ザクⅡF型(ツィマット社製)

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MS-06F(Zi) 量産型ザク(ツィマット社製)

開戦前――ミノフスキー粒子散布下でのモビルスーツ投入という公国軍の新戦術を以てすれば、一度の総力決戦による連邦宇宙戦力の壊滅という目標も十分に達成可能と考えられていたが、彼我の圧倒的な兵力差からローテーション出撃等による交代運用をする兵力的余裕のないジオン軍には、損害を度外視してでも核バズーカ標準装備のザク全機投入による短時間での決着こそが必要不可欠であった。従って開戦時点での主力機ザクⅡC型は、コックピット周辺を中心に施された耐核装備のため著しく荷重が偏り、結果低下してしまったAMBAC効率を機体各所に増設された姿勢制御用スラスターで補うという設計であった。これは本来モビルスーツ最大の特長であるはずの汎用性や機動性が大きく制限された状態ではあったが、AMBAC制御システムが未だ開発途上であった当時の事情から、操縦性の向上として高く評価されていた。開戦2週間にして地球連邦軍宇宙艦隊の壊滅が実現、それを受け南極条約により核攻撃禁止が成立。これを以て、かねての計画通り地球への侵攻が可能となる。以後不要となる耐核装備の排除による大幅な軽量化、更には主動力炉の増強ほか徹底した最適化設計により、モビルスーツとしての一つの完成形とまで称される名機ザクⅡF型であるが、開戦の時点で既に大量生産が開始されていたという。耐核装備が取り除かれたF型では重心バランスが改善したことから、制御スラスターは必要最小限まで削減され、推進装置と統合された新たなAMBAC制御システムにより、特に宇宙空間での機動性及び稼働時間の延長において格段の向上が見られた。また25%もの軽量化により重力下における長期運用も十分可能となり、初期生産機の大半は地球侵攻作戦に投入された。反面宇宙では、ルウム戦役により連邦宇宙戦力が壊滅状態にあったため機種更新の緊急性は小さく、所属宙域によっては長らくC型を使い続ける部隊も少なくはなかった。よって戦争中盤に至って「通常のザク」が未だザクⅡC型を指すという場合も特別珍しいことではなかったのである。

開戦前――ミノフスキー粒子散布下でのモビルスーツ投入という公国軍の新戦術を以てすれば、一度の総力決戦による連邦宇宙戦力の壊滅という目標も十分に達成可能と考えられていたが、彼我の圧倒的な兵力差からローテーション出撃等による交代運用をする兵力的余裕のないジオン軍には、損害を度外視してでも核バズーカ標準装備のザク全機投入による短時間での決着こそが必要不可欠であった。
従って開戦時点での主力機ザクⅡC型は、コックピット周辺を中心に施された耐核装備のため著しく荷重が偏り、結果低下してしまったAMBAC効率を機体各所に増設された姿勢制御用スラスターで補うという設計であった。
これは本来モビルスーツ最大の特長であるはずの汎用性や機動性が大きく制限された状態ではあったが、AMBAC制御システムが未だ開発途上であった当時の事情から、操縦性の向上として高く評価されていた。
開戦2週間にして地球連邦軍宇宙艦隊の壊滅が実現、それを受け南極条約により核攻撃禁止が成立。これを以て、かねての計画通り地球への侵攻が可能となる。
以後不要となる耐核装備の排除による大幅な軽量化、更には主動力炉の増強ほか徹底した最適化設計により、モビルスーツとしての一つの完成形とまで称される名機ザクⅡF型であるが、開戦の時点で既に大量生産が開始されていたという。

耐核装備が取り除かれたF型では重心バランスが改善したことから、制御スラスターは必要最小限まで削減され、推進装置と統合された新たなAMBAC制御システムにより、特に宇宙空間での機動性及び稼働時間の延長において格段の向上が見られた。
また25%もの軽量化により重力下における長期運用も十分可能となり、初期生産機の大半は地球侵攻作戦に投入された。
反面宇宙では、ルウム戦役により連邦宇宙戦力が壊滅状態にあったため機種更新の緊急性は小さく、所属宙域によっては長らくC型を使い続ける部隊も少なくはなかった。
よって戦争中盤に至って「通常のザク」が未だザクⅡC型を指すという場合も特別珍しいことではなかったのである。

F型の開発完了後、直ちに大量生産が開始される。開発元のジオニック社の他、ツィマット社やMIP社でも委託生産され、最盛期にはジオン国内工場中80%以上がF型の生産に携わっていたという。それだけに基本スペックの点でこそ大きな違いはないものの、製造時期や工場により細部の仕様には多少の差異が存在する。最も目を引く違いは塗装における色調の違いであるが、使用塗料に関しては厳密な指定がなされなかった事もあって、生産時期によっても多数のバリエーションが存在し、また環境による変色等を考慮すれば機体色のみを以て生産メーカー等の判別に用いるのは現実的でない。ツィマット社によりライセンス生産されたF型は、肘部装甲の塗分けの違いで容易に他社製と判別が出来る。これはM-120A1以降ザク・マシンガンにストックが追加されたため、以後肘部の強化装甲は不必要との判断による材質変更だとされる。だが実際は脚部での自社製推進器の採用により生じた重量増を、指定総重量に収めるため装甲変更による軽量化で相殺した苦肉の策に過ぎないとも言われている。総推力ではジオニック製を上回っていたというが、指定仕様に合わせたリミッター制限がかけられているため性能面での違いはみられず、また操縦感覚等の差異についても制御ソフトウェアにより、パイロットには通常体感出来ない水準に抑えられている。しかし、これら両下腿への重心移動と推進力増強によるAMBAC効率の向上は、ジオニック社から出向していた技術将校の関心を大いに引くことになり以後、ジオン軍における宇宙用モビルスーツ設計の方向性に非常な影響を与えたという。なお地上での運用が重視されたMS-06F-2ザクF2型以降でも標準仕様の一部として採用されており、重力下ではカウンターウェイトとして安定性の向上にも寄与していたと考えられている。ただし格闘戦を好んだ旧教導機動大隊所属パイロットらの要望により、元々グラナダ仕様のザクには手足甲部分の装甲に強化材が採用されたものが少なくない。これらを公国軍におけるAMBAC効率重視フォルムの源流と見る向きもある。

