一年戦争開戦以前より密かにMS開発を進め、一年戦争緒戦の一週間戦争およびルウム戦役でMS主体の新たな戦争を見せつけたジオン軍に対して従来の宇宙艦隊による大艦巨砲主義に固執した国連軍上層部はジオン軍の地球降下までその思想を変えることができなかった。この状況に対してルウム戦役から生き延びてジオンの捕虜になりながらも奇跡の生還を成し遂げた国連宇宙軍レビル大将は国連軍技術研究開発本部、アナハイム・エレクトロニクス社など官民合同でのMS開発運用計画”V作戦”を統合参謀本部へ提出。後にこれは承認されるも、戦局の悪化から承認を待たず極秘裏にMS開発施設を北米ロッキー山脈北部要塞群内および第7連合宇宙艦隊の本拠地であるルナツー基地内に設置。戦局が悪化していく中、徹底した情報統制下で以前試験的にアナハイムから導入したRCX-76の運用データを転用し、前線で鹵獲したザクから情報をフィードバックする事でプロトタイプのザニーを経てザクに対抗可能な量産型MS”ジム”が誕生した。初期量産試作機のジムはそれぞれ地上軍仕様のRGM-79(G)、宇宙軍仕様のRGM-79(E)として各前線に配備。陸戦型は東南アジアおよび欧州戦線へ。一方で宇宙軍へは第7連合宇宙艦隊第1機械化混成大隊にMS実験隊を組織して配備された。
ルナツー実験隊と呼ばれたこの部隊は統合参謀本部直轄として編成されるも規模は1個中隊クラス。編成は第1および第2小隊はジムを装備。第3および第4小隊はジムより一足早く戦力化されたボールK型を装備していた。この編成は将来的なジムとボールの混成運用をテストする意味合いもあったと言われている。所属パイロットは主にルウム戦役以降出番が無くなった宇宙軍の空母艦載部隊である空間戦闘航空団出身者で構成されていた。彼らは一週間戦争やルウム戦役でザクの脅威を直に感じて生き延びたためその士気は高かった。また、敗れたとは言え空間戦闘機でザクを撃墜した精鋭パイロットも複数所属しており、ボールでジオンの最新鋭機を撃墜したジェイコブ・ヘンドリッチや一年戦争撃墜数100機超えのスーパーユニカムとなったシイコ・スガイ、後に地上軍のコジマ大隊第08MS小隊で活躍したテリー・サンダースJrもザク撃墜記録を持つパイロットだった。
この部隊は設立の経緯からジムおよびボールによるMS運用データ収集および新型兵装の実戦テストを主な任務としていた。その相手はルナツー宙域に接近したジオン軍哨戒艦隊や輸送船団、およびそれら部隊に随伴しているMSであり、当時この国連軍の秘密部隊に遭遇したジオン軍部隊は事前情報としてボールの存在は知っていたものの、本格的なMSであるジムの存在は知らなかった事、そして国連軍側は基本的に奇襲を多用した事からルナツー宙域のジオン軍の損害は艦船、MS問わず非常に高かった。また、ジオン軍側でもV作戦の情報は掴んでいたが、ガンダムを始めとしたRXシリーズを国連軍主力MSと誤認したためジムの存在を知ったのは地球で陸戦型ジムとの交戦が増えた0079.8月以降で、宇宙でその存在を把握したのはオデッサ作戦直前の11月だった。
オデッサ作戦により地球での戦局が大きく国連軍へ傾いた頃、ジャブローにて開発が進められていたジムの制式量産型であるRGM-79A/Bが実戦テストを経て遂に完成。ジャブロー、ルナツーの各工廠で大量生産されたジムはビンソン計画で再建された宇宙艦隊と共に宇宙での反攻作戦に投入され、ジオン軍宇宙戦力を押しつぶした。一方でMS実験隊も反攻作戦に合わせて第7連合宇宙艦隊と共に出撃。この時には実験隊にもジムA/B型が配備され、規模も大隊クラスに拡大され、ソロモン、ア・バオア・クー戦域に投入されて熟練兵揃いのエース部隊として活躍したものの損耗も大きく、ア・バオア・クー戦終結時の残存兵力は5割を切っていたという。
一年戦争終結後はMS実験隊は解隊され、その任務はMS教導団や技術研究開発本部のMS試験隊、アナハイムのテスト部門に引き継がれた。人員も退役者以外はそれぞれの組織に異動したが、実験隊から改編された第7連合宇宙艦隊第1機械化混成大隊MS隊に残った者も多く、彼ら彼女らは後のデラーズ紛争やグリプス戦役に参加。更に地球での第7連合宇宙艦隊の基地があるアフリカでは基地配備のMS分遣隊が0080にアフリカのジオン残党勢力掃討作戦"クルセイダー作戦"に参加。現地では基地警備用に地球へ降ろされた初期型のRGM-79(E)を運用した。
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ナカムラ工廠です。ガンプラは始めたばかりでキットが手に入りづらいので部分塗装でやってます。あと、ミリプラと合わせたデジラマで独自世界の一年戦争モノをやってますのでよろしくお願いします🙇
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