことが分かる。…別のパイロットか。 考えたね…。見るとギラ・ズールはドムの遥か後方、何かランチャーを発射している。…恐らくビーム撹乱幕。どうやら援護に徹するらしい。ドムに目を戻すと、前とは異なる武装…、大型の、あれはビームバズーカか。ガンダム、彼女が接敵する前にあのドムの動きを見ておこう。…トリガーに指をかけ、こちらから仕掛けてみる。「…ッ、…ビームを弾いた。…やられたッ」 Iフィールド。…あれか、ビームバズーカについてるユニット、僕の狙撃を完全に無視するつもりだ。…まずい、ガンダムの武装もビーム主体だ。見れば彼女もライフルが効かないと悟ったか、サーベルを抜きドムを捉えようとする。が、ドムのパイロットもそれをわかっているのだろう、ガンダムとの距離を離すように動く。牽制する為に撃つ僕の攻撃は、ことごとく弾かれ、こちらの狙撃は完全に無視されているかたちだ。「ブリッジッ!メカクルーッ!僕のコンテナを、…このポイントに、21番コンテナを射出ッ、急げッ!」 アレを使う。今、使用可能な実弾武装はアレしかない。…昔、共に一年戦争を戦った相棒だ。ASR-78MS用対艦ライフルをイーグルアイシステム専用にカスタマイズしたスナイパーライフル。射出され手元に届いたコンテナを開け、中から一挺の大型ライフルを取り出す。スコープは覗いたまま。ガンダムらの動きから目を離さずに。 …まるで人間のように滑らかな動きでライフルを構えた18メートルの巨人は初弾をチャンバー内に送り込む。…そして、無いはずの空気が震えるような、重い、一発。

「ダメだ!ケイリー、先行しすぎだ」

 行ってしまった。この間の件から様子がおかしかったけど。…いや、今はそれどころじゃない。襲撃なのだ。スコープを覗く、先行してしまったガンダムの姿を捉える。その手にはグレネード付きビームライフル。ガンダムの基本兵装の一つだ。そのまま、襲撃してきた敵機をサイトの中央に捉える。イーグルアイシステムにより二機の敵機はすでにマップ上に表示されている。ドムタイプにギラ・ズール、…この間の連中か。データ照合の結果、ドムの動きが違うことが分かる。…別のパイロットか。

 考えたね…。見るとギラ・ズールはドムの遥か後方、何かランチャーを発射している。…恐らくビーム撹乱幕。どうやら援護に徹するらしい。ドムに目を戻すと、前とは異なる武装…、大型の、あれはビームバズーカか。ガンダム、彼女が接敵する前にあのドムの動きを見ておこう。…トリガーに指をかけ、こちらから仕掛けてみる。

「…ッ、…ビームを弾いた。…やられたッ」

 Iフィールド。…あれか、ビームバズーカについてるユニット、僕の狙撃を完全に無視するつもりだ。…まずい、ガンダムの武装もビーム主体だ。見れば彼女もライフルが効かないと悟ったか、サーベルを抜きドムを捉えようとする。が、ドムのパイロットもそれをわかっているのだろう、ガンダムとの距離を離すように動く。牽制する為に撃つ僕の攻撃は、ことごとく弾かれ、こちらの狙撃は完全に無視されているかたちだ。

「ブリッジッ!メカクルーッ!僕のコンテナを、…このポイントに、21番コンテナを射出ッ、急げッ!」

 アレを使う。今、使用可能な実弾武装はアレしかない。…昔、共に一年戦争を戦った相棒だ。ASR-78MS用対艦ライフルをイーグルアイシステム専用にカスタマイズしたスナイパーライフル。射出され手元に届いたコンテナを開け、中から一挺の大型ライフルを取り出す。スコープは覗いたまま。ガンダムらの動きから目を離さずに。

