HGUCガンプラデジラマSS「宇宙世紀戦場フォト」

「ではお二人方よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

ネスカとジェシカは同時に頭を下げると椅子に腰掛ける。

「この度はフォン・ブラウンにありますグラン・アルテミスホテルまでお越し頂きありがとうございます。本日、司会進行を務めるKと申します。お二人にはご提供いただいた資料や写真を元に一年戦争について色々話しができればと思います」

「お渡しした写真は私が実際に撮った物の他に、昔の仲間が撮影した物や他ルートで入手した物が混ざっているので、出来る範囲でお話いたします」

ネスカは言う。

「ええ、構いません。コールマンさんは一年戦争時は地球連邦軍を取材されていたそうで、そういったお写真が多いですね」

「ええ」

「ドーウェンさんは元ジオニック社出身という事で旧ジオン軍のお写真を多くご提供いただきました」

「私も古い物やゴシップの様なのもありますのでお手柔らかにお願いします」

「承知いたしました」

「では先ずコールマンさんからいただいた写真から見ていこうと思います」

『小さな巨人』

「写真の裏にそう書いてありますね？」

「これは戦争後期のジャブローの写真です。オデッサ作戦以降、地球連邦軍は主戦場を宇宙に移すのにジャブローから連日宇宙戦艦を打ち上げていたそうです。この白いMSはおそらく基地守備隊のジムですかね」

「MS開発に出遅れた地球連邦軍ですが、ビンソン計画では簡易的ながらMS搭載機能を備えた宇宙戦艦を大量建造したという記録がありました」

「今、ジャブローは核汚染により一般人の立ち入りは禁止されていて、どんな状態かは分かりませんが当時は打ち上げる施設が沢山あり地球では最大規模だったそうです」

「全長約18mのMSも巨大な戦艦の打ち上げの前には小さく見えますね」

「ティターンズが解体以降、一年戦争については様々な資料が世に出回りました。これもその1枚です」

「これは噂に名高いRX-78-2ですか？」

「ええ、ジオン軍によるジャブロー攻略戦が0079の11月30日にありました。その時のもので、その攻防戦に、後に第13独立戦隊と呼ばれるホワイトベース隊も参加していたという写真です」

「当時はホワイトベース隊は地球連邦市民にとって偉大なる勝利の象徴でしたからね。写真越しでも何かオーラの様なものを感じます」

「他にも搭載されていたとされる支援タイプのRX-77、RX-75の写真もあります。後ろに写っているのは61式戦車ですが、ジャブローの地下大空洞には高速道路や学校、インフラ施設等が揃っており、まるで一つの都市の様であったと聞きます」

「グリプス戦役の核爆発によりもはやその姿は誰にも分かりませんが、一度見てみたいですね」

「写真のRX-77含め、今回の対談に元ホワイトベース隊パイロットのカイ・シデン氏にもお話を伺いたかったです」

「今回カイ・シデン氏にもオファーさせていただきましたが、諸用の為また次回との事でした。残念です」

「こちらもガンダムタイプが写っていますが」

「これは私が実際に取材した地球連邦軍の極東方面軍ですね」

「一年戦争では既に複数のガンダムタイプMSが投入されていたと聞きます」

「そうですね。私はオデッサ作戦前に地球を離れたのですが、この数枚の写真は知り合いから頂きました」

「地球での取材はいかがでしたか?」

「当時の私はまだ若くて……、コホン、失礼」

「…続けてください」

「当時の私は反戦の意識が強く、銃を持つ兵隊に対して何処となく嫌悪感がありました。ですがそこであった同い年位の地球連邦軍士官の青年やゲリラの子と話しをし、この戦争について色々考えさせられる事が多々ありました」

「具体的にお話できますか?」

「それをしたら三日三晩あっても足りませんよ」

「あはは、では少しで良いのでお話を聞けたら」

「一年戦争以降も紛争は続いていますが、私は今でも戦争は反対です。ですが、そこに行かなくては分からない声があるという事実をこの戦争では知りました。私は反戦を訴えながらも中立であるサイド6に守られている立場であり、戦時中はどこか他人事のような感覚でいたと思います。ですが実際に地球での取材を通し、そこにいる人達の声を聞き自分の知らない沢山の世界を知ることができました」

「…ほう」

「正しい戦争なんてない。でもそれぞれの正しさの中で生きている。取材の中で補給部隊に同行した際にとある村で、子供達が連邦軍が医薬品に使う植物の栽培を手伝っていました。私はそれに対して色々疑問や嫌悪感と葛藤しました。でもその子供達は自分のしている事が正しいと思って植物の世話をしていました。最初は大人達に言われてやっているだけだったかも知れませんが、その子達にはその子達の世界があるのだと知りました」

「極東戦線ではそんな事があったんですね」

「写真にあるように極東戦線でも試験的に多くの陸戦型MSが投入されていました。亜熱帯の地域では突然のスコールや日照りがあり、地球の自然を前にスペースノイドの私は悪戦苦闘しました。今となっては良い思い出ですが」

「これは夜明け前ですかね。宇宙暮らしには地球の自然という奴は驚かされるばかりです」

「近年では様々な戦時中の記録資料が一般公開されてますね」

「一年戦争から戦場の主体がMSになりましたが、大戦前から使われている現用兵器も数多く投入され、過渡期と言えますね」

「オーガスタ・ファイル？」

「こちらもガンダム・タイプのようで…」

「ティターンズ解体直後のゴタゴタで入手した1枚です」

「オーガスタと言えばニタ研で有名ですが」

「そうですね。最近はティターンズとニュータイプ研究所の関係性がよく話題になってますが、これについてはまた後程。ドーウェンさんのお話も聞きたいですわ」

「…すみません。参加せず聞き入ってました」

「これは失礼しました！次はドーウェンさんをメインにお話を進めましょう!」

〜to be continued〜

ご覧いただきありがとうございましたm(_ _)m

この「宇宙世紀戦場フォト」は私がストーリーに関係なく作りたいデジラマを自由に出す為にはどうしたら良いかと思い作りました。宇宙の挽歌では一年戦争後半の宇宙がメインなので、どうしても宇宙ばかりになるんです(~_~;)

なので息抜きな感じです。更にこの設定なら歴史を紐解くみたいに、宇宙の挽歌の捕捉や解説も出来るかなと企んでおります(*´艸｀*)

この物語の登場人物解説ですが、ネスカ・コールマンは08小隊のドラマCDのキャラクターです。

あとジェシカ・ドーウェンですが、こちらかなりマイナーです。セガサターンのゲーム、ブルーディスティニーはご存知かと思いますが、そこから抜粋です。ジェシカは当初ゲームのキャラで登場予定でしたがボツ案になりゲームには登場しませんでした。ですが設定は結構しっかりしていました。この書物から知り、本物語に取り入れてます。

デジラマは新作ですが基本、ガンプラは過去作メインなのでガンプラ紹介はないのでご容赦ください。

宇宙世紀戦場フォトはまた続きを作りますが、次回は宇宙の挽歌第三幕episode1をリリースします

∠(｀・ω・´)

また見てくれたら嬉しいです！

(人∀・)ﾀﾉﾑ