F型の開発完了後、直ちに大量生産が開始される。開発元のジオニック社の他、ツィマット社やMIP社でも委託生産され、最盛期にはジオン国内工場中80%以上がF型の生産に携わっていたという。
それだけに基本スペックの点でこそ大きな違いはないものの、製造時期や工場により細部の仕様には多少の差異が存在する。
最も目を引く違いは塗装における色調の違いであるが、使用塗料に関しては厳密な指定がなされなかった事もあって、生産時期によっても多数のバリエーションが存在し、また環境による変色等を考慮すれば機体色のみを以て生産メーカー等の判別に用いるのは現実的でない。

ツィマット社によりライセンス生産されたF型は、肘部装甲の塗分けの違いで容易に他社製と判別が出来る。
これはM-120A1以降ザク・マシンガンにストックが追加されたため、以後肘部の強化装甲は不必要との判断による材質変更だとされる。
だが実際は脚部での自社製推進器の採用により生じた重量増を、指定総重量に収めるため装甲変更による軽量化で相殺した苦肉の策に過ぎないとも言われている。
総推力ではジオニック製を上回っていたというが、指定仕様に合わせたリミッター制限がかけられているため性能面での違いはみられず、また操縦感覚等の差異についても制御ソフトウェアにより、パイロットには通常体感出来ない水準に抑えられている。

しかし、これら両下腿への重心移動と推進力増強によるAMBAC効率の向上は、ジオニック社から出向していた技術将校の関心を大いに引くことになり以後、ジオン軍における宇宙用モビルスーツ設計の方向性に非常な影響を与えたという。
なお地上での運用が重視されたMS-06F-2ザクF2型以降でも標準仕様の一部として採用されており、重力下ではカウンターウェイトとして安定性の向上にも寄与していたと考えられている。
ただし格闘戦を好んだ旧教導機動大隊所属パイロットらの要望により、元々グラナダ仕様のザクには手足甲部分の装甲に強化材が採用されたものが少なくない。これらを公国軍におけるAMBAC効率重視フォルムの源流と見る向きもある。

周到な策謀が奏功し戦時協定に核攻撃禁止条項を含める事に成功、地球侵攻による長期継戦が可能となるが、この状況は公国内にて戦争長期化を望む者らの策動を活発化させることにもなる。緒戦における勝利と引き換えに数多の熟練パイロットを失っていたジオン軍は、連邦によるモビルスーツの投入までに、パイロットの練度を対モビルスーツ戦闘が可能な水準まで引き上げておく必要があった。元々宇宙においてモビルスーツに有効な対抗手段を持たず、ルウムでの大敗により壊滅状態であった連邦宇宙軍の残存兵力こそザクの実戦訓練として最適であり、特にMS-06Cや05Bでも十分対処可能であった事から旧式機の活用の面でも好都合であった。条約により使用不可となった核バズーカに代わり、ザク・マシンガンやザク・バズーカ等の標準兵装を用いた高機動戦術による対艦戦闘を中心にパイロットの習熟は大いに進んだ一方、兵器開発の方針までもが対艦戦闘重視の傾向を示しつつあった。それでもなお仮に連邦が短期間でモビルスーツ開発に成功し実戦投入してきたにせよ、パイロットが対モビルスーツ戦を行えるまでには膨大な時間が必要であり、モビルスーツ戦力におけるジオンとの決定的な差を埋める事は出来ない。そう考えられていた――

周到な策謀が奏功し戦時協定に核攻撃禁止条項を含める事に成功、地球侵攻による長期継戦が可能となるが、この状況は公国内にて戦争長期化を望む者らの策動を活発化させることにもなる。
緒戦における勝利と引き換えに数多の熟練パイロットを失っていたジオン軍は、連邦によるモビルスーツの投入までに、パイロットの練度を対モビルスーツ戦闘が可能な水準まで引き上げておく必要があった。
元々宇宙においてモビルスーツに有効な対抗手段を持たず、ルウムでの大敗により壊滅状態であった連邦宇宙軍の残存兵力こそザクの実戦訓練として最適であり、特にMS-06Cや05Bでも十分対処可能であった事から旧式機の活用の面でも好都合であった。
条約により使用不可となった核バズーカに代わり、ザク・マシンガンやザク・バズーカ等の標準兵装を用いた高機動戦術による対艦戦闘を中心にパイロットの習熟は大いに進んだ一方、兵器開発の方針までもが対艦戦闘重視の傾向を示しつつあった。
それでもなお仮に連邦が短期間でモビルスーツ開発に成功し実戦投入してきたにせよ、パイロットが対モビルスーツ戦を行えるまでには膨大な時間が必要であり、モビルスーツ戦力におけるジオンとの決定的な差を埋める事は出来ない。
そう考えられていた――

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