 …まるで人間のように滑らかな動きでライフルを構えた18メートルの巨人は初弾をチャンバー内に送り込む。…そして、無いはずの空気が震えるような、重い、一発。

 _ゆっくりと、なめらかに。なめらかは、…速い。 昔から狙撃時に言う言葉。ジンクスとも言える。「ま〜たいってら」…多くの戦場を共に戦い抜いてきた友の声が聞こえてくる。MSの腕を通して、ノーマルスーツを通して、初弾が薬室に送り込まれるのを感じると同時に、指先に、トリガーの上にのった右の人差し指に2キロの力を込める。「…ッ!…外したッ!」 …かすったのか。装填された対艦用の大口径弾。MSに直撃すればただでは済まない。それの発射時の衝撃を、コクピットシートに固定された体ごと感じながら、スコープの中に見た光景、そこには片腕、右腕をバズーカごと失ったドム。そこへサーベルで切りかかるガンダムの姿。モニターに目をやると、ライフルの砲身の冷却時間を示すカウントが光る。45秒。標準がずれていたか、いや、何年もメンテナンスは欠かしていない。…ライフル自体の老朽化もある。…なにしろ骨董品だ。特装の大口径弾を久しぶりに撃ったんだ。発射時の衝撃による標準のズレを忘れていた。…焦りもある。 スコープの中、ガンダムとドムの接近戦が目まぐるしく繰り広げられている。ドムは左腕に装着されたビームサーベルで、ガンダムの猛攻を凌ぐ。「…ドムのパイロット、動きが良くなっている」 始めは、その重い機体に振り回されていた動きは、片腕を失いながらも、見事な動きでガンダムを翻弄する。そして、ガンダムもそれに負けてはいない。彼女も、ケイリーもまた、ガンダムの性能を限界以上に引き出している。先ほどなどドムの射出したファンネル(サイコマシーンだったのか…)を撃ち落とす様は、昔の記憶、戦ったことは無いが「木馬」のエースパイロットの話を思い出したほどだ。しかし、それでもなお、彼女はコクピット付近を狙わないのだが…。「ダメだ、ケイリー、そんな戦いかたじゃ…」 ひとり呟きながら、自分の体を、年齢を呪う。カウントダウンの数字が永劫のものに感じる。待つだけの時間がこれほど苦痛だとは、精神力は鍛えられてきた。だが、肉体は違う。トリガーの上の指先は震え、動悸と息切れが老朽化した自分の体を襲う。スコープの中のガンダムとドム、二機のビームサーベルの応酬が続くなか、不意にドムのサーベルのビーム光が点滅するように弱くなるのが見える。戦いが動く、モニターのカウントを見ると13秒をきっている。…撃つ準備はできている。 スコープの中では、距離を取る為に放ったのだろうドムのミサイルを、左腕を犠牲にしてなお距離を詰めようとするガンダムが見えた。その時、それはおきた。ミサイルを撃った反動で半回転し、勢いづいたドムの左腕がガンダムの腹部に叩きつけられる。その瞬間、叩きつけたドムの左腕からビームの光が爆ぜるように広がり…。 間に合わなかった!ガンダムの腹部、コクピットが爆発に包まれると同時に、砲身の冷却時間のカウントダウン終了を知らせるアラームがコクピットに響く。「ブリッジッ!試験機のパイロットの戦死を確認ッ!機密保持の為、試験機を破壊するッ!」 無意識のうちに叫んでいた。スコープの標準の中心には、左腕を犠牲にガンダムの腹部を破壊し、ガンダムを抱きしめているようにも見えるドムの背中がある。もう指先は震えていない。その指に、2キロの力を込める。 漆黒の宇宙空間にキラキラと光が瞬く。ガンダムとドムだったものが。かろうじて脚部の一部だったものを残して千々に千切れ飛んだ部品が、遠く離れた太陽の光を反射して輝いている。「すまない…」 呟いた言葉は、何に対して、誰に対してのものだったのだろうか。

 _ゆっくりと、なめらかに。なめらかは、…速い。

 昔から狙撃時に言う言葉。ジンクスとも言える。「ま〜たいってら」…多くの戦場を共に戦い抜いてきた友の声が聞こえてくる。MSの腕を通して、ノーマルスーツを通して、初弾が薬室に送り込まれるのを感じると同時に、指先に、トリガーの上にのった右の人差し指に2キロの力を込める。

「…ッ!…外したッ!」

 …かすったのか。装填された対艦用の大口径弾。MSに直撃すればただでは済まない。それの発射時の衝撃を、コクピットシートに固定された体ごと感じながら、スコープの中に見た光景、そこには片腕、右腕をバズーカごと失ったドム。そこへサーベルで切りかかるガンダムの姿。モニターに目をやると、ライフルの砲身の冷却時間を示すカウントが光る。45秒。標準がずれていたか、いや、何年もメンテナンスは欠かしていない。…ライフル自体の老朽化もある。…なにしろ骨董品だ。特装の大口径弾を久しぶりに撃ったんだ。発射時の衝撃による標準のズレを忘れていた。…焦りもある。

