HGハイゴッグ ー戦場までは何マイル？ー

北極海に潜むユーコン、その下部ハッチが開き4機のMSが投下され、真っ直ぐに連邦北極基地を目指す。

水陸両用機の開発で大きく遅れをとる連邦と、海中で遭遇することはまずあり得ない。

パイロット達は4者4様にリラックスした様子で、その表情には笑顔さえ浮かべていた。

突如緊張が走る。

基地近海をパトロールするジムの水中型と鉢合わせた。隠密行動中だが海中には身を隠す場所など無い。全機が即座に魚雷を斉射。出し惜しみなしの魚雷の群れに襲われたジムはなすすべもなく大破する。

水中型によるパトロールは情報になかったが、それ故の確証。この基地には守るべき何かが運び込まれている。

発見された以上、隠密行動に意味はない。

地下水路からの侵入を試みる2機を残し、背面にマウントしたロケットブースターを点火する2機のハイゴッグ。一気に海上に飛び出し、そのまま上昇する。

ブースターの燃料が尽きるまで加速を続け、放物線を描いて基地上空から襲いかかる。突如直上に出現した敵機に、防空システムは対処できていない。

掲げた左腕のカバーが展開し、ハンドミサイルが解き放たれた。

してやられた！

突如上空に現れた敵機の放ったミサイルに地下格納庫の昇降エレベーター2機を同時に破壊され、MS出撃の目処が立たない。敵はこの基地の構造を熟知している。

動けるMSは巡回警備に出ていた自分と相方の新米、同じ2機構成がもう1隊だけだ。打ち上げ準備を進めているシャトルの直掩隊は回せない。あんな速度で無誘導ロケット弾を正確に撃ち込む手練れを相手に十分な戦力とは思えなかった。

スラスターを全開にして地表を滑り寄る敵機に銃口を向ける。姿勢が低くて狙いづらい。水陸両用機の中でも飛び切りの異形、人型からは程遠い。獣か悪魔か…そんな相手が一直線に迫り来れば新米が浮き足立つのも理解できる。自分だって叫び出したいのだから！

足止めすら出来ずに接近を許してしまう。銃口をぐいと跳ね上げられた、と思いきや蛇の様に伸びた腕に掴み上げられる。異形にも程がある！捻じ曲がっていく自機の右腕から発する甲高い機械音に耳を塞ぎたくなった。

まだだ！シールドを捨ててサーベルを…眼前に突きつけられた掌から発する荷電粒子の青い光が最後の光景だった。ついに迸り出た絶叫は、しかし長くは続かない。

数発のビームが短く斉射される。精密機器が密集する頭部で発生したスパークは全身を巡り、装甲の内側で小さな爆発を連鎖させた。

頑強に守られた核融合炉はこの程度ではビクともしない。しかし柔らかい人体が耐えられる衝撃ではなかった。

もう一機のジムがようやくマシンガンを撃ち始める。しかし、破壊した機体を盾がわりに突き出されただけで射撃が止まってしまった。どう見てもパイロットは即死しているというのに、味方機を撃ってしまった動揺がMSの装甲越しに見えるようだ。

まったく連邦兵は覚悟が足りない…抵抗の無くなったジムにゆっくりと右腕を向ける。新米パイロットは自らにミサイルが撃ち込まれるまで、死神を呆然と見つめるだけだった。

2機のジムを撃破し僚機に目をやると、あちらもちょうど2機の片付けたところだった。4機のジム全ての沈黙を確認、ひとまず役割は果たした。

シャトルに向かった隊長達が戻るまで一杯やっているぐらいの時間はあるだろう…その時空気を震わす轟音が響いた。大量の噴煙が空に登っていく。

長い任務になりそうだ…スキットルに伸ばした手を名残惜しそうに操縦桿に戻し、スロットルを踏み込んだ。

…と言うわけでハイゴッグです😃

異形感満点の造形は素晴らしいですが、HGとしては古い部類なので一番残念だった腕周りと腹部を中心に可動改修しました。

水陸両用機の耐圧殻にパネルラインは追加しない！水流の妨げになる余計な出っ張りは付け足さない！という自らのポリシーに従い、詰まるところ外観は殆ど変わりません。

物足りなさを感じる各部スラスターやブチ穴を開口し、ディテールパーツ等に置き換え。不自然にならない程度に、塗装で明暗を強調しています。

最大の特徴である長いフレキシブルアームは、キットもボールジョイントで節毎に可動するのですが、設計不良なのか外側にしか曲がりません。

ボールジョイントを置き換えて全方位に曲がる&パイプ3重構造で伸縮。更にボディと前腕への引き込み機構を追加する事で原作通りとは行きませんが、大幅な腕部伸縮を再現しました。

オプション装備のハンドミサイルユニットは定番の3分割加工です。分割線上の窪んだディテールを切り落として、プラ板で作成したクリップ状のパーツに置き換えて連結しています。キットでは爪やミサイルが収まない付け替え構造ですが、ビーム砲塔の伸縮と爪の関節可動化で内蔵を実現しました。

ロケットパックは発光部の窓部分を開口してレジンで窓を作り、ミライトを組み込んで発光しています。

頭部は切り離して開閉機構とモノアイレールを追加。モノアイはネオジム磁石で挟んでいるので可動します。パイロットからさぞ不評であろう視界の狭さを解消してみました。

足裏はおしゃれなスクリューを埋め込み、肉抜きに蓋をしています。

敵役の寒冷地ジムです。

肩の付け根と腹部が動かないタイプなので、そこだけ改修しています。

ダメージ表現をパーツ付け替え式にした事で、一部接着による合わせ目消しが出来ないので、目立つところにディテールを貼って線を隠しています。

今回はエフェクトパーツを色々用意してみました。

殆どがレジンで造形して、ジェルメディウムでボリュームと表情付けを行っています。泡表現はガラス粒を混ぜて塗りつけました。

相変わらずデジタル加工だらけなので、無加工も数枚あげておきます。

水中表現は作った波をフィルターにして光を当てる事で、色味と無作為な影を演出してみました。光を当てる事でミライト発光が寂しくなってしまったので、ここは別撮りして重ねています。

ミサイルエフェクトはレジンで作った穴開き球にミライトを通し、羊毛フェルトの煙を組み合わせたものです。ミライトの尻尾はビーム発射口に通して隠しついでに腕からミサイルまでの固定棒にもなっています。

ここに背景合成や色調補正、動きを出すためのオーバーレイやモーションブラーを重ねています。

以上、相変わらずの長文にお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました🙇

1話冒頭の戦闘シーンを踏襲していますが、せっかく作った魚雷を撃ちたくてオリジナルを組み込んだ結果、いつもの妄想ストーリーに膨らんでしまいました😅

ポケ戦はクリスマス！と意気込んでいたのに製作ペースが追いつかず、終盤シーンの失速感が否めません。2体絡めると難しいですね😓