HGUCザクⅡ改(キリュウ・マサムネ機)

「ここからは早さが勝負か…」

キリュウはD−SIを撃墜し先行したアルファ、ブラボー、チャーリー各小隊を追いかける。見た目はザクだがスラスター総推力は従来のF型の70%増しとなっており、新型のリック・ドムにも引けを取らない性能を誇る。後の量産型では採用が見送られているが、トライバル隊仕様のFZは高出力による稼働時間減少や高機動戦に対応すべくプロペラント・タンクを試験的に採用している。キリュウは急加速すると身体がシートに押さえつけられるが、その細見のラインとは裏腹に力強くスロットルレバーが握りしめられていた。

アルファ小隊のリック・ドムは互いに連携を取り120ｍｍマシンガンで哨戒艇のメインカメラを潰すと、動きが鈍くなった所を更に弾を叩き込んだ。特別仕様の徹甲弾で、比較的装甲の薄い後部に当たると装甲を貫き燃料タンクに引火した。するとD−SIは瞬く間に爆散し宇宙の藻屑と化す。

「こちらアルファ・リーダー・スモーカー02よりトライバル・リーダー・ブシドー01へ。敵無人哨戒艇2機撃破」

「了解した。そのままブラボー、チャーリーの援護を継続」

「スモーカー02了解」

「ジム、出ますっ…！」

訓練生パイロット達は慣れないカタパルトのGに耐え出撃していく。1機出てはまた1機出ると順次ジムはカタパルトに固定されていく。

「対空火器で時間を稼いでいる内に陣形を整えて迎撃しろ！待機中のD−SIも全部動かせっ！」

MSゲートの管制室から防空担当の士官が声を荒らげながら言う。

「俺達だけでやれんのか⁉」

「知るかよ!誰がMS隊の指揮を取るのかも分からねぇし！」

ルナツーに今残っているのはMSパイロット訓練生のみで正規パイロットは皆地球上空へ向け出撃している。ルナツーではMSを生産する体制はある程度整っており機体の数はあるが、稼働試験を終えていない機体ばかりで、いきなりの実戦投入と無謀極まりない試みであった。

「ルナツーより大型ミサイルらしき反応を2つ確認！接触まで32秒」

ブラボー小隊からキリュウへ無線が入る。

「…対艦ミサイルか?」

「そんな大きなミサイルで機動力のあるMSを落とせやしないですよ!……ん、何だ？」

「どうした?」

「ミサイルが電波の様なものを発信してます」

「電波だと…？」

キリュウは眉をひそめると咄嗟に気づく。

「お前達っ‼それから離れろっ!!」

全機にそう命令すると各小隊は返答する前に各々散らばり回避運動をとる。

するとミサイルはトライバル隊近くまで来ると突然爆発した。ミサイルはやはり対艦用で威力は大きく、回避したとはいえリック・ドムは衝撃波で煽られる。だがキリュウの指示でリック・ドムは作戦に支障をきたす損傷はなかった。

「何だあのミサイルは?」

「近接信管だっ！」

近接信管は、砲弾が目標物に命中しなくとも一定の近傍範囲内に達すれば起爆できるものである。対艦用の大型の物であれば当たらずとも途中で起爆すれば広範囲を爆風に晒す事ができる。

「各小隊慌てるな。対艦ミサイルがそうそう当たるとは敵も考えていない。あくまで基地に接近するのを遅らせるのが目的だ。敵が本格的に動くのはこれからだ」

「ブシドー01へ！MSです‼手足が付いてます！」

アルファ小隊が確認したのは地球連邦軍量産型MSジムだ。ここ近々で見られるようになったMSで地球でも実戦投入されていると聞く。宇宙でも目撃情報はあり、あのMSとは散発的に戦闘があった。

