「参ったわね……代行就任早々これだもの」
マリュー・ラミアスはどこか自嘲するように呟いた。MIA扱いとなったラクスとキラに代わり、コンパス総裁――の臨時代行を引き受けた彼女は、カガリ・ユラ・アスハと共にプラントを訪れていた。
「そっちの様子は!?」
『艦隊の損傷は軽微しかしMS発進口が塞がっており出撃はできません。〈タンホイザー〉は辛うじて起動しますが射線上にザフト正規軍のナスカ級が』
「白兵戦に警戒しつつ、シンくんたちにMS帰還ハッチから徒歩で出られないか試してもらって」
〈ミレニアム〉のハインラインからの報告に命令を返し、炎に包まれる軍事工廠を駆け抜ける。
「まさか、またしてもこんなことになるとはな……」
傍らでカガリが嘆息する。ブレイク・ザ・ワールド直前にアーモリーワンで襲撃に巻き込まれたことを思い出しているのだろう。あるいはそれ以前の、ヘリオポリスの件か。
「そんな、自分が疫病神みたいな顔しなさんな。お姫様はちゃんとナイト君のところに届けるから……っと、こっちだ!」
そして先導するのはムウ・ラ・フラガだ。カガリを気遣う軽口の裏に、かすかな痛みを覚えているようにも見えた。
コンパス総裁臨時代行に就任した以上は挨拶回りは欠かせない。プラントの議長ならびに国防委員長との面談で訪れた〈ミレニアム〉を待ち受けていたのは、ジャガンナート派残党による襲撃だった。
〈ミレニアム〉は宇宙港で足止めを食らい、シン・アスカらMS部隊も駆け付けるまで時間はかかるだろう。
おそらく外では旧知のディアッカらが鎮圧に動いているはずだが、当面はプラント内部で自分たちを追ってくるザクやグフをしのがねばならない。
「危ない、伏せろ!」
――と、そこに一機のザクウォーリアがふらふらと飛んできた。ジャガンナート派残党を迎撃していた”味方”だが、頭部を撃ち抜かれコントロールを失ったようだ。
ムウに引き倒されるようにカガリともども強制的に身を低くさせられ、その頭上をザクが通過していく風圧に身をすくませる。
ザクは派手にプラントの大地を削りながら、倉庫に突っ込んで止まった。
「くっ!」
カガリがそちらに向かう。パイロットを救出しようと反射的に動いてしまったのだろう。
「待ちなさいカガリさん!」
「いや、ちょうどいい。こうなったら非常事態だ、こっちも足を借りないと」
ムウがそう言ってマリューを促す。無茶なことを、と思わず顔をしかめた。確かに彼は今やオーブを代表するエースパイロットの一人だが、それでもナチュラルだ。コーディネーター向けのMSを動かすには難儀するだろうに。
それとも、彼は笑って言うのだろうか。俺は不可能を可能にする男だ、と。
擱座したザクはどうやら使い物にならなかったらしく、救出されたパイロットは足を骨折していた。
「ああ、くそっ。私たちの近くじゃどっちみち危険なのか」
「……いや、何とかなるかも知れんぜ」
兵士に肩を貸すカガリの悔恨を宥めるように、ムウが呟く。壊れたシャッターを乗り越えた先の格納庫に鎮座していたのは、味気ない金属色のMSだった。
「これは……」
マリューも見上げて、目を瞠った。
自分たちにとってはなじみ深い、VPS装甲起動前の装甲色。畳まれた翼や局面的なコクピットハッチ、そして腰部サイドアーマーと一体化したレールガン。光に照らされた頭部はツインアイを備えている。
その姿にマリューは見覚えがあった。
「〈フリーダム〉? 前にキラくんが言ってたコンペ機?」
一方、ムウはMSのバックパックから伸びた特徴的な機首に顔をしかめた。
「〈カオス〉……また、よりにもよって」
簡単な画像編集でディアクティブモード。
というわけでHGCEフリーダムガンダムにHG SEEDカオスガンダムのパーツを組み込んだミキシング機です。
ストライクフリーダム強奪事件と前後してプラント主導で試作されたMS。大気圏内では装備に制限のかかるストライクフリーダムに代わる機体として、キラの空間認識能力を活かすべく、ザフト統合設計局が再現したフリーダムにカオスの予備パーツを組み込む形で建造された。
しかしシミュレータ上でキラが機動兵装ポッドを用いたミサイル戦術とのミスマッチを見せたため、シールドを大型ビームブーメランとするライジングフリーダムとのコンペに敗北し、倉庫でモスポール保存されていた。
しかしCE76のジャガンナート派残党決起事件に伴いムウ・ラ・フラガが起動させ、「機体を飛ばしてガンバレルで撃つなら何とかなるだろ!」という理屈で無理矢理動かした。
という設定。
HGCEフリーダムのバックパックにカオスのバックパックをそのまま乗せ、左右に機動兵装ポッドと支持アームをねじ込んでいます。上半身の改造はそのくらい。
下半身。当時品のフリーダムとかライジングフリーダムだったら楽に組み替えられたのかも知れないけれど、よりにもよってHGCEフリーダムを母体に選んでしまったため、まったく異なる構造の膝関節を接続する羽目に……
具体的にはカオス側の膝関節軸を削ってコトブキヤのプラユニットP-145ショートパイプの3mm径と5mm径を組み合わせて、フリーダム側膝関節のポリキャップ(PC8)を挟んで関節をでっち上げてます。
高い空間認識能力を持つフラガ一佐ではあったがやはりナチュラルであるため、機体を無理矢理制御しようとした結果VPS装甲の各部や関節の一部が赤色発光。しかも事態収拾後はどういうことか、いくらシステムを弄ってもこのカラーリングに固定されてしまったという。
また、戦闘中の音声ログでは通信がオフラインにも関わらず、フラガ一佐が何者かと対話しているような記録が残されていた。前後してそれまで使用していなかったビームクロウとバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲を起動させ敵MSを撃破していたのだが、機体返還後のフラガ一佐は詳細について口をつぐんでいるという……
ちょっといい話的な設定とSSを載せてるけどやりたかったことは全然別だったりして。
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ぼちぼち貼っていけたら……いいな……
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