 スコープの中、ガンダムとドムの接近戦が目まぐるしく繰り広げられている。ドムは左腕に装着されたビームサーベルで、ガンダムの猛攻を凌ぐ。

「…ドムのパイロット、動きが良くなっている」

 始めは、その重い機体に振り回されていた動きは、片腕を失いながらも、見事な動きでガンダムを翻弄する。そして、ガンダムもそれに負けてはいない。彼女も、ケイリーもまた、ガンダムの性能を限界以上に引き出している。先ほどなどドムの射出したファンネル(サイコマシーンだったのか…)を撃ち落とす様は、昔の記憶、戦ったことは無いが「木馬」のエースパイロットの話を思い出したほどだ。しかし、それでもなお、彼女はコクピット付近を狙わないのだが…。

「ダメだ、ケイリー、そんな戦いかたじゃ…」

 ひとり呟きながら、自分の体を、年齢を呪う。カウントダウンの数字が永劫のものに感じる。待つだけの時間がこれほど苦痛だとは、精神力は鍛えられてきた。だが、肉体は違う。トリガーの上の指先は震え、動悸と息切れが老朽化した自分の体を襲う。スコープの中のガンダムとドム、二機のビームサーベルの応酬が続くなか、不意にドムのサーベルのビーム光が点滅するように弱くなるのが見える。戦いが動く、モニターのカウントを見ると13秒をきっている。…撃つ準備はできている。

 スコープの中では、距離を取る為に放ったのだろうドムのミサイルを、左腕を犠牲にしてなお距離を詰めようとするガンダムが見えた。その時、それはおきた。ミサイルを撃った反動で半回転し、勢いづいたドムの左腕がガンダムの腹部に叩きつけられる。その瞬間、叩きつけたドムの左腕からビームの光が爆ぜるように広がり…。

 間に合わなかった!ガンダムの腹部、コクピットが爆発に包まれると同時に、砲身の冷却時間のカウントダウン終了を知らせるアラームがコクピットに響く。

「ブリッジッ!試験機のパイロットの戦死を確認ッ!機密保持の為、試験機を破壊するッ!」

 無意識のうちに叫んでいた。スコープの標準の中心には、左腕を犠牲にガンダムの腹部を破壊し、ガンダムを抱きしめているようにも見えるドムの背中がある。もう指先は震えていない。その指に、2キロの力を込める。

 漆黒の宇宙空間にキラキラと光が瞬く。ガンダムとドムだったものが。かろうじて脚部の一部だったものを残して千々に千切れ飛んだ部品が、遠く離れた太陽の光を反射して輝いている。

「すまない…」

 呟いた言葉は、何に対して、誰に対してのものだったのだろうか。

 ビーム兵装が効かないこと知り、持ち出されたライフル。彼、ヨルク・ハモンドが一年戦争時の愛機、スナイパーカスタムを施したザクⅠに装備させていた物だ。試験機とドムの戦闘時に持ち出された時点で、対MS用の弾丸は残っておらず、マガジン内に装填されていた対艦用の特装弾が五発のみだった。もう一挺のビームスナイパーライフルとともに、機体のメーカー、陣営問わず使用出来るよう改良されている。一年戦争後も戦いを続けた彼は、陣営が、搭乗する機体が変わろうともこれらのライフルをイーグルアイシステムと共に使い続けた。 尚、試験艦マザーグース内でこれらのライフルをメンテナンスをする際は、周りが若いスタッフなのもあり、この生産の止まった骨董品のメンテナンスを見学する為にちょっとしたイベントのようになるのだという。

 ビーム兵装が効かないこと知り、持ち出されたライフル。彼、ヨルク・ハモンドが一年戦争時の愛機、スナイパーカスタムを施したザクⅠに装備させていた物だ。試験機とドムの戦闘時に持ち出された時点で、対MS用の弾丸は残っておらず、マガジン内に装填されていた対艦用の特装弾が五発のみだった。もう一挺のビームスナイパーライフルとともに、機体のメーカー、陣営問わず使用出来るよう改良されている。一年戦争後も戦いを続けた彼は、陣営が、搭乗する機体が変わろうともこれらのライフルをイーグルアイシステムと共に使い続けた。

 尚、試験艦マザーグース内でこれらのライフルをメンテナンスをする際は、周りが若いスタッフなのもあり、この生産の止まった骨董品のメンテナンスを見学する為にちょっとしたイベントのようになるのだという。

 やっと作れた。何年も前からあたためていたネタ。観測用の非戦闘用機+スゴ腕スナイパーのパイロット=超高性能狙撃機 が、コンセプト。 良く行くリサイクルショップから、EWACジェガンのキットをびっくりするような値段で買ったんだ。…買ったんだ。

 やっと作れた。何年も前からあたためていたネタ。

観測用の非戦闘用機+スゴ腕スナイパーのパイロット=超高性能狙撃機

 が、コンセプト。

 良く行くリサイクルショップから、EWACジェガンのキットをびっくりするような値段で買ったんだ。…買ったんだ。

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