「お前達はとにかくルナツーの宇宙艦ドッグへ行け。私が相手をする」

「了解です！」

「派手に暴れてやれ!」

リック・ドム9機は編隊を組み対艦ミサイルを警戒しながら先を急いだ。

「私も連邦のMSは初めてだが手合わせ願おう」

キリュウの目つきが先程とは変わる。切れ長の目が更に鋭くなり、彼の中で何かスイッチが入った。

ザクはメインスラスターを輝かせ一気にジムと間合いを詰める。

「押し通るっっ‼」

それは一瞬の出来事であった。ただMSがすれ違ったように見えたがザクの剣撃が確実にジムを捉えていた。1機は右脇腹、もう1機は左脚。瞬きする間もなく、あまりの突然の事にジムのパイロット達は理解できていなかった。どちらも一撃のみ与えただけで大きな損傷を負わせている。特に右脇腹をやられたジムはそこから大きく爆発し、燃え盛る炎が吹き出した。片足を斬られたジムもバランスを崩し、錐揉み状に流される。

「ほっ！初めて実戦で見たぜ!」

「MSに乗っていても生身と変わらんな」

「よく知らんがあれが『メンキョカイデン』ってやつか」

「けどあれは本気じゃないな…」

「何故だ?」

「利腕じゃない方でサーベルを持っている。アレは手加減したんだよ」

「なるほどな…」

リック・ドムのパイロット達は同じ隊の人間としてキリュウのMS格闘戦に心が躍る。

「迂闊だな…素人か?」

爆散したジムを背にザクは更なる敵機が接近してないか警戒しつつ移動する。

「太刀や脇差とも違う間合い…やはり少々使いづらいか…」

キリュウはコクピットの中で独りごちた。宇宙空間での格闘戦は地上のものとは違った重心の動かし方が鍵である。1G下とは違い無重力の中では下半身で踏ん張る事ができず、スラスターの推力や姿勢制御で対象物に対して斬撃を与える。自身のベクトルの射抜き方ひとつで動きが変わる為、格闘戦はそれ相応の技術が求められる。それこそオートの格闘モーションもあるが、キリュウはマニュアルで全て行い機体を操っている所から独特なマニューバー(機動)を生み出していた。

「第一種戦闘配置用意っ！AAA(Anti Air Artillery)スタンバっているな?!」

「第12エリア対空火器リフトアップ中。システムオールグリーン、冷却装置正常作動、エネルギー充填率83%」

「ジムだけじゃなくD−SIも発進急がせろっ！」

「今やらせていますっ！」

「くそっ、たった10機のMSで攻撃とはなんのつもりだ?!」

ルナツー指令部はこの敵襲に妙な違和感を感じていた。いくらルナツーが今手薄だとしても、巨大な前線基地を艦艇もなしにMSだけで攻撃してくるのは、どういう事なのだろうか…

〜to be continued〜

ご覧いただきありがとうございましたm(_ _)m

今までとエフェクトを変更し作風が少し変わりました（；^ω^）

ザクⅡ改とキリュウ大尉の回でしたが、何となくキャラの個性を表現できたかと思います。カウンター・オデッサ、果たしてなんの為の奇襲作戦何でしょうか？(； ･`ω･´)

ここまでにしてガンプラ紹介行きまーす！

今回はHGUCザクⅡ改です。カラーリングは初期のザクⅡF型に寄せて自身で調合しました。外観のポイントとしてヒートホークからサーベルに変更してます。個人的にサーベルが好きなのもありますが、戦争後半になると宇宙の軍備を整え始めるので、戦闘が激化する地上では補給も難しくなる点からグフの装備も宇宙で使い始めるという脳内裏設定があります。　

頭はビルダーズパーツの角です

あとはバックパック。ビルダーズパーツのアンテナにプロペラント・タンクを追加。統合整備計画の機体ってプロペラント・タンクのイメージが強いんですよね。リック・ドムⅡしかりゲルググJしかり。ザクⅡ改は短時間ホバーできるパワーはありますが、稼働時間が前より減っています。なので単純にタンク付けたらっ？て発想で足しちゃいました。

冒頭の通り第一幕ガンプラは揃いましたので、これからはデジラマストーリーに専念し、そう遠くない日に次は出せると思います<(｀･ω･´)

次回は最後に登場した地球連邦軍対空火器をご紹介します。アレってガンプラ?って思うかもしれませんが立派なガンプラです‼

また見てくれたら嬉しいです

(人∀・)ﾀﾉﾑ