中学一年になった時、技術の担任先生がいました。 もうすぐ定年で俗に言う おじいちゃん先生 でした。 先生の名前は 伝(つたえ) と言う事で皆から 『でんちゃん』 と呼ばれ慕われていました。
でんちゃんはおじいちゃんと言う事もあり 授業のチャイムが鳴っても気づかなかったり、プリントを配る時に唾をつけたり、「先生」と呼ぶと「んん!?」と鶏の様に首をクイッと伸ばして顔を近づけてきます。
そんなある日 学校で【生徒全員で菊の花を咲かせよう】というイベントが行われました。 内容は生徒一人一人に菊の苗が渡され花が咲くまで育てる というものです。 (正式名称はポリポット)に苗が入っているものです。 花に興味のない男子にとってはくだらないイベントです。
イベント当日、体育館の前で菊の苗を配るので、クラスごとに取りに行く という事でしたが 他の用事があり、私だけ少し遅れてしまいました。 様子を見ると私のクラスの男子は配り終えて女子の行列が出来ていました。 私は女子の中に紛れて入って行列に並びました。
行列に並び前を見ると、伝ちゃんが机に置いてある菊の苗を、一人一人に手渡ししていました。 行列もスムーズに進みます。 菊の苗はたくさん用意してあるようです。
そして私の番になりました。 伝ちゃんは私の顔を見て「んん!」という顔をしたのです。 「女子に紛れて男子がいる」 と思っての事だと思いました。 すると伝ちゃんは今まで配っていた苗とは別の所に置いていた苗を取り、私に渡したのです。 私は「えぇ?何?・・」 と思いつつも苗を受け取り行列を出ました。
私は「えぇ? 私が遅れたから取り置きしてくれたのか? 男子と女子で苗が違うのか?」 そう思いながら菊の苗を見ると、太陽に向かって伸びているはずの苗は90度以上曲がり土に向かって生えていたのです! 「・・・・・・・・」
私は焦りました。 このままではクラスで私の菊だけ、変な方向に伸びる・・と思い 曲がっている茎を指でつまんで 逆に曲げてみるとすぐにポキッと折れました。 もっと焦りました。 どうしよう・・・この事を担任に報告するべきかと思いましたが、逆に私が悪者にされてしまうのではないかと思いやめました。
そこで、折れた苗の根本は指で押し込み 折れた先端をそれらしく埋めて なんとか短いですが苗の様にしました。
私は安心して「ふゅいぃぃぃぃ」と手の甲で額の汗をぬぐいました。
その後 私の菊だけが枯れました







コメント
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いやいやいや、菊の苗のタグ、誰も使わんから。
で、そりゃ枯れるよ。
んで、伝ちゃん何やったん?
今の若者だとたぶん、すぐ伝ちゃんの考察とか始めると思うけど、
まあ、これぐらい意味わからなくても気にしてなかったよね。
おかげでMk-IIがノーマルカラーリングなのに気付くのにだいぶ時間かかりました。
ありがとうございます。
とてもいい人です
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